2020年2月21日更新

フィルム・ノワールが分かるおすすめ映画7選 名作・傑作・怪作ぞろい

狩人の夜
THE NIGHT OF THE HUNTER © 1955 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Package Design © 2018 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

独特な雰囲気をもつフィルム・ノワール。定義があいまいな部分もあり、これから観てみようと思う人にはやっかいなものかもしれません。そこで今回は、フィルム・ノワールの定義やおすすめの作品を紹介します。

目次

フィルム・ノワールって?定義やおすすめ作品を紹介

ヌーヴェルヴァーグとならんで、映画ファンには常識のように扱われているフィルム・ノワール。しかし、その定義や代表作とはいったいどんなものなのでしょうか。 今まで「知っているつもり」だったフィルム・ノワールについて、もういちどその意味や特徴を確認してみましょう。あわせて、おすすめのフィルム・ノワール作品も紹介します。

フィルム・ノワールの定義や特徴を解説

狩人の夜
THE NIGHT OF THE HUNTER © 1955 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Package Design © 2018 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

フィルム・ノワールとは、虚無的で悲観的、退廃的な雰囲気を持つ犯罪映画のことです。ようするに、「暗い映画(黒い映画)」ということですね。狭義には、1940年代前半から1950年代後期にかけて、主にアメリカで製作された作品を指します。 しかし、その定義は評論家によっても異なり、フランス製のギャング映画を指して「フレンチ・フィルム・ノワール」と呼んだり、1980年代以降、ジョン・ウー監督などによって製作された「香港ノワール」など、さまざまな国や時代の作品を含む場合もあります。 これらの多くの作品に共通するのは、犯罪や異常心理を描いていること、そして男を破滅される「ファム・ファタール(運命の女、危険な女)」が登場することなどです。 それでは以下に、おすすめのフィルム・ノワール作品を7本紹介していきましょう。

1. 『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1942年)

男女の欲望と愛が故の犯罪を濃密に描く

飲食店に勤めることになったジーノの目的は、経営者夫婦の美しい妻。ふたりはすぐに深い仲になり、夫を殺害して駆け落ちする計画を立てはじめます。しかし、いつしかふたりはお互いに疑心暗鬼に陥り、関係は二転三転していきます。 イタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティの記念すべきデビュー作。アメリカの作家ジェームズ・M・ケインの同名小説を、物語の舞台をアメリカから北イタリアに移し、映画化した作品です。過激な性と暴力の描写が話題になりました。 ちなみに、劇中に郵便配達は登場しません。

2. 『マルタの鷹』(1941年)

ハードボイルドの代名詞、ハンフリー・ボガートの代表作

Haruka_Fukuda
Haruka_Fukuda 3.5

ボギーがやはりかっこいい。 フィルムノワールの代名詞ともいえる作品。 ラストはそう来るか!って感じだけどもかなり好みのオチです。

私立探偵サム・スペードは、ある日ワンダリーという女性から依頼を受けます。相棒のアーチャーが捜査を進めますが、その夜、彼は何者かによって殺されてしまいました。犯人を追うサムは、怪しい男たちと遭遇し、いつしか莫大な価値のある彫像“マルタの鷹”争奪戦に巻き込まれていき……。 ダシール・ハメットの同名小説を映画化した『マルタの鷹』は、それまでに3度映画化されていますが、この作品がもっとも有名。主演のハンフリー・ボガートの代表作ともなった、ハードボイルド・ミステリーの傑作です。

3. 『上海から来た女』(1947年)

数多くの映画にも引用されるオーソン・ウェルズの名作

bonkuraman69
bonkuraman69 3

フィルムノワールのはしり的作品。ラストシークエンスは燃えよドラゴンが引用してましたね。オーソンウェルズはもっと評価されるべきだと思います。

ニューヨークのセントラルパークで、マイクは弁護士で資産家のバニスターの妻・エルザと知り合います。その後、サンフランシスコ行きのヨット航行に乗り合わせたふたりは、親密な関係に。しかし彼らは、バニスターの顧問弁護士を自称するグリズビーの存在を懸念していました。そしてマイクは、ある殺人事件に巻き込まれていきます。 『市民ケーン』(1941年)のオーソン・ウェルズが脚本・監督をつとめた本作。彼とその当時の妻、リタ・ヘイワースがともに主演をつとめた傑作サスペンス・スリラーです。

4. 『狩人の夜』(1955年)

ある狂信者に狙われた幼い兄妹の運命は……

s_p_n_minaco
s_p_n_minaco 0

川を下る幼子たちを付け狙うオオカミ、善と悪の戦いは非常にキリスト教的であるが、善の側がより狂気を感じさせる。ミッチャムの影、岸辺に仰ぐ納屋のシルエット、空撮やオーバーラップ、川に沈んだ美しき死体や動物のメタファーに富んだ視覚表現で、陰影深い撮影がとてもとても素晴らしい。そしてリリアン・ギッシュの凄み。星空に浮かぶ冒頭は夢に出そう…。後の映画で様々引用されたLOVE&HATEの刺青が象徴する二面性は、二重唱対決へと繋がって不気味だ。ていうか劇中歌がぜんぶ怖い。輪になって閉じるエンディングや、あのリンゴも何かの暗示?って深読みさせる所がまたイヤーな後味。当時はウケなかったのも仕方ない、これぞカルトクラシックな傑作。

銀行に押し入り、2人を殺害して1万ドルを手に入れたベン。彼は娘の人形のなかに金を隠し、息子に金のありかは誰にも言ってはいけない、と口止めし、やがて警察に連行されてしまいます。刑務所でこれをかぎつけたハリーは、宣教師になりすましてベンの妻に接近。そしてふたりは結婚しますが……。 幼い兄妹を付け狙う狂信的なハリーの演技が恐ろしい本作は、現在でもカルト的な人気を誇るサスペンスの怪作です。

5. 『現金に体を張れ』(1956年)

時間軸交差の展開で魅せる。キューブリックの映画史に残る大傑作

tora
tora 4

キューブリック監督のハリウッド進出作という事で鑑賞。前々から邦題がかっこいいなあと思っていたのですが、モノクロでキューブリック監督(-。-;2つの理由で自分には敷居が高くて手に取れなかった作品でした。いざ観てみるとシンプルで分かりやすいストーリーで、ちょっと意外な感じ。ラストの演出もカッコいいし僕のような素人でもフィルムノワール作品として十分に楽しむ事が出来ました。時間軸をズラして登場人物各々の行動を説明していく展開は語り尽くされている事と思いますが、当時としては斬新で色々な後の名作に影響を与えたんだろうなあと。また他のレビューで見たのですが、時間軸をズラしてみせる事で観客へのじらしの効果もあるそうで。なるほど確かにテンポのいい展開ですが、観ていて早く結末を観たいというじれったさを感じていました。勉強になります。。マリー・ウィンザーの悪女っぷりが美しく、憎たらしく…とても印象的でした。

前科者のジョニーは、競馬場から200万ドルの現金を強奪する計画を立てます。競馬場の会計担当やバーテンダーらを仲間に取り込み、計画は見事成功。しかし次第にチームの結束は乱れ、仲間の妻の画策でアジトが襲撃されていしまいます。 フィルム・ノワールとしては珍しく、一滴の血も流さずに犯罪計画を成功させる本作。ちなみに、タイトルの「現金」の読み方は「げんなま」です。

6. 『男の争い』(1955年)

金庫破り、ギャングの抗争、まさにフィルム・ノワールの集大成といえる良作

5年ぶりに出所したトニーは、仲間と宝石の強奪計画を立てます。綿密な作戦で強奪には成功したものの、仲間の愛人から足がつき、大物ギャングから狙われることに。トニーの居場所を突き止めるため、仲間の息子を誘拐してしまいます。 フィルム・ノワールの要素をつめこんだ傑作クライム・サスペンス。第8回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しました。

7. 『めまい』(1958年)

ヒッチコック作品のなかでも傑作とされるミステリーサスペンス

southpumpkin
southpumpkin 3.5

不屈の名作、めまいをようやく視聴できました。とっても楽しかった。 色んな理由で少々複雑になった物語を、映画のエッセンスとも言える演出技巧によって、力業のような形で描いたような印象です。途中でアニメーションなんかを混ぜる辺り、今観てもかなり斬新。とてもモダンな印象がありました。終盤の女の人がぼんやりとしてるとこと、最後の放り出されたような演出が好きです。皆さんはどのシーンが好きですか? ところでウィキペディアですが、オチまで書いてあるじゃないですか・・。観る前に観ちゃ駄目ですよ笑

ある出来事がきっかけで、高いところに立つとめまいがするほどの高所恐怖症になってしまった刑事のジョン・ファーガソン。警察を辞めた彼のもとに旧友のえエルスターが訪れ、妻マデリンの素行調査依頼してきます。さっそく尾行をはじめたジョンでしたが、そんな彼の目の前でマデリンは入水自殺をはかり……。 ジョンが悪夢をみるシーンの演出やカメラワークなどの評価が高く、特に「めまいショット」と呼ばれる独特の撮影方法は有名で、のちの作品でたびたび引用されています。

お気に入りのフィルム・ノワール作品を見つけよう!

狩人の夜
THE NIGHT OF THE HUNTER © 1955 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Package Design © 2018 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

暗いトーンの犯罪映画、フィルム・ノワール。しかしその作品の多くは恐怖だけでなく、人間の根源的な欲望や残酷さも描きだしています。 モノクロで古い作品が多いのは、少しハードルが高く感じられるかもしれませんが、面白さは保証付き!ぜひこの独特な世界を覗いてみてください。