『ブレイキング・バッド』のスピンオフ作品『ベター・コール・ソウル』!
2008年から2013年に渡って放送され、大人気となったテレビシリーズ『ブレイキング・バッド』。エミー賞やゴールデングローブ賞など数々の賞を獲得し、ディズニー映画『ズートピア』でもパロディにされるなど、もはや一般常識とさえ言われています。
この作品に登場した、うさん臭い弁護士ソウル・グッドマンを主人公にしたスピンオフシリーズ『ベター・コール・ソウル』は、2015年にアメリカで放送が開始されると瞬く間に人気を獲得し、シーズン1から主演のボブ・オデンカークと助演のジョナサン・バンクスが批評家協会テレビ賞を受賞するなど、高い評価を受けました。
『ブレイキング・バッド』の6年前を舞台に、人気キャラクターたちの明かされていなかった背景が描かれ、元シリーズと同様に先の読めない展開が視聴者を惹きつけています。
この記事では、そんな『ベター・コール・ソウル』をネタバレを含めて徹底解説していきましょう。
主な登場人物をご紹介!
ジミー・マッギル(ソウル・グッドマン)/演:ボブ・オデンカーク
『ブレイキング・バッド』にソウル・グッドマンという名前で登場した弁護士。本作ではまだ本名のジミー・マッギルを名乗っています。若い頃は「滑りのジミー」と呼ばれ、当たり屋や詐欺などでお金を稼いでいましたが、あることをきっかけに弁護士になることを決意しました。
『ベター・コール・ソウル』では、国選弁護の仕事でなんとか生活しているジミーが、どんな紆余曲折を経て犯罪者を顧客とする敏腕弁護士”ソウル・グッドマン”になっていったのかが描かれます。
マイク・エルマントラウト/演:ジョナサン・バンクス
元フィラデルフィアの警察官で、本作では裁判所の駐車場管理人をしています。孫娘とその母親(亡くなった息子の妻)を常に気にかけており、彼らの生活を支えるため危険な仕事を請け負うようになります。
ソウルと同様『ブレイキング・バッド』にも登場したキャラクターで、犯罪組織のボスの元で暗殺、警護、情報収集など幅広い任務をこなしていました。マイクがそうなるまでの経緯も『ベター・コール・ソウル』で描かれていきます。
チャック・マッギル/演:マイケル・マッキーン
ジミーの兄で、ハムリン、ハムリン&マッギル法律事務所(HHM)の創始者のひとりです。エリート弁護士でありながら電磁波へのアレルギーのため隠遁生活を送っており、ジミーが買い出しなどすべての生活の世話をしています。
キム・ウェクスラー/演:レイ・シーホーン
HHMで働く弁護士で、ジミーとは友達以上恋人未満のような関係です。真面目で優秀ですが、ジミーが起こす騒動の巻き添えになってしまいます。
ハワード・ハムリン/演:パトリック・ファビアン
HHMの創始者のひとりで、キムの上司。チャックの事務所への復帰を望んでいますが、ジミーとはあまり反りが合わないようです。
トゥコ・サラマンカ/演:レイモンド・クルス
『ブレイキング・バッド』にも登場したギャングで、『ベター・コール・ソウル』に初登場した時点ですでに麻薬ビジネスを営んでいます。短気で凶暴な性格で、怒るとなにをしでかすかわかりません。
イグナチオ・”ナチョ”・バルガ/演:マイケル・マンド
トゥコの手下。ジミーにある仕事に協力するよう持ちかけたり、マイクに仕事を依頼したりと、2人の過去に深く関係している人物のようです。
【ネタバレ注意!】シーズン1のあらすじ
貧乏で無名の弁護士ジミー・マッギル。まともな仕事を得たい彼は、横領を疑われている群の会計係ケトルマンの妻に交通事故を装って恩を着せ、弁護士として契約しようと考えます。しかし、協力させた当たり屋の双子は、間違ってギャングのトゥコの祖母の車に激突してしまい、トゥコに殺されかける3人。ジミーの必死の説得の結果、双子が足の骨を折られただけで解放されました。
後日ジミーは、トゥコの手下ナチョからケトルマン宅に強盗に入る計画に誘われます。誘いを断り、ケトルマンに警告の電話をしたところ、一家は行方不明に。近所で目撃されたナチョが誘拐の容疑で逮捕されますが、ジミーは誘拐は自作自演だと見抜き、マイクのアドバイスで一家を発見。同時に横領した現金も見てしまい、ケトルマンの妻から「弁護の手付金」という名目で金を受け取ってしまいます。
スーツを新調し、HHMそっくりの広告を建てたジミー。しかし、ハワードに訴えられ広告を撤去することに。その際、広告塔から落下しそうになった作業員を助けたことが地元のニュースに取り上げられ、ジミーは一躍ヒーローになります。そのニュースが載った地元新聞を隠し、チャックにはそのいきさつを伏せていましたが、ジミーの行動を不審に思ったチャックは隣の家の新聞を盗み、警察に通報されてしまいます。
警察が家に踏み込んだときのショックで、チャックは病院に収容されました。医者は彼の症状が精神的なものだと証明し入院を勧めますが、ジミーは今まで通りチャックを世話することにします。一方、有名になったジミーのもとにはおかしな依頼が集まっていました。キムから高齢者法を専門にしてはどうかとアドバイスを受けたジミーは、さっそく老人ホームへ宣伝に行きます。
そのころマイクの家には大勢の警察官が。警官2名の殺害容疑で連行されたマイクは、弁護士として呼んだジミーに協力させ、警官のノートを盗みました。マイクはノートを読んで、亡くなった息子マティーの妻ステイシーが警察に通報したことを知り、彼女を問い詰めます。ステイシーはマティーが受け取った賄賂について警察に話したと言い、マイクはマティーが賄賂を受け取ったのは自分のせいで、密告を恐れた警官仲間に殺されたこと、息子を殺した犯人たちに報復したことを話しました。
警察署に呼ばれたジミーとマイクはノートを盗んだと責められますが、ジミーはノートは駐車場に落ちていたと言って返します。翌日ジミーは新しく借りる予定のオフィスにキムを連れて行き、一緒に独立しようと誘いますが断られてしまいました。キムはケトルマン夫妻に横領した金を返して司法取引をするよう持ちかけますが、妻がそれを拒否してジミーに弁護を依頼。ジミーは司法取引を勧めますが、そのためには全額返さなければならないため、ジミーに渡した賄賂も返してもらう必要があると言います。
ケトルマン夫妻がHHMとの契約を切ったため、キムは降格させられてしまいました。それを知ったジミーは、マイクを雇ってケトルマン宅から横領した金を盗み出させ、受け取った賄賂を加えて地方検事に届けます。翌日ケトルマンにそのことを話し、キムが提案した司法取引に応じさせました。資金がなくなったジミーは、新しい事務所をあきらめます。
サンドパイパー・クロッシング老人ホームにいる依頼人を訪ねたジミーは、そこでホームが老人たちに過剰請求をしているのではないかと疑います。翌日、サンドパイパーから依頼人への訪問を拒否されたジミーは、夜中にゴミ箱からシュレッダーにかけられた書類を盗み、復元しようとしますが途中で寝てしまいました。ジミーが目を覚ますとチャックが書類を復元してくれており、搾取が証明されます。
チャックの家でサンドパイパーの弁護団と会うジミーとチャック。集団訴訟を起こすと揺さぶりをかけ、勝算があると確信します。翌日、ジミーは書類を持ってチャックの元を訪れますが、そのまま寝入ってしまいました。チャックは車に積んである書類を取りに行き、目覚めたジミーと外に出られたことに驚きよろこびます。
一方マイクは孫娘に子犬を買い与えた後、獣医に紹介してもらった仕事に向かいます。待ち合わせ場所には他に2人の屈強な男がいました。依頼主が仕事は麻薬取引の用心棒であることを説明すると、1人の男がマイクを外し、自分たちの取り分を多くしろと要求します。マイクはその男を殴り倒し、それを見たもう1人の男は逃げてしまったため、1人で仕事を請け負うことに。取引の現場に現れたのはナチョでした。
裁判所でサンドパイパーへ接近の権利を勝ち取ったジミー。家に膨大な資料が届けられたチャックは、HHMの協力が必要だとジミーを説得。ジミーは電磁波を通さないように裏張りをしたスーツをチャックに着せ、一緒にHHMを訪れました。ハワードは案件を引き受けることは了承しますが、ジミーには報酬を受け取り案件から手を引くように言います。この提案にジミーは怒り、取引を断ってしまいます。
HHMを訪れる前にチャックがハワードに根回しをしたことを直感したジミーは、チャックを問い詰めました。チャックはハワードにジミーを案件から締め出すこと、以前ジミーが司法試験に合格した際にもHHMでは雇わないよう要求したことを白状し、ジミーは本物の弁護士ではないと罵倒します。怒ったジミーはチャックに「1人で生きろ」と言い放ち、家をあとにしました。
ジミーはハワードと取引をし、手数料を受け取ってチャックの世話を頼みます。悲しみにくれるジミーは生まれ故郷のシセロに戻り、馴染みのバーで昔の詐欺仲間で親友のマルコに再開します。2週間ほど2人で詐欺を働いていましたが、ある日アルバカーキに戻る決意をしたジミーに、マルコは最後にもう一度仕事をしようと誘います。ところがその仕事の最中にマルコは心臓発作で亡くなってしまいました。
マルコの葬儀中、ジミーにキムから電話がかかってきます。サンタフェの大手法律事務所デイヴィス&メイン(D&M)が集団訴訟に加わることになり、ジミーをパートナー候補として雇うと言います。ジミーはアルバカーキに戻り、駐車場でマイクになぜケトルマンの金を返してしまったのかと問いかけます。そのときのような良心は二度と持たないと宣言したジミーは、D&Mには会わず、最後にマルコが口ずさんでいた『スモーク・オン・ザ・ウォーター』を歌いながら車を走らせました。
【ネタバレ注意!】シーズン2のあらすじ
D&Mからの申し出を断ったジミーは、宿泊者になりすましてホテルで豪遊していました。そこへキムがやってきてジミーを責めますが、ジミーは弁護士はやめるの一点張り。2人で株トレーダーを騙して酒をおごらせ、一夜を共にします。一方マイクは、麻薬取引のボディーガードをクビになります。1人で取引現場に現れた売人はナチョに住所を知られ、空き巣に入られてしまいました。売人は通報し、警察からあやしまれてしまいます。
キムに認めてもらうため、ジミーはD&Mで働くことに。マイクは駐車場で売人に出くわし、空き巣のことを知ります。盗まれたベースボールカードは自分が取り戻すと売人を説得し、ジミーに警察の彼への疑いを晴らすように依頼。ナチョを見つけたマイクは、トゥコに隠れて取引していることをバラすと脅し、ナチョは売人の車と引き換えにカードを返しました。ジミーは警察が見つけた隠し場所には依頼人の恥ずかしいビデオがあったと主張し、釈放に成功します。
サンドパイパーの入居者たちのバスに乗り込んで、集団訴訟への参加署名を集めたジミー。チャックはその方法に疑問を呈し、キムはD&Mにジミーを推薦した責任から、合法的に原告を集めるように注意します。TVCMで一気に原告を集めたジミーですが、事務所の許可を取っていなかったため上司は激怒。CMの存在を知っていたキムも降格処分にされてしまいました。時を同じくしてマイクはナチョからトゥコの殺害を依頼されます。
ジミーは自分が弁護士をやめる代わりにキムを元の地位に戻すようチャックに迫りますが、チャックは自分は無関係だと主張します。マイクはカルテルに疑われることを恐れ、トゥコを殺す代わりに自分を殴らせ警察に逮捕させます。なかなか元の仕事に戻れないキムは、偶然チャックに会い、ジミーが長年レジから金を盗んでいたことで彼らの父親の店が潰れた話を聞きます。マイクはトゥコの叔父ヘクターから、トゥコの刑期が短縮されるよう偽証すれば、5万ドル支払うと提案を受けました。
D&Mで細かい規則に縛られ、思うように動けないジミー。キムはサンドパイパーの弁護を担当している事務所からヘッドハンティングを受けます。マイクはヘクターの提案を受けることに。ジミーが付き添って地方検事のもとを訪れ、銃はトゥコのものではないと証言を変更します。ジミーは契約金を手に入れてD&Mを辞めるため、ド派手なスーツを着ておかしな行動をとり、目論見通りクビになることに成功しました。
キムはヘッドハンティングを断り、ジミーと同じビルに事務所を構え諸経費を折半する提案をします。ジミーはこの提案を受け入れ、2人でオフィスの改装を始めます。HHM時代にキムが獲得した顧客を独立した個人事務所に取られ、チャックは顧客を奪い返しますが、長時間電気にさらされたため倒れてしまいました。見舞いに来たジミーは顧客の書類を改ざん。その書類を見てチャックが書いた申請書は却下され、顧客はキムと契約し直します。
マイクはヘクターのトラックを止め金を盗みますが、期待に反して警察は動きませんでした。チャックは書類の間違いについてジミーを責めますが、キムは証拠がないと言ってジミーの味方をします。ジミーは書類を改ざんしたコピー店の店員に口止めしますが、その後チャックも同じ店を訪れ、倒れてしまいます。
入院したチャックはCTスキャンを受け、異常はなかったものの昏睡状態に陥ってしまいます。翌朝目覚めたチャックをジミーが家に連れて帰りました。一方マイクはライフルを購入してヘクターを狙いますが、ナチョが邪魔で打てずにいました。クラクションを聞いてマイクが車に戻ると、ワイパーに「Don't(やめろ)」と書かれた紙を見つけます。
ハワードからチャックが事務所をやめたと連絡を受けたジミー。話を聞くと、チャックは書類のミスを悔いてもう弁護士は引退すると言います。チャックを思いとどまらせるためジミーは書類の改ざんを白状します。チャックはその話をこっそりテープに録音していました。
シーズン3にはいよいよ”あの人”が登場!?
シーズン2のエピソードタイトルに隠された暗号
シーズン2の最終話までのエピソードタイトルが発表された際、ファンの間ではある噂がささやかれ始めました。すべてのエピソードタイトルの頭文字を並び替えると「FRING'S BACK(フリングが帰ってくる)」という意味深なメッセージになるというものです。
フリングとは『ブレイキング・バッド』に登場した冷酷な犯罪組織のボス、ガス(グスタボ)・フリングのことで、元シリーズの別の人気キャラクターがついにシーズン3に登場かと話題になりました。
後日インタビューで製作陣は、こんなに早く暗号が解かれるとは思っていなかったと、その存在を認めました。プロデューサーのヴィンス・ギリガンは、2016年4月のヴァニティフェアのインタビューで次のように語っています。
「私たちの予定では、最終話が放送された後に”誰がマイクにメモを残したんだ?”と話題になると思ったんです。それから数週間か数ヶ月後にヒントとしてこの暗号をツイートするつもりでした」
熱心なファンに暗号を気づかれてしまい、その計画は果たせなかったようです。
シーズン3はどうなる?大胆予想!
2017年4月から全米での放送が決定している『ベター・コール・ソウル』シーズン3。今後の展開はどうなるのでしょうか。
ジミーは弁護士資格を剥奪されてしまうのか?
チャックへの妨害工作を告白し、その話を録音されてしまったジミー。その内容は不法侵入や文書偽造など、発覚すれは弁護士資格を失う重大な犯罪行為です。シーズン3では、このテープの存在がジミーとチャックの関係をさらに複雑なものにしてしまうのではないでしょうか。
ジミーとキムの関係はどうなる?
シーズン2終了時点でジミーとキムは恋人同士になっています。ジミーの不法行為もいとわない性格を熟知していたキムが、同じ事務所のパートナーとしてではなく、別々の事務所を立ち上げ、経費を折半する提案をしたのは、ある意味で正解でした。しかし、ジミーのチャックへの妨害工作が立証されてしまえば、2人の関係も危うくなるかもしれません。
マイクとガスはいつ出会うのか?
ヘクターを殺そうとしたマイクに「Don't(やめろ)」というメモを残したのは、どうやらガス・フリングのようです。しかし、プロデューサーのヴィンス・ギリガンはガスの登場について次のように語っています。
「シーズン3にガスが登場すると言っても、第1話ですぐに登場するとは思わないでほしいですね。ガスはとても慎重で用心深いキャラクターです。彼は簡単に姿を現すことはしないでしょう。『ブレイキング・バッド』の主人公ウォルターも、実際に彼に対面するまでには、非常に苦労しましたよね」
『ブレイキング・バッド』でガスはマイクに信頼を置いていましたが、そうなるまでにも長い時間がかかったのかもしれません。