エンシェント・ワン、『ドクター・ストレンジ』の魔術の師の謎を紐解く!

2017年7月6日更新 6533view

日本でも2017年1月27日から公開されたマーベル・シネマティック・ユニバースの一連作『ドクター・ストレンジ』。主人公ドクター・ストレンジの魔術の師となる重要人物「エンシェント・ワン」について詳しく調べてみました。

映画『ドクター・ストレンジ』に登場!エンシェント・ワンとは何者?

2017年1月27日日本公開の『ドクター・ストレンジ』は、「アベンジャーズ」や「X-MEN」シリーズと同じマーベル・シネマティック・ユニバースに属する作品で、マーベル作品の中でも珍しい魔術を使うヒーローが登場します。

主人公ドクター・ストレンジを導き、魔術を教える師は「至高の魔術師」の称号を持つエンシェント・ワン。しかし映画版と、コミック版のキャラクター造形はかなり異なっています。

今回は映画とコミックの違いに焦点を当てて、このキャラクターの謎に迫ります!

エンシェント・ワンは実は男性だった!

コミック版『ドクター・ストレンジ』では、エンシェント・ワンは500歳を超える年齢の男性として描かれています。白髭をたくわえた坊主頭の老人です。しかし映画版では女性キャラクターに変換されていて、年齢も700歳を超えている設定。

男性キャラクターを女性に変えるということは、コミック版のファンにとっては少し違和感がありそうで大きなチャレンジになってしまいますが、本役のティルダ・スウィントンは中性的な美しさを持つ女優。今までも男性や中性的な天使の役柄もこなしてきました。映画版も中性的で強いキャラクターに仕上がっています。

なぜイギリス人女優ティルダ・スウィントンが演じることに?

しかし実はコミック版のエンシェント・ワンは男性であるだけでなく、元々はチベット生まれのチベット人という設定です。ヒマラヤ山脈の秘境の地にある村「カマー・タージ」に住んでいます。

映画『ドクター・ストレンジ』版は、ケルト人という設定に変わっています。なぜチベット人男性であるキャラクターをケルト人女性にすることになり、イギリス人女優のティルダ・スウィントンが演じることになったのでしょうか。

マーベル・スタジオの社長ケヴィン・ファイギは「BIRTH.MOVIES.DEATH.」のインタビューでこう語っています。

この作品を創り上げる時に、エンシェント・ワンというキャラクターは特定の人物というより受け継がれていくものにしたいと思ったんだ。

この魔術師は千年という時の流れを生き、この物語にたどり着くまでの間、私たちを計り知れないものから守り続けているという設定なんだ。

だから多様な「エンシェント・ワン」が存在する。この人物は500年以上生きていたし、他のエンシェント・ワンも存在していたということなんだ。エンシェント・ワンは受け継がれていくものだからこそ、私たちは興味深い方法でキャスティングすることができるようになったと思う。

しかし元々チベット人だった役柄を白人女性に演じさせることは、白人に媚びた「白人化」のキャスティングなのではないか?チベットと中国とは政治的に難しい立場にあるため、中国市場を考慮した結果のキャスティングでは?とも噂されました。

エンシェント・ワンは不老不死?暗黒次元の魔力の謎

次に「至高の魔術師」を引き継ぐべき人物が現れるまで世界を破滅の脅威から守っていくため、エンシェント・ワンは自ら禁じている闇の魔術によって数百年も生き続けています。その力は暗黒次元(ダーク・ディメンション)と呼ばれる空間にいる悪の化身「ドルマムゥ」から闇の魔力を引き出して得ていました。

闇の魔力は強大で、この魔術師は不老不死のような状態で生き続けていたのです。この力でミラー・ディメンションや現実世界でも空間を自由自在に操ることができますが、それでも完全な不老不死というわけではなく、致命傷を負えば生命の危機につながるのです。

コミック版はカオス・ディメンションの混沌の神シュマゴラスの地球への侵入を防いで、刺し違えて亡くなるというストーリー展開になっています。死の間際にドクター・ストレンジへ「至高の魔術師」の称号を引き継いで、その後も霊的な存在として現れています。

『ドクター・ストレンジ』のヴィラン、カエシリウスとの関係は?

カマー・タージでエンシェント・ワンから魔術を学んでいたカエシリウスは、秀でた弟子の一人で魔術師集団のマスターも務めていた人物。しかし闇の魔術を禁じている師に幻滅し、亡くなった妻や子どもを蘇えらせることはできないと知って、教えに背き、エンシェント・ワンに不満を持っている他の弟子を狂信者の集団「ゼロッツ」として従えるようになります。

闇の魔術に魅せられてしまったカエシリウスは、禁断の魔術書「カリオストロの書」から闇の魔術を得ることに成功します。そしてニューヨークにある聖域「サンクタム・サンクトラム」に修行中のストレンジを飛ばし、戦いを挑みます。この戦いにエンシェント・ワンも加わり、カエシリウスに致命傷を負わされて、ストレンジの緊急手術もむなしく肉体的な死を迎えるのでした。

カエシリウスはコミック版ではカール・モルドの弟子ですが、映画ではその設定は省かれているようです。映画に登場するカール・モルドはストレンジを助け導くエンシェント・ワンの弟子ですが、コミック版でのカール・モルドはモルド男爵といいトランシルバニア人貴族で、初めからドルマムゥの手先で師の命を狙っている設定になっています。

禁断の魔術書「カリオストロの書」とは?アガモットの眼とは?

カリオストロの書とは、カマー・タージにあるエンシェント・ワンの私設図書館に所蔵されている魔術書で、闇の魔力について記述されているため、多くの弟子が道を踏み外したといいます。そのためこの書物を禁書として、図書館員によって守られていました。しかもこの書はサンスクリット語で書かれています!

ところがドルマムゥとコンタクトを取りたいカエシリウスによって、禁断の儀式について書かれたページを破って持ち去られてしまいます。ゼロッツとともに儀式を行い暗黒次元から闇の魔力を得たカエシリウスは、サンクタムを破壊しドルマムゥの地球侵略に手を貸すことになるのでした。

ストレンジは修行中にエンシェント・ワンが持っている魔術道具に手を出してしまいます。その一つ「アガモットの眼」は時間を操ることができるもので、ストレンジはカエシリウスによって破られたカリオストロの書のページも復元して読んでしまったのです。修行を経たストレンジの胸にはアガモットの眼がかけられています。

コミック版のアガモットの眼は三つの眼から造られており、ドルマムゥに相対するようにあまりにも強大な力を持っていたため、白魔術のみで使用できるものとし、黒魔術を使うものには扱えず、清い心と清廉な魂を持った魔術師にしか利用できない設定になりました。

また、コミック版にはカリオストロの書は登場せず、「ヴィシャンティの書」という神々の知恵を集められた「光の書」から造られた白魔術の魔術書が登場しています。この書はエンシェント・ワンが所持し、死去する時には、至高の魔術師の後継者であるドクター・ストレンジに引き継がれたものです。

エンシェント・ワンの魔術と能力はどんなもの?

エンシェント・ワンは魔術師の中の最高位にいて、魔術師たちのリーダーです。常に多次元宇宙(マルチヴァース)からの脅威に目を向け地球を守り続けている存在。頑迷なストレンジにマルチヴァースを見せ、魔術がどんなものかを納得させようとし、ストレンジが弟子になって修行を行う時、カエシリウスとの戦いのときにもさまざまな魔術を披露しています。

使う魔術は、エルドリッチ魔術と呼ばれるオレンジの光のエネルギーで「タオ・マンダラ」を創り出すもの。またスリング・リングという指にはめる魔術道具でテレポートして異なる次元を旅することができます。アストラル(霊体)となって自分の体から離れアストラル・ディメンションへアクセスし、肉体の終わりを迎えた時にストレンジと霊体の状態で会話もしています。

魔術だけでなく格闘技のマスターでもあり、カエシリウスよりも上の力を持っていて、ゼロッツとの戦いでも圧倒的な強さを見せました。また、英語と中国語が話せるマルチリンガルでもあり、サンスクリット語で書かれた「カリオストロの書」も読むことができます。