【あらすじネタバレ】「デューン 砂の惑星」を完全解説・考察!続編に向けての復習はこれで完璧
フランク・ハーバートによる名作SF小説「デューン」シリーズが映画『メッセージ』(2017年)や『ブレードランナー 2049』(2017年)のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によって再び映画化! この記事では、『DUNE/デューン 砂の惑星』の世界観を理解するための用語やあらすじを解説し、豪華キャストについても紹介していきます。 ※この記事に映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)のネタバレが含まれている部分があります。
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』あらすじ
時は10190年。人類は宇宙に帝国を築き、各惑星や恒星を公家が統治して暮らしていました。皇帝シャッダム4世は、従兄弟である公爵レト・アトレイデスに惑星アラキスを与えます。 別名「デューン」と呼ばれるアラキスは砂に覆われた過酷な環境で、巨大生物の砂虫(サンドワーム)が生息する、宇宙で最も危険な惑星。厄介な場所である反面、高値で売れるスパイスを大量に産出する貴重な惑星でもありました。 新たにアラキスを統治することになったアトレイデス家は惑星に降り立ちます。しかし実は、それは巨大な陰謀の一部だったのです。そして「未来を視る能力」を持つレトの息子ポールは、全宇宙から命を狙われる存在になってしまいました。
「デューン 砂の惑星」が120%面白くなる5つのキーワード
人工知能反乱後の世界観
「デューン」の時代設定は西暦10190年と、かなり先の未来。原作小説ではそこに至るまでの歴史が、次のように語られています。 人工知能に多くの役割を与えた結果、人類は一時、人工知能によって奴隷化されてしまいました。しかし彼らは大反乱を起こして勝利をおさめ、機械から解放されます。その後、人類は思考作業を機械に任せないため、人工知能やコンピューターを作ることを禁止。 精神と肉体を訓練することで各々が能力を高め、人類が統治する新たな社会が繁栄しはじめているのが「デューン」の世界です。 そのため映画にも、重機や飛行機、武器といった、道具としての機械は登場しますが、コンピューターのようなものはありません。
スパイス
惑星アラキスで産出される「スパイス」は貴重なもので、宇宙各地で高値で取引されています。 高値で取引される理由はスパイスが人類の意識を拡張する役割を果たすから。コンピュータが禁止された世界で重要な、ナビゲート能力、ベネ・ゲセリットの超能力などはメランジに依存しており、全宇宙に必須の物質です。 スパイスは、惑星の地面を覆う砂に含まれており、掘削機を使ってそれを選別します。大きな重機が必要で、砂漠に生息する砂虫(サンドワーム)に襲われないように気をつけなければならない、危険な作業です。 アトレイデス家の前にアラキスを統治していたハルコンネン家は、スパイスの採取によって巨万の富を築き上げました。
帝国
「帝国」は、宇宙を支配する人類の統一政治体制です。安定した宇宙開拓のため、細かな階級区分による封建制をとっています。 帝国では皇帝をトップとし、その下にある公家が各惑星や恒星系を統治。さらに下位労働者などが、その統治のもとで暮らしています。 平民の暮らしは、統治している公家によってかなり違うようです。主人公ポールの父レト・アトレイデス公爵はその公平さとリーダーシップで、民衆から敬愛されアトレイデス家は勢力を広げつつあります。
ベネ・ゲセリット
女子修道会「べネ・ゲセリット」は、人工知能への反乱後に創設された精神肉体訓練学校です。 実は銀河系で最も強力な政治勢力で、メンバーたちは精神的な鍛錬などによって超人的な知覚力と身体能力を持っています。彼女たちは人類の未来をコントロールするために、公家との婚姻を利用。ポールの母レディ・ジェシカもべネ・ゲセリットの出身です。 修道会のトップである教母は、世界を一変させる超能力者「クイサッツ・ハデラック」を誕生させようとしています。
フレメン
アラキスの先住民族である「フレメン」は、砂漠の大地で生きるために何千年もかけて惑星を開拓し、知恵を蓄え、独特の技術を発展させてきました。 なによりも水を重要視する信仰を持つ彼らは、いつか「リサン・アル・ガイブ」という救世主が現れ、アラキスを導いてくれると信じています。
【ネタバレ】映画『DUNE/デューン 砂の惑星』の結末までのあらすじ
砂の惑星デューンへ
アトレイディス家の後継者ポール(ティモシー・シャラメ)は、夜ごと不思議な夢に悩まされていました。そんななか、父レト公爵(オスカー・アイザック)は皇帝から惑星アラキスを統治するよう任を受けます。「デューン」とも呼ばれるアラキスは、砂漠に覆われた過酷な環境の惑星。 しかし貴重なスパイスが採れることから、前統治者のハルコンネン家は巨万の富を築き上げていました。 先発隊としてアラキスに旅立ったダンカン(ジェイソン・モモア)は、先住民族フレメンから、彼らが砂漠で生き抜くために独自に開発したテクノロジーを使った品々を譲り受けます。
デューンでの生活
一方レトはフレメンの首領スティルガー(ハビエル・バルデム)と面会しますが、前統治者が彼らを抑圧していたことから、自分たちには関わるなと言われてしまいました。 その後、帝国の生態学者であるカインズ博士(シャロン・ダンカン=ブルースター)の案内で、レトやポールたちはスパイスの採掘作業を見学しに行きます。しかし掘削機がサンドワームに襲われてしまい、ポールたちも命からがら逃げ出しました。 ハルコンネンが現地に残した機材は古くて使い物にならないことがわかり、レトは怒りを隠せません。 そんななか、ポールはべネ・セゲリットの教母と面会することになります。彼に英雄になる資格があるか試すため、彼女は不思議な箱でポールに苦痛を与えますが、彼はなんとか耐え抜きました。 しかしそのとき、彼の母ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)が本来は女性にしか伝授してはならない「声」といわれる他人を操る能力をポールに習得させようとしていたことが発覚し、教母は激怒します。
ハルコネン/帝国軍の侵略
ある夜、人々が寝静まったあと、ドクター・ユエ(チャン・チェン)の裏切りでアトレイディス家をハルコンネンの軍隊が襲撃。しかも彼らは帝国の軍隊と連携していました。 民衆の支持を集め、勢力を拡大しつつあるアトレイディス家がアラキスに送られたのは、最初から罠だったのです。そしてレトはハルコンネンの軍に連れ去られてしまいました。
砂漠に追われる母子
ハルコンネンのもとに連れてこられたレトは、実は脅迫されていたドクター・ユエに託された装置で毒の息を吐き、自らの命と引き換えに何人かを殺害することができました。しかし、黒幕であるハルコンネン男爵は生き残ります。 一方アトレイディス家では、ガーニー(ジョシュ・ブローリン)が兵を率いて応戦していましたが、多勢に無勢で苦戦を強いられます。ダンカンはポールとジェシカを守るために戦い、自らは命を落としてしまいました。 アトレイデス母子はカインズ博士に救われ、フレメンの居住地を目指すことにします。帝国の生物学者である彼女は、実はフレメン出身だったのです。 2人はオーニソプター(航空機の1種)で逃げようとしますが、追跡するハルコンネンの一味に捕まってしまいます。しかし基地に連れて行かれる途中、ポールが「声」を習得し、彼らを倒すことに成功。しかしその後、彼らは砂嵐に巻き込まれ、墜落してしまいました。 そして過酷な環境のなか、フレメンの居住地を探して歩みを進めます。
フレメンとの出会い
その途中、彼らは巨大なサンドワームに襲われそうになりますが、近くにいたフレメンが特殊な装置でサンドワームを追い払ってくれました。 その一団には常日頃ポールが夢で見ていた少女、チャニ(ゼンデイヤ)も存在し、彼はついに彼女と出会います。そして母子は彼らの仲間に入れてくれるよう頼みます。 首領のスティルガーは悩みますが、どうしても受け入れられないというフレメンの1人が、ポールに決闘を申し込みます。日頃の鍛錬で剣の腕を磨いていたポールは勝利の一歩手前まで行きますが、この決闘はどちらかが死ぬまで勝敗がつかないルールでした。 これまで人を殺したことがなかったポールは苦悩しますが、最終的に勝利し、フレメンに受け入れられ、行動をともにすることになります。ポールとジェシカはアラキスの砂漠に向かって歩き出しました。
【原作ネタバレ】続編「デューン 砂の惑星 PART2」の展開を予想
今回の『DUNE/デューン 砂の惑星』は『DUNE/デューン 砂の惑星 PART2』に続く、3部作の1作目となっています。本作で過酷な運命をたどり苦境に陥ったポールは、今後どのような未来を切り拓いていくのでしょうか。 父の死によって救世主としての使命に目覚めたポール。原作では、彼はフレメンと行動をともにしはじめ、信頼関係を築きながら剣の腕に磨きをかけ、砂漠で生き残る術を習得していきます。
さらに未来を予知する能力を得たポールは、フレメンの人々から彼こそが古くから言い伝えられている預言者だと認められるように。そして彼は、フレメンの一族を率いて帝国に反乱を起こすべく、指揮を執ることになります。 一方で皇帝とハルコンネンの陣営は、権力や経済的利益、後継者争いなど、さまざまな思惑が複雑に絡み合いながら、反乱に対応していきます。 揺るぎない信頼関係で結ばれたポールとフレメンたちと、利害関係でのみつながった皇帝とハルコンネン家。2つのまったく違った軍がぶつかるとき、勝利を収めるのはどちらなのでしょうか。
『DUNE/デューン 砂の惑星』の登場人物/キャスト一覧
アトレイデス一族とその従属者たち
ポール・アトレイデス役/ティモシー・シャラメ
主人公ポール・アトレイデスは、新たな統治者として惑星アラキスにやってくるアトレイデス家の長男です。不可解な夢に苦しんでいた彼は、あるときそれが未来であることを知ります。 演じるのは、2017年に『君の名前で僕を呼んで』でアカデミー主演男優賞にノミネートされたティモシー・シャラメ。その端正な容貌も相まって、一躍人気俳優となりました。2020年には、ウディ・アレン監督の『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』でも主演を務め、グレタ・ガーウィグ監督作『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』にも4姉妹の幼馴染みであるローリー役で出演しました。 1980〜90年代を代表する美青年スターだったカイル・マクラクランが演じた役柄を、2020年代を代表する美青年スターであるティモシー・シャラメが演じるという、映画ファン歓喜のキャスティングです。
レト・アトレイデス役/オスカー・アイザック
ポールの父親で、惑星アラキスの統治者であるレト・アトレイデス公爵。家族を大切にする良き父で夫です。また民を公平に扱いリーダーシップを執る、恐れを知らぬ指導者でもあります。後継者であるポールにとって、お手本となる尊敬すべき存在です。 レトを演じるのは、グアテマラ出身のオスカー・アイザック。2013年にコーエン兄弟の『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』で主役に抜擢され、数々の映画賞を受賞。2015年から「スター・ウォーズ」シリーズの続3部作で反乱軍パイロットのポー・ダメロンを演じ、一気に知名度を上げました。
レディ・ジェシカ役/レベッカ・ファーガソン
ポールの母親レディ・ジェシカは、レト公爵の良きパートナーであり、周りに流されない強い意志を持つ女性です。ポールとともに過酷な砂の惑星で、自らの運命に立ち向かうことになります。 演じるのは、スウェーデン出身の女優レベッカ・ファーガソン。2015年に『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』でMI6の諜報員イルサを演じて以来、2018年の「フォールアウト」2021年公開予定の「ノー・タイム・トゥ・ダイ」にも同役で出演し続けています。
ダンカン・アイダホ役/ジェイソン・モモア
アトレイデス家に仕える勇敢な戦士であるダンカン・アイダホ。ポールから兄のように慕われている彼は、アトレイデス家がアラキスに移住するにあたって、先発隊として先住民族との関係構築のために動くことになります。 ダンカンを演じるジェイソン・モモアは、人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズのカール・ドロゴ役や、DCヒーローのアクアマン役でよく知られています。2019年にはApple TV+のオリジナルドラマ『See 〜暗闇の世界〜』では、メインキャストとしてババ・ヴォスを演じました。
ガーニー・ハレック役/ジョシュ・ブローリン
ガーニー・ハレックは、戦術家でありアトレイデス家の武術指南役で剣の達人。軍を率いる傍ら、ポールをアトレイデス家の後継者として訓練しています。 ガーニーを演じるのは、アメリカ出身の俳優ジョシュ・ブローリン。『ノーカントリー』(2008年)や『トゥルー・グリット』(2011年)など、コーエン兄弟監督作への出演で知られています。『デッドプール2』(2018年)のケーブル役や、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)「アベンジャーズ」シリーズのサノス役などでもおなじみです。
ドクター・ユエ役/チャン・チェン
ドクター・ユエは、アトレイデス家お抱えの医者ですが、謎の多い人物です。 ユエ役を演じるのは、台湾出身のチャン・チェン(張震)。有名な台湾の俳優・チャン・クォチュー(張国柱)の次男で、1991年にエドワード・ヤン監督の『牯嶺街少年殺人事件』でデビュー。その後は、ウォン・カーウァイやアン・リー監督作品などに出演、主に中華圏で活躍しています。
ハルコンネン一派
ウラディミール・ハルコンネン男爵役/ステラン・スカルスガルド
アトレイデス家の宿敵であり、ポールの前に立ちはだかるハルコンネン男爵。彼はアラキスの以前の統治者で、スパイスで巨万の富を築き上げました。一方で、フレメンに対して残虐な仕打ちも行ってきたようです。 そんなハルコンネン男爵を演じるのは、スウェーデンの名優ステラン・スカルスガルド。「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのビル・ターナー役や、MCUの「マイティ・ソー」および「アベンジャーズ」シリーズのエリック・セルヴィグ教授役で知られています。 2019年にはHBOのミニドラマシリーズ『チェルノブイリ』でメインキャストのボリス・シチェルビナを演じ、ゴールデングローブ賞で助演男優賞を受賞しました。
グロス・ラバン役/デイヴ・バウティスタ
ハルコンネン家に仕えるグロス・ラバンは、男爵の甥で“邪悪な”執行者です。 演じる元プロレスラーのデイヴ・バウティスタは、MCU「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのドラックス役で有名です。2020年には自身が製作も手がけたコメディ映画『マイ・スパイ』で、CIAエージェントのJJ役で主演を務めています。
惑星デューン先住民/通称フレメン
チャニ役/ゼンデイヤ
ポールの夢に繰り返し現れる謎の女性。彼女はチャニという名のフレメンの強き女性戦士です。ポールは彼女が今後、自分の人生にどう関わってくるのか知りません。 チャニを演じるゼンデイヤは、2010年のドラマシリーズ『シェキラ!』で主役のロッキー・ブルーを演じてブレイク。MCUの「スパイダーマン」シリーズには、ヒロインのミシェル・ジョーンズ(MJ)役で出演しています。
スティルガー役/ハビエル・バルデム
フレメンの族長スティルガーは、理知的な思考とフレメン独特の信仰が同居する優れたリーダーです。 スティルガーを演じるハビエル・バルデムは、コーエン兄弟監督作『ノーカントリー』アカデミー助演男優賞を獲得。2012年の『007 スカイフォール』で非道な悪役ラウル・シルヴァ、2017年の『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』で海の処刑人サラザールを演じ、強烈な印象を残しています。
リエト・カインズ役/シャロン・ダンカン=ブルースター
アラキスで暮らす生態学者のリエト・カインズ。彼女は惑星の気候やフレメンの技術に通じ、アトレイデス家が惑星に定住する手助けをすることになります。 カインズ博士を演じるシャロン・ダンカン=ブルースターは、イギリス出身の女優。2016年の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では、ティンラ・パロム元老院議員役で出演しています。
修道会ベネ・セゲリット
ガイウス・ヘレン・モヒアム役/シャーロット・ランプリング
修道会のベネ・ゲセリットの教母で、ジェシカの師であるマザー・モヒアム。彼女にはなにやら目的があるようですが、その正体は謎に包まれています。 マザー・モヒアムを演じるのは、イギリス出身の女優シャーロット・ランプリング。『地獄に堕ちた勇者ども』(1970年)や『愛の嵐』(1975年)など、イタリア映画への出演でよく知られています。2015年にはイギリス映画『さざなみ』で、初めてアカデミー主演女優賞にノミネートされました。
『DUNE/デューン 砂の惑星』の監督・脚本
監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ
リメイク版の『DUNE/デューン 砂の惑星』を手がけるドゥニ・ヴィルヌーヴは、カナダ・ケベック州生まれの映画監督です。1990年にラジオ・カナダの映画祭若者部門で優勝してキャリアをスタートし、カナダ映画の映画祭「ジニー賞」では監督賞を3度も受賞しています。 2010年の『灼熱の魂』で、アカデミー賞外国語映画賞にノミネート。代表作にヒュー・ジャックマン主演の『プリズナーズ』(2014年)やエイミー・アダムス主演の『メッセージ』(2017年)があります。 エミリー・ブラントがFBI捜査官に扮したサスペンス・アクション『ボーダーライン』(2016年)は、アカデミー賞で3部門にノミネートされ、注目を集めました。 2017年には『ブレードランナー』(1982年)の続編として手がけた『ブレードランナー2049』が公開。カルト的人気作のリメイクをすでに経験しており、リメイク版「デューン」への期待も高まっています。
監督曰くリメイク版は2部構成に
10代の頃から原作の大ファンであり映画化を夢見てきた、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。しかしその複雑さゆえに『DUNE/デューン 砂の惑星』はこれまでの監督人生の中で1番難しい作品だとか。 かねてより「(リメイク版は) 2本かそれ以上になる」とコメントしていたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。2018年にはカナダのメディア「La Presse」に改めて、2部作となることを語っていました。連作にしてまでもその世界観を表現しようとする意気込みは十分伝わってきています。 2部作となる理由として監督が挙げたのは、原作小説の世界の複雑さ。1本の作品に収めるには、ストーリー展開や数多く登場するキャラクターの関係性が“複雑すぎる”ようです。
脚本/エリック・ロス
『DUNE/デューン 砂の惑星』の脚本を手がけたのは、『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1995年)でアカデミー脚本賞を受賞した脚本家のエリック・ロス。 ほかにもスティーブン・スピルバーグ監督の『ミュンヘン』(2006年)やデヴィッド・フィンチャー監督の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2009年)、スティーブン・ダルドリー監督の『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2012年)などの脚本を手がけてきました。 また人気を博したテレビドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」シリーズでは、デヴィッド・フィンチャーとともに製作総指揮に名を連ねています。さらに2018年の『アリー/スター誕生』では、主演を務めたブラッドリー・クーパーとともに脚本を担当しました。 こうした作品群を見る限り、アクションやコメディよりも、どちらかというとドラマ映画を手がける傾向のあるエリック・ロス。新たな「デューン」も、重厚な人間ドラマに重みを感じます。
『DUNE/デューン 砂の惑星』を映画館で観るべき理由
世界初“究極のIMAX”を目撃せよ
とにかく映像、というか映画の世界への没入感がすごい。
まるで自分もその場にいるみたい!広大な砂漠の景色や、空に浮かぶ宇宙船と地上の人々の距離感、戦闘シーンの迫力、地響きまで伝わるまさに映画“体験”。そして視界いっぱいにひろがるティモシー・シャラメの顔……。
IMAXで観ないともったいない。できるだけ真ん中寄りの席がおすすめ!
今回の『DUNE/デューン 砂の惑星』は、IMAX公認デジタルカメラで撮影された作品に与えられる「Filmed in IMAX」認定を受けた最初の映画のひとつ。砂の粒までとらえた至高の映像世界が映画館で実現されるということでも注目を集めています。 元来IMAXは15/70mmフィルムを使用するため、カメラがかさばったり製作費がかさんだりする難点がありました。 このためIMAXは主要なカメラ会社と協力して「IMAX体験」を劇場の大スクリーンで実現できるデジタルカメラを認定する「Filmed in IMAX」プログラムを立ち上げました。 ARRIのカメラを使った「デューン」のほかに、ソニーのカメラで撮影された『トップガン マーヴェリック』が世界で初めて「Filmed in IMAX」の認定を受けています。
クリエイターを魅了する原作小説について解説
「デューン」シリーズは壮大なSF叙事詩
F・ハーバートのSFシリーズ
原作であるフランク・ハーバートによる『デューン 砂の惑星』は、1963年からSF雑誌『アスタウンディング』にて連載が開始され、その後、小説として発行されました。 同作は批評家から高い評価を受け、アメリカSFファンタジー作家協会が授与するネビュラ賞と、SFファンによる投票で贈られるヒューゴー賞をW受賞。現在では史上最高のSF小説とされ、「スター・ウォーズ」シリーズをはじめ、多くのSF作品に多大な影響を与えたことでも知られています。 ハーバートは「砂の惑星」以降、5作の続編を執筆しましたが、7作目の構想段階でこの世を去ります。のちに彼の息子ブライアン・ハーバートは、父の遺した7作目のあらすじとメモを発見。 SF作家のケヴィン・J・アンダーソンと協力し、『ハンターズ・オブ・デューン(原題)』(2006年)と『サンドワーム・オブ・デューン(原題)』(2007年)の2作で、シリーズのメインとなる物語はエンディングを迎えました。
【原作ネタバレ注意】「砂の惑星」以降どうなる?
1作目の主人公ポール・アトレイデスの物語は、2作目の『デューン 砂漠の救世主』(1969年)につづきます。
前作から12年後、「砂の惑星」での戦いを経た帝国でフレメンは勢力を拡大し、ポールの周囲では再び陰謀が張り巡らされていくのでした。 3作目以降はポールの子孫たちが主人公となり、アラキスは水と緑の惑星へと変化していきます。しかし英雄の子孫たちは悲劇的な運命を辿っていくことに。さらに5作目からは、外宇宙から新たな勢力がやってきます。 「デューン」シリーズはハーバートが執筆した6作品に、彼の死後、息子ブライアンが完成させた2作を加えた全8作でメインのストーリーが完結。そのほかにも、「砂の惑星」の前日譚を描く2つの3部作やスピンオフ作品もあり、その壮大な世界観に圧倒されます。
SFの世界観に大きな影響を与える
アメリカで1965年に公刊された原作小説『デューン/砂の惑星』は、革新的な設定と作り込まれた世界観で、その後のSFに大きな影響を与えたことで有名です。 特にジョージ・ルーカスは「スター・ウォーズ」の旧三部作を構想するときに、「デューン」から着想を得たことを認めています。 「スター・ウォーズ」と「デューン」の最も目立つ共通点は、主人公の成長に重要な役割を果たすタトウィーンもアラキスも砂漠の惑星であることでしょう。しかも、どちらの惑星にも砂のなかに生息する巨大生物が存在します。 「デューン」でシャイ・フルドと呼ばれる、全長400メートル以上にもなる巨大な口を持った砂虫(サンドワーム)は多数の映画やアニメに影響を与えました。 日本では『風の谷のナウシカ』の王蟲(オーム)がサンドワームに似ていると指摘するファンが多いです。
紆余曲折あり!「DUNE/デューン」の他の映像化作品
1984年のオリジナル版はデヴィッド・リンチ監督
デヴィッド・リンチ監督作『デューン/砂の惑星』で主人公ポールを演じたのは、カルト的人気を誇ったドラマ『ツイン・ピークス』(1990年)のデイル・クーパー役で知られるカイル・マクラクランです。 ポールは惑星アラキスの統治者である公爵レトの息子。「デューン」を欲しがる男爵の陰謀によりレトが自害し、ポールはデューンの原住民の地「フレーメン」に逃げ込みます。 そこで父親の無念をはらすため、デューンを取り戻そうと厳しい修行を積むことに。砂漠に生息する巨大な砂虫を操り、フレーメンで指導者となって人々を束ねていきます。 原作のSF小説シリーズ「デューン」は、宇宙帝国の争いを壮大なスケールで描いています。1984年にデヴィッド・リンチ監督によって、初めて映画化されました。 オリジナル版の本作ではアメリカのロックバンド「TOTO」が劇中音楽を担当し、イギリスの歌手スティングがハルコンネン男爵の甥フェイド・ラウサ役で出演するなど、多方面で話題に。 ところが残念なことに、膨大な制作費をかけながらも評価・興行面ともに結果を残せず、ファンや原作者にも不評でした。その理由としては、監督に最終決定権がなく、構想していた壮大なスケールでは描けなかったことだったと、後にデヴィッド・リンチの自伝で語られています。 とはいえ、彼の独特な世界観が楽しめる作品にはなっており、いまだに一部のファンからはカルト的な人気を誇っていることでも有名です。
リンチ版「DUNE」を
実は評価が高い2000年のテレビシリーズ
2000年には米ケーブルテレビ局Sci-Fiチャンネル(現・Syfy)で、3部構成のテレビシリーズ『デューン/砂の惑星』が放送されました。 ポール・アトレイデス役にアレック・ニューマン、レト公爵役にウィリアム・ハート、レディ・ジェシカ役にサスキア・リーヴスを迎えた本作は、原作をより忠実に再現していると高い評価を獲得。2001年のクリエイティブアート・エミー賞では、撮影賞と視覚効果賞を受賞しています。 全3話のテレビシリーズにすることで、265分かけて丁寧にその世界観を描いた本作は、原作ファンにも初心者にも好評で、2003年には続編『デューン/砂の惑星Ⅱ』も放送されました。
1970年代には幻のアレハンドロ・ホドロフスキー版の構想
実は「デューン」の映画化構想は、オリジナル版より前の1975年にチリ出身の監督アレハンドロ・ホドロフスキーが練っていました。しかし撮影を前に、製作中止に。 この企画には多額の予算がかかり、上映時間がなんと少なくとも12時間になるというされていたそう!この時の監督による構想と、前代未聞のトラブルは伝説として語り継がれています。 アレハンドロ・ホドロフスキーの「デューン」映画化構想と失敗を描いたドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』(2013年)は、カンヌ映画祭をはじめ各国の映画祭で大絶賛されました。 ホドロフスキーの「デューン」映画化に向けて、オーソン・ウェルズやミック・ジャガー、サルバドール・ダリ、ジャン・ジロー・メビウス、H・R・ギーガーといった豪華な製作陣とキャストが集められました。 ドキュメンタリー内では、製作が中止して未完の作品となった顛末が明らかに。 映画関係者だけでなく、映画を愛する人々や作品を観た人すべてが、彼が映画にかけていた情熱に感動しました。このドキュメンタリーをきっかけに、デヴィッド・リンチ版『デューン/砂の惑星』やリメイク版『DUNE/デューン 砂の惑星』にも改めて注目が集まっています。
ドキュメンタリー
『ホドロフスキーのDUNE』を
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』のネタバレあらすじで続編への復習はバッチリ
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ティモシー・シャラメ主演のSF大作『DUNE/デューン 砂の惑星』。国際色豊かな豪華キャストも集結した本作が、これまでの「デューン」映像化作品より抜きん出たものになるのか、大いに注目されるところですね。 『DUNE/デューン 砂の惑星』は2021年9月3日にヴェネチア国際映画祭でプレミア上映、日本では全米公開に先立ち10月15日から公開中です。