2018年9月5日更新

映像と美術が素晴らしい!ビジュアルホラー・スリラー映画20選【映画会にもオススメ!】

映画の魅力はストーリーや演技だけにとどまりません。美しい映像やおしゃれなインテリア、ファッションなどが見どころの映画もたくさんあります。今回は、ビジュアルが特に素晴らしいホラー・スリラー映画をさまざまな地域・年代から20本ご紹介します。

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ビジュアルが美しいホラー・スリラー映画をご紹介!

ホラー映画やスリラー映画は怖くて苦手という人も多いのではないでしょうか。しかし恐ろしいストーリーや出演者の鬼気迫る演技だけでなく、美しい映像やセンスのいいインテリア、かわいいファッションなどが魅力的な映画なら、少しは怖さも和らぐかもしれません。 実は、そういった魅力のある作品は数多く存在します。今回は年代や地域に限らず、ビジュアルが見どころのホラー・スリラー映画を20本ご紹介します。これまであまり怖い映画を見ていなかった人でも、楽しめる作品がきっとあるでしょう。 今回おすすめ映画で、友達と鑑賞会を開いてみるのも良いいかも。ciatr編集部の責任選出です!

1.元祖ビジュアルホラー『サスペリア』【1977】

1977年にイタリアのダリオ・アルジェント監督が製作した『サスペリア』は、恐ろしいストーリーや過激な残酷描写でイタリアン・ホラーの金字塔として知られています。 それ以上にアルジェント監督が作り上げた極彩色の美しい映像やスタイリッシュな作風は、その後のイタリアン・ホラーに大きな影響を与えました。建物の内装やインテリア、登場人物の服装だけでなく、さまざまな色の照明を使って印象的な映像を作り上げています。 2017年には、クロエ・グレース・モレッツ、ティルダ・スウィントンら豪華キャストが出演するリメイク版が公開予定です。

2.不穏な空気を生む美しさ『イノセント・ガーデン』【2013】

『プリズン・ブレイク』の主演俳優ウェントワース・ミラーが匿名で脚本を執筆した『イノセント・ガーデン』は、多くの映像作家が監督権を争った末に、韓国の鬼才パク・チャヌク監督のハリウッドデビュー作となったサスペンス映画です。 それまでの作品でも鮮烈な映像美で知られていたパク監督の作風はハリウッドでも変わらず、光を影のコントラストや鮮やかな色彩で怪しげな世界を表現しました。主人公たちが住む家の上品なインテリア、センス良くアレンジされた大量の花などの現実とは思えない美しさが、余計に不気味さを醸し出しています。

3.印象的なインテリアが満載『シャイニング』【1980】

巨匠スタンリー・キューブリックが1980年に製作した『シャイニング』は、ホラーの名作として知られています。 同監督は『2001年宇宙の旅』(1968)では未来的な、『時計仕掛けのオレンジ』(1971)では前衛アート的なインテリアでも注目を集めました。『シャイニング』で恐怖の舞台となった山間のホテルのインテリアは、当時のアメリカという設定に即しながらも、観客の印象に強く残るものになっています。 ホテルのカーペットや浴室のタイルなどの独特な模様は、登場人物の心理を反映しているとも言われますが、優れたデザインから実際のインテリアに引用されることもあります。

4.おしゃれ映画といえばこれ!『ローズマリーの赤ちゃん』【1968】

『ローズマリーの赤ちゃん』はオカルトホラー映画ではありますが、女性向けファッション誌でたびたび紹介されるほど、おしゃれ映画としては定番です。 ローズマリーを演じるミア・ファローが、自身のトレードマークとなるベリーショートを初めて披露した作品で、彼女の髪型や可憐なファッションを参考にしたい、という女性は今でも後を絶ちません。 新居の模様替えをするシーンでは、主人公たちが住む部屋のインテリアがセンス良くまとめられていく過程を見ることもできます。 それほど怖い作品でもないので、実際に真似できるファッションやインテリアを見つけたいという人は必見の映画と言えるでしょう。

5.独特の映像美に酔いしれる『キャリー』【1976】

ホラーの大家、スティーヴン・キングの同名小説を原作にしたオカルトホラー映画『キャリー』は、映画史に残るおぞましいエンディングが有名な作品です。 しかしビジュアル面に目を向けてみると、鬼才として知られるブライアン・デ・パルマ監督らしく鮮やかな色彩や印象的な光に彩られた、独特の美しさがあります。特に終盤のプロムパーティーのシーンでは、背景、照明、血しぶきやキャリーのドレスなど、さまざまな色が美しく組み合わされています。 また、同監督の特徴であるスローモーションや画面分割、風景や人物が回転するなど、映画だからこそできる陶酔感のある映像も見どころです。

6.変化のない舞台を彩るファッション『裏窓』【1954】

サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックによる『裏窓』は、ほぼ全編にわたって同じ場所でストーリーが展開する緊張感あふれる名作です。 アパートの一室という限定された舞台に彩りを添えるのは、ヒロインのファッションです。グレース・ケリー演じるファッション誌の編集者リザは、ファッションに並々ならぬこだわりを持つキャラクターで、オートクチュールの服しか着ず、しかも同じ服は2度と着ません。 高級な服とアクセサリーや髪型を上品にコーディネートしたファッションは、見るだけでも楽しいですが、パーティーシーンのドレスアップの参考にもなりますね。

7.美しい映像があぶり出す人間関係の闇『軽蔑』【1963】

ヌーヴェルヴァーグの旗手であるジャン=リュック・ゴダールは、鮮烈な色彩表現でも知られる映画監督です。 『軽蔑』では、ナポリ湾に浮かぶカプリ島を舞台に、平穏だった夫婦の崩壊が語られます。強烈に照りつける日射しの中で、島の風景や原色のインテリア、ヒロインのファッションが目を引く、すべてが美しい映画です。しかし、そこで描かれる人間関係は暗く残酷なもので、ある種のサスペンスと言えるでしょう。 また、ヒロインを演じるブリジット・バルドーは今もファッションアイコンとして多くの女性に支持される存在で、そのファッションセンスも抜群です。

8.かわいらしくて気持ち悪い『オテサーネク 妄想の子供』【2001】

チェコの民話をもとにしたこの作品は、子供に恵まれなかった夫婦が代わりに切り株をかわいがるうちに、切り株に命が宿るという不思議な映画です。 おかしな登場人物たちの不気味な物語ですが、やわらかい色使いが際立つファンタジー映画のような映像には、東欧らしいかわいらしさがあります。 『オテサーネク』の監督ヤン・シュヴァンクマイエルは、チェコの映画監督でアニメーション作家としても知られています。その独特な世界観から生み出される作品は、スタイリッシュですが悪趣味でもあるので、あまり万人向けとは言えないかもしれません。

9.芸術的な狂気『ルナシー』【2005】

先にご紹介したシュヴァンクマイエル監督が『オテサーネク』の次に製作した長編映画が『ルナシー』です。エドガー・アラン・ポーの2つの短編小説とマルキ・ド・サドの思想に着想を得た、哲学的なホラー作品となっています。 主人公は、自分をマルキ・ド・サドだと思い込んだ男に巻き込まれ、彼の入院する精神病院の秘密を知ります。 かなりグロテスクな作品ですが、チェコアニメの異端児でもあるシュヴァンクマイエルによって時折挟まれるストップモーションアニメや、精神病院でのアートセラピーのシーンの美しさなどは、ビジュアル面でも楽しめるでしょう。

10.計算されたカメラワーク『殺しのドレス』【1980】

『キャリー』から4年後にブライアン・デ・パルマ監督が発表した『殺しのドレス』は、エロティックな映像美とショッキングな描写が秀逸な作品です。 デ・パルマ版『サイコ』とも言われるこの作には、オリジナル版へのオマージュが散りばめられていますが、それでも独自の魅力を持っているのは、監督の美意識から生み出されるスタイリッシュな映像のおかげでしょう。 舐めまわすようなねちっこい独特なカメラワークと長回し、計算されたショットは、のちに「デ・パルマ・カット」と呼ばれるほどオリジナルなものです。『殺しのドレス』では、その映像美を堪能することができます。

11.恐ろしさを包み込むゴシック美『永遠のこどもたち』【2007】

カンヌ国際映画祭などで上映され世界中で絶賛された『永遠のこどもたち』は、スペインのJ・A・バヨナの監督デビューとなったスピリチュアルホラー映画です。 海辺の孤児院を舞台とした恐ろしくミステリアスな物語は、暗く怪しいゴシック調の建物や衣装、スペインの明るい日射しを浴びた絵画のような風景に彩られ、製作総指揮を務めたギレルモ・デル・トロのダークファンタジー『パンズ・ラビリンス』(2006)を思わせる美しさがあります。 素直で無邪気だからこそ残酷な子供の恐ろしさを描いた作品でもありますが、怖いだけでは終わらない点も魅力です。

12.鮮やかな色彩で得体の知れない恐怖を描く『イット・フォローズ』【2014】

『イット・フォローズ』は、近年稀に見る本当に怖い映画として辛口批評サイトRotten Tomatoesでも高支持率を獲得しつづけた作品です。 「それ」と呼ばれるなにかが、感染した人間を時間も場所も選ばずゆっくりと追いかけてきて、捕まれば必ず死ぬというシンプルなストーリー。そしてその恐怖を伝える映像の美しさもまた、話題となりました。 デジタル撮影ならではのはっきりした色彩の映像は、光のコントラストも鮮やかで、意外なほどホラー映画とマッチしています。荒廃したデトロイトは恐怖の舞台にぴったりとはまり、廃墟の寂しい美しさも目を引きます。

13.おしゃれな女性の忌まわしい秘密『キャット・ピープル』【1942】

古典ホラーの名作『キャット・ピープル』は、自分はセルビアの猫族の末裔で、性的に興奮すると豹に変身し男性を殺してしまうと信じている女性の苦悩を描いた、変身ホラーの原点です。 1920年代から多く作られたモノクロのホラー映画のなかでも名作として知られる本作は、1982年には『タクシー・ドライバー』(1976)などのポール・シュレイダー監督によってリメイクもされました。 主人公のイレーヌはファッションデザイナーという設定もあり、ドレスからスーツまで上品に着こなしています。70年以上前の作品ですが、まったく古臭く感じないおしゃれに注目してみてください。

14.美への執着が少女を狂わせる『ネオン・デーモン』【2016】

『ドライヴ』(2011)の大ヒットでも知られるニコラス・ウィエンディング・レフン監督は、グッチやH&Mなどファッション・ブランドの映像も手掛けてきました。そんな監督がモデルという存在を通して女性の美に対する執着を描くサイコホラーが『ネオン・デーモン』です。 モデルを目指してLAに上京した16歳のジェシーは、順調にキャリアを積んでいきますが、周りのモデルたちからは嫉妬され、自身も異常なほどの野心に駆り立てられていきます。 業界を知り尽くした監督が描く本作は、ファッションからメイク、インテリア、背景や照明に至るまですべてがスタイリッシュで、原色に彩られたモードな雰囲気の映像は必見です。

15.名作を美しくリメイク『ノスフェラトゥ』【1979年】

1922年のドイツ映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』をリメイクした『ノスフェラトゥ』は、元の作品と同様にブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』(1893)が原作です。 モノクロのサイレント映画だったオリジナル版に敬意を払いつつ、リメイクの強みを活かした本作の特徴はとくにその映像美だと言えるでしょう。どことなく不気味なトランシルバニアの風景、荒廃したドラキュラ城、夜のブレーメンの街はぼんやりと青みを帯びて見えます。 また、吸血鬼であるノスフェラトゥの白塗りのメイクも、美しいヒロインと対照的におぞましさを表現しています。

16.美しさにぞっとする『ぼくのエリ 200歳の少女』【2008】

吸血鬼と人間の恋をテーマにしたホラー映画は数多くありますが、『ぼくのエリ 200歳の少女』は切ない初恋を描いた作品です。 スウェーデンのストックホルム郊外で、長い間12歳だという少女エリに出会ったいじめられっ子のオスカー。居場所のないふたりは惹かれ合い、オスカーはエリの秘密を知ります。 北欧の薄暗い景色のなかで、主人公の透き通るような肌が映える映像は、繊細なストーリーにふさわしいだけでなく、ぞっとするほどの美しさです。また、雪に覆われたほとんどモノクロのような風景に印象的に配置される赤は、鮮やかに恐ろしい真実を暗示します。

17.こだわりが詰まったゴシックホラー『クリムゾン・ピーク』【2015】

『クリムゾン・ピーク』は、ロマンス要素の強いホラー映画です。 ギレルモ・デル・トロ監督は、2006年の『パンズ・ラビリンス』をはじめダークファンタジーを得意としており、本作は満を持してのゴシックホラー作品となりました。 主人公たちが住むクリムゾン・ピークの屋敷は6ヶ月かけて作り上げた大規模なセットで、細部までこだわりが詰め込まれています。格式があり細かな装飾が施された邸宅は、美しさのなかにも閉塞感を感じさせます。 また、キャラクターの性格を表現するのに大きな役割を担っている衣装の、美しく完璧なデザインにも注目してみてください。

18.極彩色の悪夢『ファントム・オブ・パラダイス』【1974】

この記事でもすでに2作品ご紹介したブライアン・デ・パルマ監督の『ファントム・オブ・パラダイス』は、一部のファンの間でカルト的な人気を誇るロックンロール・ミュージカルです。 コントラストの強い極彩色の映像とキッチュで混沌とした美術が、古典ホラーの数々を下敷きにした哀しい物語を彩ります。劇場の赤い壁やきらびやかなステージとは対象的に、主人公が隠れ住む部屋は暗いトーンで統一されるなど、デ・パルマ監督が得意とする色彩表現を、過剰なほど堪能させてくれる作品となっています。 また、主人公がつけている銀色の仮面の凝った造形も、1度見たら忘れられないでしょう。

19.赤が浮かび上がらせる哀しい恐怖『インプリント 〜ぼっけえ、きょうてえ〜』【2006】

『インプリント 〜ぼっけえ、きょうてえ〜』は、アメリカのケーブルテレビ局SHOW TIMEが世界のホラー映画監督を集めて製作した『マスター・オブ・ホラー』シリーズのうちのひとつで、三池崇史監督初のアメリカ資本での映画製作となった作品です。 残酷すぎて映像化不可能と言われていた岩井志麻子の短編小説『ぼっけえ、きょうてえ』(2000)を原作とした本作は、明治時代の遊郭で女郎が客に語る物語という特異な設定となっています。 赤を多用した力強い照明や美術と、これまでの日本映画にはなかった斬新かつ妖艶な女郎姿がおぞましい物語を美しく浮かび上がらせます。

20.華麗な映像が描くサスペンス『お嬢さん』【2016】

2017年3月に日本でも公開されたパク・チャヌク監督の『お嬢さん』は、1930年代の日本統治下にあった韓国で、令嬢・秀子が持つ莫大な財産を巡って男女が騙し合うエロティック・サスペンスです。 まず、秀子が暮らす美しい和洋折衷の館が目を引きます。秀子の部屋はイギリス風のインテリアですが、そのなかに日本人形などの和のテイストが配置され、絶妙な雰囲気を醸し出しています。衣装やアクセサリーを含む秀子のはっとするような美貌も、物語の緊張感を保つのに一役買っていると言えるでしょう。 パク監督が得意とする暗い照明のなかで鮮やかに浮き上がるような色彩も健在です。