ヤッピーって知ってる?アメリカの文化的背景を知ってさらに映画を楽しもう!

2017年7月14日更新

エンターテイメントとしてだけではなく、社会風刺の意味も持つ映画。そのなかには、文化的背景を知っておくことでさらに深く読み取れ、楽しめる作品が多くあります。今回は、アメリカ映画によく登場する”ヤッピー”について解説していきます。

映画の文化的背景を知ろう!”ヤッピー”について解説

映画には、エンターテイメントとしてだけでなく、社会風刺や思想を含んでいる作品もたくさんありますね。 そういった作品を見るときに、製作された国の伝統や習慣、一般常識などを知らないと意味がよくわからない場合もあるのではないでしょうか。 文化的な背景を知ることで、今まで以上に映画を深く楽しむことができます。 今回は、そのなかでもアメリカでよく知られ、映画にも登場することが多い”ヤッピー”という用語について解説していきます。 ヤッピーの定義やイメージ、さらにヤッピーのキャラクターが登場する作品などをご紹介しましょう。

そもそも”ヤッピー”ってなに?

ヤッピーとは"Young Urban Professional"の頭文字をとった略語で、1980年代から使われ始めました。言葉そのものとしては「都会に住む専門職の若者」という意味です。 具体的には、主に20代後半から30代後半の名門大学または大学院を卒業した高学歴で高収入の人物を指します。金融関係などのエリートサラリーマンや医者、弁護士などが当てはまります。 最も重要なのは彼らのライフスタイルで、ブランド物の服に身を包み、高級マンションにやはり高級な家具をそろえて暮らし、予約が困難な人気のレストランで食事をすることを好む点などが特徴です。 また、ルックスへのこだわりも強く、男性でもダイエットやスキンケアに余念がありません。

アメリカ映画におけるヤッピーの描かれ方・見られ方

ヤッピーを扱った映画の傾向は年代によってかなり違います。 1980年代前半には、あまり学歴のない人物が貧乏生活から抜け出すため、ヤッピーを目指すコメディ映画が多く作られました。 そういった作品では、最初からヤッピーであるキャラクターはとにかく嫌味な人物として描かれ、最後には痛い目を見る確率が高いです。 しかし当時、ヤッピーのような豊かな生活を送ることはアメリカン・ドリームのひとつで、貧乏だったキャラクターが成り上がっていくサクセス・ストーリーは人気でした。 また、冷酷な性格だったヤッピーがエキセントリックな女性と恋に落ち、人間性を取り戻すというパターンのラブコメも多く作られています。

1980年代後半に入ると、ヤッピーが好意的に描かれることはそれまで以上に少なくなっていきます。 彼らは尊大で、他人を見下し、物質主義・拝金主義に支配された人々というイメージがさらに強くなりました。 他人には自分が金持ちであることをひけらかし、贅沢な生活で自己満足に浸るキャラクターが多くなります。 ヤッピー同士の付き合いも表面的で、友情と呼べるものはほとんど存在しません。彼らはお互いがどれほど裕福か、どれほど見た目やセンスがいいかで値踏みし合うのです。 1990年代以降は、そんなヤッピーの生活がいかに空虚なものかを皮肉る作品が増えました。 それでは、さまざまなヤッピーの姿が描かれた作品を3つご紹介しましょう。

1.上り詰めるために払う代償は?『ウォール街』(1987)

『ウォール街』のあらすじ

ニューヨークの証券会社に勤めるバド・フォックス(チャーリー・シーン)は、出世願望の強い青年。 必死の営業の結果、憧れの投資銀行家ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)との取引をとりつけることに成功します。 父親(マーティン・シーン)の勤める航空会社の内部情報を漏らしたバドは、その後もゲッコーから他の企業の情報を要求され、スパイ活動などの違法行為に手を染めていきました。 ゲッコーに気に入られ親子のような関係になるにつれ、バドも裕福な生活をするようになりましたが、ある日ゲッコーが自分を裏切る計画を立てていることを知ってしまいます。

ヤッピーに成り上がっていく主人公が失うもの

『ウォール街』の主人公であるバドは、典型的なヤッピーではありません。州立大学卒で、ローンや税金に苦しみ、貧乏生活からの脱出を夢見て冷酷で強欲なゲッコーに近づきました。 しかしバドはゲッコーとともに大金を稼ぐうち、ヤッピー的な生活に染まっていきます。 バドは服装や髪型をエリート風に変え、高級マンションを買って自称インテリア・コーディネーターの恋人に金に糸目をつけずに改装させたり、同僚に横柄な態度をとったりするようになりました。 『ウォール街』ではヤッピーとして上り詰め、財産を得るために人間性を失っていく主人公が描かれています。

2.物質主義からの解放を渇望する『ファイト・クラブ』(1999)

『ファイト・クラブ』のあらすじ

自動車会社でリコール調査を担当する主人公(エドワード・ノートン)は、ある日出張中の飛行機の中でタイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)という男と出会います。 その後自宅の爆発事故で全てを失った主人公は、タイラーに助けを求めます。バーで飲んだあと、ふたりは本気で殴り合い、その痛みに生きている実感を見出すようになりました。 彼らが頻繁にバーの近くで殴り合いを繰り返すうち、見物人が集まり、ケンカに参加するようになります。 それはいつしか、男たちが1対1で殴り合う「ファイト・クラブ」という秘密クラブになっていきました。

消費社会に生きるヤッピーへの重圧

『ファイト・クラブ』の主人公は、学歴は不明ですが収入はかなりあるようで、分譲マンションに住み、高級ブランドの服や北欧の家具をそろえるなど、ヤッピーらしい生活を送っています。 しかしそれらの買い物は彼にとって楽しいものではなく、買わなければならないという強迫観念にとらわれてのことでした。 金銭的に恵まれていても退屈な生活を送る主人公は、物質的な豊かさを求めることで自分の人生が豊かだと思い込もうとしていたのです。 『ファイト・クラブ』では、潜在意識でそういった消費社会の重圧に耐えられず、精神的に崩壊していくヤッピーの姿が描かれました。

3.狂っているのは自分か社会か『アメリカン・サイコ』(2000)

『アメリカン・サイコ』のあらすじ

パトリック・ベイトマン(クリスチャン・ベール)は、ニューヨークの投資銀行に副社長として勤めるエリートサラリーマンです。 学歴はもちろん、住まいや身だしなみも完璧な彼は、同僚たちと高級レストランで食事を楽しむなど、人生を謳歌していました。 しかし彼の夜の顔は、ホームレスや娼婦などを狙う連続殺人鬼。ベイトマンは、抑えられない殺人の衝動に身をまかせていました。 ある日彼は、自分以上に完璧な同僚ポール・アレンを嫉妬心から殺害したことで、探偵に嗅ぎ回られるようになってしまいます。

コミュニティーに順応しようと自分を失ってしまうヤッピー

『アメリカン・サイコ』の主人公ベイトマンは、ハーバード大学を卒業後ハーバード・ビジネス・スクールで修士課程を修め、父親が経営する投資銀行に勤める典型的なヤッピーです。 同じような経歴をもち、同じような社会的地位にある同僚たちとはうわべだけの付き合いで、友情というものは一切ありません。 リッチな彼らはライフスタイルから見た目まで似通っているため誰が誰だかわからず、お互いの名前すら頻繁に間違えるありさまです。 ベイトマンは、エリートたちのコミュニティーに順応しようとするあまり、アイデンティティを失ってしまう人物として描かれています。

文化的背景を知ればもっと映画が楽しめる!

いかがでしたか?ヤッピーはアメリカ映画に頻繁に登場する存在なので、この記事が今後映画を鑑賞するときの参考になれば幸いです。 さまざまなジャンルの映画を見るとき、予備知識があるのとないのとでは感想も大きく変わってくるのではないでしょうか。 単純に楽しめる作品もたくさんありますが、映画のメッセージやテーマを深く読み取るのにはそういった知識が必要な場合もあるでしょう。 難しく考える必要はなく、文化的背景をおさえてさまざまな作品を楽しむことができるようになると、今まで以上に楽しい映画ライフを満喫することができることうけあいです。