安野モヨコとは
安野モヨコは、1971年東京生まれの女性漫画家。1989年に「別冊少女フレンドDXジュリエット」で漫画家デビューした後、『ヘルタースケルター』などで知られる岡崎京子のアシスタントを経て、1995年に「FEEL YOUNG」で『ハッピー・マニア』の連載をスタートします。 自立したカッコイイ女性や、華やかでセンスの良い女性が登場する漫画は、ファッション雑誌を読むようなワクワク感が魅力で、若い女性からミドル世代までの圧倒的支持を得ています。また『ハッピー・マニア』や『さくらん』など、多くの作品が映像化されています。 少女漫画でデビューしてから、おとな女性向けの恋愛や仕事をテーマにしたマンガ、お色気路線の青年向け恋愛マンガ、そして『監督不行届』のようなコミカルなエッセイまで、さまざまなジャンルの雑誌に連載を持ち、広い世代に受け入れられています。 映画 アニメ ドラマなど、安野モヨコ作品を原作にしたヒット作は数知れません。 そんな安野モヨコの漫画の中でも特におすすめの作品をご紹介します。
映画化で蜷川実花とコラボした花魁の物語『さくらん』
2001年から青年誌「イブニング」で不定期連載された『さくらん』は、江戸の吉原にある遊女屋「玉菊屋」を舞台に、主人公・きよ葉が花魁になるまでを描いた物語です。 遊女が身に付ける着物の柄までも丁寧に描きこまれた画力の美しさや、騙し合いの世界でホンモノの愛を追い求める花魁の生々しい人生ドラマが、女性読者を虜にしました。 2007年には蜷川実花監督により映画化され、その美しい映像が話題になりました。
初の児童向け作品・魔女ファンタジー『シュガシュガルーン』
『ハッピー・マニア』『花とみつばち』など大人向けの作品が定着していた安野モヨコは、2003年に『シュガシュガルーン』で初めて児童向け作品にチャレンジします。 2007年まで「なかよし」に連載されたキュートな魔女の物語は、雑誌のターゲット層である少女はもちろん、可愛いものに憧れる大人女性までをも魅了しました。 2005年にアニメ化されるほか、ゲームボーイ、PlayStation2やニンテンドーDSでゲームソフト化されるなど、メディアミックス展開される人気作品となりました。
夫・庵野秀明との生活エッセイ『監督不行届』
2003年に結婚した安野モヨコが、夫で映画監督の庵野秀明との日常を描いたエッセイ漫画『監督不行届』。雑誌「FEEL YOUNG」で連載され、2014年にはアニメ化もされました。 『新世紀エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』の監督で知られる夫の庵野秀明。監督の筋金入りのオタクっぷりに呆れながら、感化されて自身もオタクになっていくコミカルでゆるい日常が描かれています。 アニメ界と漫画界のビッグカップルの日常は、コミカルながら愛情に満ち溢れていて、お互いを尊重しあう夫婦の飾らない日常生活が、女性読者たちに支持されました。
伝説の漫画『ハッピーマニア』
1995年「FEEL YOUNG」で連載された『ハッピー・マニア』は、安野モヨコの出世作ともいえる作品です。自分にだけ彼氏がいないことに危機感を感じ、幸せを求めて暴走するアラサー主人公・シゲタカヨコを描いたラブコメディ。周りを散々振り回しながら、自分のやりたいように猪突猛進していくシゲカヨの姿に、励まされる女性が続出しました。頑張りたい女子のバイブルとも言える作品です。 1998年にフジテレビ系でドラマ化もされていて、稲森いずみ、藤原紀香、諸星和己、阿部寛などが出演しています。 また2017年7月からは、16年ぶりに『ハッピー・マニア』の続編が「FEEL YOUNG」で連載開始されています。幾多の困難を乗り越え結婚したシゲタとタカハシのその後が描かれています。
働く女子必見!お仕事マンガの名作『働きマン』
『働きマン』は2004年に青年誌「モーニング」で連載開始され、菅野美穂主演でドラマ化もされています。週刊誌の女性編集者・松方弘子の働きっぷりや、周りの編集者の仕事観などを描いたお仕事マンガです。 2008年に体調不良のため休載してから長い時間が経っており、2017年7月現在、未完のまま。安野モヨコ自身が「再開は難しい」とコメントしてることから、続編の予定は今のところ望み薄と言われています。 連載にあたり「気力・体力が必要だった」とも語られている本作は、仕事に対する情熱に溢れる松方弘子のたくましさを描いていて、まさに働く女子のバイブルとも言える作品です。寝るのも食事するのも惜しいくらいに編集の仕事に没頭する松方や、一見やる気がないように見えるけど実は頼れる編集長など、魅力的なキャラクターがたくさん登場し、働く女性たちを勇気づけました。
これからに期待!?実写化されそうな安野モヨコのマンガ
数々の作品が実写化されている安野モヨコの漫画。次に実写化されるとしたらどの作品でしょうか。 最有力なのは、2000年~2003年まで「週間ヤングマガジン」で連載されていた『花とみつばち』。モテない地味な男子高校生・小松が、悪戦苦闘しながらも、いろんな女子と親しくなっていく学園ラブコメです。 ダサくて全くモテそうにないオジサン小橋さんが実はすごいモテテクを持っているモテ男だったり、「女の人は花なんです」というような心に残る名言が登場したり……。「モテテクニックが学べる」「恋愛あるあるがたくさん」と、当時もとても話題の作品でした。 『モテキ』『ボーイズ・オン・ザ・ラン』のように実写化されてもおかしくない作品です。
まとめ
ラブコメ、お色気、時代マンガ、お仕事マンガに日常エッセイまで……。ジャンルや媒体を超えて活躍し、幅広い層にファンを持つ安野モヨコ。 体調不良から復帰後、2013年の『鼻下長紳士回顧録』で活動を本格的に再開し、2017年には16年ぶりの『ハッピー・マニア』続編を連載スタートしました。次はどんな作品を発表していくのでしょうか。今後の安野モヨコの活躍にも目が離せません。