2020年2月10日更新

『トイ・ストーリー2』の遊び心と秘密のトリビアが楽しい

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知れば『トイ・ストーリー2』がより楽しめること間違いなし

1995年に公開された1作目の『トイ・ストーリー』のヒットを受けて、4年後の1999年にアメリカで公開されたディズニー&ピクサー製作の映画『トイ・ストーリー2』。 日本では翌年の2000年に公開され、興行収入は4億8千万ドル、日本円にして約500億円を超える快挙を成し遂げた世界的長編CGアニメーションです。 当初2作目はビデオソフト専用作品として制作されていましたが、あまりの出来の良さに劇場公開が決定し、結果的に前作を超える興行収入を叩き出す事に成功しました。同年のゴールデングローブ賞の作品賞も受賞しています。 ディズニー&ピクサー作品の中でも1、2を争う大人気シリーズである『トイ・ストーリー』。 この記事では、第2作『トイ・ストーリー2』に散りばめられた制作陣の遊び心や、知られざるトリビアを紹介していきます。 ※本記事には、「トイ・ストーリー」シリーズに関するネタバレ情報を含んでいます。観鑑賞の方はご注意ください!

「トイ・ストーリー」シリーズを総復習したい方はこちら

『トイ・ストーリー2』のあらすじ

おもちゃのウッディは、変わらずアンディと共に楽しく暮らしていました。しかしおもちゃコレクターのアルに盗まれてしまい、家に帰れなくなってしまいます。バズたちはウッディを助け出そうと家を飛び出しました。 一方でウッディは、アルの家で「ラウンドアップ」の仲間たちである、ジェシーやプロスペクターと出会い意気投合します。 日本の博物館に行き永久保存してもらうという意見に賛同し、アンディの家へ帰らないことを選ぶウッディ。バズたちの前には闇の帝王・ザーグも登場し、おもちゃたちはどうなってしまうのでしょうか。

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『トイ・ストーリー2』の魅力を解説【ネタバレ注意】

『トイ・ストーリー2』で新たに登場したジェシーは、以降のシリーズにも登場する人気キャラクターとなりました。 そしてジェシーとウッディは、本作のテーマにもなっている、アイデンティティの喪失と獲得を経験します。 彼女は元々エミリーという女の子のお気に入りのおもちゃでしたが、エミリーが大人になるにつれて遊ばれなくなり、忘れ去られてしまった過去があったのです。 遊ばれることのないジェシーやプロスペクター「ラウンドアップ」の仲間たちは、主役のウッディがいれば、博物館に展示されることができます。しかし反対に、ウッディがいなければ日の目を見ることはありません。 自身がプレミアのついたおもちゃだということを自覚したウッディは、ジェシーやプロスペクターの言う通りに、一度は博物館で展示される道を選択しました。 しかしバズたちの説得を受けて、アンディの元へ帰ることを決意します。いつか終わりが来るとわかっていながら、アンディに遊んでもらうことに自身のアイデンティティを見出したのです。 一度は見失ってしまったものの、再びアイデンティティを取り戻したウッディ。ジェシーもウッディのように、博物館に飾られるのではなく、遊んでもらうことを選んだのでした。

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『トイ・ストーリー2』のトリビア:制作秘話編

公開前に『トイ・ストーリー2』の全データが消えていた!?

『トイ・ストーリー2』は公開前、制作中の段階で本作のデータがほとんど消えてしまっていたという噂が流れ、後に元ピクサー技術責任者のオレン・ジェイコブがこれを認めています。 全編CGアニメーションの本作のデータが、スタッフのミスによって消去されてしまったのです。目の前で次々とファイルが消えていき、電源を切って止めようとしたものの叶わず結果として90%ものデータが失われてしまったのだそうです。 その後どうにかバックアップから復元しますが、それは消失から2カ月前の状態でしかもデータは不完全。ここで奇跡的にスタッフのひとりが自宅のPCにデータを保存していたことが判明し復元に成功します。 そこで約3万ものデータをスタッフ総出でひとつひとつ比較することとなったのです。作業は3日間かけて行われ、その甲斐あってデータのほとんどは復旧できたと言います。 しかしビデオ専用作品から劇場公開作品に昇格したこともあり、クオリティ不足で制作し直すこととなってしまいました。結局後にはバックアップの修復よりも大変な作業が待っていたのです。

『トイ・ストーリー2』のトリビア:キャラクター編

プロスペクターは11年前から『トイ・ストーリー3』公開を予言!?

続編の『トイ・ストーリー3』が公開されたのは、本作公開の11年後である2010年。第3作の制作開始が発表されたのは2006年なので、第2作公開時にはもちろん続編が制作されるという話は出ていませんでした。 しかしプロスペクターは第2作のエンディングで、バービー人形に対し“『トイ・ストーリー3』に出してあげる”と発言しています。もちろん第3作の公開など決まっていなかったので、ピクサー側の軽いジョークのつもりでしょうが、続編公開を心待ちにしていたのはファンだけではなかったということでしょう。 ちなみに当の本人であるプロスペクターは、第3作には一切出演していません。

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ザーグはバズの父親だった?!『スター・ウォーズ』っぽい演出が面白い!

これは気づいた方も多いと思いますが、アルのおもちゃ屋で登場するザーグは「スター・ウォーズ」のダース・ベイダーがモデルです。 オープニングには宇宙のシーンが使われ、バズに向かって「俺がお前の父親だ」という台詞も存在することからこれは明らかでしょう。2012年にスターウォーズの制作会社ルーカスフィルムがディズニーの傘下となりましたが、それよりもはるか前からディズニー側がラブコールを送っていたのですね。 そのほかにも随所に『2001年宇宙の旅』や『ジュラシック・パーク』、『ゴジラ』を彷彿とさせるシーンがあり、パロディとして使用されています。

リトルグリーンメンは日本のおかげで出番が増えた?!

『トイ・ストーリー』公開終了後、日本で大人気となったエイリアンのキャラクター、リトル・グリーン・メン。しかし本場アメリカでは日本ほどの人気は得られておらず、当初『トイ・ストーリー2』ではほとんど出演する予定はありませんでした。 しかし前年に公開された『バグズ・ライフ』のプロモーションで来日したピクサーのスタッフが、日本でこのキャラが大人気になっていることを知り、『トイ・ストーリー2』での出演を増やしたといいます。 ピクサーのスタッフが日本での評判を気にかけていなければ、リトル・グリーン・メンは現在ほどメジャーなキャラクターにはなっていなかったでしょう。

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『トイ・ストーリー2』のトリビア:ピクサーお馴染みのイースターエッグ編

ピクサーお馴染みルクソーボール

ジョン・ラセターの初監督作品で現在ピクサーの象徴ともされている、電気スタンドが主人公の物語『ルクソーJr.』。この『ルクソーJr.』に登場する青のラインと赤い星が特徴の黄色いボールが、ルクソーボールといいます。 バズたちがウッディを探しにアルのおもちゃ屋に入っていくシーンで、このルクソーボールが入り口付近に転がっていました。 ピクサーにとってこのボールはとても思い入れの深いもので、『トイ・ストーリー』だけでなくピクサーの全ての作品に登場しています。分かりやすいものもあれば注意深く隅々まで見ていないと分からないものもありますが、探してみると面白いでしょう。

「A113」「コード546」の意味とは?

ピクサー作品の定番になっている「A113」が『トイ・ストー リー2』にも登場しています。 「A113」とは、ジョン・ラセターやブラッド・バードが通っていたカリフォルニア芸術大学の教室番号で、全ピクサー作品に登場しているピクサーのお遊びの中で最も有名な暗号です。 その「A113」が、アンディの母親が運転する車のナンバープレートと、物語終盤の空港のシーンで流れる“LassetAir Flight A113”というアナウンスに使用されています。 ちなみにバズが偽バズに言う「コード546」というセリフがありますが、これは脚本家を務めるアンドリュー・スタントンが住む家の市外局番からきているそう。ピクサー作品にはこういった何気ない数字にも遊び心が組み込まれているのです。

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ピザプラネットの車もピクサーではお馴染み

『トイ・ストーリー2』では大活躍しているピザ・プラネットのデリバリー車。ウッディを救出するため、バズたちが空港に向かう際に使われた車がピザ・プラネットの車でした。 元々アンディの家族がよく利用するピザ屋として『トイ・ストーリー』から生まれたピザ・プラネットですが、この車が今では多くのピクサー映画に登場しています。「またピザか」というバズの発言は、観客の言葉を代弁しているようにも聞こえますね。

『トイ・ストーリー2』のトリビア:その他編

アルの店やアンディの部屋には『バグズ・ライフ』がたくさん

『トイ・ストーリー2』と『バグズ・ ライフ』は公開日が近かったためか、さまざまなコラボが実現しています。例えばアンディの部屋には『バグズ・ライフ』のカレンダーが飾られており、ミセス・ポテトヘッドが同作の本を読んでいるのはご存知ですか? さらに、アルのおもちゃ屋には『バグズ・ライフ』の抽象画やディムやハイムリックのおもちゃがあるなど、いたるところに遊び心が散りばめられているのです。 そのほかにも同作で見覚えのある首輪やチャイニーズボックスなども登場していますので、ぜひ隅々まで探してみてください。

アンディの部屋にスーパーファミコンが

ストーリー序盤とラストで登場する、アンディの部屋でレックスとハムが遊んでいるゲーム機は、日本のゲーム会社・任天堂から発売された欧米輸出版の「スーパーファミコン」です。 欧米輸出版は1991年に「SNES(SuperNintendoEntertainmentSystem)」の名で、北米やヨーロッパで発売されました。日本版 、北米版、ヨーロッパ版の形状や配色は少しずつ異なりますが、基本的なスペックは同じものとなります。当時から日本のゲーム機が海外でも楽しまれていたのがわかりますね。

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『トイ・ストーリー』の原点となった『ティン・トイ』が登場している

ハムがウッディの情報を掴もうと超高速でチャンネルを回している際、テレビに映っているのは『ティン・トイ』や『ニックナック』『ルクソーJr.』『レッズ・ドリーム』など、ピクサーが過去に発表した短編作品です。 特に『ティン・トイ』は『トイ・ストーリー』の原点ともなった作品で、1988年のアカデミー賞短編アニメ部門を受賞した作品でもあります。当時人気のあった『ティン・トイ』はクリスマスVer.として30分の特別番組が制作される予定でしたが、ディズニー側が映画の制作を要請したことで『トイ・ストーリー』が制作されるきっかけとなりました。 ちなみに上記4作品はすべて、本作「トイ・ストーリー」シリーズの監督を務めるジョン・ラセターの監督作品です。 ジョン・ラセターは『となりのトトロ』や『カリオストロの城』を観て宮崎駿の大ファンとなったといい、その後のジブリとピクサーの交流の橋渡しをした人物でもあります。

『トイ・ストーリー2』には楽しむ要素が満載

新たな仲間や悪役が登場し、1作目以上の大ヒットとなった『トイ・ストーリー2』。おもちゃたちのアイデンティティの喪失と回復が描かれるなど、楽しさだけではない奥深さを生み出しました。 さらにトリビアが多く盛り込まれていることで、何度も楽しめる作品になっています。