2023年3月17日更新

【ネタバレあり】『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』VR、人工知能の暴走の物語を徹底解説!

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コナン

1994年に少年サンデーにて連載がスタートし、アニメだけでなく映画、さらには実写ドラマまで製作されるなどの人気シリーズ「名探偵コナン」。 数々製作された映画の中でも6作目に当たる『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』は、2002年に公開され、シリーズ初の興行収入30億円を達成しました。 本作は、主人公・江戸川コナンと仲間達が仮想世界と現実世界の両面に存在する謎を解き明かしていくというストーリーで、話題の「VR」や「人工知能」など、2002年に公開されたとは思えない面白いテーマを扱い、ファンからも「コナン史上最高傑作」と評されるほど、支持も厚い作品です。 本記事では、そんな『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』のあらすじ、登場人物から後のヒット作「SAO」との関連性まで徹底的に紹介!後半部では重要キャラクター・諸星に関する重大なネタバレも含んでおりますのでご注意ください。

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コナンたちが19世紀ロンドンに!「ベイカー街の亡霊」のあらすじ

主人公、江戸川コナンと友人達は、コナンこと工藤新一の父である工藤優作がシナリオを作成した仮想現実を体感出来るゲーム「コクーン」の完成披露パーティーに招待されました。 パーティーの最中に起きた殺人事件の鍵がコクーンの中にあると考えたコナン達はゲーム内に乗り込みますが、システムを掌握する人工知脳であるノアズ・アークによって閉じ込められてしまいます。ノアズ・アークは「日本のリセット」を目論んでおり、コナンたちと一緒に閉じ込められた50人の子供達が全員ゲームオーバーになればプレイヤーの全員の脳を破壊すると宣言! 事態の解決のため、ゲーム内ではコナン達が殺人鬼ジャック・ザ・リッパーと対決し、現実では工藤優作が犯人捜しの推理を進めます。 果たしてコナンと工藤優作はそれぞれの事件を解決に導くことができるのでしょうかーー?

『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』のメイン登場人物と声優を紹介!

江戸川コナン/工藤新一(cv:高山みなみ)

高校生探偵である工藤新一が「黒の組織」に目を付けられてしまい、開発中の劇薬を飲まされてしまった結果、小学生ぐらいの身体になってしまいました。とは言え、記憶や頭の回転はそのままなので、「見た目は子供、頭脳は大人、その名は名探偵コナン」というキャッチフレーズのとおり、数々の事件を解決に導きます。 今作でも、その類まれない頭脳で犯人を追い詰めていきます。

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灰原哀(cv:林原めぐみ)

「黒の組織」の科学者で新一の身体を小さくした劇薬の開発者。自らも命を狙われる立場になってしまったことから、劇薬を服用し、小学生の身体となり、新一の保護者である阿笠博士と一緒に暮らすことになっています。 新一のようにわざと子供ぶったりはせず、小学生にはあり得ないようなクールな言動で過ごす灰原ですが、今作では少し違った一面を見せています。

コナンの父・工藤優作や、本作のオリジナルキャラ・諸星も活躍!

工藤優作(cv:田中秀幸)

新一の父親で職業は主に推理小説家。その才能は幅広く、映画の脚本や、多ジャンル作品の執筆など多岐に渡ります。今作ではその才能から引き受けた、ゲームのシナリオ作成が元で事件に巻き込まれることに。 頭脳明晰で高い運動能力も備えており、今作では現実世界での推理劇を一手に引き受けています。

諸星秀樹(cv:緒方恵美)

今作では、コナン達と一緒に政財界の要人の子供たち多数が、「コクーン」の中に閉じ込められてしまいます。その中で重要な役割を果たすのが、警視副総監の孫である諸星秀樹。 わがままな秀樹は、「コクーン」の中でトラブルの種をいくつか作ってしまいます。一方で、終盤では、皆に迷惑をかけたことを反省し、ジャック・ザ・リッパーとの対決ではサポート役として重要な役割を果たします。

意外な繋がり!?大ヒットシリーズ「SAO」との共通点とは

「コクーン」と同じような体感型ゲームの世界をメインとした人気作品、通称「SAO」こと『ソードアート・オンライン』。現実世界にいながら、その意識や感覚をそのままゲームの世界のものとすることが出来る点や、敵によってゲーム世界に閉じ込められてしまう点など、ストーリーの展開は異なるものの、共通点がいくつかあります。 この2作品ですが、『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』が公開されたのは2002年、「SAO」シリーズの最初の作品は2001年から2002年の間に執筆されています。完全に期間が被っているため、どちらかがどちらかをパクったとは一概には言えなさそうです。 またファンからの間では、「ホームズが活躍した19世紀のロンドンというテーマで物語を描くための設定だったのではないか」とも考えられています。 2017年頃からはVR(仮想現実)ゲーム機が一般的になる流れが始まっており、夢に見るだけだった、仮想現実での体験型ゲームが現実味を帯びてきた中で、こういった展開の物語はあまりにも早い時代の先取りだったのではないでしょうか。

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『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』を支える豪華制作陣

監督:シリーズの立て役者・こだま兼嗣

『キャッツ・アイ』や『シティーハンター』の監督を務めたこだま兼嗣がテレビ・映画含めて放送開始から6年間もの間、監督を務めていました。推理や新一と蘭とのもどかしい距離感など、『名探偵コナン』の魅力の全てを丁寧に映像化し、長く続くことになるシリーズの骨格を作りあげました。 こだま監督が監督を務めてきた劇場版の中でも、初めて犯人が最初から視聴者に提示される形式の作品となっており、その点については好意的な評価が多いようです。

脚本:先見性を持った実力者・野沢尚

『眠れる森』・『坂の上の雲』といったドラマ作品をメインで手掛ける脚本家である野沢が唯一携わったアニメ作品が『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』でした。公開された2002年の時点で近未来的なモチーフである仮想現実体感ゲームを取り扱い、魅力的な作品へと昇華させたのは野沢の実力の高さをうかがわせます。

作曲家:欠かせない音楽家・大野克夫

ザ・スパイダースの一員であった大野ですが、解散後は作曲家としての活動を続けていました。 沢田研二や石川さゆりや、『名探偵コナン』へ楽曲を提供しており、その活躍は幅広いものとなっています。漫画作品である『名探偵コナン』を映像化するにあたって欠かすことの出来ない音楽という部分で、シリーズを強く、長く、支え続けている存在です。

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気になる『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』の評価、感想は?

辛すぎる……仲間たちの犠牲

現実ではストーリー上の重要な展開でなければあり得ない、と言える仲間たちの死ですが、今作では「コクーン」の中でのジャック・ザ・リッパーとの対決で、仲間たちが次々に犠牲になっていきます。 普段の「コナン」シリーズではあり得ない展開に視聴者は衝撃を受けるのですが、こんな簡単に死ねるだろうか、という疑問を抱く視聴者も少なくはないようで、それを理由に好きではない、という評価もあるようです。

それでも歴代最高の出来!?

2002年に公開された作品でありながら根強いファンは多く、2018年現在までの劇場版の中で1番の作品、という感想も少なくありません。 仮想世界を舞台としたことから、他の作品と異なった展開を可能としたことや、「シャーロック・ホームズ」の舞台となった19世紀のロンドンでコナンが活躍することにより、ホームズやモリアーティ教授とのやり取りが生まれたことなどがその一因となっていることは疑いありません。

危機的状況の中で生まれた珠玉の名言

お助けキャラがいないなら私たちにとってのホームズはあなた

「コクーン」に閉じ込められた少年たちは、事態を解決出来る力を持っているのはコナンだけ、と判断し、コナンを守って次々と犠牲(ゲームオーバー)になっていきます。 コナンと同じように、実は小学生でなく大人である灰原哀もその1人で、「お助けキャラがいないなら私たちにとってのホームズはあなた」と言い残してゲームオーバーになっています。 普段から新一達とは少し距離を置き、冷めたような言動が多い灰原哀がこんな言葉を言い残していったことは視聴者、特に原作ファンにとってはかなりインパクトのある出来事だったのではないでしょうか。

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物語は終わらない……!「諸星秀樹」の哀しき正体とは【ネタバレ注意】

本作の中でコナンたちと行動を共にするキャラクター・諸星秀樹。ゲーム内の彼は、実はゲームを支配する「ヒロキ・サワダ」に制作されたヒロキの人工知能によってコントロールされており、本当の秀樹ではなかったのです。 コナンは、彼の正体を、サッカー少年であるにも関わらずサッカーボールに見向きをしないことや時計の謎にいち早く気づいた所から見抜くのです。 10歳にして人工知能を作ってしまえる程の天才的な頭脳の持ち主であるヒロキは、シンドラーによってその生活の全てを大人たちの監視下におかれたことにより、人類に絶望してしまっていたのでした。 彼は、頭脳こそずば抜けていましたが、本当はみなと同じように遊びたかった。彼が最期をコナン達と過ごして終えられたのは救いなのかもしれません。

『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』は永久の名作だ!

シリーズ屈指の緻密なストーリーで彩られた本作品。ネタバレを知った後も、何度も見ることで最初は気づかなかった伏線を知ることが出来るかもしれません。 謎の渦巻く仮想世界にもう一度浸ってみてはどうですか?