2018年5月28日更新

キルモンガー、『ブラックパンサー』に登場したマーベル最高のヴィランを紹介【ネタバレ】

©Walt Disney Studios Motion Pictures

悪役。ヒーローとは違いスポットライトが当たりにくい存在に光を当てます。ciatrのライターや編集部が激選した7人の悪役達をGWの1週間の間連載していこうと思います。

『ブラックパンサー』のキルモンガーは、マーベル史上最高の「悪役」?

2018年3月に公開され、世界中でメガヒットを記録したマーベル映画『ブラックパンサー』。 黒人を主人公にしたヒーロー映画、物語の舞台となる架空の王国「ワカンダ」のビジュアルの独創性、トランプ政権を反映した時代性……、などなど。本作をヒットに導いた要因は多々ありますが、本作のヴィランである「キルモンガー」の人気も、本作をヒットに導いた一因であると言えるでしょう。 時に、「マーベル・シネマティック・ユニバース史上最高のヴィラン」とも評されるキルモンガー。しかし、劇中の活躍を見るに、彼をただの「ヴィラン」と呼ぶのには抵抗があるのです。 そこで、この記事では改めて彼の魅力を掘り下げていきたいと思います。多分にネタバレを含みますのでご注意ください。

キルモンガーの経歴は?名前の意味とは?

キルモンガーの経歴、そしてその正体とは?

『ブラック・パンサー』 キルモンガー
©Walt Disney Studios Motion Pictures

「キルモンガー」とは、「死の商人」を意味する異名です。彼の正式名称はエリック・“キルモンガー”・スティーヴンス。アメリカの特殊工作員として活動した過去を持ち、劇中ではワカンダの王位を狙い、武力・知力を用いて主人公・ブラックパンサーことティ・チャラに戦いを挑み、事実上、一度は勝利を手中に収めます。 そんな彼には、実はもう一つの名前があります。その名前とは、「ウンジャダカ」。実は彼は、先代ワカンダ国王の弟と、アメリカ人との間のハーフであり、ティ・チャラとは従兄弟にあたる人物なのです。

キルモンガーは何故テロリストになってしまったのか?

ティ・チャラと激しい戦いを繰り広げるキルモンガーですが、彼は何故王位に固執するのでしょうか? そこには、ティ・チャラとキルモンガーの親世代の因縁が深く関わってきます。 ティ・チャラの父とキルモンガーの父は、とある理由から激しく対立し、最終的にキルモンガーの父はティ・チャラの父によって殺されてしまうのです。 幼くして父を奪われたキルモンガーは、そこからティ・チャラら王族を憎み、復讐を志すようになるのです。しかし、実はもう一つ、彼には戦う理由がありました。 ワカンダというルーツを持ちながら、アメリカで生まれ育った彼は、幼少期から父にワカンダの様々な素晴らしいエピソードを聞かされていました。彼は、自分のルーツであるワカンダを一目見てみたかったのです。 故郷への慕情と、王族への復讐心が募ったことに加え、ワカンダという一見理想的にも見える国家の持つ負の側面を知ったことで、彼は劇中でテロリストとして凶行に走るのです。

キルモンガーの遺志はブラックパンサーに受け継がれる

こうしたキルモンガーの背景描写は、劇中では主人公・ティ・チャラと同等かそれ以上の尺を持って丁寧に描かれています。それが非常に効果的に機能している為、観客の多くは彼を「単なるテロリスト」、あるいは「ヒーローを引き立てるためのやられ役」とは見ないでしょう。(ただし、結果的にその手段があまりに強引だったことは非難されてしかるべき点だとは思います。) 結果的にブラックパンサーによって粛清されてしまうキルモンガーですが、彼の思いは形を変えてブラックパンサーに受け継がれます。彼の遺志を継いだブラックパンサーならびに、キルモンガーのラストシーンは涙無くして見れない名場面。ぜひ、ご自身の目で確かめて下さい。

『ブラックパンサー』における、事実上のもう一人の主役

先述の通り、ブラックパンサーにおいて、キルモンガーの背景は主人公と同等かそれ以上の尺を持って描かれると共に、様々な場面で彼らは対比されています。こうした描写の仕方は、例えば『あしたのジョー』などに代表される、ボクシングなどを題材にした作品にも多く見受けらる特徴です。 また、本作の主題歌「All The Stars」の歌詞の一部にも、キルモンガーの孤独や憂鬱を彷彿とさせるような一説があり、映画『ブラックパンサー』における彼は、ヴィランというよりももう一人の主人公、あるいはライバルと称するのが適切な印象を持ちます。 このように、劇中でキルモンガーがあまり悪役然としていないこともあってか、キルモンガーと行動を共にするユリシーズ・クロウのヴィランとしての魅力が際立っているのも印象的です。

キルモンガーの中にある正義と葛藤

キルモンガーを悪役としてカテゴライズするなら、「テロリスト」と言えるでしょう。 彼には思想があり、そこには納得感のある理由もあります。 こうした観点から見ると、彼の行動原理もまた正義と言えるのです(日本人的には、西郷隆盛や坂本龍馬なども既存の政権を打倒した英雄たちをイメージするとわかりやすいかもしれません)。 ですがキルモンガーは、例えば「X-MEN」シリーズの名脇役、マグニートーのように達観しきってもいません。味方の死を見れば表情を歪め、行動の節々にも迷いや葛藤、憤りを伺わせる場面が時折見受けられます。 そうして人間臭さを感じさせるのも、彼の魅力の一つと言えるでしょう。

俳優マイケル・B・ジョーダンの熱演に嗚咽、クリードとの共通点も

マイケル・B・ジョーダン (ゼータ)
©︎Brian To/WENN.com

そんなキルモンガーを演じるのはマイケル・B・ジョーダン。 『ブラックパンサー』を手掛けたライアン・クーグラー監督の『クリード チャンプを継ぐ男』『フルートベール駅で』といったこれまでの作品にも出演している俳優です。 マイケル・B・ジョーダンは劇中で、キルモンガーが持つ知性、暴力性、哀愁、狂気等々を見事に演じきっており、その演技は賞賛されてしかるべきものだと思います。 また、キルモンガーには、『クリード チャンプを継ぐ男』で彼が演じたアドニス・ジョンソンとの共通点も多く見られます(父を失っている点、父がかつて過ごした世界への憧れなど)。 もし『ブラックパンサー』で彼のファンになり、『クリード チャンプを継ぐ男』を未見の方がいれば、ぜひ鑑賞することをオススメします(「ロッキー」シリーズを見た方が楽しめますが、最悪、見てなくても楽しめます)。

『ブラックパンサー』におけるキルモンガーの唯一の欠点とは?

このように、多くの魅力を内包しているキルモンガーですが、唯一の欠点があります。 それは、「次回作でこれ以上の悪役を作れるのか?」という点です。 例えば、『ダークナイト』におけるジョーカーがあまりに魅力的だった為に、続編にあたる『ダークナイト ライジング』のヴィランたちは、若干印象が薄くなってしまいました(トム・ハーディ演じるベイン、アン・ハサウェイ演じるキャットウーマンなど、キャラクター的にも俳優的にも申し分なかったにも関わらず)。 既に続編が決定したと噂される『ブラックパンサー』ですが、次作のヴィランがキルモンガーを超えられるかは大きな課題となるのは間違い無いでしょう。このように、シリーズに大きな課題を残したのが、キルモンガー唯一の欠点と言えます。

『ブラックパンサー』キルモンガ―の次のヴィランはどうなるのか?

国王として、「革命家」キルモンガーを打倒したブラックパンサー。 次回作では一体どんなヴィランと戦うのでしょうか? 現時点では次回作のストーリーについては全く明かされていませんが、コミックでは、ヒロイン・ナキアと敵対するという展開もあるようです。 ただし、映画版のストーリーはコミックとはまた違う展開となることも十分考えられます。 さらなる続報が発表されるまでは、存分に1作目を楽しみましょう!