2018年6月8日更新

『シン・ゴジラ』ファンにオススメ!『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』【平成ガメラ三部作を観る③】

1999年に公開された平成ガメラシリーズの完結編は、さまざまな意味で前二作とは異なる奥深いメッセージを発信しています。物語の鍵を握るのは、ガメラを憎む少女。最強の敵「イリス」の妖しすぎる存在感にも要注目です。

ガメラは守護神か、それとも害獣か?究極の謎に迫る!

まるで悲劇的なオペラのように艶やかで残酷な戦闘シーンや、狂気すら感じさせるヒロインのガメラに対する憎悪など、平成ガメラ三部作の完結編『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』は、それまでの二作とはまったく違った視点で、観客を驚かせてくれました。 ガメラは果たして守護神なのか?それとも破壊神か?冒頭からつきつけられる謎。そして、圧倒的に重厚な余韻を残して迎える終幕。ラストシーンに描かれているのは、人類滅亡の予兆?それともガメラが勝利する希望?観客の受け取り方次第で、さまざまな印象が大きく変わります。 それはまさに、怪獣映画の金字塔と呼ぶにふさわしい一作。壮大なスケール感と物語の奥深さを、じっくり堪能してください。

進化したギャオス軍団と新種の「イリス」に、ガメラが孤高の戦いを挑む

時は世紀末、世界各地で怪鳥ギャオスの存在が確認されはじめる中、日本では巨大怪獣ガメラの戦いが大きな社会問題化。東京・渋谷の対ギャオス・ハイパー戦でも、ガメラは容赦なく街を破壊し、多くの犠牲者を出してしまいます。 ガメラの戦いに巻き込まれて肉親を失った少女、比良坂綾奈(前田愛)は、ガメラに対する憎悪を抱き続けていました。そんなある日、住んでいる村の祠の奥深くに封印されていた奇妙な生き物と出会い、心を通わせる始めます。「イリス」と名付けられた生物に、彼女はガメラへの憎しみの気持ちをぶつけます。 やがて、鳥類学者の長峰真弓(中山忍)や、浮浪者生活から立ち直った大迫力(螢雪次朗)らの調査によって、ギャオスの大量発生とイリスの出現が、人類の破滅に結びつくものであることが明らかに。そんな中、成長したイリスとガメラの激闘がついに始まり、日本政府は自衛隊によるガメラに対する攻撃を決行します。イリスに取り込まれた少女の運命、そして地球規模の異変に襲われつつある人類の運命は果たして……。

帰ってきた中山忍!螢雪次朗の「落ち目」ぶりにも拍手!!

第1作でギャオスの危険性にいち早く気づき、警察や自衛隊に協力した鳥類学者の真弓が、再び重要なキーウーマンとして帰ってきました。演じているのはもちろん、引き続き中山忍。凛々しく可憐な存在感もまったく変わりません。 あくまで前向きな真弓とは対照的に、背負った過去に飲み込まれていく少女、綾奈を静かな狂気の中で演じきったのが前田愛。1983年生まれということで、撮影当時はまだ10代半ば。初々しさの中に凛とした意思の力を感じさせるあたりは、平成ガメラシリーズのヒロインに共通する「強さ」を備えた女性のひとりと言えそうです。 女性と言えば、三部作すべてに登場する草薙浅黄こと藤谷文子が一気に大人っぽくなっているのは驚き。もっともさらにその変貌ぶりに驚かされたのは、螢雪次朗が演じる大迫力です。まさか路上生活者とは……。それでもギャオスとの因縁は、断ち切ることができなかったようです。

「被害者」の悲惨さと悲劇をリアルに伝えた、金子修介監督

前二作ではギャオスやレギオンに襲われた人々の死に様は直接映さず、暗喩的に表現されていました。実はこの頃、金子監督は「できる限り犠牲者を出したくなかった」のだそう。しかし完結編では、ギャオスの残骸に押し潰されたり、ガメラの火球に飲み込まれて消滅する「犠牲者」が多数。ガメラの非情さ不条理さを印象づけるために、あえてショッキングな映像を作り上げたようです。 ちなみに金子監督は後に、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総進撃』(2001年)の監督も務めています。特撮担当はやはり平成ガメラシリーズの高い完成度を支えた樋口真嗣。文字どおり、平成を代表する怪獣映画制作の黄金タッグと言えるでしょう。 第1作の爆風スランプ、第2作のウルフルズと、ロックバンドが続いた主題歌ですが、完結編では一転、スケールの大きなバラードでラストを締めています。歌っているのはユリアーナ・シャノー。歌手としてはすでに活動していないようですが、透明感のある美声と作品のテーマにマッチした歌詞が印象的でした。

満月の光を浴びて飛翔するイリス。美しい3DCGに興奮

立ち向かう相手が強ければ強いほど、ガメラの活躍が盛り上がるのは当然のこと。本作で登場するイリスはただ強いだけでなく冷酷で妖しい美しさをまとった「邪神」と呼ぶにふさわしいプロポーションの持ち主です。 特に、着ぐるみ中心で絵嗅がれていた平成ガメラシリーズにあって、完成度の高いフルCGの魅力を強くアピールしていたのが、夜の空を飛翔するシーン。満月をバックに羽ばたく姿は、秘められた残虐性すらも美しく映えて見えるのでした。 その神々しさは、狡猾で獰猛な猛禽類のたたずまいをさらに進化させた「ギャオス・ハイパー」の、生々しさとはまさに対照的。黙示録の体現者にふさわしい、オーラが満ち溢れています。

仲間由紀恵、上川隆也、生瀬勝久などメジャー級の端役が続々

仲間由紀恵が「女性キャンパー」という「役名」で登場するなど、端役レベルのキャスティングがとんでもなく豪華なところも、見逃せない『ガメラ3邪神<イリス>覚醒』のみどころ。二十代になったばかりの仲間は、十分色っぽいところはさすが!なのに登場から数分後にはミイラになってしまうなんて。TRICKファンにはとってそうとう微妙です。 セリフはあるけどやはり一介の自衛隊員でしかない上川隆也とか、髪の毛が多い生瀬勝久とか、今となってはメジャー級の贅沢な俳優ラインナップが揃っています。 特撮ファンにササるのは、やはり田口トモロヲでしょうか。第二作では地下鉄の運転手役でレギオンに眼鏡のレンズと命を奪われてしまう痛い役柄。完結編では今一つ冴えないドクター役ですが、強く印象に残る演技を見せています。さすが『鉄男』(1989年)。

超スタイリッシュな『GAMERA』公開。新作に期待大!

2006年に『小さき勇者たち〜ガメラ〜』が公開されましたが、興行的には振るわず続編はなし。改めてガメラの新作情報が話題になったのは、「生誕50周年」を祝って2015年の「ニューヨーク・コミコン」で公開されたショートフィルムでした。 監督は、CMディレクターであり『鮫肌男と桃尻女』のようにスタイリッシュかつ個性的な作品を得意とする石井克人です。 ガメラもギャオスもフル3DCGで「特撮新時代」をアピール。監督が大好きだという『グエムル −漢江の怪物−』を彷彿とさせる、憎々しいまでの残虐性と恐怖感を表現した映像は、新作への期待値を一気に盛り上げてくれました。ギャオスに頭からかじられてしまう、宮藤官九郎の「名演技」も見ものです。 残念ながらその後、続報は届いていません。もっとも、ハリウッドでは『パシフィック・リム』や『GODZILLA』の続編のように、KAIJUブームが盛り上がっている様子。もしかすると!と、期待してもいいのではないのでしょうか。