2018年6月18日更新

【連載】カルト(少数の熱烈な信奉)を産む映画たち⑧『道化死てるぜ!』【日曜更新】

グロとスプラッタ要素満載ながら、どこかコミカルで笑えてしまう異色のホラー『道化死てるぜ!』。有名映画祭の一つシッチェス映画祭でも高く評価された本作について、あらすじから出演者までネタバレありで紹介します。

「カルト(少数の熱烈な信奉)を産む映画たち」とは?

「カルト(少数の熱烈な信奉)を産む映画たち」とは、有名ではないかもしれないけれど、一部の人には熱烈に愛される映画を紹介していく週刊連載です。

ホラーなのに怖くない!?アイルランド映画『道化死てるぜ!』

一度死んだはずのピエロが墓場から蘇り、少年たちを殺しまくる…そんな背筋が凍りそうなホラー映画!と思いきや『道化死てるぜ!』はどこか違います。残虐なシーンの連続なのにもかかわらず、どこか可笑しくて笑ってしまうホラーコメディ作品なのです! アイルランド初、新感覚!?笑えるホラー映画についてネタバレありでご紹介します。

『道化死てるぜ!』あらすじ

リチャード・グリンドルことピエロのスティッチズは、ワンパターンで退屈なピエロ。リチャード自身もピエロとしての仕事にうんざりしていました。 その日もリチャードはトミーという少年の誕生パーティーに呼ばれ、お決まりのつまらない芸を披露します。しかしそんな投げやりなピエロに子供達が魅了されるわけもなく、ピエロにいたずらを仕掛けて大騒ぎをしていました。 トミーは、両足の靴紐を結ばれたリチャードに向かってサッカーボールを投げつけます。リチャードはキッチンナイフの上に倒れこんでしま、ナイフはリチャードの眼球を貫いていました…すでに虫の息ながら起き上がったリチャードは、自分の顔からナイフを引き抜き、怒りに駆られてトミーを襲います。 しかし自分の血だまりに滑って転び、吹っ飛ばされたナイフは再び彼の顔に刺さり、彼は死んでしまいました。 それから6年後。地獄から蘇えったスティッチズは、当時パーティーに居合わせた少年達に次々と復讐を果たしていくのでした…

『道化死てるぜ!』のキャストは?

リチャード・グリンドル(スティッチズ)役/ロス・ノーブル

ロス・ノーブルはイギリス出身のコメディアンです。イギリス国内ではバラエティ番組への出演で人気となり、2007年にはチャンネル4が選ぶもっとも面白いコメディアン10人に選ばれています。 『道化死てるぜ!』はノーブルにとっての役者デビュー作。残忍な方法で少年たちを殺しまくるというとんでもない役柄ですが、どこか笑ってしまう雰囲気は、コメディアンならではのものでしょう。 映画に出演後、役者としての才能を開花させたのか、『プロデューサーズ』や『ヤング・フランケンシュタイン』といったミュージカル作品にも出演しています。

トミー役/トミー・ナイト

スティッチズに命を狙われる少年トミーを演じたのは、イギリス人俳優のトミー・ナイトです。 ナイトは8歳の頃からウエストエンドの劇場に立ち、数々の舞台作品に出演しています。彼をイギリス国内で有名にしたのはBBCで放送していたテレビドラマ『サラ・ジェーン・アドベンチャー』。主人公サラの養子としてお茶の間の人気者になりました。

ケイト役/ジェンマ・リア・デブルー

トミーが恋心を寄せる少女、ケイトを演じたのはアイルランド出身の女優ジェンマ・リア・デブルー。 幼い頃から女優になることを目標にしていたデブルーは、16歳で学校を辞め、17歳の時に演技の勉強をするためにロンドンに移住します。 女優デビューしたのはミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』ですが、彼女の出演作として有名なのはBBCのテレビドラマ『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』です。16世紀イングランドを舞台にした歴史ドラマで、デブルーは初代リンカーン伯の三番目の妻、エリザベス・フィッツジェラルド役を演じました。

監督はアイルランドホラー界の鬼才コナー・マクマホン

コナー・マクマホンはアイルランドを中心に活躍する映画監督です。映画の他にもアイルランドのテレビ局RTEの番組の脚本を書いたり、編集をしたりもしています。 映画監督としてデビューは2004年の『ミート・オブ・ザ・デッド』。いわゆるゾンビものですが、アイルランドの農村を舞台に、狂牛病が原因でゾンビ化してしまう人々…というオリジナリティが話題になりました。 2014年に発表した『フロム・ザ・ダーク』も、アイルランドの片田舎が舞台の作品です。謎のクリーチャーに噛まれ、感染してしていく彼氏を守りながら、クリーチャーと戦う彼女サラの物語は全米のホラーファンを絶叫させました。 良質の“アイルランド産”ホラーを発表し続けるマクマホンは、ホラーファン注目の映画監督です。

ネタバレあり!『道化死てるぜ!』のストーリーを紹介

ピエロは再びトミーの誕生日パーティーへ

地獄から蘇り、自分を死に至らしめた子供たちの復讐に燃えるピエロ、スティッチズ。今は16歳となったトミーの誕生日パーティーに、今度は招かれざる客としてやってきました。そこには高校生になってより一層悪ガキ育ったかつての子供たちが……。 そしてスティッチズは残虐な方法で、あの時の子供たちを次々と殺していくのです……。

何故か笑っちゃう殺戮シーンの連続

スティッチズの復讐の方法は、酷いものばかりですがどこかコミカル。少年の頭に空気を入れて爆発させたり、喉からウサギを取り出したり、取り出した腸をでバルーンアートを作ったり……それをピエロらしくおちゃらけた様子で繰り広げます。 観客としては笑って入られますが、襲われる方はたまったものではありません。唯一スティッチズが復活していることに気づいていたトミーは、彼を止める方法を探ります。

卵を破壊して、スティッチズ死すも……

トミーは彼の魂が封印されている卵の存在に気づきます。それを破壊すればスティッチズを倒せると踏んだトミーは、彼が葬られていた墓場にケイトと共に自転車で向かいます。それを追いかけるスティッチズ。乗っていのは何故か自転車で、緊迫したシーンのはずなのに笑いを誘います! なんとかトミーは卵を破壊し、スティッチズを再び地獄へ送り返しました。しかしその後、復活の儀式を行ったピエロたちにより卵のかけらは再び集められるのでした……。

変わった映画の祭典シッチェス映画祭で受賞

『道化死てるぜ!』は2012年スペインのシッチェス・カタロニア国際映画際に出品され、ベスト・デス・アンド・ミッドナイトエクストリーム部門で受賞を果たしています。 通称シッチェス映画祭として知られるこの映画祭は、ファンタジーやSF、ホラーといった特別なジャンルに特化した映画祭として知られています。いわばちょっと変わった映画のための映画祭で、世界でも権威ある国際映画祭の一つです。そこで評価された『道化死てるぜ!』は単なるグロ映画ではなく、才能ある監督による傑作でなのです。 ちなみに日本人からも、北野武や三池崇史といった名だたる監督が同映画祭で受賞しています。

笑えるホラー『道化死てるぜ!』

血や内臓がバンバン出てくるグロテスクな描写が満載!しかし殺す側がピエロなので恐怖よりも可笑しさのほうが優ってしまいます。 タイトルからして笑えるホラー、『道化死てるぜ!』。DVDレンタルに加えて、Hulu、Amazonビデオ、Netflixtといった各配信サービスで配信中です。スプラッタやグロが苦手でなければぜひゲラゲラ笑いながら観てみてください!

次回の「カルト(少数の熱烈な信奉)を産む映画たち」は?

次回は2018年6月24日に更新! 次は一体どんなカルト映画が取り上げられるのでしょうか?お楽しみに!