2021年1月22日更新

【連載】今、観たい!カルトを産む映画たち#8『道化死てるぜ!』新感覚の笑えるホラー【毎日20時更新】

『道化死てるぜ!』ロス・ノーブル
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名作映画だけでは物足りない!そんなあなたへ送る、ニッチだけれど骨太な隠れたカルト映画をご紹介する連載。第8回目の今回は、グロとスプラッタ要素満載ながら、どこか笑えてしまう『道化死てるぜ!』の魅力をお伝えします。

目次

連載第8回「今、観たい!カルトを産む映画たち」

有名ではないかもしれないけれど、なぜか引き込まれる……。その不思議な魅力で、熱狂的ファンを産む映画を紹介する連載「今、観たい!カルトを産む映画たち」。 ciatr編集部おすすめのカルト映画を1作ずつ取り上げ、ライターが愛をもって解説する記事が、毎日20時に公開されています。緊急事態宣言の再発令により、おうち時間がたっぷりある時期だからこそ、カルト映画の奥深さに触れてみませんか? 第7回の『時計じかけのオレンジ』(1972年)に続き、第8回は『道化死てるぜ!』(2012年)を取り上げます!

ホラーなのに怖くない!?アイルランド映画『道化死てるぜ!』【ネタバレ注意】

『道化死てるぜ!』ポスター
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1度死んだはずのピエロが墓場から蘇り、少年たちを殺しまくる……。そんな背筋が凍りそうなホラー映画!と思いきや『道化死てるぜ!』はどこか違います。残虐なシーンの連続なのにもかかわらず、どこかおかしくて笑ってしまうホラーコメディ作品なのです! アイルランド初、新感覚!?笑えるホラー映画についてネタバレありで紹介します。 ※本記事では映画の展開について、ネタバレありで触れています。まっさらな状態で映画を楽しみたい人は、視聴後に記事を読むことをおすすめします。

映画『道化死てるぜ!』のあらすじ

『道化死てるぜ!』ロス・ノーブル
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リチャード・グリンドルことスティッチズは、ワンパターンで退屈なピエロ。リチャード自身もピエロとしての仕事にうんざりしていました。 その日もリチャードはトミーという少年の誕生パーティーに呼ばれ、お決まりのつまらない芸を披露します。しかしそんな投げやりな姿に子供達が魅了されるわけもなく、ピエロにいたずらを仕掛けて大騒ぎをしていました。 トミーは、両足の靴紐を結ばれたリチャードに向かってサッカーボールを投げつけます。リチャードはキッチンナイフの上に倒れこんでしまい、ナイフはリチャードの眼球を貫いていました。すでに虫の息ながら起き上がったリチャードは、自分の顔からナイフを引き抜き、怒りに駆られてトミーを襲います。 しかし自分の血だまりに滑って転び、吹っ飛ばされたナイフは再び彼の顔に刺さり、彼は死んでしまいました。 それから6年後。地獄から蘇ったスティッチズは、当時パーティーに居合わせた少年たちに次々と復讐を果たしていくのでした……。

『道化死てるぜ!』のキャストは?

リチャード・グリンドル(スティッチズ)役/ロス・ノーブル

ロス・ノーブルはイギリス出身のコメディアンです。イギリス国内ではバラエティ番組への出演で人気となり、2007年には英テレビ局チャンネル4が選ぶ最も面白いコメディアン10人に選ばれています。 映画『道化死てるぜ!』はノーブルにとっての役者デビュー作。残忍な方法で少年たちを殺しまくるというとんでもない役柄ですが、どこか笑ってしまう雰囲気は、コメディアンならではのものでしょう。 本作に出演後、本業のコメディアンとしても活躍を続けているほか、映画『ネイルズ 悪霊病棟』(2017年)などのホラー作品に出演しています。

トミー役/トミー・ナイト

スティッチズに命を狙われる少年トミーを演じたのは、イギリス人俳優のトミー・ナイトです。 ナイトは8歳の頃からウエストエンドの劇場に立ち、数々の舞台作品に出演しています。彼をイギリス国内で有名にしたのはBBCで放送していたテレビドラマ『サラ・ジェーン・アドベンチャー』。主人公サラ・ジェーンの養子ルーク役でお茶の間の人気者になりました。

ケイト役/ジェマ=リア・デヴェロー

トミーが恋心を寄せる少女、ケイトを演じたのはアイルランド出身の女優ジェマ=リア・デヴェロー。 幼い頃から女優になることを目標にしていた彼女は、16歳で学校を辞め、17歳の時に演技の勉強をするためにロンドンに移住します。 ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』でデビューした彼女は、BBCのテレビドラマ『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』(2010年)で有名に。2019年には映画『ジュディ 虹の彼方に』でライザ・ミネリ役を演じました。

監督はアイルランドホラー界の鬼才コナー・マクマホン

コナー・マクマホンはアイルランドを中心に活躍する映画監督です。映画の他にもアイルランドのテレビ局RTEの番組の脚本を書いたり、編集をしたりもしています。 映画監督としてデビューは2004年の『ミート・オブ・ザ・デッド』。いわゆるゾンビものですが、アイルランドの農村を舞台に、狂牛病が原因で人々がゾンビ化してしまうというオリジナリティが話題になりました。 2014年に発表した『フロム・ザ・ダーク』も、アイルランドの片田舎が舞台の作品です。謎のクリーチャーに噛まれ、感染してしていく彼氏を守りながら、クリーチャーと戦う彼女サラの物語は全米のホラーファンを絶叫させました。 良質のアイルランド産ホラーを発表し続けるマクマホンは、ホラーファン注目の映画監督です。

ネタバレあり!『道化死てるぜ!』のストーリーを紹介

ピエロは再びトミーの誕生日パーティーへ

『道化死てるぜ』ロス・ノーブル、トミー・ナイト
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地獄から蘇り、自分を死に至らしめた子供たちの復讐に燃えるピエロ、スティッチズ。16歳となったトミーの誕生日パーティーに、今度は招かれざる客としてやってきました。そこには高校生になってより一層悪ガキに育ったかつての子供たちが……。 そしてスティッチズは残虐な方法で、あの時の子供たちを次々と殺していくのです。

何故か笑っちゃう殺戮シーンの連続

スティッチズの復讐の方法は、酷いものばかりですがどこかコミカル。少年の頭に空気を入れて爆発させたり、喉からウサギを取り出したり、取り出した腸をでバルーンアートを作ったり……。それをピエロらしくおちゃらけた様子で繰り広げます。 観客としては笑っていられますが、襲われる方はたまったものではありません。唯一スティッチズが復活していることに気づいていたトミーは、彼を止める方法を探ります。

卵を破壊して、スティッチズは死んだ?

トミーは、彼の魂が封印されている卵の存在に気づきます。それを破壊すればスティッチズを倒せると踏んだトミーは、彼が葬られていた墓場にケイトと共に自転車で向かいました。追いかけるスティッチズ。彼が乗っていのは何故か自転車で、緊迫したシーンのはずなのに笑いを誘います! なんとかトミーは卵を破壊し、スティッチズを再び地獄へ送り返しました。しかしその後、復活の儀式を行ったピエロたちにより卵のカケラは再び集められるのでした……。

変わった映画の祭典シッチェス映画祭で受賞

『道化死てるぜ!』は2012年スペインのシッチェス・カタロニア国際映画際に出品され、ミッドナイトエクストリーム部門で受賞を果たしています。 通称シッチェス映画祭として知られるこの映画祭は、ファンタジーやSF、ホラーといった特別なジャンルに特化した映画祭として知られています。いわばちょっと変わった映画のための映画祭で、世界でも権威ある国際映画祭の一つです。そこで評価された『道化死てるぜ!』は単なるグロ映画ではなく、才能ある監督による傑作でなのです。

笑えるホラー『道化死てるぜ!』

『道化死てるぜ!』ロス・ノーブル
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血や内臓がバンバン出てくるグロテスクな描写が満載!しかし殺す側がピエロなので、恐怖よりも可笑しさのほうが勝ってしまいます。 タイトルからして笑えるホラー、『道化死てるぜ!』。DVDレンタルに加えて、U-NEXTやビデオマーケットなどの各配信サービスで視聴できます。スプラッタやグロが苦手でなければ、ぜひゲラゲラ笑いながら観てみてください!

次回の「今、観たい!カルトを産む映画たち」は?

スティーブン・キングの「IT」の影響で、ピエに恐怖を感じる人は多いと言われていますが、『道化死てるぜ!』は、ピエロの過激な復讐がなぜか笑いを誘います。グロテスクなスプラッター描写に抵抗がない人には、特におすすめ。 次回、連載第9回ではトラウマ必至のアート映画『柔らかい殻』を紹介します。お楽しみに!