映画「鎌倉ものがたり」が惜しいといわれる3つの理由!あらすじやキャストも解説
『DESTINY 鎌倉ものがたり』が惜しい理由は?あらすじやキャストも解説
大ヒット映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの監督・山崎貴×原作・西岸良平が再タッグを組み、2017年に公開された映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』。宇多田ヒカルが主題歌を手がけた点も含めてその期待度は高く、公開前から大きく注目された作品です。 主役を務めたのは、堺雅人と高畑充希。高畑はNHK連続テレビドラマ小説『とと姉ちゃん』(2016年)、堺はNHK大河ドラマ『真田丸』(2016年)で主演経験のある実力派です。 しかし本作鑑賞後の感想は高評価が多かったものの、なかには納得できなかったという声も。そこで今回は、本作の惜しい点を挙げてその理由を探りつつ、そこに隠された魅力や見どころも解説していきます。 すでに映画を観た人も、これから観たいと思っている人もぜひチェックしてみてくださいね。
まずは『DESTINY 鎌倉ものがたり』のあらすじを紹介【ネタバレ注意】
鎌倉に暮らすミステリー作家・一色正和(堺雅人)のもとに、若い奥さんが嫁いできました。正和の担当編集者・本田のアシスタントだった亜紀子(高畑充希)です。 亜希子は正和との暮らしに毎日驚かされてばかり。というのも、鎌倉は人間と人間でないものとが共存している場所なのです。 仲睦まじく暮らす2人でしたが、ある日亜希子は魔物に転ばされたことがきっかけで、魂が抜けた霊体になってしまいます。やがて死神が現れ、彼女を黄泉の国へ連れて行ってしまいました。 彼女を失って、その存在の大きさと何気ない暮らしの尊さに気付かされる正和。愛する亜希子の命と大切な日常を取り戻すため、正和は1人で黄泉の国へと旅立つのでした。
黄泉の国に着いた正和は、亜希子を探します。亜希子は天頭鬼という魔物に見初められ、結婚するよう迫られていました。 そしてここで衝撃の事実が明らかに。実は亜希子と正和は、これまでに何度も生まれ変わっては巡り合い、愛し合ってきた「運命」の2人だったのです。 黄泉の国は想像力でいくらでもその姿を変える場所。正和は作家ならではの想像力で黄泉の国の形を変えながら、亜希子を連れてその場を脱出します。現世に戻る列車を作り出した正和でしたが、途中で天頭鬼に捕まってしまいました。 亜希子は天頭鬼に「夫婦にならなければ、こいつの魂を食う」と脅され、天頭鬼と永遠の夫婦になると誓ってしまいます。ところが突然、ひとつの茶碗が天頭鬼を吹き飛ばしました。それは、現世で亜希子が親切にした貧乏神からもらったもの。茶碗は神の力を持っており、天頭鬼を懲らしめます。 茶碗は乗り物となって2人を現世へ送り届け、亜希子と正和はいつもの日常を取り戻したのでした。
1.前半の物語が退屈?山崎監督の真意とは
まず1つ目の惜しいといわれている点は、前半部分で飽きてしまう鑑賞者が出てきてしまったこと。本作の否定的な感想の中では、「前半部分が物足りなかった」という意見が多く見受けられるようです。それはなぜなのでしょうか? 山崎貴監督はインタビューで、「前半で楽しい家庭を作っておけば、余計に後半にそれが失われた心の穴が大きくなると思いました。だから2人(堺雅人と高畑充希)には、ほのぼのした感じでコメディ調にやっていただきました。」と述べています。 確かに本作は、新婚旅行から帰ってくる2人が鎌倉の町を車で走るシーンから始まり、その後はほのぼのとした仲睦まじい夫婦の日常が描かれています。 とはいえ、この前半部分が退屈だと感じる人もいるのでしょう。後半で展開される黄泉の国での戦闘シーンが短くなってしまったため、観ている側としては不自然な印象を受けるのかもしれません。
2.亜紀子のキャラクターが気になる?
2つ目のポイントとしては、亜紀子のキャラクターに関して「可愛い」という意見が圧倒的に多い一方で、「鼻につく」と感じる鑑賞者が出てしまったこと。 亜紀子は正和と年の離れた夫婦という設定で、本編中では23歳となっています。彼女は小学生に間違われるような幼い顔を持ち、正和に可愛らしく甘える一方、母性溢れる奥さんとしての面も持つ女性です。 「鼻につく」といわれている原因としては、亜紀子の「可愛らしい」面がたびたび見受けられることが考えられます。例えば「やめてくださいよ~」と言いながら正和の肩をポカポカと叩くシーンや、妖怪を怖がっている時の仕草や態度など。 男性から見たら「可愛いらしい面も兼ね備えた理想の奥さん」という印象を受けるかもしれませんが、同性からはあまり好かれないタイプではありそうです。 しかし否定的な意見が出るということは、高畑充希がそれだけ亜紀子のキャラクターを上手に演じらているのだともいえますね。
3.物語が回収しきれていない?
3つ目としては、数多く出てくる登場人物たちのエピソードが語られつつも、彼らの結末が明確に描かれていない点が挙げられます。そのため「物語が回収しきれていない」と感じる人もいたようです。 「登場人物が多い上に伏線を張り巡らせすぎ」という点が、その理由のひとつ。正和の担当編集者・本田夫婦、病気の夫が心配で幽霊になってしまった瀬戸優子夫婦、そして正和が幼い頃に他界してしまった彼の両親と、本作には何組かの夫婦が登場します。 彼らにそれぞれ伏線を与えているものの、完全には回収しきれていないことで、このような評価を受けることになってしまいました。
しかしながら『DESTINY 鎌倉ものがたり』は良作であると言える理由
惜しいといわれる点があったとしても、全体的な評価は高い本作。その理由には、山崎監督ならではのVFX(画面効果技術)の巧みさや撮影セットの見事さ、そして豪華キャストが集結したことなどが挙げられます。 前半が長いとはいえ、そこではさまざまな夫婦の形を描き、主人公2人の想いの強さもきちんと表現されていました。 またVFXを得意とする山崎監督だからこそ、実写とVFXの融合にこだわることで他にない世界観も生み出しています。誰もが空想する「死んだ後の世界」=「黄泉の国」を見事なまでに表現しており、観る者の感性を揺さぶる出来栄えです。 さらに作品を盛り上げる宇多田ヒカルの主題歌「あなた」も魅力のひとつ。これが高評価の一因ともなっています。ここからはそんな本作の見どころも、たっぷり紹介していきます。
『DESTINY 鎌倉ものがたり』には見どころもたっぷり!
観たら鎌倉へ行きたくなる!江ノ電も登場
「#鎌倉ものがたり」の黄泉の国は、その人がイメージしたものがそこにある????????
— 映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』 (@kamakura1209) December 11, 2017
だから本作では“山崎貴用の黄泉の国”なんです????✨
そこは「しみじみとした懐かしい場所で、しばらく暮らしてから現世の赤を流して仲のいい人と一緒に生まれ変わっていく。魂の休憩所のような場所。」 pic.twitter.com/bwEIIFYesH
本作の舞台となっているのは、海に面した情緒ある古都・鎌倉。自然の多く残された歴史ある街並みが、作品全体の昭和を彷彿とさせる雰囲気を違和感なく表現しています。 加えて、鎌倉の名物でもある江ノ電の旧車両(通称・タンコロ)も登場!正和が亜希子を取り戻しに黄泉の国へ向かう時に乗っていくのが、このタンコロなのです。
美しい黄泉の国
中国にロケハンへ向かった、山崎監督の描いた黄泉の国イメージデザイン????
— 映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』 (@kamakura1209) December 12, 2017
荘厳な岩山が並ぶ【武陵源】
1700年代に建てられた高床式の家屋が当時のまま立ち並ぶ【鳳凰古城】
これらの場所がイメージソースになっています????✨#鎌倉ものがたり #山崎貴 pic.twitter.com/JqSWV8Cot6
山崎監督率いるVFXチーム「白組」が創り出した、美しく荘厳な「黄泉の国」は本作きっての見どころ。山々が連なる中に多くの家々がひしめき合う異世界の様子はまさに圧巻です。 実は黄泉の国の街並みや景観は、中国の湖南省にある武陵源と鳳凰古城がモデルになっているそう。そこに日本の地方の風景も組み合わせているため、異世界でありながら、どこか懐かしい感じも表現できているのです。
貧乏神と死神の完璧なキャスティング
「存在感がすごい」と多くの鑑賞者から評価されていたのが、亜希子と親交を深める貧乏神。演じているのは、舞踏家として世界的にも著名な田中泯です。いかにも貧乏神らしい出で立ちが、独特の存在感を放っていました。
一方で、亜希子を黄泉の国へ連れて行く死神を演じた安藤サクラもはまり役だと話題になりました。その見た目は、白髪に黒い帽子を被り、黒いスーツを着こなした姿でかなり現代的。また話し方が軽妙で、およそ死神らしくない感じが逆に印象に残ります。
実力派が勢ぞろい!世界観に溶け込んでいたキャストたち
一色正和を演じる主演キャストは堺雅人!
和装を好むハンサムなミステリー作家・一色正和を演じるのは、堺雅人です。 堺雅人は1973年生まれ、宮崎県出身の俳優。NHK大河ドラマ『新撰組!』(2004年)で新撰組総長・山南敬助を演じたことで、注目されるようになります。 大河出演前からも、早稲田大学の演劇サークルでは看板俳優として活躍。「早稲田のプリンス」というあだ名が付いていたことからも、その活躍ぶりを伺うことができますね。 近年ではドラマ「リーガル・ハイ」や「半沢直樹」などの人気シリーズで主演を務め、シリアスな役からコミカルな役まで幅広く演じる実力派です。
高畑充希が演じるのは正和の妻・亜紀子
妻の亜希子は童顔で、正和と12歳の年の差があることから親子と間違われることもしばしば。そんな亜紀子を演じたのは、女優の高畑充希です。 高畑はNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(2016年)で主演を務め、国民的女優の地位を確立。もともとはミュージカルなど舞台を中心に活躍していました。 8年間にわたってミュージカル『ピーターパン』で主演を務めたことでも知られており、綺麗な歌声と全力投球の演技が特徴です。今作でもそんな彼女の演技に注目が集まりました。
2人を取り巻くキャストも豪華俳優陣が勢ぞろい!
本作には、アカデミー賞を受賞した経歴を持つ俳優の堤真一や女優の安藤サクラも出演しています。 その他にもベテランと呼ばれる俳優陣が名を連ね、田中泯や國村隼、薬師丸ひろ子、三浦友和、中村玉緒と、豪華キャストの共演も大きな見どころです。
主題歌は宇多田ヒカルの「あなた」
『DESTINY 鎌倉ものがたり』の主題歌は、宇多田ヒカルが手がけた「あなた」です。この曲のメロディや歌詞が、本作の不思議な世界観をしっかりと表現しています。 特に繰り返されるサビの「あなた以外なんにもいらない」や「代わり映えしない明日をください」という歌詞は、亜希子の願いと重なって聞こえ、エンドロールで聴くと号泣必至です。
一見の価値あり!豪華キャストで贈る『DESTINY 鎌倉ものがたり』
この記事では、『DESTINY 鎌倉ものがたり』が良作だと絶賛されながらも「惜しい」といわれる理由と、それだけではない本作の魅力を詳しく解説してきました。 監督渾身の映像美や独特な世界観など、本作の見どころは数多くあります。ぜひ観たことがある人もまだ観ていない人も、鎌倉で繰り広げられるドタバタ劇を楽しんでみてくださいね。