2020年1月31日更新

【ネタバレ】「ナイブズ・アウト」事件の真相を徹底解説 怪しい家族たちが抱えていた秘密とは

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館』メイン
Motion Picture Artwork © 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

ライアン・ジョンソン監督が、ミステリーの女王アガサ・クリスティーに捧げる『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』。豪華キャスト大集結で贈る極上エンターテインメント・ミステリーを徹底解説します。

目次

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』事件の真相を徹底解説【ネタバレ注意】

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017年)のライアン・ジョンソン監督が、完全オリジナル脚本でミステリーの女王アガサ・クリスティーに捧げる『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』。 「007」シリーズのダニエル・クレイグや、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のキャプテン・アメリカ役などで知られるクリス・エヴァンスをはじめとする超豪華キャストが集結した痛快エンターテインメント・ミステリーです。 2020年アカデミー賞脚本賞にもノミネートされた本作の事件の真相を徹底解説します。 ※本記事には映画「ナイブズ・アウト」に関するネタバレ情報を含んでいます。未鑑賞の方はご注意ください! 

「ナイブズ・アウト」のあらすじ

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館』ダニエル・クレイグ
Motion Picture Artwork © 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

世界的ミステリー作家にして大富豪のハーラン・スロンビーが、85歳の誕生日パーティの翌朝、遺体で発見されます。名探偵ブノワ・ブランは、匿名の人物から依頼を受けてこの事件の解明に乗り出すことに。 容疑者はパーティに参加していたハーランの家族や看護師、家政婦全員。捜査をすすめるうち、ブランは家族のもつれた謎を解き、事件の真相に迫っていきます。

豪華キャストが演じる名探偵と全員怪しい家族【ネタバレ注意】

ダニエル・クレイグ/ブノワ・ブラン

ダニエル・クレイグ
Daniel Deme/WENN.com

名探偵ブノワ・ブラン役は、「007」シリーズなどで知られるダニエル・クレイグ。本作では、ボンド役のような渋い雰囲気を封印し、クセモノ探偵を演じています。イギリス出身の彼の、アメリカ南部訛りにも注目です。

クリス・エヴァンス/ランサム・ドライズデール

クリス・エヴァンス
WENN.com

MCUのキャプテン・アメリカ役で知られるクリス・エヴァンスが演じるのは、ハーランの長女の息子ランサム・ドライズデール。一族の問題児であり嫌われ者です。 ヒーロー役で一躍人気者となった彼が、まさかのクソ野郎役ということで、こちらも目が離せません。

絵に描いたような放蕩息子のランサムは、誰よりもハーランの遺産をあてにしていました。しかし、ハーランの誕生日パーティの直前、彼はランサムには遺産はビタ一文相続させないと伝えます。2人はケンカ別れしますが、パーティからすぐに出ていった彼を警察は容疑者とは見ていませんでした。

アナ・デ・アルマス/マルタ・カブレラ

アナ・デ・アルマス
©︎David Gabber/Landmark Media

ハーランの看護師、マルタ・カブレラを演じるのは『ブレードランナー 2049』(2017年)などに出演しているアナ・デ・アルマス。2020年には『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で再びダニエル・クレイグと共演します。 彼女が演じるマルタは、ハーランと友達のような関係でした。しかし、彼女はある特殊体質で……。

実はマルタは、嘘をつくと嘔吐してしまう体質でした。その体質と「唯一ハーランが死んでも得をすることのない人物」であることから、ブランに助手として指名されます。 常にハーランの話し相手となっていたマルタは、彼の家族がどのような問題を抱えているか把握していました。彼女は自分が知っていることをブランに話します。

ジェイミー・リー・カーティス/リンダ・ドライズデール

ジェイミー・リー・カーティス
© Jaime Espinoza/WENN.com/zetaimage

ホラーの金字塔『ハロウィン』(1987年)でデビューしたジェイミー・リー・カーティスも本作に参戦。ホラーの女王として知られる一方、幅広い作品に出演し、1994年の『トゥルーライズ』では、ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞しました。 カーティスが演じるのはハーランの長女リンダ・ドライズデール。ランサムの母で不動産会社を経営しています。

父と同じく一代で財を築き上げたとうそぶくリンダですが、会社の設立資金は実は父に援助してもらったものでした。

マイケル・シャノン/ウォルト・スロンビー

マイケル・シャノン
© Joseph Marzullo/WENN.com/zetaimage

ハーランの次男ウォルト・スロンビーは、父の跡を継ぎ出版社を経営しています。 ウォルトを演じるマイケル・シャノンは、『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』(2008年)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたマイケル・シャノン。彼はそのほかにも『マン・オブ・スティール』(2013年)、『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年)など、数多くの作品に出演しています。

ウォルトがハーランから継いだ出版社は、ハーランの作品を出版していました。しかし、彼は小説の映画化などに消極的だった父と対立。ハーランは自身の誕生日パーティで、ウォルトを出版社から解雇するとを伝えます。 この事実を知るのは、自分と亡くなった父だけと思っていた彼は、事件の犯人でないと証明できれば、社長の座に留まり、遺産も相続できると考えます。

ドン・ジョンソン/リチャード・ドライズデール

ドン・ジョンソン
© Adriana M. Barraza/WENN.com/zetaimage

刑事ドラマシリーズ『特捜刑事マイアミ・バイス』(1984年〜1989年)で大ブレイクしたドン・ジョンソン。その他の出演作には映画『マチェーテ』(2010年)、『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年)などがあります。 ジョンソンが演じるのは、リンダの夫リチャードです。

リンダの夫として裕福な生活を享受していたリチャード。しかしあるとき、ハーランに浮気がバレてしまいます。浮気現場の写真を見せられ、「自分で娘(リンダ)に話さないなら、私から話す」と言われてしまいました。 リンダと離婚ということになれば、これまでのような生活はできなくなります。

トニ・コレット/ジョニ・スロンビー

トニ・コレット
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2018年のホラー映画『へレディタリー/継承』で強烈な印象を残したトニ・コレット。彼女は1994年の『ミュリエルの結婚』でゴールデングローブ賞助演女優賞、1999年の『シックス・センス』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた実績もある実力派。その他の出演作には『イン・ハー・シューズ』(2005年)や『リトル・ミス・サンシャイン』(2006年)などがあります。 彼女が演じるジョニ・スロンビーは、ハーランの亡き長男ニールの妻。ライフスタイル提案型化粧品会社を経営しています。

健康で美しいライフスタイルを提案する彼女の会社は、決してうまくいっているとは言えない状況でした。ハーランは、ジョニのビジネス資金と彼女の娘メグの学費を援助していたのです。 しかしハーランはあるとき、彼女が会計士を通じて「メグの学費」を大学に直接振り込ませるのと同時に、自分の口座にも同額を振り込ませ、二重取りをしていたことに気が付きます。そして誕生日パーティの前に、ジョニに「これが最後」とメグの学費を渡しました。 援助を打ち切られては困るジョニも、その話を知っているのは自分だけと思い、遺産を狙います。

キャサリン・ラングフォード/メグ・スロンビー

キャサリン・ラングフォード
©︎Brian To/WENN.com

Netflixオリジナルシリーズ『13の理由』(2017年)で大ブレイクを果たしたキャサリン・ラングフォード。そのほかの出演作品には『Love, サイモン 17歳の告白』などがあります。 彼女が演じるのは、ジョニの娘で大学生のメグです。

メグは、母ジョニが祖父から自分の学費としてお金を二重取りしていたことは知らなかったようです。看護師のマルタとは年が近く、仲の良いメグでしたが、最終的に彼女を裏切ることになります。

ジェイデン・マーテル/ジェイコブ・スロンビー

ジェイデン・リーバハー
©︎Brian To/WENN.com

『ヴィンセントが教えてくれたこと』(2014年)やホラー映画「IT」シリーズへの出演で知られるジェイデン・マーテル(旧名:ジェイデン・リーバハー)。 彼が演じるのはウォルトの息子ジェイコブです。

ウォルトの息子であるジェイコブは、政治に強い関心がありますが、いとこであるメグからは「ネトウヨ」と言われています。 彼は祖父の誕生日パーティの直前、祖父とランサムが言い争う声を聞きました。

クリストファー・プラマー/ハーラン・スロンビー

クリストファー・プラマー
© Jaime Espinoza/WENN.com/zetaimage

クリストファー・プラマーが演じるのは、世界的ミステリー作家にして大富豪のハーラン・スロンビー。85歳の誕生日パーティの翌朝、遺体で発見されます。 映画界のレジェンドとして知られるプラマーは、1965年の『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐役で一躍有名に。2009年には『終着駅 トルストイ最後の旅』でアカデミー賞助演男優賞にノミネート。2010年には『人生はビギナーズ』で、史上最高齢の82歳でアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。 そのほかの出演作には、『ビューティフル・マインド』(2001年)、『ドラゴン・タトゥーの女』(2011年)、『ゲティ家の身代金』(2017年)などがあります。

「ナイブズ・アウト」事件の真相を徹底解説【ネタバレ注意】

ハーラン・スロンビーの自殺?

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館』メイン
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世界的ミステリー作家にして大富豪のハーラン・スロンビーの85歳の誕生日を祝うため、ニューヨーク郊外の豪邸に家族が集合。しかし翌朝、家政婦のフランがハーランの遺体を発見します。 誕生日パーティのときに屋敷にいたのは、長女のリンダとその夫リチャード、そして息子のランサム。次男ウォルトと彼の妻ドナに息子ジェイコブ。ハーランの亡き長男の妻ジョニとその娘メグ、彼の母ワネッタ、そしてハーランの専属看護師のマルタです。 ハーランの死は自殺によるものとされ、葬儀は家族だけで行われました。

名探偵ブノワ・ブラン登場!それぞれに秘密を抱える家族

『ナイブズ・アウト』キース・スタンフィールド、ノア・セガン、ダニエル・クレイグ
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ハーランの死から1週間後、匿名の人物から捜査の依頼を受けた名探偵ブノワ・ブランが屋敷を訪れます。家族も全員集められ、彼は刑事たちとともに事情聴取を開始。もちろん誰もが自分の秘密を知られまいと口を閉ざしますが、看護師のマルタは違いました。

実は彼女は「嘘をつくと嘔吐する」という体質だったのです。ブノワは、真実しか語れない彼女からハーランの家族の秘密を聞き出し、捜査に協力してもらうことにしました。

まさかのあの人が……?ブランとの駆け引き

ブランの捜査に同行することになったマルタでしたが、実は彼女にも大きな秘密がありました。

ハーランが死亡した原因は、彼女にあったのです。 誕生日パーティのあと、彼女はいつものようにハーランと囲碁をうち、寝る前の薬を注射しました。しかしそのとき、治療薬と取り違え、鎮痛剤として使っていたモルヒネを大量に打ってしまったのです。彼女は慌てて解毒剤を探しますが、どんなに探しても見つかりません。 モルヒネの大量摂取はすぐに死に至るため、マルタは救急車を呼ぼうとしますが、ハーランがそれを止めます。彼は、今から救急車を呼んでも間に合わない、マルタに責任を負わせたくないと、その場でトリックを考え出しました。 マルタは彼に言われたとおりに行動し、彼女が屋敷から去ったあともハーランが生きていたかのように見せかけることに成功。 しかしブランとの捜査中、自分の失敗で証拠が多くの残っていたことに気づき、次々とそれらを隠滅していきます。

遺言書と脅迫状

その後、家族全員が立ち会い、弁護士による遺言書開封が行われます。ブランとマルタもその場に居合わせました。

そして弁護士が読み上げた遺言書の内容は、「屋敷を含むすべての遺産を、マルタ・カブレラに相続させる」というもの。これにハーランの家族は激怒し、マルタは他人なのに不公平だと彼女を責めたてます。 屋敷から飛び出した彼女はランサムの車に乗り、2人でその場を逃げました。その後、マルタはランサムにすべてを打ち明けます。真相を知った彼は、マルタに自分はすでに遺産をもらえないことを知っていたと話し、彼女の秘密を守る代わりに遺産の一部を要求。マルタもその取引に合意します。 しかし翌日、状況はさらに複雑に。 マルタがハーラン・スロンビーの遺産を相続すると聞きつけたマスコミが、彼女の家に大挙して訪れます。そしてポストには、白い封筒が。そこには検死報告書の一部をコピーしたものが入っており、「お前がなにをしたか知っている」と書かれていました。 検死報告書にはハーランの検死結果、つまり彼の身体からモルヒネが検出されたことが書いてあるはず。誰かが真相を知っていると考えたマルタは、ランサムとともに検死局を訪れますが、そこはすでに何者かによって放火されていました。その結果、すべての検死報告書やサンプルは焼失。ハーランの死因を知っているのは、脅迫者、マルタ、そしてランサムの3人だけになりました。 検死局の前でブランと警察に見つかったマルタたちは、彼らとカーチェイスをくり広げます。しかし、マルタは袋小路に入ってしまい、ランサムが逮捕されました。 その後、マルタは脅迫状に書かれた場所へ向かうことに。そこにいたのはなんと家政婦のフラン。しかし彼女は縛りつけられ、モルヒネを打たれていました。マルタは彼女を助けようと救急車を呼びます。

いよいよ事件の真相に迫ったブラン。

そこに現れたのはブラン。

彼はマルタをハーランの屋敷に連れていきます。そしてそこに、刑事たちに連れられたランサムが現れました。「マルタのことはすべて話した」と言うランサム、そしてマルタを前に、ブランは推理を展開していきます。 彼の推理は、ランサムがマルタの持っていた薬とモルヒネのラベルを貼りかえ、彼女を殺人犯に仕立て上げようとしたというもの。さらに念を入れて、ランサムは解毒剤を持ち去ったといいます。彼はパーティの途中で帰宅したと思われていましたが、その間にこの作業をしていました。 彼は、マルタがハーランから教わったのと同じ方法でハーランの部屋に侵入し、また脱出したのです。 そして翌日、ランサムはラベルと解毒剤を戻しに、ハーランの部屋に置きっぱなしになっていたマルタの鞄に解毒剤を戻します。それを目撃した家政婦のフランは、彼がなにか良からぬことをしていると直感し、脅迫状を送りました。 自殺した祖父の死因は、マルタによる医療ミスになるはずだったと考えていたランサムは、脅迫状の検死報告書の一部を見て、自分の作戦がうまくいったことを確信しました。そしてブランに匿名で捜査を依頼。脅迫状はそのままマルタの家のポストへ入れます。 病院に運ばれたフランの意識が戻ったと聞かされたランサムは、犯行を自供。しかし、それはマルタによる嘘で、フランは死亡してしまったのです。彼の自供はしっかりと録音され、ランサムは警察に連行されました。

真相解明!犯人、ブランの依頼人、そして事件の本当の悲劇とは

しかし、事件の真相はこれだけではありませんでした。

ランサムを脅迫していたフランは、検死報告書のコピーをある場所に隠していました。彼女が大麻を隠していた場所を知っていたマルタは、そこで検死報告書を見つけます。そこには、ハーランの遺体から致死量を超える薬物はなにも検出されなかったことが書かれていました。 マルタは、ラベルを見なくてもビンの重さやわずかな色の違いで、治療薬とモルヒネを区別していたのです。彼女はあとからラベルを見てモルヒネを注射してしまったと思い込み、同じくそう思い込んでいたハーランは、自身の首を切って自殺しました。 マルタの言ったとおりに救急車を呼んでいれば、彼は死なずにすんだのです。 自分を思いやってくれた友人ハーランの意向を受け入れ、マルタは彼の遺産を相続することにしました。

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』は2020年1月31日公開!

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館』ポスター
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大富豪の死去を発端に、その遺産をめぐって交錯する遺族の思惑、絡まり合う謎を解き明かす名探偵。これまでにも数多くのミステリーで使われた設定ではありますが、「ナイブズ・アウト」はどんでん返しに次ぐどんでん返し、驚きと笑いの連続で観客を引き込むノンストップ・ミステリー! この記事では本作の謎解き部分について紹介しましたが、それだけでは語り尽くせない面白さがあります。 ミステリー好きにもコメディ好きにもおすすめの、見逃せない作品です。