2021年3月5日更新

『ラーヤと龍の王国』が教えてくれる“信じる”ことの大切さ 魔物ドルーンの正体を考察

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映画『ラーヤと龍の王国』が描く新しいアジア系ヒロイン【ディズニー新作】

ディズニーのアニメーション映画最新作『ラーヤと龍の王国』が、2021年3月5日から日本で公開!劇場公開と同日に、ディズニープラスのプレミアアクセスでも配信されます。 新たなヒロイン像を予感させるラーヤとは、どんなキャラクターなのでしょうか。本作のあらすじはもちろん、彼女が出会う愉快な仲間たちや見どころを徹底紹介します!

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ディズニー映画『ラーヤと龍の王国』のあらすじ

ラーヤと龍の王国 ディズニー ラーヤ トゥクトゥク
©Walt Disney Studios Motion Pictures/Photofest/zetaimage

その昔、龍に守られた聖なる王国「クマンドラ」がありました。王国が邪悪な魔物「ドルーン」に襲われた時、自らを犠牲にして王国を守り抜いたのは魔法の力を持つ龍たち。 しかしクマンドラの人々は魔力を秘めた「龍の石」を奪い合い、王国は5つに分裂。それから500年が経ち、別れた国の人々は互いに信じ合う心を失っていました。 そんな人々にもう1度信じ合う心を取り戻そうと、クマンドラ再建を願うハート国の首長ベンジャは、5つの国の人々を招き入れ和平を持ちかけます。

ラーヤと龍の王国 ディズニー ラーヤ トゥクトゥク
©Walt Disney Studios Motion Pictures/Photofest/zetaimage

しかし人々は再び龍の石を奪い合い、ドルーンが復活して人々を石に変えてしまいました。ベンジャの娘ラーヤは父に助けられ、龍の石の1欠片を手に生き延びます。 それから6年後、18歳になったラーヤは500年前に姿を消した最後の龍「シスー」を蘇らせるため、アルマジロのような相棒のトゥクトゥクとともに5つの国へ旅に出ます。 それは、石になった父を生き返らせるためでした。

川の果ての難破船にたどり着いたラーヤは、シスーを蘇らせることに成功。シスーとともにテール国で最初の石の欠片を手に入れますが、そこで6年前に裏切られたファング国のナマーリと再会します。彼女も石を狙っており、ラーヤは港で出会った小船の船長ブーンに頼んでタロン国へ向かいました。 タロン国では2歳の女の子ノイと3匹のオンギに出会って龍の石を奪われかけますが、逆に彼らに協力してもらうことに。一方シスーはタロン国の首長に騙され、間一髪のところでラーヤに助けられます。 タロン国の石を手に入れたラーヤたちは、次にスパイン国へ。着くなり大男トングに捕まってしまったラーヤたちでしたが、彼はスパイン国にたった1人残った孤独な戦士でした。そこへ再びナマーリが現れますが、龍の姿に戻ったシスーに助けられます。 トングも仲間入りして、最後の欠片を求めてファング国に入ったラーヤたち。ナマーリの本心を見抜いたシスーは、彼女を味方に引き入れることを提案します。しかし1度裏切られたラーヤは、最後までナマーリを信じることができず、その結果シスーの胸をナマーリの矢が貫いてしまいます。 シスーが川面に消えた後、ファング国にもドルーンが襲いかかり、ラーヤは怒りで我を忘れたままナマーリと決闘を繰り広げます。ブーンたちが人々を救う中、ようやく信じる心を取り戻したラーヤは、今度こそナマーリを信じて龍の石を託しました。 仲間たちが後に続き、ナマーリがすべての石を1つにした時、空から雨が降り注ぎ、石になった人々を洗い流すように生き返らせていきます。ラーヤたちやその家族も生き返り、信じ合う心を取り戻した人々は、ハート国に集って新生「クマンドラ」の誕生を祝ったのでした。

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モデルとなったのはどこの国?タイや中国のモチーフが美しい

ラーヤと龍の王国 ディズニー ポスター
©Walt Disney Studios Motion Pictures/Photofest/zetaimage

ディズニー初となる東南アジア系のヒロインを主人公とする本作。服装や食べ物、建物や自然など、東南アジアの国々の雰囲気が随所にあふれています。 例えばラーヤの相棒・トゥクトゥクは、タイでおなじみの乗り物と同じ名前です。緑豊かな森は東南アジアの熱帯雨林を彷彿とさせるもの。さらに本国版のラーヤの声優は、ベトナム系アメリカ人女優ケリー・マリー・トランが務めています。 それもそのはず!スタッフは実際に、ラオス、インドネシア、タイ、ベトナム、カンボジア、マレーシア、シンガポールなど東南アジアの国々を旅行し、それぞれの文化を肌で感じたといいます。その体験が細部に活かされているようです。 龍というモチーフは中国のイメージから生まれたものでしょうか。アジア圏の様々な地域から着想を得た『ラーヤと龍の王国』の世界観は、本作の大きな見どころです。

今だから観たい!「ラーヤ」の魅力を解説

ひとりぼっちのラーヤに共感

ラーヤと龍の王国 ディズニー ラーヤ トゥクトゥク
©Walt Disney Studios Motion Pictures/Photofest/zetaimage

コロナ禍で人と会う時間が少なくなってしまったり、リアルなコミュニケーションをとることが難しくなってしまった現在、ひとりぼっちだと感じる人が多いのではないでしょうか? そんな今だからこそ、孤独を抱えながらも逆境に立ち向かい、前に進もうとするラーヤの姿に共感が生まれるはず! ラーヤは『アナと雪の女王』(2013年)のアナや『モアナと伝説の海』(2016年)のモアナのように、自ら強い意志を持って1人で旅に出る孤独な戦士。 そんなラーヤが旅の途中で仲間たちに出会い、少しずつ孤独を癒し、信じる心を取り戻していくことが本作のメインテーマとして語られているのです。

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個性豊かな仲間たちとの出会い

砂漠のテール国でエビ獲りボートを営む少年ブーン、水の都タロン国のノイ率いるベビー窃盗団、そして雪と氷のスパイン国の戦士トング。それぞれの国で出会った仲間たちは、各国の特徴もさることながら、とても個性豊かな面々です。 彼らの共通点は、ドルーンによって家族を奪われた孤独な人々という点。ラーヤは同じような境遇にある彼らを受け入れ、仲間として信じるようになっていくのです。

キレキレのアクションシーンがかっこいい!

東南アジアの雰囲気たっぷりな美しい背景にも目がいきますが、本作で注目すべきシーンは、ラーヤのキレキレのアクションシーン!特に宿敵ナマーリとの一騎打ちは何度も繰り広げられ、今までのディズニーヒロインとはまた違った魅力を見せつけています。 戦士としてのラーヤの装備にも注目で、龍のようにクネクネして自在に伸びる不思議な剣での戦いは必見!

【ネタバレ】現代人に響くシスーのメッセージを解説

本作のテーマは「信じる心」。龍の石を奪い合うことで“バラバラになってしまった人々の心”を取り戻すため、和平を進めようとしたハート国の首長ベンジャのように尽力する人物もいます。 しかしその娘のラーヤが「こんな世界では誰も信じられない」と、殻に閉じこもっているところから物語は始まります。それは、心を許した相手に裏切られた経験があるから。 そんなラーヤが信じる心を忘れないシスーと出会い、魔法より大切なものは信じ合う心だということを、様々な経験を通して気づくことが重要です。 互いを信じられなかったラーヤとナマーリが、シスーの“信じることを諦めない姿勢”によって信じる心を取り戻す物語だからこそ、現代の私たちに届くメッセージがあるのではないでしょうか。

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【考察】魔物ドルーンに襲われると石になるのはなぜ?

本作のヴィランといえるのは、ラーヤの宿敵ナマーリではなく、人々を石に変えてしまう黒い煙のような「ドルーン」。魔物や怪物といった呼び方をされていますが、劇中で「疫病」と表現される場面もあります。 ドルーンに襲われると石になってしまうのは、一体何を暗示しているのでしょうか? もしかしたら、ドルーンは人々が持つ「疑心」の化身なのかもしれません。ドルーンに襲われると人々の内に必ずある「信じる心」が奪われてしまい、人ではない状態(=石)になってしまう……と考えられます。 あるいは疫病と考えると、コロナ禍にいるわれわれにとっては正にウイルスにほかならないもので、体の自由を奪うものでもあります。または災害時には「災厄」としてとらえることもでき、人の心身を脅かすすべての禍を象徴するものなのかも。

【考察】時代とともに変化してきたディズニーのヒロイン像

「スター・ウォーズ」出演の東南アジア系女優がディズニーヒロインに!

ケリー・マリー・トラン
© FayesVision/WENN.com

原語版でラーヤの声優を務めたのは、ベトナム系アメリカ人女優のケリー・マリー・トラン。彼女は「スター・ウォーズ」続3部作にローズ役で出演し、知名度を上げました。しかしその一方、SNS上では人種差別的な批判や中傷も受けています。 そんな人物が新たなディズニーヒロインを演じることに、計り知れない意義を感じます。人種差別撤廃とダイバーシティ&インクルーシブな社会が求められる中、ディズニーも新しい時代のヒロイン像を模索していることは間違いありません。

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現代を象徴する新しい物語、新しい女性像

ラーヤと龍の王国 ディズニー ラーヤ
©Walt Disney Studios Motion Pictures/Photofest/zetaimage

明らかにディズニーは本作でこれまでにないヒロイン像を打ち出そうとしていますが、ディズニー映画の歴史において、ラーヤはどういう立ち位置なのでしょう。今作が提示した新しい女性像はどんなものなのでしょうか? まず、本作がディズニーの伝統であるミュージカル調ではなく、アクション満載の冒険ものであることは新しいアプローチといえます。ラーヤとナマーリがひとりっ子であり、母親か父親との2人家族であることなども、これまでのディズニーヒロインとは一線を画する人物像に仕上がっています。 また、ラーヤとのロマンスを匂わすような男性キャラクターがいないことも新しい点。女性主人公に恋愛や結婚が付き物である時代は終わり、仲間を大切にするヒロイン像を前面に押し出しました。

【ネタバレ】『ラーヤと龍の王国』に関するトリビアを紹介

「アナ雪」などディズニー過去作をオマージュしたシーンがある?

『アナと雪の女王』
© Walt Disney Pictures

本作にはいくつかのシーンで他のディズニー作品を想起するような場面があります。まず、ラーヤの瞳が剣に反射して映るシーンはまるで『ムーラン』のよう。次に、ブーンたちが船から川に花を浮かべるシーンは、『塔の上のラプンツェル』を思い出させますね。 そういえば、ドルーンによって人が石になるのは「アナ雪」でアナが氷になるシーンにも似ています。さらにシスーの軽快な感じ、その色やフォルムは『アラジン』のジーニーを彷彿とさせますね。原語版ではオークワフィナが声優を務めているのも納得!

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コロナ禍の中でリモート制作された?

『ラーヤと龍の王国』の公開記念の特別映像では、キャストやスタッフが制作秘話を披露しています。その中で、なんと本作はコロナ禍の中でリモート作業によって制作されたことも語られました。 ちょうど新型コロナウィルスが猛威を奮いはじめた頃に制作が始まったため、400人もの制作スタッフがリモートワークでカバーしたとか。規模もレベルも違いますね!

5年ぶりの新作劇場用短編『あの頃をもう一度』が同時上映

本作には、新作短編映画『あの頃をもう一度』が同時上映されています。『モアナと伝説の海』の同時上映作『インナー・ワーキング』以来、5年ぶりの新作です。『ベイマックス』のザック・パリッシュが監督を務めました。 ある都会の街角で、ダンスによって若い頃の自分たちを取り戻す1組の老夫婦が主人公。「雨」が重要なモチーフとなっている点は、ラーヤ本編と同じですね!

ジブリの「ナウシカ」や「ラピュタ」に似てる?

『ラーヤと龍の王国』を観て、なんとなくジブリの『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』を思い出す人も多いよう。 というのも、ラーヤとナマーリの敵対関係がナウシカとクシャナに似ていたり、飛行石ならぬ龍の石を求めて人々が争うといった設定が近しいものを感じたり…といったところでしょうか。

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登場キャラクター&日本語吹き替え声優を紹介

ラーヤ/吉川愛

ラーヤと龍の王国 ディズニー ラーヤ
©Walt Disney Studios Motion Pictures/Photofest/zetaimage

龍の石を守護する一族に生まれたラーヤは、ハート国の首長ベンジャの娘で勇敢な戦士。父を元の姿に戻すため、相棒のトゥクトゥクと5つの国を巡る旅に出ています。 ラーヤの日本語版声優を務めたのは、女優の吉川愛。2021年はNHK連続テレビ小説『おちょやん』に出演し、ヒロインを務める映画『ハニーレモンソーダ』の公開も控えています。

最後の龍 シスー/高乃麗

500年前にクマンドラを救った、特別な力を持つといわれる最後の龍。ラーヤによって呼び覚まされ、ともに龍の石の欠片を探す旅に出ます。魔法の力で人間の姿になることもできます。 シスーの日本語版声優を務めたのは、声優の高乃麗(たかの うらら)。代表作はテレビアニメ『爆転シュート ベイブレード』の火渡カイ役や『魔法陣グルグル』のギップル役など。軽快な語り口でシスーを演じています。

父親 ベンジャ/森川智之

ラーヤと龍の王国 ディズニー ラーヤ ベンジャ
©Walt Disney Studios Motion Pictures/Photofest/zetaimage

ラーヤの父親で、ハート国の首長を務めるベンジャ。5つの国を1つにまとめ、クマンドラの復興を夢見ています。 ベンジャの日本語版声優を務めたのは、声優の森川智之。代表作は『犬夜叉』の奈落役や『戦国BASARA』の片倉小十郎役など。「スター・ウォーズ」シリーズではオビ=ワン・ケノービの日本語吹き替えを担当しました。

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ナマーリ

ラーヤと龍の王国 ディズニー ナマーリ
©Walt Disney Studios Motion Pictures/Photofest/zetaimage

ファング国の首長ヴィラーナの娘で、龍の石を狙うラーヤの宿敵。6年前にラーヤを裏切って、龍の石がバラバラになるきっかけとなった人物です。 ラーヤに匹敵するほどの戦力を持つ戦士であり、石を探すラーヤを付け回しています。その反面、実は龍に対して強い憧れを持っています。

トゥクトゥク

ラーヤと龍の王国 ディズニー トゥクトゥク
©Walt Disney Studios Motion Pictures/Photofest/zetaimage

見た目はアルマジロのようで、固い殻を持つ動物。ダンゴムシのように体を丸めることができます。ラーヤが幼い頃は手のひらサイズでしたが、彼女を背中に乗せて走れるほどの巨体に成長。ひとりぼっちだったラーヤの親友です。

ノイ

タロン国に住む2歳の女の子ノイ。半分ナマズで半分猿の動物「オンギ」3匹と窃盗団を組んでいます。可愛い顔で窃盗を働く技は凄腕。ドルーンによって両親を失っており、オンギたちに育てられています。

ブーン

テール国の港でエビ獲りボートを営む10歳の少年ブーン。シェフ兼船長で、作る料理も美味しくて豊富。商魂たくましく、ラーヤの取引に応じて協力するようになります。ブーンもドルーンによって家族を失っています。

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トング

スパイン国の巨体の戦士トング。初めはラーヤとシスーを捕えますが、実は優しい性格。ドルーンによって国の仲間をすべて失い、1人で孤独な暮らしを送っていました。最後にラーヤの仲間に加わります。

「ベイマックス」の監督×「モアナ」のプロデューサーがタッグを組む

『ベイマックス』
© Walt Disney Studios Motion Pictures

『ラーヤと龍の王国』にはディズニーの人気作品を手掛けたヒットメーカーたちが集結しました。 監督を務めるのは、映画『ベイマックス』(2014年)でアカデミー賞長編アニメーション賞を獲得した監督ドン・ホールと、『ブラインドスポッティング』(2018年)のカルロス・ロペス・エストラーダ。 またプロデューサーは『モアナと伝説の海』のオスナット・シューラーと、「アナと雪の女王」シリーズのピーター・デル・ヴェッコが務めます。

『ラーヤと龍の王国』はディズニープラスでも配信中!

2021年3月5日に公開したディズニー新作『ラーヤと龍の王国』。本作は劇場公開と同日の17時から、ディズニーの動画配信サービス「ディズニープラス」のプレミアアクセスでも配信がスタートしています。

映画『ラーヤと龍の王国』に隠された現代に響くメッセージ【ディズニー新作】

『ラーヤと龍の王国』
© 2021 Disney

ディズニーの新作『ラーヤと龍の王国』は、新しいディズニーを感じさせる要素がたくさん!東南アジアをモデルにした舞台や新時代のヒロインなど、見どころもたっぷりです。ラーヤの活躍をぜひ劇場でご覧ください!