2025年7月24日更新

映画『サマーウォーズ』の「OZ(オズ)」とは?どれぐらい実現した?5つのポイントから検証してみた!

このページにはプロモーションが含まれています
『サマーウォーズ』
©2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

AD

映画『サマーウォーズ』の仮想世界「OZ」を解説!実現度はどれくらい?

映画『サマーウォーズ 』に登場する、世界中の人々が集うインターネット上の仮想世界「OZ」。そこではゲームから行政手続きまで、あらゆるサービスが利用できるようになっています。 しかしあるとき「OZ」に不具合が発生し、世界は大混乱に。その犯人と報道されてしまった高校生の健二は、あこがれの先輩・夏希の彼氏を装って、彼女の曾祖母の誕生日会に招かれていたところでした。 彼は夏希の家族の協力を得て、田舎の武家屋敷から世界滅亡の危機に立ち向かうことになります。 2009年の公開当時、「OZ」の存在はまだまだ空想の域を出ませんでした。しかしそれから15年以上が経った2025年現在。いったい「OZ」の世界観はどのくらい実現されているのでしょうか?5つの観点から検証していきましょう!

仮想空間「OZ」ってどんなサービス?アバターを作って遊び回れる

『サマーウォーズ』
(C)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

「OZ」は世界中の人々が集うインターネット上の仮想世界です。インターネットに接続することができれば、携帯電話はもちろんテレビやゲーム機など、さまざまなデバイスから利用可能。 利用者は「アバター」という自分の分身となるキャラクターを設定して、現実世界と変わらない生活をネット上で送れるようになります。 「OZ」ではゲームやスポーツおよびスポーツ観戦、日用品から高級ブランドまでを扱うショッピング、世界中のあらゆる企業が関わるビジネス、行政手続きなど、日常生活のありとあらゆるサービスを提供。 現実の生活のほぼすべてがインターネット上で完結できるようになっており、世界中で子どもからお年寄りまで、10億人以上の人がアカウントを保有しています。

AD

「OZ」の実現度を徹底検証!インターネットですべてが完結する世界に

人それぞれのアバターで遊べる

実現度★★★★★

「OZ」を利用するために必要になるのが、自分の分身であるアバターです。服、ヘアスタイル、しっぽなど、思いのままに着せ替えすることができます。 作中では、ネズミのような耳のついた健二のアバターや、佳主馬のアバターであるウサギ型のキングカズマ、袴姿のリスの少女の姿をした夏希のアバターなどが登場しました。 現実にもアバターを設定できるインターネットのサービスは多くあり、これはすでに実現されています。アバターを使って交流することを目的としたサービスやアプリ、ゲームが数多くあり、世界中の人がなんらかのサービスでアバターを使用していると言っていいでしょう。 またさまざまなアバター作成サイトやアプリがあり、SNSのプロフィール画像にアバターを設定する人も多くいます。

仮想空間上でのeスポーツの開催

実現度★★★★☆

インターネットを通じて世界中の人と対戦できるオンラインゲームも、現在では実現されてきています。知り合いとの協力プレイはもちろん、ほかの国の人と対戦・共闘することも可能になりました。 作中で佳主馬が参加していたような格闘ゲームや、夏希が勝負をかけた花札のようなカードゲームだけでなく、チェスなどのボードゲーム、スコアを競うシューティングゲームやパズルゲーム、そしてRPGなど、さまざまなジャンルのゲームが、オンラインで顔も知らない相手とプレイできるようになっています。 なかにはeスポーツと呼ばれ、世界大会が開催されるゲームタイトルも増えたことで、「OZ」のような世界が現実のものとなってきました。2010年以降、eスポーツは競技人口も観戦者も増え、急成長している最中です。

AD

自動翻訳機能での交流

実現度★★★☆☆

作中では「OZ」には自動翻訳機能が備わっており、世界中のあらゆる言語が瞬時に翻訳される設定になっています。 一見コンピュータの得意そうな自動翻訳ですが、現実では、その実現は意外にもまだ発展途上と言えます。SNSやインターネットブラウザで翻訳機能は提供されていますが、その精度はまだイマイチと言わざるを得ないでしょう。 人間の書く言葉や話す言葉は、必ずしも正しい文法で構成されているわけではありませんし、1つの単語に複数の意味がある場合も多いため、自動翻訳では、そういった点がネックになっているようです。

インターネットでの個人情報管理

実現度★★☆☆☆

「OZ」の世界ではアバターが現実の人間に紐付いており、その個人情報もネット上で管理されています。例えば、夏希の親戚で消防士の陣内邦彦のアバターには、現実世界の緊急発動令を「OZ」から発令できるなど、仕事においても欠かせない存在になっているのです。 現実世界では、インターネットを利用する際の個人情報の管理・保護が課題となっています。個人情報が漏洩すると、人々の生活や財産を脅かす危険性があるからです。特に行政手続きや納税のような公的なサービスは、その取り扱いに厳重な注意が必要になります。 作中の「OZ」は高度なセキュリティを謳っていましたが、それが破られたことにより、個人の生活だけではなく、社会全体に混乱を引き起こしました。

AD

プログラミングされたAIによる脅威

実現度★★★☆☆

AI(人工知能)は作中でも、現実の世界でも、実現に向けて研究が進められています。『サマーウォーズ』に登場した人工知能「ラブマシーン」は、高度な学習機能に学習意欲を持ち合わせていたため、手当り次第にほかのアバターを吸収していきました。 そしてそれらのアバターには現実の人々の個人情報が組み込まれていたため、ライフラインや公的なサービスに従事する人々のアカウントを通じて、世界が乗っ取られることに。 実は現実でも自動学習機能をもつAIが“なにを学ぶか”が問題になったケースがあります。2016年には、米マイクロソフトが開発したAI「Tay」が差別発言をくり返し、機能を停止させられる騒動が起きました。 しかし、そこからAIは目覚ましい進歩を遂げ、2025年現在はChatGPTなど様々なAIサービスが広く普及しています。これらのサービスは質問に答えるだけでなく、プログラミング生成をはじめとする簡易的な仕事をこなすことも可能。 そのうえ、口調を自分好みにカスタマイズし、友人に語りかけるように相談することもできます。AIにはまだ実体がないものの、人と会話できるレベルにまで進化しているのです。 ただ、提供してくる情報に誤りが含まれていることも少なくありません。とても便利で使い勝手がいい反面、頼りすぎると痛い目を見る危険性があるのも確か。人々の生活に深く入り込んできたぶん、AIのせいで大きな混乱が起きる可能性は着実に上昇しています。

AD

【結論】まだまだ「OZ」の世界が実現するには程遠いかも?

『サマーウォーズ』
©2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

ここまで映画『サマーウォーズ』に登場した仮想世界「OZ」の実現性を、アバター、eスポーツ、自動翻訳、個人情報の管理、AIの5つの視点から紹介しました。 一部はすでに現実になっているものの、まだまだ技術的な課題やプライバシーの問題に関わる点が多く、実現にはまだ遠いようです。 「OZ」の世界は確かに便利で楽しそうではありますが、こうした懸念点から、技術的には可能でも実現はしないということもありうるかもしれません。 しかしそう遠くない未来に懸念点が解消され、インターネットが生活のベースになる時代がやってくるのではないでしょうか。

「OZ(オズ)」名前の由来は?

「OZ」は『オズの魔法使い』からとったのではないかという説が一部にありますが、これは誤りです。 OZの名前の由来は、実は細田守監督が昔東映アニメーションで働いていた際に、その近くにあったスーパーの名前「LIVINオズ」から取ってきているのだそう。当時、監督は家と仕事場とスーパーを往復する生活を送っていたそうで、なんでもある夢のような場所「オズ」だったそうです。

OZの世界を作ったデザイナーは誰?

サマーウォーズ OZ
©2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

ポップで親しみのあるデザインでありながら、色彩豊かで独創性もあるOZの世界。その大枠を作り上げたのは、映画などのセットデザイナーとして活躍している上條安里(じょうじょうあんり)です。 もともとはテレビCMの美術をしていましたが、1996年に『7月7日、晴れ』で映画の美術に初参加。それ以降は映画美術のトップランナーとして活躍し続けています。

AD

上條安里氏が美術を担当した作品は?

竜とそばかすの姫 場面写真6
(C)2021 スタジオ地図

上條安里は『サマーウォーズ』以外の細田守作品にも携わっており、『竜とそばかすの姫』『バケモノの子』『おおかみこどもの雨と雪』で美術設定を担当しています。 さらに、実写映画でもその手腕を発揮。『ALWAYS 三丁目の夕日』や『DESTINY 鎌倉ものがたり』など、多くの人を感動させた名作の世界観を作り上げています。また、海外でも大きな話題になった『ゴジラ-1.0』にも参加しており、上條は本作で第47回日本アカデミー賞最優秀美術賞を獲得しました。

映画『サマーウォーズ』OZ(オズ)の由来やデザイナーも解説

インターネット上の仮想世界でのAIの暴走により、現実世界が脅かされる『サマーウォーズ』。 AIによって現実世界が脅威にさらされるのは困りますが、仮想世界が実現する可能性もあるかもしれません。 本来意図された「OZ」のような、楽しく便利な世界であれば、ぜひ利用したいですね。