2025年7月19日更新

『サマーウォーズ』栄おばあちゃんの死因や名言を解説!電話でみんなを励ます陣内栄は何者?

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『サマーウォーズ』
©2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

細田守の代表作であり、夏の代名詞的存在でもある映画『サマーウォーズ』。本作に登場するヒロインの曾祖母・陣内栄は非常に魅力的なキャラクターです。暴走するAI「ラブマシーン」との対決において、健二や陣内家を団結させたキーパーソンとなりました。 この記事では、大家族を束ねる「栄おばあちゃん」の死因や名言、侘助との複雑な関係などを深堀りしてみました!

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『サマーウォーズ』栄おばあちゃんは何者?

『サマーウォーズ』陣内家家系図
©︎ciatr All Rights Reserved
名前 陣内栄
年齢 89歳
生年月日 1920年(大正9年)8月1日
趣味 古武道、花札、ガーデニング
陣内家での立ち位置 第16代当主

戦国時代は真田家に仕え、当主から曾孫の代まで4世代にわたる「陣内家」。栄は陣内家の16代目当主で、大家族を束ねる存在です。 3人の子どもと孫たち、そして養子の侘助にも慕われており、彼女の誕生日には、彼女を祝うために親戚一同が実家に集まってきます。 肝の座った性格で、何事にも動じない栄おばあちゃん。彼女のそんな性格も、多くの人達から信頼を寄せられる理由なのではないでしょうか。

栄おばあちゃんの影響力がすごい!

元教師である栄おばあちゃんの教え子には、政治家や官僚などの実力者が数多くいます。また幅広い人脈があり、彼女の鶴の一声で国を動かすこともできるのだとか! 仮想空間「OZ」がAI「ラブマシーン」に乗っ取られたとき、栄おばあちゃんは関係各所の知り合いを電話で励まし、混乱の沈静化に大きく貢献しました。 彼女の電話帳が映るシーンでは、少なくとも20人以上の名前と電話番号、住所が書かれており、最後のお葬式のシーンでは100人以上と思われるとんでもない人数が参列していたことから、その影響力は計り知れないものだったと思われます。

【死亡】栄おばあちゃんの死因はOZの停止と関連している?

『サマーウォーズ』
©2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS
死因 狭心症による心肺停止

栄はOZの混乱が収束した翌日、7月31日の早朝に誕生日を待たず亡くなります。健二に花札(こいこい)勝負を持ちかけ、「夏希を頼む」と頼んだのが生前最後の姿でした。 彼女の死因とされているのは、持病の「狭心症」による心肺停止。三男の万作は内科医として働いているため、栄の体調管理を任されていました。心肺に異常がみられた際は、彼の携帯のアラームが鳴るように設定されていたのです。 しかしOZの機能が停止していた影響を受け、万作は栄の異変を把握できませんでした。適切な治療を受けられていたら、彼女は助かっていたかもしれません。 劇中のターニングポイントとなる“栄の死”ですが、本来は死ぬ予定ではなかったそうです。

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栄おばあちゃんは遺言で伝えたかったこととは?

栄おばあちゃんは、遺言で「家族同士、手を離さぬように。人生に負けないように。もし、つらい時や苦しい時があっても、いつもと変わらず、家族みんなそろってご飯を食べること。」と書き遺しています。彼女は家族はどんなときでもそばにいるということを伝えたかったのではないでしょうか。 そして家族の誰かに大変なことが起こっても、ほかのみんなにそばにいてやるように言いたかったのかもしれません。 人にとって最初の人間関係は家族です。その家族を大事にしていれば、ほかの人のことも大事にできるのではないでしょうか。そうすれば、栄おばあちゃんのように、幅広い人脈を築くこともできるかもしれません。

【秘話】細田守監督は「おばあちゃんの死」を描くつもりではなかった?

『サマーウォーズ』は、細田守作品で初めて「人の死」が描かれた映画として有名です。 東映アニメーションに在籍した影響か、細田監督は「(子どもが観る作品で)人の死を描かない」というポリシーがあり、本作は苦悩の末に生まれました。製作当時、監督自身の祖母の健康状態が思わしくなかったのも、栄を死なせたくない、と考える一因だったとか……。 それまでの経験上、“製作中の作品と現実がリンクする”ジンクスを信じており、栄と祖母がリンクしてしまうかも?と恐れたそうです。 しかし監督として、陣内家の団結という観点から栄の死には必然性があると判断し、泣く泣く設定を変更しました。一般的に89歳は大往生ですし、死後に授乳など生命の循環を暗示するようなシーンがあることからも、彼の死生観が読み取れるでしょう。 本作は2009年8月に公開されましたが、その直前の7月に母が、半年後には祖母が亡くなり、不本意な形で監督のジンクスが証明されました。

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【名言】栄おばあちゃんの心に残るセリフ集

①「大事なのは、昔のように人と人とが声を掛け合って、コミュニケーションを取ること」

栄はOZの混乱による被害を最小限にすべく、知り合いの実力者に片っ端から電話をかけ「まあ、まずは落ち着きなさい」と語りかけました。相手は栄から「あんたなら出来る」と言われることで奮起しており、カリスマ性の高さに驚かされます。 「諦めないことが肝心だよ」などと言うだけは簡単ですが、数百年続く陣内家の当主で、大家族を率いる栄だから重みが違いますね。 特に全ての電話が終わった後の「大事なのは、昔のように人と人とが声を掛け合って、コミュニケーションを取ること」という台詞は、彼女のキャラクター像が凝縮されていると言えるでしょう。

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教師時代から人望の厚い人だったことがわかるシーン。政治家や実力者にそんな簡単に電話で連絡取れて、叱咤激励するなんて、なかなかできない。それでみんなちゃんと奮闘してるんだからすごい。

②「身内の不始末は身内で片付けるよ!」

侘助が「ラブマシーン」の開発者だとわかったとき、彼に薙刀を突きつけて言った一言。その迫力はさすが武士の家系といったところでしょうか。栄おばあちゃんの肝の座った性格と、厳しくも“身内で一致団結しよう”という家族への信頼が伝わってくる一言です。 このあと陣内家はまさに一致団結し、打倒「ラブマシーン」のために仮想空間「OZ」のなかで、それぞれの得意分野を活かして戦っていきます。

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栄おばあちゃん、かっこいい!夏希が将来は栄おばあちゃんみたいになりたいとあこがれるのも納得。この叱咤激励が家族を1つにしたんだね。

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③「1番いけないのは、お腹がすいていることと、1人でいることだから。」

栄の葬儀は誕生日当日に行われ、遺品を整理していた夏希が遺言状を見つけました。 その手紙の終盤では「家族同士、手を離さぬように。人生に負けないように。」と諭し、“いつも家族そろってご飯を食べること”と強調。その後に「1番いけないのは、お腹がすいていることと、1人でいることだから」と付け加え、「たいへん幸せでした」と締めくくりました。 侘助が帰国する前に書かれた内容ですが、高齢になり持病もあることから死期を悟っていたのかもしれない、と思うと切ないものがありますね。財産は残せない(前当主が食いつぶした)代わりに、たくさんの絆を遺した彼女らしい言葉の数々に、とても感動する遺言状でした。

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最後まで侘助のことを気にかけていたんだね。侘助を1人にさせないように、夏希にも言い聞かせていたみたいだし。家族が仲良くいることは、一緒に食卓を囲むことで維持されるのかも。

おばあちゃんと侘助の意外な関係は?

陣内侘助は栄の夫で前当主の陣内徳衛(故人)と、妾との間に生まれた不義の子です。 しかし栄は彼を自分の養子として迎え、本当の息子のようにして育ててきました。生い立ちが原因で夏希を除く親戚との折り合いは悪いものの、栄のことは慕っている侘助。彼の携帯のパスワードは、栄の誕生日「0108」(海外表記)だと判明しています。 侘助は10年間も音信不通だった上に、ラブマシーンの暴走に悪びれる様子もなかったため、半ば喧嘩別れのような形になった2人。しかし、AIの開発と売却の目的のひとつは栄への親孝行だったようで、おそらく「ばあちゃんに恩返しが出来る」という台詞自体は本心です。 栄の遺言状には「侘助が帰ってきたら、畑の野菜を思いっきり食べさせて」と書かれており、いつも互いを想っていたことが伺えますね。

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【声優】栄おばあちゃんを演じたのは富司純子

陣内家の大黒柱だった栄の声優を務めたのは、日本を代表する名女優・ 富司純子です。 若手時代は東映のスターとして活躍し、「緋牡丹博徒」シリーズなどの任侠映画で活躍。朝ドラ『てっぱん』(2010年)でも、ヒロインのおばあちゃん役で人気を博しました。声優は本作が初挑戦でしたが、『海獣の子供』(2019年)でも再び声優を務めています。

『サマーウォーズ』栄おばあちゃんの活躍にもう1度目を向けよう

今回は『サマーウォーズ』に欠かせないキーパーソン、陣内栄の活躍に迫ってみました。 作品テーマである人との繋がり、家族の大切さの象徴となった栄おばあちゃん。ある意味ではデジタルに傾倒した社会が死因とも言え、様々なことを考えさせられます。いざという時に頼れるのはお金でも名誉でもなく、過去に築いた“人との絆”なのです。 人間関係の希薄化やデジタル化が進む現代人こそ、彼女に学ぶものがあるかもしれません。

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