『おおかみこどもの雨と雪』お父さんの死因を3つの説から徹底考察!名前の秘密や声優は?
『おおかみこどもの雨と雪』お父さんの死因や名前を徹底考察【ネタバレ注意】
『おおかみこどもの雨と雪』は、『時をかける少女』(2006年)や『サマーウォーズ』(2009年)などで知られる細田守監督の長編アニメーション映画です。本作では、「おおかみおとこ」との間に生まれた子どもを育てるシングルマザーと、さまざまな問題や葛藤を乗り越えて成長する子どもたちの姿が描かれます。 この記事では物語の重要人物である「おおかみおとこ」について、その死因や名前などを考察していきます。 ※この記事には本編のネタバレが含まれます。未鑑賞の方はご注意ください。
「おおかみおとこ」であるお父さんの正体は?
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— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) March 24, 2017
雨と雪の父親は、100年前に絶滅したと言われるニホンオオカミの末裔で、子どもたちが生まれるまでは最後のオオカミ男でした。 彼は自身の父親から、自分たちの正体は周囲に知られてはならないと言われていたそうです。その後、人間の親戚に引き取られ苦労して大人になったのだとか。そのため、彼はほとんど人間として生きてきたと考えられます。 田舎で育った彼は大人になって都会に出てきたものの、主人公である花に出会うまでは隠れるように暮らしていました。
切なすぎる……お父さんはなぜ亡くなってしまったのか?
花とともに子どもたちを育てていた「おおかみおとこ」は、ある日突然姿を消してしまいました。その後ある雨の日に、花は玄関に彼が買ってきた食料品と財布が入ったビニール袋が置かれてることに気がつきます。 彼がまだそばにいると考えた花は、「おおかみおとこ」を探しに出かけることに。そしてオオカミの姿で水路に横たわっている彼を見つけます。そのとき彼はすでに息絶えており、袋に入れられてゴミ収集車で回収されてしまいました。 泣き崩れる花の姿が描かれ、非常に切ないシーンですが、一体彼はなぜ死んでしまったのでしょうか。ここでは、3つの説を紹介します。
死因考察①:狼としての寿命説
野生のオオカミの寿命は5年くらいで、飼育下では15年ほどだと言われています。「おおかみおとこ」は普通のオオカミとは違うので、寿命はもっと長いのかもしれませんが、人間ほどではなかったのかもしれません。 彼がオオカミとしての年齢ではいくつくらいだったのか、また人間としては何歳くらいだったのかはわかりませんが、寿命で亡くなった可能性も考えられます。 また動物は人間に死に際を見せないと言われているため、死期を悟った彼が花や子どもたちに顔を見せることなく去っていった可能性もあるのではないでしょうか。彼が食料品とともに財布を置いていったのは、もう人間として生きることはないと考えていたからかもしれません。
死因考察②:ハンターによる狙撃説
雪の語る「父親が出ていった理由」
彼が亡くなった現場には、キジのものと思われる羽がたくさん舞っていました。子どもたちが生まれる前に、彼は花のためにキジを狩ってきたことがあったので、亡くなる前にもやはり狩りをしていた可能性が考えられます。 雪によるナレーションでは、「その日父が何を考えていたかはわかりません。赤ん坊のために狩りをする本能が働いたのかもしれませんし、産後すぐの母に滋養のあるものを食べさせようとしたのかもしれません」と語られており、彼女は父親が狩りをしていたことはほぼ確実と見ているようです。 彼らが暮らしていたのは街中だったため、狩りをするには山まで出かけなければならないでしょう。山で狩りをしていた彼は、ハンターに狙撃されて命を落としたのかもしれません。
狙撃説は有力ではない?
しかしこの説は、彼が亡くなった場所や家族が住んでいた場所、そして映像から読み取れる状況を考えると、少し無理があるように思えます。 劇中では、彼の遺体があった現場は街中の水路で、周囲には少しの野次馬とゴミ収集車、そしてその職員しかおらず、それほど騒ぎにはなっていない様子でした。ハンターに狙撃されたのであれば、撃ったハンターもその場にいるでしょうし、警察も出動していてもおかしくありません。 ハンターが街中で発砲するということはまずありえませんし、オオカミの姿で山から逃げてきたのであれば、もっと騒ぎになっているのではないでしょうか。
死因考察③:事故死・溺死説
最も一般的で有力とされている彼の死因は、事故で亡くなったという説です。 雪の言う通り、現場にキジの羽が舞っていたことから、彼が狩りをしていたのはほぼ確実でしょう。その帰りになんらかの事故で誤って水路に落ちてしまい、溺死したのではないでしょうか。 また、買い物をしたあとに狩りに出たのだとしたら、財布を置いていった理由も説明がつきます。
彼の死亡はストーリー上なくてはならないものだった?
本作は、シングルマザーの花が普通の人間とは違う雨と雪を育てるために奮闘する物語です。花はたいへんな苦労をして2人を育てますが、その様子や苦労、そして深い愛を描くためには「おおかみおとこ」の死はストーリー上なくてはならないものだったのでしょう。 もし彼が生きていて、花とともに子どもたちを育てることができていたとしたら、まったく違う物語になっていたはずです。
なぜ「狼男」ではなく「おおかみおとこ」?人間としての名前も考察
父親の人間像を表す「おおかみおとこ」という名前
雨と雪の父親の名前はわかっていません。エンドロールでは「彼(おおかみおとこ)」となっています。ではなぜ「狼男」でも「オオカミ男」でもなく、ひらがなの「おおかみおとこ」なのでしょうか。 その理由について細田守監督は、これまでよく見られた表記とひらがなとでは、字面から受けるイメージが全然違うとしています。 2013年のマイナビニュースのインタビューでは、「全部ひらがなだと、ものすごく優しくて、思い遣りのある感じがしますよね?全部をひらがなにすることで、これまでとは違った狼男像ができあがり、そこからさらに広がる物語があるんじゃないかなって」と語っています。 たしかに、「おおかみおとこ」のほうが優しくかわいらしい印象になりますね。
人間としての名前がエンディング曲に隠されている?
「おおかみおとこ」の名前は劇中で言及されていませんが、彼の運転免許証が映るシーンから、下の名前は漢字1文字であることがわかります。花や雪、雨と同じですね。 実はエンディング曲「おかあさんの唄」の歌詞に、彼の名前が隠されているのではないかと言われています。この歌には本作のメインキャラクターの名前が織り込まれている1節があり、そこにお父さんの名前も含まれているのではないかと考えられているのです。 「雪を駆け 雲を数え 雨に遊び 風に吹かれて 花に埋もれ 草笛鳴らそう 四本足で 二本の足で」というこの1節には「雪」、「雨」、「花」そして草平を示すと思われる「草」という言葉が入っています。このなかにお父さんの名前が含まれているとしたら、「風」か「雲」になるのでは、と言われています。 「おかあさんの唄」は、細田守監督自身が作詞しているので、その可能性はあるかもしれません。
『おおかみこどもの雨と雪』お父さんの声優を務めたのは大沢たかお
狼男ではなくオオカミ男でもなく「おおかみおとこ」。このひらがなの言葉こそ、優しくて柔らかい彼の名前のようなものなのだといいます。ちなみに、彼の声は大沢たかおさんが演じています。 「おおかみこどもの雨と雪」放送中です! #花 pic.twitter.com/1sH1dxwlUu
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) July 10, 2015
本作で「おおかみおとこ」の声優を務めたのは、大沢たかおです。彼は、ドラマ「JIN-仁-」シリーズや映画『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)、『藁の楯』(2013年)、『キングダム』(2019年)など、数々の映画やドラマへの出演で知られています。 彼にとって本作は、吹替以外で初めて声優を務めたアニメ映画となりました。
お父さんの死から運命が動き出す『おおかみこどもの雨と雪』
『おおかみこどもの雨と雪』のお父さんの死因や名前について考察してきました。どちらも公式には言及されていませんので、あくまでも推測の域を出ませんが、こうしていろいろな可能性を考えるのも楽しいのではないでしょうか。 子どもに対する母の深い愛を描く『おおかみこどもの雨と雪』は、父親である「おおかみおとこ」の死から物語が加速していきます。しかしそこまでで描写される彼の優しさやおだやかさにも注目したいですね。