『おおかみこどもの雨と雪』お父さんの死因・名前を考察!隠された切ない背景とは?
『おおかみこどもの雨と雪』父(彼)の正体は?
「おおかみこどもの雨と雪」ついに今夜9時から本編ノーカットでお届けしますぅー????今朝も袴姿の大学生を見かけました????卒業式シーズンですね????そんな人生の“巣立ち”の時、皆さんは誰を思い出しますか?今日は是非、大切な人と一緒にご覧ください✨#kinro #おおかみこどもの雨と雪 #卒業式 pic.twitter.com/FE4c3aeFVj
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) March 24, 2017
雨と雪の父親は、100年前に絶滅したと言われるニホンオオカミの末裔で、子どもたちが生まれるまでは最後のオオカミ男でした。 彼は自身の父親から、自分たちの正体は周囲に知られてはならないと言われていたそうです。その後、人間の親戚に引き取られ苦労して大人になったのだとか。そのため、彼はほとんど人間として生きてきたと考えられます。 田舎で育った彼は大人になって都会に出てきたものの、主人公である花に出会うまでは隠れるように暮らしていました。
お父さんはなぜ死亡した?死因を考察
花とともに子どもたちを育てていた「おおかみおとこ」は、ある日突然姿を消してしまいました。その後ある雨の日に、花は玄関に彼が買ってきた食料品と財布が入ったビニール袋が置かれてることに気がつきます。 彼がまだそばにいると考えた花は、「おおかみおとこ」を探しに出かけることに。そしてオオカミの姿で水路に横たわっている彼を見つけます。そのとき彼はすでに息絶えており、袋に入れられてゴミ収集車で回収されてしまいました。 泣き崩れる花の姿が描かれ、非常に切ないシーンですが、一体彼はなぜ死んでしまったのでしょうか。ここでは、3つの説を紹介します。
死因考察①:狼としての寿命説

野生のオオカミの寿命は5年くらいで、飼育下では15年ほどだと言われています。「おおかみおとこ」は普通のオオカミとは違うので、寿命はもっと長いのかもしれませんが、人間ほどではなかったのかもしれません。 彼がオオカミとしての年齢ではいくつくらいだったのか、また人間としては何歳くらいだったのかはわかりませんが、寿命で亡くなった可能性も考えられます。 また動物は人間に死に際を見せないと言われているため、死期を悟った彼が花や子どもたちに顔を見せることなく去っていった可能性もあるのではないでしょうか。彼が食料品とともに財布を置いていったのは、もう人間として生きることはないと考えていたからかもしれません。
死因考察②:ハンターによる狙撃説

雪の語る「父親が出ていった理由」
彼が亡くなった現場には、キジのものと思われる羽がたくさん舞っていました。子どもたちが生まれる前に、彼は花のためにキジを狩ってきたことがあったので、亡くなる前にもやはり狩りをしていた可能性が考えられます。 雪によるナレーションでは、「その日父が何を考えていたかはわかりません。赤ん坊のために狩りをする本能が働いたのかもしれませんし、産後すぐの母に滋養のあるものを食べさせようとしたのかもしれません」と語られており、彼女は父親が狩りをしていたことはほぼ確実と見ているようです。 彼らが暮らしていたのは街中だったため、狩りをするには山まで出かけなければならないでしょう。山で狩りをしていた彼は、ハンターに狙撃されて命を落としたのかもしれません。
狙撃説は有力ではない?
しかしこの説は、彼が亡くなった場所や家族が住んでいた場所、そして映像から読み取れる状況を考えると、少し無理があるように思えます。 劇中では、彼の遺体があった現場は街中の水路で、周囲には少しの野次馬とゴミ収集車、そしてその職員しかおらず、それほど騒ぎにはなっていない様子でした。ハンターに狙撃されたのであれば、撃ったハンターもその場にいるでしょうし、警察も出動していてもおかしくありません。 ハンターが街中で発砲するということはまずありえませんし、オオカミの姿で山から逃げてきたのであれば、もっと騒ぎになっているのではないでしょうか。
死因考察③:事故死・溺死説
最も一般的で有力とされている彼の死因は、事故で亡くなったという説です。 雪の言う通り、現場にキジの羽が舞っていたことから、彼が狩りをしていたのはほぼ確実でしょう。その帰りになんらかの事故で誤って水路に落ちてしまい、溺死したのではないでしょうか。 また、買い物をしたあとに狩りに出たのだとしたら、財布を置いていった理由も説明がつきます。
彼の死亡はストーリー上なくてはならないものだった?

本作は、シングルマザーの花が普通の人間とは違う雨と雪を育てるために奮闘する物語です。花はたいへんな苦労をして2人を育てますが、その様子や苦労、そして深い愛を描くためには「おおかみおとこ」の死はストーリー上なくてはならないものだったのでしょう。 もし彼が生きていて、花とともに子どもたちを育てることができていたとしたら、まったく違う物語になっていたはずです。
お父さんの亡骸はゴミ収集車へ⋯⋯一体なぜ?
水路から引き上げられ、回収される夫を見つけた花は、急いでゴミ収集員のもとへ駆け寄りました。しかし、「私の主人です」と名乗り出れば、おおかみおとこの秘密が暴かれてしまいます。花は、愛する夫が“ゴミ”として無情に運ばれていくのを、ただ見つめることしかできませんでした。 ゴミで運ばれる描写は、現実の法律も反映しています。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第二条では、動物の死体も「廃棄物」と定義されており、ゴミ収集車で回収すること自体は、現実世界でも珍しいものではないのです。 また、物語として「人間ではないからゴミとして処分される」という現実が、「人間」か「動物」のどちらかとしてしか生きられないという悲痛さを、観客に強く突きつけています。
なぜ「狼男」はひらがな?「彼」から伝わる人間性
作中では名前が出てこない<彼>、どうして名前がないのでしょうか…
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) July 2, 2021
細田監督は熟考の末、花にとってかけがえのないほどに重要で、それ以外に存在しない「THE・彼」なのだという結論に至ったそうです。続く#おおかみこどもの雨と雪 #金曜ロードショー #細田守 pic.twitter.com/uTwn1vb8ND
雨と雪の父親の名前はわかっていません。エンドロールでは「彼(おおかみおとこ)」となっています。ではなぜ「狼男」でも「オオカミ男」でもなく、ひらがなの「おおかみおとこ」なのでしょうか。 その理由について細田守監督は、これまでよく見られた表記とひらがなとでは、字面から受けるイメージが全然違うとしています。 2013年のマイナビニュースのインタビューでは、「全部ひらがなだと、ものすごく優しくて、思い遣りのある感じがしますよね?全部をひらがなにすることで、これまでとは違った狼男像ができあがり、そこからさらに広がる物語があるんじゃないかなって」と語っています。 また、最初の段階で役名をつけずに進めたところ、「おおかみおとこ」の優しい雰囲気、そして花にとってかけがえのない唯一無二の「彼」よりも適した名前が思いつかず、そのまま役名なしの「おおかみおとこ」となった、と講演会で語っていたそうです。
「おおかみおとこ」知られざる本名は?免許証から考察
苗字は「伊賀」?
おおかみおとこの苗字は明かされていません。しかし亡くなった後、花が彼の免許証を眺めるシーンが登場しました。免許証から「漢字2文字の苗字」と「漢字1文字の名前」で構成されていると分かります。 さらに、潰れた字体ではありますが「伊◯」と読み取れることから、「伊賀」ではないかという説が濃厚です。根拠として、彼が素性を隠してひっそりと生きてきた姿が「伊賀忍者」を連想させる点や、劇中衣装のスタイリストの苗字が「伊賀」である点などが挙げられています。 一方、名前については、苗字以上に判読が難しくなるよう処理されており、該当シーンからの特定はほぼ不可能です。
人間としての名前がエンディング曲に隠されている?
実はエンディング曲「おかあさんの唄」の歌詞に、彼の名前が隠されているのではないかと言われています。この歌には本作のメインキャラクターの名前が織り込まれている1節があり、そこにお父さんの名前も含まれているのではないかと考えられているのです。 「雪を駆け 雲を数え 雨に遊び 風に吹かれて 花に埋もれ 草笛鳴らそう 四本足で 二本の足で」というこの1節には「雪」、「雨」、「花」そして草平を示すと思われる「草」という言葉が入っています。このなかにお父さんの名前が含まれているとしたら、「風」か「雲」になるのでは、と言われています。 「おかあさんの唄」は、細田守監督自身が作詞しているので、その可能性はあるかもしれません。
おおかみおとこの出身地は富山県?

出身地も免許証がヒントになっています。免許証の公安委員会番号が「50」であることから、交付場所が富山県だと判明。おおかみおとこの出身地が富山県であれば、その後に花が子どもを連れて富山で暮らし始めることも納得がいきます。 ちなみに細田守監督も富山県中新川郡上市町の出身です。劇中のモデルとなった「花の家」は、公開から10年以上経った2025年現在も、聖地として親しまれています。
『おおかみこどもの雨と雪』お父さんの声優を務めたのは大沢たかお

本作で「おおかみおとこ」の声優を務めたのは、大沢たかおです。大沢は、ドラマ「JIN-仁-」シリーズや映画『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)、『藁の楯』(2013年)、『キングダム』(2019年)など、数々の映画やドラマへの出演で知られています。
大沢たかおさんは、彼が《おおかみおとこ》の姿に変わる時、何かを変えたほうがいいのかを、監督に相談したそうです。でも実際にやってみたら、姿が変わったからというよりは秘密を言ったときの不安や、言わなきゃという気持ちがあって、自然と声が変わったんだそうです。#おおかみこども pic.twitter.com/gBo9a1dC22
— 【公式】『果てしなきスカーレット』@スタジオ地図 (@studio_chizu) March 24, 2017
本作は、大沢たかおが吹替以外で初めて声優を務めたアニメ映画となりました。
お父さんの死から運命が動き出す『おおかみこどもの雨と雪』

『おおかみこどもの雨と雪』のお父さんの死因や名前について考察してきました。 どちらも公式には言及されていませんので、あくまでも推測の域を出ませんが、こうしていろいろな可能性を考えるのも楽しいのではないでしょうか。 子どもに対する母の深い愛を描く『おおかみこどもの雨と雪』は、父親である「おおかみおとこ」の死から物語が加速していきます。しかしそこまでで描写される彼の優しさやおだやかさにも注目したいですね。


