映画『RRR』あらすじネタバレと感想解説!エンディングに登場した歴史の英雄たちはだれ?
2022年秋、最高に熱狂できるインド映画『RRR』(アールアールアール)が空前の大ヒット中!興行収入は10億円を突破し、いまだに上映館を増やし続けています。 インド映画史上最高製作費(97億円)をかけた壮大なスケール感と豪快なアクション映像、怒涛のストーリー展開で、興奮間違いなしです! この記事ではそんな『RRR』の全編あらすじや感想、時代背景をエンディングまでネタバレありで解説していきます!
タイトル | 『RRR』(読み方は「アールアールアール」) |
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公開日 | 2022年10月21日 |
上映時間 | 187分 |
映画『RRR』あらすじ
舞台は1920年、英国植民地時代のインド。ある日小さな村の少女が英国軍に連れ去られます。その行為に激怒した“野性を秘めた男”ビームは少女の捜索を開始。そこで英国側はインド帝国警察の“内なる怒りを燃やす男”ラーマに、ビームを片付ける任務を任せます。 やがてビームとラーマは出会いますが、お互いの素性と目的を知らぬまま親友に。ふたりは壮絶な戦いへと身を投じることになるのです。彼らが選ぶのは友情か、それとも使命か……? >感想を語りたい!レビュー解説はこちら
映画『RRR』結末までのネタバレ
【起】2人の男の出会い
1920年、英国統治下のインド。暴君スコット・バクストンと彼の妻キャサリンは、ゴンド族の少女マリを誘拐します。これに激怒した住民たちは暴動を起こし、それを鎮圧するために警察官のラーマは奮闘していました。 一方、村を守る屈強な男ビームは、マリを助けるために乗り込んだ先で列車事故に遭遇し、そこでラーマと知り合います。2人は力を合わせて、事故に巻き込まれた少女を助け出すことに成功。彼らに友情が芽生えました。
ラーマと交流する間にも、ビームはマリを救出するためにスコットの屋敷に侵入する計画を練ります。 そんなある日、ビームはスコットの姪ジェシーに一目惚れし、ラーマが2人の仲を取り持つことに。ジェシーに招かれたパーティで、2人は見事なダンスを披露。参加者全員を巻き込んだダンス対決は大いに盛り上がりました。
【承】お互いの正体を知った2人
ラーマとのダンス対決を制したビームは、ジェシーから屋敷に招待されました。彼はそこで監禁されたマリを発見し、必ず彼女を助け出すと誓います。 そのころラーマはビームの叔父を捕まえていました。彼を拷問し、ビームの正体と目的を知ったラーマは、戸惑いながらもビームを追います。
スコットの屋敷では、パーティの最中、トラなどの猛獣を乗せたトラックが突っ込んできます。混乱に乗じてマリを助け出そうとしたビームの前に、軍服を着たラーマが立ちはだかりました。 うろたえるビームとラーマは激しい肉弾戦をくり広げます。ビームはラーマに敗北し、マリも助けられず警察に捕まってしまいました。 ラーマはこの功績が評価されて昇進。そしてビームを鞭打ちの刑に処すために広場にやってきます。ラーマはビームにイギリスに従うか鞭打ちか選択させますが、ビームは鞭打ちを選びました。
【転】マリの救出と引き裂かれた友情
鞭打ちの最中、痛みに耐えながらビームは高らかに歌いはじめます。これに鼓舞された群衆が暴動を起こし、鞭打ちは中止に。 親友を裏切って昇進したことで葛藤していたラーマでしたが、ビームはまもなく処刑されようとしていました。そこで彼は、マリを救出することを決意します。 処刑当日、ラーマは処刑場に送られるビームにこっそりナイフを渡しました。道中でラーマが前もって仕掛けていた罠が作動し、混乱のなかマリを助け出すことに成功。しかしラーマはスコットに撃たれてしまいます。ビームはこのチャンスに乗じて縄を切って逃げました。 ラーマはビームを撃とうとしていた兵士から彼を守りますが、ビームはラーマがマリを殺しに来たと勘違いし、彼を打ちのめします。そしてマリとともに逃亡。 2人の行動はイギリスを怒らせる結果となり、住民たちへの締めつけはますます厳しくなりました。ラーマは見せしめのために独房に入れられてしまいます。
【結末】真実を知り、共闘する親友
ついにビームのもとにイギリスの手が迫ってきます。しかし彼はラーマの婚約者であるシータの機転で助けられました。そしてラーマの過去と真意を知ることになります。 ラーマは父親や村の仲間を殺したイギリス軍に打ち勝つため、イギリス軍の武器を虎視眈々と狙い続けてイギリス軍に従っていたのでした。 ラーマの事情や執念に心打たれたビームは、ラーマを助けにいく決意をします。 まずビームはラーマが捕らえられている宿舎に侵入し、ラーマを救出。2人は和解して、ともに戦うことを誓います。ラーマは足が使えなくなっていたので、ビームが肩車し合体した状態で2人は敵を薙ぎ倒していきました。 やがて2人はは敵の兵士や戦車に囲まれますが、覚醒してあっという間に全滅させます。 それぞれ馬とバイクに乗ってスコットのいる場所に突っ込み、ラスボス戦がはじまります。ビームがスコットの腕を矢で射抜き、磔状態にすると、ラーマが銃でとどめを刺しました。
【ネタバレ感想】『RRR』は何が面白いのか?
始まってすぐクライマックスになり、その後3時間ずっとクライマックス。せっかく買った映画館のポップコーンも食べる暇がなかった。そのくらい面白い。「そんなことありえねー」と言われる演出は沢山あるけど、最初からそのつもり!というかそれが楽しい。
(20代男性)
あまりのアクションの連続でインターバルの瞬間少し疲れを感じるけど、そこから始まるラーマの物語がめちゃくちゃ胸熱。一見冷静そうなイケメンの奥に秘めた闘志なんてこんな胸に響くものないよ……。ビームを見て自分の信念のあり方に葛藤するラーマがえぐいよかったです。最後は誤解が解けて共闘を見せてくれてよかった!!
(20代女性)
何がこんなに人々を魅了している?
ここからは『RRR』の何が良いのかを筆者の主観で語っていこうと思います。しかし全編見どころだらけの本作。長くなってしまいそうなので、今回は上記3つに絞って解説します。
- もはや神話な超人ぶっ飛びアクション
- キレッキレすぎるパワフルダンス
- 男たちの友情と葛藤にボロ泣き
①もはや神話な超人ぶっ飛びアクション
はい、見てくださいこの写真。雄叫びしてるビームの上を軍人が吹っ飛んでいて、いったいどういうこと?ってなりますよね。 「バーフバリ」を観た人はわかると思いますが、ラージャマウリ監督、とにかくアクションがド派手で爽快なんです。わかりやすく超人的な強さを持ってる主人公が、悪をどんどん薙ぎ倒してくれる。めちゃめちゃスカッとします! 今作は2人も主人公がいて、どっちもそれぞれ違った強さを持ったヒーローなので、「バーフバリ」の2倍興奮すること間違いなし!さらに獣まで大量に出てきちゃっていて、野生的な迫力も加わっています。
②キレッキレすぎるパワフルダンス
続いて紹介する見どころはダンス。「バーフバリ」にもミュージカルシーンは登場しましたが、今回はより本格的なキレッキレでパワフルなダンスが登場します! いかつい男2人がインドの民族舞踊を力強く踊り続け、周りの気取ったイギリス人たちを巻き込んでいく様子には胸がワクワクします。楽しそうすぎてサスペンダー真似したくなる!主演の2人、ダンサーとしてもめちゃめちゃレベル高いのでは? しかもこのダンス、恋する女性にアピールするためちょっと無理して頑張ってるんです……なんてかわいい……ギャップ萌えです。
③男たちの友情と葛藤にボロ泣き
そして何より魅力的なのは主人公2人の熱すぎる人間ドラマ。2人とも本当に仲間思いの良い男なんです。 ビームは森の村を守ってきた野生的なヒーロー。仲間を思う気持ちが人一倍強く、情に厚い男です。 一方ラーマは、差別に負けず警察官として出世を狙う、賢く執念深いヒーロー。英語も達者で女性の口説き方にも詳しいイケメン。だけど内側にはとんでもない怒りを抑えていて……。 ビームが直感で動くタイプなら、ラーマは計算で動くタイプです。2人は出会った瞬間意気投合して、お互いの足りない部分を補い合うように行動を共にするようになります。 しかし哀しいことに立場は敵同士。それぞれ譲れない守りたいものがあるのです。友情と信念の葛藤に思わず胸が締め付けられます……。
面白くない?イギリス人の反応が気になる
『RRR』の世界興行収入は、約192億円を突破。日本でも1995年の『ムトゥ 踊るマハラジャ』の4億円を超えて、4.5億円の興行収入を達成しています。 そんななか気になるのは、本作で悪役として描かれているイギリスの反応。世界興収からもわかるとおり、イギリスでも本作は概ね好評ですが、一部からは批判も出ています。 イギリス植民地主義の専門家、ゼリアール・マサニー博士は、本作は「全体のストーリーは歴史のパロディ化で、史実にフィクションが混ぜられている」と指摘。19世紀の独立運動のときには暴力的な統治もあったが、映画の舞台である1920年代にはそのような方法はなかったとしています。 実際の英雄をモデルにした主人公が活躍する『RRR』ですが、ストーリーはフィクションだということは頭に置いておいたほうがいいかもしれませんね。
【解説】タイトル『RRR』の意味は?
タイトルの『RRR』は、宣伝などでは蜂起(RISE)、咆哮(ROAR)、反乱(REVOLT)の頭文字、ということになっていますが、実は別の意味もあるそうです。 S.S.ラージャマウリ監督によれば、自身の名前(Rajamouli)と主演俳優であるNTR Jr.とラーム・チャラン(Ram Charan)の名前にそれぞれRが入っていたことから、その3つを重ねて仮タイトルとして「RRR」と呼んでいたのだとか。 それがそのまま観客に浸透し、配給会社も「そのままで行こう」ということになり、本タイトルになったそうです。
【ニュース】続編の制作が決定!!!
世界中で大ヒットを記録した『RRR』ですが、すでに続編の準備が始まっていると米Varietyは伝えています。 S.S.ラージャマウリ監督によると「私の父、V・ヴィジャエーンドラ・プラサードはすべての映画で原案を務めています。続編について少し話し合って、現在は彼がストーリー作りに取り掛かっています」と語りました。
【史実】どこまで事実?エンディングを解説
反英独立運動の歴史
19世紀末にインドを植民地下したイギリスは、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立を煽ったり、もともとあったカースト制度を強化するなどして、反乱を防ごうとしていました。そんななか、第一次世界大戦が勃発。イギリスはインドに戦争に協力する見返りに、自治を認めると約束します。 しかし戦争が終わってもイギリスはインドを手放そうとしませんでした。そのためインドの国民は激怒。さらにイギリスは、インド人を裁判なしで投獄できるローラット法を制定します。これにはガンディーも声をあげ、インド各地で大規模な反対運動が起こりました。 『RRR』の舞台となっているのは、こうした過酷な統治が行われていた時代なのです。
ラーマとビームのモデルはどんな人?
『RRR』の主人公2人は、実在したインド独立運動の英雄をモデルにしています。 ラーム・チャラン演じるラージュのモデルとなったのは、A.ラーマ・ラージュ。彼はイギリスの植民地支配に対抗するため、先住民アディヴァシを率いたり、各地で味方を増やしたりしながら、ゲリラ的な武装蜂起を展開しました。 NTR Jr.演じるビームのモデルとなったコムラム・ビームは、ゴンド族の革命指導者として、ほかのゴンド族の指導者と協力し、断続的な小規模反乱を率いた人物です。 またラージュには抒情詩「ラーマヤナ」に登場するラーマ王子、ビームには「マハーバーラタ」の主人公である5人兄弟の次男ビーマのイメージも重ねられています。
エンディング(エンドロール)に出てきた人物たち
動画をクリック!
①スバース・チャンドラ・ボース(1897-1945)
スバース・チャンドラ・ボースは、インド国民会議派議長や自由インド仮政府国家主席兼インド国民軍最高司令官を務めた人物で、第二次世界大戦中には、日本軍とともにインパール作戦でも戦いました。
②ヴァッラブバーイー・パテール(1875-1950)
弁護士でもあったヴァッラブバーイー・パテールは、独立後のインド初代首相の下で副首相・内務大臣を務めた人物。インド・パキスタン独立分離にあたっては、多くの藩王国をインド側に帰属させ、「インドのビスマルク」と呼ばれました。
③王妃チェンナンマ(1778-1829)
王妃チェンナンマは、東インド会社の強引な併合に反乱を起こしたキットゥール王の妃です。
④V.O.チダンバラム・ピッライ(1872-1936)
V.O.チダンバラム・ピッライは、独立運動を率いた政党インド国民会議派のひとりで、「タミルのかじ取り」と呼ばれた人物です。
⑤バガト・シン(1907-1931)
バガト・シンは、インドの独立運動で極めて重要な役割を果たしたインドの革命家です。Netflixには彼の伝記物語も配信されています。
⑥タングトゥーリ・プラカーシャム(1872-1957)
テルグ語地域を代表する政治運動家タングトゥーリ・プラカーシャムは、インド国民会議派の政治家として独立運動に参画。のちに1953年に誕生した旧アーンドラ州の初代首相となりました。
⑦ケーララ・ヴァルマ・パラッシ・ラージャー(1753-1805)
ケーララ・ヴァルマ・パラッシ・ラージャーはコッタヤム王国最後の王で、東インド会社に長年抵抗するも戦死した人物です。
⑧シヴァージー・ボーンスレー(1627-1680)
シヴァージー・ボーンスレーは、西インドに興ったマラーター王国の創始者で、反英独立運動で愛国心を鼓舞する象徴となりました。
『RRR』登場人物・キャスト一覧
ビーム役/N・T・ラーマ・ラオ・Jr.
ビームは、捕らわれた少女の部族のリーダーで、彼女を救い出す使命を背負った“野性を秘めた男”。モデルは実在した人物で、英国植民地時代のインド独立運動の指導者として知られるコマラム・ビームです。 演じるのは、N・T・ラーマ・ラオ・Jr.、通称「NTR.Jr」。主演作の大ヒットが連発している、インドのテルグ語映画界のスターです。
ラーマ役/ラーム・チャラン
ラーマはインド帝国警察の警察官で、“内なる怒りを燃やす男”。ラーマのモデルも実在した人物で、英国植民地時代のインド独立運動の英雄的存在であるアッルーリ・シータラーム・ラージュです。 演じるのは、同じくテルグ語映画界のスターであるラーム・チャラン。映画『マガディーラ 勇者転生』(2009年)など様々なヒット作で主演を務めています。
『RRR』のスタッフ
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
監督・脚本は、インド映画界を代表する監督・脚本家であるS・S・ラージャマウリ(画像右)。2001年にビーム役のN・T・ラーマ・ラオ・ジュニア主演の映画『Student No.1』で監督デビューしました。 2009年にはラーマ役のラーム・チャランが主演を務めた映画『マガディーラ 勇者転生』を手がけ、大ヒットを記録。2015年の『バーフバリ 伝説誕生』および2017年の『バーフバリ 王の凱旋』からなる「バーフバリ」2部作は世界的に大ヒットし、世界中の映画祭で上映されました。
原案:V・ビジャエーンドラ・プラサード
映画『RRR』の原案は、S・S・ラージャマウリ監督の父親で脚本家のK・V・ヴィジャエーンドラ・プラサードが手がけました。 『マガディーラ 勇者転生』や「バーフバリ」2部作など、S・S・ラージャマウリ監督作品の原案を多数担当。また映画『バジュランギおじさんと、小さな迷子』の原案・脚本や、『Rajanna』の監督なども務めています。
『RRR』で最高密度の映画体験をしよう!
あなたの2022年ベストムービーになるかもしれない注目のインド映画『RRR』は、爆発的に豪快で濃厚な興奮と胸焼けが止まらないアクション・ドラマ! 観にいくか少しでも迷っているなら、ぜひ劇場に足を運んでください。「バーフバリ」2部作が好きな人ならこの映画も好きになること間違いなしです! 「バーフバリ」のおとぎ話のような世界観があまり得意ではなかった人も、今回は実際にあったインドの反英闘争をモデルにしているので今回は大丈夫です!観に行ってください! 血が苦手な人、心臓が弱い人以外は、今すぐ全員『RRR』を劇場に観にいきましょう!