『宇宙兄弟』名言ランキングTOP23！人生の活力になるセリフが多すぎる良作

人生を学べる漫画として幅広い世代から支持される小山宙哉の『宇宙兄弟』。大人になってから子供の頃の夢の続きを追いかけ始めた主人公の生き様は、多くのことを読者に教えてくれます。 今回はそんな『宇宙兄弟』の名言ランキングTOP23を発表！ciatr編集部が厳選した心に刺さる名言たちをじっくりと解説します。心のノートにメモする準備はOKですか？ ※この記事は『宇宙兄弟』の重要なネタバレを含みます。

ムッタやヒビトの出会いひとつひとつがどれも名言なので、ランク付けをするのは難しいところでしたが、今回は「心に刻みたい度」「泣ける度」「人生への貢献度」の観点から名言をランキングにしています。 「心に刻みたい度」「泣ける度」は言葉のままです。「人生への貢献度」は夢を追うときにどれだけ背中を後押ししてくれるのかを考慮しました。

教官のビンスさん(ビンセント)と飲みに行った際、「敵は誰か？」と問われたムッタの答えです。ビンスは有人飛行を批判するマスコミや科学者を敵だと考えていました。だけどムッタは、敵は自分自身だと言います。 自分のなかの怠け心や弱気な気持ちが、自分の可能性を邪魔してしまう。そのことに気付けたから、ムッタは夢に向かって前進できているのでしょう。つい周りに言い訳の理由を探してしまいますが、前に進むのも、進むのを邪魔するのもいつも自分なのです。

技術者・ピコから前向きに失敗するところを評価されたムッタは、自身の失敗論について語ります。 このときムッタは訓練の一貫で、コンペ用の模型づくりに取り組んでおり、前職の経験を生かして「いい素材を使ってるモノがいいモノとは限らねえんだ。だけど、失敗を知って乗り越えたモノなら、それはいいモノだ」と持論を展開。これを聞いたピコは、ムッタを気に入り飲みに誘ったのです。 どうせ失敗するなら、いい失敗をして前向きに転びたい。そう思わせてくれる言葉です。

閉鎖環境訓練で苦楽をともにしてきた仲間5人から2人を選抜しなければならない場面で、ムッタはじゃんけんを提案します。 ムッタは5人をじゃんけんに例え、十人十色、それぞれに強みやいいところがあると仲間に伝えました。彼の言葉で互いの粗探しをするような嫌な雰囲気はなくなり、5人は絆を壊すことなく試験を終えます。 みんなと楽しく終われる公平な方法を思いつくムッタの柔軟性もさることながら、伝え方のうまさにも唸らされた名言です。

最終審査後の食事会で、宇宙飛行士・紫三世(むらさきさんせい)から「1番宇宙飛行士にふさわしいのは誰か？」と問われた際の回答です。まずは質問の意図にそってケンジを挙げ、次いで自分の希望でせりかを挙げ、だけどそれだけでは終わらずムッタは自分の情熱も伝えます。 このやりとりの前には、ムッタは受験者の人となりやクセを見事に言語化して、ポジティブに紫に伝えていました。人をよく見ていいところを引き出し、さらに自分の情熱も言葉にできるムッタが、眩しくてかっこいいシーンです！

月面でヒビトと対面したムッタが、管制室のビンスから心境を聞かれて心の内を吐露するシーンでの名言です。宇宙飛行士になりたかった兄弟が月面で横に並び、これまで出会った人々に感謝しながらタイトル回収をする最高に泣けるシーンですね！ しかもムッタは、ヒビトだけではなく関係者も含めて全員を「宇宙兄弟」だと言います。敵は自分だけで、関わってくれる人はみんな仲間だと言ってきたムッタが言うからこそ説得力のある言葉です。

宇宙服を着るとパニック障害(PD)に陥ってしまうことを打ち明けてくれた弟・ヒビトに対して、ムッタが兄なりの優しさで励ますシーンでのセリフです。 ヒビトから初めて相談されたムッタは弟の告白に驚きながらも、PDが起きたら「PD(プリティードッグ)」という犬のアニメを思い出せ、とユーモアたっぷりに弟を励まします。 2人は幼い頃からともに宇宙を夢見てきました。そんな兄が言ってくれる言葉は、ヒビトの心にも深く響いたはずです。

前職の退職理由が試験官に知られたことで弱気になった兄・ムッタに対して、ヒビトはこう言って叱咤激励します。とくに序盤のムッタは自己肯定感が低く、夢を叶えたヒビトへの劣等感もあって、何事にも弱気でした。 弱気になったムッタは、自分が「ドーハの悲劇」世代だから運を持っていない、92％落ちた、日本に帰るなど、弱気のオンパレードとなります。しかしヒビトは誰よりも強く、ムッタが夢を叶えられると信じていました。 言葉は強いですが、それだけ兄を信じている気持ちが伝わってきます。

2人で月に行こうと幼い兄弟が約束した1巻、そしてついに40巻で月での再会を果たした際の最初のひと言です。 トラブルで帰還できなくなったムッタたちの救出クルーの1人として2度目の月に到着したヒビト。ところが着陸直前に音信不通となり、ムッタはヒビトの安否に不安を抱えたまま着陸予定地点を探索していました。 ムッタが回復した通信から「後ろ後ろ」の声を聞いて振り向くと、そこには子供のようにピースして「お待たせ」と言うヒビトの姿が……。号泣必至の名シーンです。

NASAを去ったヒビトがムッタへと送ったメールは「月面で会おう」の一文で締めくくられていました。 PDを克服したものの名誉職となってしまったヒビトは、NASAを去って行方知れずに。心配する兄に、ヒビトは心配いらないと前向きなメッセージを送ります。 後に月に降り立ったムッタに、ヒビトから「楽しいだろ？宇宙って」というメールが届きました。直接顔を合わせることがなくても、2人の絆は宇宙で繋がっているのだと強く実感できるシーンです。

誰が宇宙飛行士にふさわしいか、5人から2人を選ぶという難題に直面したムッタが思い出したのは、子供の頃にシャロンが話してくれた言葉でした。 どの選択が正しいのか、そればかりを考えていたムッタはこの言葉を思い出しハッとします。そしてみんなと楽しく終わりたいと、じゃんけんを提案しました。 シャロンの言葉はどれも心のノートに書き留めておきたいものばかりです。なかでもこの名言は、悩んだときにどうしたらいいのかの指針を与えてくれます。

「It’s a piece of cake!」はムッタとシャロンにとってお守りのような言葉です。 もともとはムッタが小学生の頃、自己紹介用に「自分はダメ人間です」を意味する英語をシャロンに聞いたことがきっかけ。シャロンは「楽勝！」を意味する「It’s a piece of cake!」を教えました。 ムッタはこのフレーズの本当の意味を知った後も、シャロンの嘘に感謝しながらお守りのようにこの言葉を大切にします。難病と戦うシャロンにとっても、この言葉が励みとなりました。

夢に向かって動き出したいけれど自信を持てないムッタに、シャロンは子供の頃のエピソードを織り交ぜながら「金ピカなこと」は何かを問います。 子供の頃のムッタは、目の前に並ぶ楽器から1番難しいトランペットを選びました。難しいことにあえて挑戦する昔の自分の話を聞いても、まだムッタは煮えきらず、「単に金ピカだから」トランペットを選んだのかも……と言います。 シャロンはそれを否定せず、まずは1歩を踏み出すことの大切さを音楽になぞらえて伝えました。背中を押してくれる言葉ですね。

2次審査を通過したムッタは、自分には他の受験者のように大義もなく、自分が宇宙飛行士になっていいものかと悩みシャロンに相談します。それに対して、シャロンはズバッとこう答えました。 当たり前といえば当たり前の助言ですが、悩みの渦中にいるとこのシンプルな視点さえも見失ってしまいがちです。とくに心配性な人にとっては、このシャロンの言葉は刺さるのではないでしょうか。他の名言もそうですが、シャロンは毎回、まずやってみることの大切さを教えてくれます。

悪質なデマのせいで、念願のISSでのALS治療薬開発実験を止められたせりかは、独断で実験を続けることを決意して、この言葉をJAXA職員の星加(ほしか)に伝えました。 ALSで亡くなった父からの「泣くのはどうしようもなく悔しい時かどうしようもなく嬉しい時だけだ」という教えを守って、歯が欠けるほど歯を食いしばって悔しさを耐えた末のこの決断は、せりかの思いの強さを感じさせました。 同時に、目の前にあるチャンスを自力で掴んでいくことの大切さも教えてくれます。

合否を待つ真壁ケンジの回想シーンでの、ちょっとドキッとする自問自答です。ケンジは仕事に誇りを持ちながらも、どこか味気なく感じていました。彼が子供の頃に思い描いていた大人はもっと「ブッ飛んでた」はずでした。 この自問自答をした結果、ケンジは妻の勧めで宇宙飛行士選抜試験を受けることになります。灰色の作業着を着て色褪せた日常を送っていたケンジが、試験に合格して真っ青なジャンプスーツ姿の自分を想像するシーンは、こみ上げるものがありました。

寡黙な日本宇宙飛行士・吾妻滝生(あがつまたきお)が、挨拶にきたムッタに投げた問いです。 これはかつて吾妻が宇宙飛行士・ブライアンからされた質問でした。このときブライアンは「必要なのは“生きる覚悟”だ。“NO”と言える奴がいたらそいつは信じていい」と伝えます。 吾妻の質問にムッタは「本当は……死ぬ覚悟できてません」と答えました。実はヒビトも覚悟はないと答えていたようで、後日、吾妻が「兄弟だな」と微笑むシーンまでセットで名場面です。

「We are lonely,but not alone.(我々は孤独だ。だが一人ではない)」は、エディがISSで活動している際に発した言葉です。 このとき若きエディは長時間の暗闇を体験しながら「こちらでは皆が少々不安に陥っている。だが大丈夫だ、みんな分かっている。我々は一人だ。だが孤独ではない」と静かに言葉を発します。 孤独を感じても、決して1人ではない。ネットで簡単に人と繋がれる社会だからこそ、胸に刺さる名言です。

エディがチームワークのなかったCES-62バックアップクルーにかけた言葉です。 ムッタが選ばれたチームは曲者ぞろいで、ムッタはリーダー不在の状況に不安を抱いていました。そこにやってきたのがブライアンの兄のエディです。 エディはチームをまとめるため、新たなランニング方法を提案。1日メンバーを観察しただけで、エディは見事にチームをまとめたのです。ムッタの「リーダーというのはやはり安心感と興奮を同時にくれる」という言葉からも、エディの高いリーダーシップが窺えます。

上司を頭突して前職をクビになったムッタを落とそうとする職員に対し、唯一ムッタの合格を推した星加正(ほしかただし)の言葉です。 星加はJAXAに通い詰める幼い南波兄弟をモジャくん・ツンくんと呼んで見守ってきました。彼らをよく知るからこそ、星加はムッタの夢を後押ししたかったのです。 一般的な就活にも通じる名言で、人として一緒に仕事をしたいと互いに思えることが大切なのだろうと思わせてくれます。

ヒビトの乗るロケット打ち上げを見届けたムッタに、空と人生の違いを説いたデニールの言葉です。 ムッタはこのときの心境を「今日の空の様に半々だよ。最初は嫉妬心もあったってもやもやと曇っていたが、今は晴れてる」と答えました。そのあとデニールはこの言葉で、自分の人生は自分で切り拓くことができるというメッセージをムッタに伝えます。 その直後に彼は実はヒビトに操縦を教えたベテラン教官だと判明。そのインパクトも含めて忘れられない名シーンです。

息子たちになぜネクタイをするのか聞かれた際のピコの痺れる答えです。 普段ネクタイをしない飲んだくれのピコですが、その日は彼の設計したパラシュートでヒビトたちが帰還する日。パラシュートは飛行士たちの命を預かる部分なので、ピコの重責は相当なものでしょう。 ネクタイを締めて職場に向かう彼の姿は、まるで戦いに行く戦士のよう。ネクタイを締めたり、強めのメイクをしたりして仕事に挑む社会人には、とくに刺さるかっこいい名言です。

パニック障害の克服に付き合ってくれているロシア宇宙飛行士・イヴァンが、焦るヒビトへと贈った言葉です。 イヴァンはサングラスをかけて歩くというレベル1からはじめ、鼻眼鏡やアメフトのヘルメットなど、遠回りと思える訓練を続けます。ヒビトは一見遊びのような取り組みに焦りを覚えますが、イヴァンは小さな前進にしっかり目を向けるよう諭したのです。 この言葉をきっかけにヒビトも肩の力が抜けて、前向きに訓練に取り組めるようになりました。

ムッタと同期の受験生のなかで最高齢54歳の福田が、自分を鼓舞して試験に挑む際の言葉です。 もともとJAXAでロケット開発に携わっていた福田ですが、宇宙飛行士になりたいという夢の火は長年その胸でくすぶり続けていました。妻子に見捨てられても諦めきれずに挑んだ試験では、その過酷さと周りとの年齢差で心が折れそうになります。 それでも彼は、身体は老いても夢は老いないと自分を奮い立たせて最後まで奮闘しました。いくつになっても夢を諦めないことの大切さを教えてくれます。

心のノートがあっという間に埋まるほど『宇宙兄弟』は本当に名シーン・名言が多い作品です。置かれた環境が変われば、言葉の受け取り方が変わることもあるでしょう。ぜひ人生の節目に読み直して、今の自分に必要な言葉を拾ってみてください。