2025年10月27日更新

『竜とそばかすの姫』竜の正体は誰?背中のアザに隠された秘密も解説

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竜とそばかすの姫 場面写真4
(C)2021 スタジオ地図

細田守監督の『竜とそばかすの姫』は、インターネット世界<U(ユー)>を舞台に、心に傷を抱える者たちの成長を描くアニメ映画です。 「竜」は仮想世界<U>の中で恐れられ嫌われており、誰もその正体を知らない謎多き存在。 今回は佐藤健が演じる竜の、作中で明かされた衝撃の正体や、圧倒的な強さと背中のアザの秘密を解説します。 ※この記事は『竜とそばかすの姫』(2021)のネタバレを含みます。

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『竜とそばかすの姫』すずのみが気づいた竜の優しさ

竜とそばかすの姫 場面写真10
(C)2021 スタジオ地図

<U>で絶大な人気を誇る歌姫ベル(すず)。彼女の大規模ライブ当日、竜は数億人が詰めかけた会場に現れ、自警団を自称する<ジャスティス>と戦闘になります。 ライブを台無しにした竜に対して、住人たちの激しい怒りと批判が集中しました。 その翌日、ベルをプロデュースする“ヒロちゃん”が竜のオリジン(=正体)について聞き込むも、強い暴力性を秘めていることしかわかりません。竜は武術の試合に乱入し、“道場破り”のような行為を繰り返しており、<U>を荒らす存在として恐れられていました。 <ジャスティス>のリーダーを務めるジャスティンは、竜を「正体探し(アンベイル)」して社会的に抹殺しようと、竜の城を探し始めます。

最初の「竜」候補は野球選手や嘘つき婦人?

世界中で竜の正体探しが起こった際、最初に何人かの有名人たちが候補に挙がります。 背中に竜と類似したアザ(タトゥー)を持つ現代美術アーティスト、服を脱がない=アザがある?と予想でき、暴力的な人格もリークされたメジャーリーガー。ネット上では強い暴力性を見せる貴婦人など、竜に似た特徴を持っている人物が疑われました。

一方すずは隠された「竜」の本性に気づく

竜とそばかすの姫
(C)2021 スタジオ地図

すずは竜の暴走にはなにか理由があると考え、竜を知りたいと思うようになりました。 竜の背中は歴戦でアザだらけでしたが、それ以外にもどんどん増えていくことから、竜は“心の傷を内包している”のでは?と推測したすず。彼女は密かに竜の城を訪れ、歌に合わせて一緒に踊りながら少しずつ気持ちを届けます。 竜も初めはベルに対して強い拒絶反応を示しますが、次第に心を開いていきました。 クリオネ(天使)の<As(アズ)>(=アバター)に手を差し伸べ、それを見たベルが「本当のあなたはどっち?」と問いかけるなど、竜の二面性が伺えるシーンも。強い暴力性を持つ一方で、内には他者を想う優しさも隠していると示唆されるのです。

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【重大ネタバレ】竜の正体判明!50億から見つかった1人とは

竜とそばかすの姫
©2021スタジオ地図

「竜」の正体(オリジン)は日本の片隅で暮らす少年・恵

終盤で<ジャスティス>に<U>の城を焼かれ、2つの世界で窮地に陥った竜。すずはヒロちゃんと協力し、50億のアカウントから竜のオリジンを探します。 ネット上に投稿された竜の関連動画を漁っていると、誹謗中傷があふれるなかで唯一、竜を応援している少年の生配信を発見。彼は以前、人気配信者の配信で「竜は僕にとってヒーロー」とコメントしていて、すずたちには見覚えがありました。 その配信では男の子が、ベルと竜しか知らないはずの歌を口ずさんでいたのです。すずたちだけがその配信を見ていると、今度は男の子の兄と乱暴な父親らしき人物が映り込んできました。男の子が乱暴を受けそうになると、兄がかばって激しい虐待を受けています。 すずは弟を守る14歳の少年・恵こそ、抑圧された強い暴力性と他者を想う優しさを持つ「竜」だと確信し、連絡を取ることにしました。

圧倒的な強さと背中のアザの理由とは?

竜のオリジンは一見、目立ちたがりとも取れる行動やその強さから、世界的に有名な人物が候補として取り沙汰されていました。 しかし蓋を開けてみれば、竜はどこにでもいそうな普通の少年!そんな彼が<U>で圧倒的な強さを手にした理由には、<As>を自動生成する際の仕組みが関係しています。実は抑圧された才能や内面が強く表出しやすい、という設定があるのです。 恵の場合は弟を守る内面的な強さ、そして父親への憎しみが「竜」の<As>として開放され、劇中のような力を得たのだと考えられるでしょう。背中のアザはすずが推測したとおり、虐待による心の痛みや自責の念が目に見えて現れたもので、まさに彼の“心の傷”でした。

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「野獣」である竜の怒りと孤独の理由は?

美女と野獣、アニメ
©Disney

細田守監督は、本作がディズニーアニメーション『美女と野獣』(1992)から着想を得ている、と明らかにしています。主人公はどちらもベル、寂れたお城や赤い薔薇、ホールでのダンスシーンもよく似ています。 そして、竜は「野獣」をモチーフにしているのです。『美女と野獣』では醜い姿から迫害を受け、孤立していた野獣ですが、本作の竜はインターネットの世界で「ネット社会での孤立」や「現実世界で声を上げられない人」を体現しています。

傷だらけの竜が抱えた孤独

『竜とそばかすの姫』
『THE MAN WHO LEAPT THROUGH FILM 細田守の芸術世界』より

恐怖の象徴である竜

竜とそばかすの姫 場面写真6
(C)2021 スタジオ地図

ベルのコンサートに乱入した竜は、即座に観客の標的となります。それまでもUの世界で「道場破り」を行っていた竜は、周囲のユーザーから嫌われていました。しかし、人気者であるベルのコンサートを妨害したことで、「異質なもの」として、さらに激しい非難を浴びることになります。 コンサート会場では、Uの自警団「ジャスティス」に取り囲まれ、さらに観客も盛り上がって集中砲火を浴びせられる竜。これは、ネット社会で一度「排除の対象」と見なされた存在を、無関係な第三者までもが面白がって攻撃する、現代社会の縮図を表していると考えられます。

孤独の象徴である竜

Uの世界で、竜は孤立を選び、寂れた城にAIとともに暮らしていました。そして、現実世界の正体は、父親からの虐待という深刻な問題に直面しながらも、誰にも助けを求める声をあげられない少年だったのです。 Uでの攻撃性は、現実での苦痛と誰にも理解されない孤独の裏返し。竜は、仮想世界でも現実世界でも居場所がなく、SOSを出したくても出せない「声をあげられない弱者」の象徴として描かれています。

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恐怖と孤独の象徴である竜が投げかける問い

『竜とそばかすの姫』ジャスティン

SOSを出したくても出せない竜に対し、自警団「ジャスティス」は有無を言わさず、正体を明らかにしようと躍起になります。しかし、ただ1人、竜を想う人物がいました。それがベルであり、彼女の行動が結果として竜(恵)を虐待から救う道を開きました。 本作の公開は2021年ですが、2025年現在、「私人逮捕」や「過剰なSNSでの晒し」が横行する世の中になっています。「ジャスティスは本当に正義なのか」という問いは、現代の私たちに向けられたメッセージと言えるでしょう。

すずを竜の城へ導いたクリオネのアバターの正体は?

竜とそばかすの姫 場面写真13
(C)2021 スタジオ地図

ベルの最初のフォロワーであり、序盤で彼女を竜の城へと導くクリオネの<As>。正体は最後まで明かされず、気になった人も多いかもしれません。 注目すべきは竜の傍に寄るのを許され、竜しか知らないベルの歌を知っていること。竜はクリオネをとても大切に扱い、守るような仕草すら見せました。竜の特別な存在という特徴から、クリオネの正体は恵の実弟である知だと考察できます。 知がすずと直接会った時の「あなたはすてき あなたはきれい」というセリフからも、彼でほぼ間違いないでしょう。

すずが孤独だった竜によりそった理由

竜とそばかすの姫 場面写真12
(C)2021 スタジオ地図

「アザは心の傷もあるのではないか」と推測したすずは、竜との接触を試みます。城で出会った竜は、クリオネに優しく接し、さらにベル(すず)をジャスティスから助けてくれたため、本当は優しい人物だと確信しました。 やがて、竜が虐待を受けている恵だと判明。すずは恵にベルだと納得させるため、アバターを外してコンサートを開催します。この行動に心を動かされた恵は、現実世界ですずと会うことを決意しました。 そして、すずは兄弟を父親から守るのです。Uと現実の2つの世界で救ってくれたすずを見て、恵も「これからは自分も戦う」と決意しました。

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竜の声優は佐藤健!背中の傷に説得力を与えた演技力

佐藤健

『竜とそばかすの姫』のキーパーソン、竜の声優を担当したのは佐藤健。代表作「るろうに剣心」最終章2部作の興奮も冷めやらぬなか、驚きの起用となりました。 恋愛モノの「恋つづ」(2019年)から、骨太の人間ドラマまでこなす実力派ですが、声優出演は『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(2019年)に続き2度目。竜の役作りは手探りだったと言い、「複雑な心を持った難しい役どころ。不安でしたが、細田監督のおかげで最後までやることができました」と振り返っています。 一方の細田監督は佐藤について、竜を演じられる数少ない表現者だと確信していたそうです。予想を上回る表現力、そして完成度で竜のミステリアスさが表現されており、予定していた声の加工も入れないことにしたのだとか!

『竜とそばかすの姫』竜の正体は痛みと優しさの象徴

竜とそばかすの姫
(C)2021 スタジオ地図

<U>の歌姫ベルとなった女子高校生・すずと、彼女に救われた嫌われ者の「竜」の交流を、細田守監督ならではの視点で綴った『竜とそばかすの姫』。 主軸となる「竜の正体探し」の一部始終は、行き過ぎた正義感やネット社会の利便性と闇、家族のあり方など様々なことを考えさせられるでしょう。竜の正体と真相を知ると、背中のアザを見るだけで胸が締め付けられてしまいますね。