2025年7月3日更新

映画『アフター・ザ・クエイク』のあらすじ!村上春樹の原作小説やNHKドラマをネタバレ

このページにはプロモーションが含まれています

村上春樹の短編小説を映画化した『アフター・ザ・クエイク』が、2025年10月3日に公開決定!本作はNHKで放送されたドラマ『地震のあとで』(2025)が基となっています。 この記事では『アフター・ザ・クエイク』(2025)のあらすじから、原作・ドラマ版のネタバレ、さらにドラマと映画版の違いまで、まとめて紹介します。 ※この記事は『アフター・ザ・クエイク』および『地震のあとで』のネタバレを含みます。

AD

映画『アフター・ザ・クエイク』作品概要・あらすじ【ネタバレなし】

タイトル 『アフター・ザ・クエイク』
公開日 2025年10月3日
上映時間 132分
監督 井上剛
原作 村上春樹 『神の子どもたちはみな踊る』
キャスト 岡田将生 , 鳴海唯 , 渡辺大知 , 佐藤浩市 , 橋本愛 , 唐田えりか , 吹越満 , 黒崎煌代 , 黒川想矢 , 井川遥 , 渋川清彦 , のん , 津田寛治 , 錦戸亮 , 堤真一

あらすじ【ネタバレなし】

1995年に起きた阪神・淡路大震災以降の30年間を背景に、日本の各地で孤独や悩みを抱えながら生きてきたさまざまな人々に焦点が当てられます。 4つの物語が展開され、生きてきた背景が違うはずの4人の人生が、現代へ向かうに連れ交錯する「喪失と回復」の物語が丁寧に描かれます。メインキャストには岡田将生や鳴海唯、渡辺大知、そして佐藤浩市と、各年代を代表する実力派俳優陣が集結しました。

【原作】村上春樹の小説『神の子どもたちはみな踊る』がドラマ・映画化

本映画の土台は、NHKで2025年4月5日から4週にわたり放送されたドラマ『地震のあとで』です。 このドラマは、村上春樹の短編小説集『神の子どもたちはみな踊る』に収録された「UFOが釧路に降りる」「アイロンのある風景」「神の子どもたちはみな踊る」「かえるくん、東京を救う」を原作としています。 そして、映画『アフター・ザ・クエーク』は単なるドラマ版の総集編ではありません。ドラマで描かれた4つの物語に、新たな視点と繋がりを持たせるための新規映像が多数追加されました。監督の井上剛は「新たに撮った場面がこの映画の語り部」とコメントしています。

AD

これまで度々映像化されてきた小説『神の子どもたちはみな踊る』

本映画の原作である村上春樹の短編小説『神の子どもたちはみな踊る』は、これまで2度映像化されています。

1つ目は、アメリカで制作された映画『神の子どもたちはみな踊る』(2010)。

そして2つ目が2024年に公開、村上作品の初アニメ映画となった『めくらやなぎと眠る女』です。この作品はさまざまな短編作品を題材にしており、「UFOが釧路に降りる」と「かえるくん、東京を救う」が、原作に含まれています。

【原作】村上春樹の短編小説『神の子どもたちはみな踊る』はどんな話?

原作小説は6編で構成された短編小説。ここではそれぞれを簡単に紹介します。 「UFOが釧路に降りる」では震災のニュースを見た妻に去られた男の空虚感が描かれます。 「アイロンのある風景」では、主人公の女性が震災を経験した男性と焚き火を囲み、「死」について考えます。 「神の子どもたちはみな踊る」は、新興宗教に傾倒する母から「神の子」として育てられた善也が、父を追う物語。 「タイランド」は、研究医さつきが、タイで過去のパートナーにつけられた傷と老い、そして「喪失」と向き合いました。 「かえるくん、東京を救う」は、信用金庫勤めの片桐がいきなり現れたかえるくんとともに、地震を引き起こすみみずくんを止めようとする、ファンタジーな世界観。 そして、最後の「蜂蜜パイ」は、故郷・神戸の災害から孤立を感じる淳平が、「地震男」の夢を見る少女・沙羅の話を聞き、「再生」へと進む物語です。

AD

NHKドラマ『地震のあとで』のあらすじを結末までネタバレ!

第1話「UFOが釧路に降りる」

『アフター・ザ・クエイク』『地震のあとで』
©2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ

1995年、阪神・淡路大震災後、震災のニュースを見続けていた妻・未名(橋本愛)が失踪。離婚し心を痛める小村(岡田将生)は、同僚・佐々木からの依頼で「妹宛ての大事な私物」が入った箱を届けに釧路へ向かいます。 釧路で出会った佐々木の妹とその友人シマオ(唐田えりか)との交流を通し、妻の失踪が震災に関連していると気づきました。2人からUFOの話を聞いた小村は、窓の外で光を追う未名の姿を見たのです。 小村とシマオはラブホテルで体を重ねます。その後、小村が箱の中身を聞くと、シマオは「小村さんの中身が入っていた。もうあなたには戻らない」と告げ、小村は動揺。シマオは「冗談」と返しますが、小村は「ずいぶん遠くまで来た気がする」と返したのでした。

第2話「アイロンのある風景」

『アフター・ザ・クエイク』『地震のあとで』
『アフター・ザ・クエイク』『地震のあとで』

2011年、茨城。父と折り合いが悪く家を出た順子(鳴海唯)は、サーファーの啓介(黒崎煌代)と同棲し、コンビニでバイトする日々。ある日、海岸で流木を焚き火にする謎の画家・三宅(堤真一)と出会います。 2011年3月11日の夜明け前、三人は焚き火を囲み、会話を交わしました。三宅は阪神・淡路大震災で家族を失った過去を告白し「アイロンのある風景」という絵を完成させたことを明かします。 ドラマは静かな幕引きとなりますが、その数時間後に東日本大震災がやってくるのです。順子たちが焚き火をする海辺も災害が来ることを示唆しています。

AD

第3話「神の子どもたちはみな踊る」

『アフター・ザ・クエイク』『地震のあとで』
©2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ

新興宗教で「神の子」として育った善也(渡辺大知)は、2011年の東日本大震災をきっかけに、信仰を捨てる決意をします。2020年のコロナ禍、東京で働く善也は、地下鉄で耳たぶが欠けた男を見かけ、特徴が一致することから父ではないかと追跡を開始。 追跡中、病に伏せる元指導者・田端の見舞いに行き、田端は善也の母への性的欲望があったことを告白しました。善也は男を追い続け、誰もいない野球場にたどり着きます。そこで野球のフライが取れず祈った過去や信仰を捨てた際の記憶など、過去から現在までの記憶が交錯。 善也はグラウンドで一人踊り始めました。神とは、父とは、そして自分とは、何かを問いかけるかのような善也の姿で、物語は幕を閉じます。

第4話「かえるくん、東京を救う」

『アフター・ザ・クエイク』『地震のあとで』
©2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ

2025年、警備員の片桐(佐藤浩市)の前に巨大なかえるくん(声:のん)が現れ、3日後に「みみずくん」による大地震が東京を襲うと語ります。30年前にも共に危機を救ったと説明されるも、まったく記憶がない片桐。 さらに、警備員の前に働いていた銀行員時代の責任を問う謎の男(錦戸亮)も現れます。心を揺さぶられながらも、片桐はかえるくんを信じることを決意しました。 片桐の応援もあって地震は起こらず、かえるくんは消えていきます。片桐はいつもの日常に戻りますが、心には前向きな変化が現れていました。

AD

映画『アフター・ザ・クエイク』キャスト・登場人物を一覧で紹介

小村役/岡田将生 妻に逃げられ、後輩から箱を託された男性
小村未名役/橋本愛 震災ニュースを観て、夫の前から消えた女性
ケイコ役/北香那 小村が運ぶ箱の受取人である後輩の妹
神栖役/吹越満 未名の代理人
佐々木役/泉澤祐希 小村に箱を預ける後輩
シマオ役/唐田えりか 小村が釧路で出会った不思議な女性
順子役/鳴海唯 家を出て、茨城の鹿島灘に住む女性
啓介役/黒崎煌代 順子と半同棲する男性
三宅役/堤真一 かつて神戸に住んでいた画家
善也役/渡辺大知・黒川想矢(少年時代) 新興宗教の信者である母から「神の子」として育てられた男性
田端役/渋川清彦 善也の父代わりだった宗教家
ミトミ役/木竜麻生 善也のことが好きな会社の同僚
善也の母役/井川遥 避妊をしていたのに生まれた善也を「神の子」と説く母親
片桐役/佐藤浩市 かえるくんと東京を地震から救う男性
謎の男役/錦戸亮 突然現れ、片桐を問い詰める男性
山賀役/津田寛治 カエルくんの存在は見えていない片桐の同僚
かえるくん役/のん (声) 30年前に片桐と東京を救ったと語るかえる

監督はNHKの朝ドラ「あまちゃん」の井上剛!

『連続テレビ小説 あまちゃん』
(C)NHK

本作の監督を務めるのは井上剛です。元NHK職員であり、朝の連続テレビ小説『てっぱん』(2010)や『あまちゃん』(2013)では、チーフ演出として携わりました。 また、『その街のこども 劇場版』(2011)や『LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版』(2016)など、震災をテーマにした映画をいくつも手掛けています。

村上春樹小説を2度目の映像化!脚本・大江崇允と製作・山本晃久

『ドライブ・マイ・カー』
©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

脚本を大江崇充が、制作を山本晃久が担当しています。 2人の代表作といえば、第94回アカデミー賞で国際長編映画賞に輝いた『ドライブ・マイ・カー』(2021)です。脚本を担当した大江は、濱口竜介監督と共にカンヌ国際映画祭で脚本賞も受賞しました。 『アフター・ザ・クエイク』は、彼らにとって村上春樹小説を映画化する2度目の機会となります。

映画『アフター・ザ・クエイク』10月3日公開!原作やNHKドラマで予習

映画『アフター・ザ・クエイク』は、2025年10月3日公開です! 村上春樹の短編小説『神の子どもたちはみな踊る』を、幻想的な描写と独特な世界観で描いた本作。ドラマ版よりも繋がりを意識した作品になっており、それぞれをつなぐ追加シーンも注目です。 映画公開に合わせて、原作小説やNHKドラマを予習してみてはいかがでしょうか。