2026年2月19日更新

【ネタバレ】映画『ブゴニア』あらすじ解説・考察!ミシェルの正体やドンが背負った役割とは?

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映画『ブゴニア』あらすじを分かりやすくネタバレ解説

原題 『ブゴニア』
監督 ヨルゴス・ランティモス
キャスト エマ・ストーン , ジェシー・プレモンス , エイダン・デルビス
公開日 2026年2月13日

陰謀論者が女性CEOを誘拐した理由とは

『ブゴニア』(2026年)
©2025 FOCUS FEATURES LLC.

TIME誌やForbs誌の表紙を飾るほど、成功を収めたビジネスウーマンのミシェル(エマ・ストーン)。彼女はある日、自宅に帰ったところを見知らぬ男たちに連れ去られてしまいます。 ミシェルを誘拐したのは、陰謀論者のテディ(ジェシー・プレモンス)とドン(エイダン・デルビス)。彼らはミシェルが地球を破壊するエイリアンだと信じていました。 彼らはミシェルが“母船と交信しないように”髪を剃り、地下室に監禁。テディは彼女に「地球から手を引くよう、皇帝と交渉させろ」と要求します。

月食までのカウントダウン

映画「ブゴニア」エマ・ストーン
C)2025 FOCUS FEATURES LLC.

混乱しながらも、ミシェルは毅然とした態度で自分は宇宙人ではないと主張します。しかしテディは4日後の月食でミシェルの母船が来るまでに、彼女が宇宙人だと証明すると言います。 月食まで2日。テディはミシェルを電気椅子に座らせ拷問します。電圧を上げても気を失わないミシェルを見て、テディは、彼女がアンドロメダ星人のなかでも高い地位にある人物だと確信し、恭しい態度を取るようになります。

ミシェルとテディの関係

映画「ブゴニア」
C)2025 FOCUS FEATURES LLC.

実はテディの母親は、ミシェルの会社の新薬治験の失敗で昏睡状態に陥り、今も入院していました。ミシェルはこの事件を隠蔽し、「保障」として彼にお金を払っていたのです。 月食の前日。テディはミシェルをディナーに招きます。最初はテディの語る理論に付き合っていたミシェルでしたが、テディの母の事件に触れて彼を激昂させます。乱闘のさなか、保安官のケイシーがやって来ました。 ドンはミシェルを気絶させて地下室へ。テディはケイシーを養蜂場に案内します。目を覚ましたミシェルはドンを説得しようとしますが、彼は突然ライフルで自らの頭を吹き飛ばしてしまいます。銃声に気づいたケイシーが家に戻ろうとすると、テディは彼に蜂の網を彼に投げつけ、スコップで殴り殺してしまいました。 テディはドンの死に絶望しますが、ミシェルは自ら宇宙人であることを認め、テディの母に自分の星の治療薬を提供すると申し出ます。

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『ブゴニア』ラストの意味をネタバレ解説・考察

ラストシーンでは、世界中の人々が倒れ込んでいる様子が映し出されます。彼らは1人残らず死んでいるのです。 ミシェルたちエイリアンは、地球で人類が新たな進化段階に進めるか実験していましたが、今回は失敗、今後も成功の可能性は低いとして、人類を滅亡させました。 彼らは人類がお互いに傷つけ合い、地球の環境にも悪影響を与えていることをつぶさに観察していました。その姿に幻滅し、人類の滅亡を決定したのです。 現実の世界を振り返ってみると、世界各地で起こっている戦争や人々の分断、地球温暖化など、人類は破滅に向かっているように見えます。ミシェルたち本作のエイリアンは「神」のような存在ですが、彼らが手を下すまでもないのかもしれません。 本作のラストは、客観的な視点から見れば、人類は生きるに値しないほど利己的で強欲、そして愚かだということを語っています。 人類が滅亡した後も地球には生き物がいるのが残っているので、エイリアンたちは今度は別の生物で実験を始めるのかもしれません。

『ブゴニア』の各登場人物の設定や役割を徹底解説・考察

ミシェル(エマ・ストーン)の正体は本当にエイリアン?

『ブゴニア』(2026年)
©2025 FOCUS FEATURES LLC.

映画の終盤で、ミシェルは本当に宇宙人だったことが発覚します。しかも彼女は、種族を率いる女皇帝でした。彼らは地球を実験場として、さまざまな自然や人々の営みを観察し、干渉していたようです。 「政府高官やセレブの多くは、実は人間ではなくエイリアンだ」とする荒唐無稽な陰謀論は実際にあり、人気があります。本作で描かれているのは、現実にも存在する陰謀論だけでなく、貧富の差の恐ろしさです。 「エイリアン」であるミシェルが擬態していたのは、資本主義社会の勝者であり、「権力」の象徴です。テディはエイリアンによる地球侵略の恐怖に立ち向かおうとしていましたが、本当に恐ろしいのはエイリアンなどではなく、社会階層の低い人々をただの資源やデータとみなす、一部のエリートなのかもしれません。

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テディ(ジェシー・プレモンス)の過去・トラウマとは?

『ブゴニア』(2026年)
©2025 FOCUS FEATURES LLC.

もともとテディの母サンディは陰謀論者で、彼に偏った思想を教え込んでいました。彼がミシェルの誘拐以前にも多くの人を「エイリアン」として誘拐し、殺害したのはその影響もあったのでしょう。 しかしその後、ミシェルの会社の新薬治験で、サンディは植物状態になってしまいました。モノクロのシーンはそのときのフラッシュバックになっています。サンディはリボンにつながれた状態で宙に浮いていました。ミシェルはテディに今後の入院費は会社が負担することや保証金を支払う代わりに、このことは他言しないようにと言います。 母サンディはテディにとって、ドンを除いて唯一の、そして大切な肉親だったのでしょう。そんな大切な母を奪ったのはほかならぬミシェルであり、テディが彼女を恨んでいたとしても不思議ではありません。

ドン(エイダン・デルビス)は作品の良心?

映画『ブゴニア』
(C)2025 FOCUS FEATURES LLC.

テディのいとこであるドンは、テディに押し切られるかたちでミシェルの誘拐に加担します。ドンとテディはお互いにとって、ただ1人の肉親であり、信頼できる相手なのです。 ドンを演じたエイダン・デルビスは、「テディはドンにとって、自分が頼れる唯一の存在なんだ。テディだけが自分を気にかけてくれていると感じている」と語っています。しかし彼はテディがしていることに、次第に疑問を持ちはじめます。 ドンは本作の道徳規範です。彼は信頼するテディに忠実でありたいと思っていますが、暴力的なことはしたくないと思っています。一方でミシェルが必死に語りかけたときには、心が揺らぎます。彼のためらいは、観る者の立場を代弁するようになっていきます。

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ヨルゴス・ランティモス×ウィル・トレイシーが込めた『ブゴニア』に込めた痛烈なテーマ性を解説

『ブゴニア』(2026年)
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「ブゴニア」は、死んだ雄牛の体からミツバチが生まれるという古代ギリシャ/ローマ時代の古い神話に由来しています。この神話は「予測不能な展開」や、ミツバチが持つ「変容」「再生」といった意味があり、物語の行く末を暗示しています。 また現在世界中でさまざまな陰謀論がささやかれています。とくにアメリカでは製薬会社は悪とされがちで、ミシェルが製薬会社のトップであることも彼女のキャラクター設定の重要なポイントです。 ウィル・トレイシーは、コロナ禍で外出制限がかけられていたころに、3週間ほどで本作の脚本を書きあげたとか。彼は「あの、狭い所に閉じ込められたような感覚が役に立った。ああいう環境でなかったら書けなかったと思うよ」と語っています。 『ブゴニア』のテーマの1つは人々の分断と、それが招く対立です。ミシェルとテディたちのかみ合わない会話は滑稽で笑いを誘いますが、現代社会を象徴しているのです。

衣装やプロダクションデザインから作品コンセプトを紐解く

映画『ブゴニア』
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テディの家は、サンディがいなくなったころから時が止まったようになっています。家には今風のものはなく、テディの幼少期のまま。これは彼の内面を表しているのです。 プロダクションデザインを担当したのは、『哀れなるものたち』につづいてランティモスとのタッグとなるジェームズ・プライス。彼はロンドン郊外に、没入感たっぷりのセットを作り上げました。 多くの映画制作では、建物の外観は屋外に建て、内装はスタジオ内にセットを作ります。しかし本作では、その両方を一箇所に作りました。それは、キャスト陣が演技に集中するのにも役立ったといいます。 また、衣装もテディの精神性を表現しています。「地球をエイリアンから守るヒーロー」である彼の衣装には、シルバーが多く使われています。一方で、ミシェルと対峙するときに彼が着ているのは、あきらかにサイズの合っていないお下がりのスーツ。 これはおそらくテディの父親のものと思われ、彼が陰謀論にのめり込みすぎた結果か、ファッションや清潔感に無頓着であることがわかります。

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原作は韓国カルト映画『地球を守れ!』?『ブゴニア』とのつながりは?

『ブゴニア』の原作は韓国のカルト映画『地球を守れ!』(2003年)です。 原作のと違いは、ある会社社長を誘拐したのは主犯の男と彼の恋人の女性。また、警察による社長捜索も時間を割いて描かれ、ストーリーの大きな部分を占めているのが『ブゴニア』との大きな違いです。しかし大筋よりも細部が引き継がれていることに驚かされます。 『ブゴニア』の企画は、韓国の制作会社CJ ENMが同作の英語版製作を検討したことから始まりました。CJ ENMのプロデューサーであるジェリー・ギョンボム・コーは、「私たちは、理想のチームを一人ひとり集めていきました」と語っています。 アリ・アスターと彼の製作パートナーであるラース・クヌードセンは原作の大ファンで、原作の本質を深く理解し、愛していたため、彼らに製作を託したと明かしています。

映画『ブゴニア』主演はエマ・ストーン!キャスト解説

ミシェル役/エマ・ストーン

映画『ブゴニア』
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本作の主人公ミシェルを演じるのは、『ラ・ラ・ランド』(2016年)や『哀れなるものたち』(2023年)でアカデミー賞主演女優賞を獲得したエマ・ストーン。 監督のヨルゴス・ランティモスとの仕事は、2018年の『女王陛下のお気に入り』以来、『哀れなるものたち』、『憐れみの3章』(2024年)につづき、4作目です。

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テディ役/ジェシー・プレモンス

テディを演じるジェシー・プレモンスのランティモス監督作品への出演は、『憐れみの3章』につづいて、2作目。 彼はドラマ『ブレイキング・バッド』(2008年〜2013年)への出演で注目を集め、2021年にはジェーン・カンピオン監督の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。

ドン役/エイダン・デルビス

テディのいとこであるドンを演じるエイダン・デルビスは、本作が映画初出演の新人です。 2024年に高校を卒業するまでの3年間、演劇部に所属し『ドラキュラ』や『オールモスト・メイン』などの舞台に出演。ロサンゼルスのアクターズスクールで演技を学んでいます。

映画『ブゴニア』監督はヨルゴス・ランティモス

憐れみの3章
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『ブゴニア』の監督ヨルゴス・ランティモスは、2009年に『籠の中の乙女』で第62回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリを受賞し、注目を集めました。 2015年にはコリン・ファレルを主演に迎えた『ロブスター』が第68回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞し、アカデミー賞でも脚本賞にノミネート。 独特なストーリーテリングと美術感覚で、唯一無二の世界観を作り上げるランティモス。『ブゴニア』でも、彼独自の世界を見せてくれています。

映画『ブゴニア』は2026年2月13日公開!

映画『ブゴニア』
(C)2025 FOCUS FEATURES LLC.

エマ・ストーン&ヨルゴス・ランティモスのタッグによる4作目の映画となる『ブゴニア』。風刺と不条理に満ちたSFコメディとして楽しめる作品であるのと同時に、後半の怒涛の展開、驚きの結末に引き込まれる作品になっています。 映画『ブゴニア』は2026年2月13日公開です。