『果てしなきスカーレット』ドラゴン(竜)の正体は?映画で描かれなかった真実を小説を元に解説
2025年11月21日に公開された細田守監督最新作『果てしなきスカーレット』。そのなかでも、重要なシーンでたびたび登場するドラゴンは、謎に満ちた存在です。果たしてその正体とは? この記事では、『果てしなきスカーレット』のドラゴンについて、映画で描かれた部分と原作小説にしか描かれていない事実を交えて考察していきます。
『果てしなきスカーレット』ドラゴン(竜)の概要

黒く長い体が特徴のドラゴンは、いわゆる西洋の胴体と手脚のある「ドラゴン」というよりも、ヘビのような東洋的な「竜」のような姿をしています。しかしこの記事では、呼称を「ドラゴン」に統一します。 公式の紹介文では、「死者の国の空に時折姿を見せる謎の存在。争いの地に雷を落とし、時に戦いを諫め、時に恐怖を与える。」と説明されています。 死者の国でのスカーレットの旅路で、たびたび姿を現したドラゴンの秘密に迫っていきましょう。
ドラゴンの登場シーンをおさらい
死者の国で謎に満ちた存在であるドラゴン。しかしその行動のほとんどは、スカーレットにとって良い方向へ働いていました。 ドラゴンの登場シーンを振り返ってみましょう。
キャラバンを襲う盗賊を一掃
死者の国でキャラバンに出会い、行動をともにすることにしたスカーレットと聖。しかしそこへ、盗賊が襲いかかります。スカーレットたちは窮地に陥ってしまいました。 すると突然ドラゴンが現れ、雷を落として盗賊を追い払います。ドラゴンがなにか、もしくは誰かに味方しているのかはわかりませんが、ドラゴンのおかげでスカーレットたちは窮地を脱することができました。
ヴォルティマンドからスカーレットを遠ざける

クローディアスの部下であるヴォルティマンドもまた、死者の国にやってきていました。彼はスカーレットの命を狙い、彼女を追ってきました。 2人は激しい戦闘をくり広げ、ヴォルティマンドはスカーレットに銃を向けます。そこへまたしてもドラゴンが現れ、落雷が発生。ヴォルティマンドたちをスカーレットから遠ざけました。 敵の兵士たちがいなくなったあと、雷鳴が鳴り響くなか、聖はスカーレットの傷の手当をします。
クローディアスの最後はドラゴンによって⋯⋯

見果てぬ場所の奥地にある、大きな門の前にたどり着いたスカーレット。そこにはクローディアスがいて、門が開かないことを嘆いていました。自分の過去の行いを悔いている様子の彼を見て、父の最期の言葉「許せ」を思い出したスカーレットは、彼を許そうと決意します。 しかしクローディアスは反省するフリをしてただけで、スカーレットの剣を奪って振り上げました。するとドラゴンの雷が剣に落ち、クローディアスは虚無化します。
大なドラゴンの正体は小さな鳥の集合体!?
クローディアスが雷に打たれて虚無化したあと、大きなドラゴンが霧散していくような描写がありました。映画全編を通して、小さな鳥がたくさん集まっている描写がたびたびありましたが、ドラゴンはその鳥が集合して形作っていたものだったようです。 映画では詳しい描写はありませんが、原作小説にはドラゴンの正体は鳥の群れだったことが明言されています。
死者の国を見渡し味方する存在?
パンフレットによれば、細田守監督はドラゴンがどんな存在であるかの解釈は、観客に投げかけているとのことです。 ドラゴンの正体は小さな鳥の集合体でした。空を飛び、世界を渡れる鳥たちは、死者の国の見渡し、誰に力を貸すかを見極めているのかもしれません。 スカーレットたちの行いは、味方するに値するものと判断されたのではないでしょうか。
『竜とそばかすの姫』の竜との関係は?

細田監督の前作『竜とそばかすの姫』にも、竜が登場しています。しかし前作の竜と本作のドラゴンはサイズ感や見た目が大きく違っており、その描写の違いを楽しむことができます。 一方、本作のドラゴンは『竜とそばかすの姫』や『バケモノの子』(2015年)に登場するクジラにサイズ感が似ているので、そちらを意識したのではないでしょうか。細田守作品において、クジラは「生と死」というテーマに結びつきやすいモチーフですが、『果てしなきスカーレット』では、ドラゴンにその役割が託されたのかもしれません。
『果てしなきスカーレット』ドラゴンの迫力を劇場で味わおう
スカーレットの死者の国での旅路を見守り助ける存在として、重要な役割を担っているドラゴン。謎多きドラゴンはその活躍や正体、目的もさまざまな解釈・考察ができます。 『果てしなきスカーレット』は2025年11月21日から全国劇場公開中です。




