「攻殻機動隊」おすすめの順番と時系列を完全解説!Netflixの最新作から初代「S.A.C.」まで
【一覧表あり】「攻殻機動隊」シリーズを見るおすすめの順番を解説
「S.A.C」シリーズ | 「STAND ALONE COMPLEX」(アニメ/2002年) 「S.A.C. 2nd GIG」(アニメ/2004年) 「STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」(アニメ/2006年) 「 S.A.C. The Laughing Man」(映画/2005年) |
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②「GHOST IN THE SHELL」 | 『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(映画/1995年) 『イノセンス』(映画/2004年) |
③「ARISE」シリーズ | 「ARISE border:1 Ghost Pain」(映画/2013年) 「ARISE border:2 Ghost Whispers」(映画/2013年) 「ARISE border:3 Ghost Tears」(映画/2014年) 「ARISE border:4 Ghost Stands Alone」(映画/2014年) 「ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE」(アニメ/2015年) |
④「新劇場版」 | 『攻殻機動隊 新劇場版』(映画/2015年) |
⑤その他最新作 | 『ゴースト・イン・ザ・シェル』(実写映画/2017年) 『攻殻機動隊 SAC_2045』(配信アニメ/2020年) |
「攻殻機動隊」シリーズは、これまでの25年間で多くの作品が作られてきました。その一方で、本シリーズは難解な作品という印象が付いています。こうしてハードルが上がり、どれから観ればよいか分からなくなってしまうのです。 そこで、「攻殻機動隊」シリーズを観るおすすめの順番の紹介します。まず、作品の世界観を理解するために、最初にTVシリーズの「S.A.C.」を観ましょう。TVシリーズは「公安9課」の活躍を描いた、ストーリーの本筋が描かれています。 TVシリーズの後は、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)が良いと思われます。原作ベースの本作は、TVシリーズを観ていることで、すんなりと内容が入ります。 また、一見「攻殻機動隊」シリーズとは別物のように見える映画『イノセンス』も、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の続編作品なのでまとめてチェックするのがおすすめです。 その後は、劇場版「ARISE」4部作から新劇場版、実写版と公開年度に従った順番で問題ありません。また、最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』は「S.A.C」シリーズを観ていれば問題なく世界観を楽しむことができるでしょう。
①「S.A.C」シリーズ【全作品紹介】
近未来、人々の間に「電脳化」と「義体化」が普及した時代。内務省には、国内のテロやサイバー犯罪に対処する、独立した組織がありました。軍や警察の精鋭が集められたその組織は、草薙素子率いる“攻性”の部隊、通称「公安9課」。 彼女たちが、国内に渦巻く数々の犯罪へと立ち向かっていく物語です。 公安9課の活躍を描く「S.A.C」シリーズは、内容によって大きく3つに分けられます。 1つ目の「笑い男事件」は、凄腕ハッカー「笑い男」を軸とした数々の陰謀の物語(シリーズ1・4)。その後は、テロ集団「個別の11人」を中心としたストーリー展開に(シリーズ2)。最後に、素子失踪後の新生公安9課がハッカー「傀儡廻(くぐつまわし)」を追う話が描かれています(シリーズ3)。
『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(アニメ/2002年)
『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』は、2002年に放送された、TVシリーズの第1作目。監督を務めた神山健治は、その後のTVシリーズの全てを手掛けてきました。「ARISE」では一度制作から離れましたが、『攻殻機動隊 SAC_2045』で再び戻っています。 TVシリーズは、世界観や設定のみ原作に基づいた、完全オリジナルストーリー。その他、原作と異なり、草薙素子以外の9課メンバーがはっきりと描かれているのも特徴的です。
『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』(アニメ/2004年)
『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』は、シリーズ1の続編作品。2004年から1年間の間、テレビ放送されました。9課メンバーが横1列に並ぶOPは非常に有名で、“攻殻立ち”という言葉が生まれたほど。 シリーズ1から2年後の2032年、「個別の11人事件」に伴う公安9課の復活から始まります。なお、2006年には「個別の11人事件」がまとめられた『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Individual Eleven』(2006)がリリースされました。
『攻殻機動隊 S.A.C. Solid State Society』(アニメ/2006)
『攻殻機動隊 S.A.C. Solid State Society』は、「S.A.C.」シリーズの続編で、シリーズ2に続く作品。2006年に、108分の全1話で放送されています。 本作の時系列は、前作のシリーズ2からさらに2年後の2034年。旧9課メンバーのトグサが新たに隊長となり、人数も増えた新しい9課の活躍が見られます。2011年には、本作の3D劇場版として『攻殻機動隊 S.A.C. Solid State Society 3D』(2011)が上映されました。
『攻殻機動隊 S.A.C. The Laughing Man』(映画/2005年)
『攻殻機動隊 S.A.C. The Laughing Man』(2005)は、「S.A.C.」シリーズの作品の1つ。シリーズ1のエピソードのうち、「笑い男事件」を劇場版作品として再編集して作られたものです。本作は2005年に、160分作品として公開されました。 「笑い男事件」は特に人気が高いため、単独での劇場版化も納得です。
②「GHOST IN THE SHELL」【続編も紹介】
原作に準拠した内容の作品群「GHOST IN THE SHELL」。 ここには押井守が手掛けた3作品と実写版映画の4本が該当し、いずれもTVシリーズと同様、「電脳化」と「義体化」が進んだ高度な近未来が舞台です。草薙素子や9課メンバーたちの派手なアクションも見られます。
『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(映画/1995年)
『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)は、「攻殻機動隊」シリーズの第1作となる作品。シリーズとしては最も古い1995年に、劇場版作品として上映されました。劇場版『うる星やつら』や「パトレイバー」で名をはせた押井守が監督を務めた作品です。 本作は、士郎正宗による原作漫画の1巻にあたる内容を映像化しています。また、後述の『イノセンス』(2004年)は、「攻殻機動隊」の名を冠していませんが正当な続編です。
『イノセンス』(映画/2004年)
『イノセンス』(2004年)は、「攻殻機動隊」シリーズの劇場版作品の1つ。映画作品としては、シリーズ第2弾目となります。しかし、上映当初は「攻殻機動隊」シリーズの新作であることを、意図して強調しませんでした。とはいえ、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)の続編であることは違いありません。 物語は、前作で草薙素子が失踪してから2年後の2032年。彼女の相棒を務めてきたバトーを主役に据え、彼の視点で語られます。
『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0』(映画/2008年)
『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0』(2008年)は、押井守による「攻殻機動隊」シリーズ作品の1つ。1995年の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)を、CGを駆使してリニューアルしたものとなっています。なお本作以降の「攻殻機動隊」シリーズにおいて、押井守の名前は見られません。 内容は1995年版と変わりませんが、一部登場人物の声が変更されています。劇場公開されたのも全国5都市のみと、限定されたものとなっていました。
③「ARISE」シリーズ【全作品紹介】
「公安9課」結成前を描いた「ARISE」シリーズ。草薙素子がまだ軍に所属していた頃の物語です。 ある共通の事件を追っていたことで、彼女は荒巻やバトー、トグサとの出会いを果たすことに。そして後に彼らを仲間とした「公安9課」が出来上がるまでの過程が描かれています。これまでの物語のルーツとなる作品です。
『攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain』(映画/2013年)
『攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain』(2013年)は、「ARISE」シリーズの劇場版第1作目。全4作からなる劇場版「ARISE」シリーズの始まりを飾る作品です。これまでのシリーズ作品から一新された作風から、「第4の攻殻」とも呼ばれています。 シリーズ内では比較的新しい作品ですが、作中の時系列的には最も古い作品。草薙素子の義体も、これまでの彼女よりも若い見た目の義体となっています。
『攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers』(映画/2013年)
『攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers』(2013年)は、劇場版「ARISE」の第2作目。第1作目が上映された2013年6月から5か月後の、2013年11月に公開されています。本シリーズの上映時間はいずれも約60分であり、劇場版ながら軽いボリュームです。 本作より、後に9課メンバーとなるキャラが続々と登場し始めます。少しずつ「攻殻機動隊」の基礎が出来上がっていく様子が見られることでしょう。
『攻殻機動隊ARISE border:3 Ghost Tears』(映画/2014年)
『攻殻機動隊ARISE border:3 Ghost Tears』(2014年)は、「ARISE」劇場版4部作の第3作目にあたる作品。2014年6月より、劇場公開が始まりました。連続するシリーズ作品としての配慮がされていて、約半年のペースで上映されています。 本作は、恋愛要素がほぼ皆無の本シリーズにおいては珍しく、草薙素子の過去と恋愛関係が描かれました。また軍ではなく警察所属のトグサの手腕を評価するなど、9課の理念も垣間見ることができます。
『攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone』(映画/2014年)
『攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone』(2014年)は、劇場版「ARISE」を締めくくる、最後の作品。2014年9月に劇場公開され、一旦の区切りを見せました。その後、テレビアニメ版が放送され、『攻殻機動隊 新劇場版』(2015年)へと繋がっていきます。 本シリーズ全編において描かれてきた、「ファイアスターター」に関する真相が明らかに。シリーズを通して従来のイメージを一新させた、新機軸の「攻殻機動隊」を描いた作品といえます。
『攻殻機動隊 ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』(アニメ/2015年)
『攻殻機動隊 ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』は、「攻殻機動隊」シリーズ作品の1つ。2015年に地上波放送されました。本作は、TVシリーズの主流だった「S.A.C.」ではなく、「ARISE」シリーズに位置付けられます。 本作は、後述する劇場版「ARISE」4作品をテレビ用に再編集したもの。さらに、オリジナルエピソードが「PYROPHORIC CULT」が2話分加えられました。この2話を含んだ本作は、劇場版4部作と『攻殻機動隊 新劇場版』(2015年)を繋ぐ役割も果たしています。
④「新劇場版」
『攻殻機動隊 新劇場版』(映画/2015年)
『攻殻機動隊 新劇場版』(2015年)は、「攻殻機動隊」シリーズにおける劇場版作品の1つ。2015年に上映された本作は、「ARISE」シリーズに位置付けられます。 2013年から2014年にかけて公開された、劇場版「ARISE」4部作に続いての劇場版作品。そして、2015年のテレビ再編集版から繋がる形で、上映されています。これまでの「ARISE」で集まった草薙素子と仲間たちが、正式に公安9課、「攻殻機動隊」を結成するに至るまでの物語です。
⑤その他最新作品【Netflix独占配信アニメも】
『ゴースト・イン・ザ・シェル』(実写映画/2017年)
『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017年)は、「攻殻機動隊」シリーズをモチーフとした映画作品。『攻殻機動隊』を題材とした作品の中では唯一の実写作品で、アメリカ、ハリウッドで製作されました。なお、本作はシリーズ最大となる興行収入を叩き出しています。 本作においては、日本のアニメ版は原作ではなく、影響を受けたものという位置付けです。一方で世界観や登場人物、アニメ声優の日本語吹き替えなど、その影響は本編にかなり反映されています。
『攻殻機動隊 SAC_2045』(配信アニメ/2020年)
『攻殻機動隊 SAC_2045』は「攻殻機動隊」シリーズの中で、2020年7月現在最も新しい作品です。『攻殻機動隊 新劇場版』(2015年)以来の、完全新作!本作は2020年にネット配信され、今後は地上波での放送も期待できます。 タイトルの通り、本作はこれまでからしばらく経った、2045年が舞台。ただ、キャラクターのデザインが一新されているため、登場人物はむしろ従来よりも洗練された印象です。「S.A.C.」シリーズの監督や声優が再集結していることから、位置付けは「S.A.C.」シリーズでしょう。
【世界線】「攻殻機動隊」シリーズの時系列は?
2つの“世界線”に注目すれば簡単!
世界線① | 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』 ↓ 『イノセンス』 |
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世界線② | 「ARISE」シリーズ ↓ 「S.A.C」シリーズ ↓ 『攻殻機動隊 SAC_2045』 |
「攻殻機動隊」シリーズは、公開・放送順に観ても、時系列が一致しません。描いている時代や“世界線”が異なるものを扱っているため、繋がらないのです。しかし本作の時系列は、1度知ってしまえばそれほど複雑なものではありません。 まず「攻殻機動隊」シリーズは、2つの異なる“世界線”に分けられます。すなわち主人公の草薙素子が「ネットの海」に同化した、原作準拠の世界かどうかです。 同化した世界(世界線①)を描いたのが、押井守の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)及び『イノセンス』(2004年)の2つ。一方、同化していない世界(世界線②)を描いたものが、「S.A.C.」及び「ARISE」の両シリーズです。 なお後に作られた「ARISE」は「S.A.C.」以前の話。そして、『攻殻機動隊 SAC_2045』は「S.A.C.」の先を描いた作品となっています。
【用語】「攻殻機動隊」シリーズの用語を解説!
近未来的世界観を理解しよう
「攻殻機動隊」の世界というのは、どのシリーズも2030年の近未来が舞台となっています。 作品の中で頻繁に使用されるものの、少しわかりにくい用語も。ここからは作品内で詳しい説明のない「電脳化」や「義体化」「サイボーグ」などの用語を解説します。
「電脳化」って何?
「電脳化」とは簡単に説明をすると、コンピューターネットワークに脳を繋ぐことを指します。現代では、ネットにパソコンに繋いで作業をしたり、ネットサーフィンをしたり、ときにハッキングをする人もいますがそういったすべてを脳内で行うことになります。
「義体化」=「サイボーグ技術」
「義体化」とはこの作品の中での「サイボーグ技術」のことを指しています。 「義体化」することで、痛みを感じることもなく破壊された場合には取替えが可能に。警察や軍事関係者などに多く使われています。 また、手を「義体化」させ仕事の処理速度を高速にしたり、目を「義体化」し、衛星とリンクさせることでより精密な狙撃を企てたりする者も出てきました。 主人公・草薙素子も「義体化」されています。 公安9課という警察に属する組織が犯罪に立ち向かうというのが、この「攻殻機動隊」の柱となっているストーリーですが、主人公の草薙素子も「義体化」されたサイボーグです。 彼女は元軍人で、全身を義体化したサイボーグ。世界でも類を見ないほど義体を駆使しており、戦闘力、判断力やハッカースキルなど、すべての能力において彼女を超えるものはいないと言われるほどの存在です。 「エスパーよりも貴重な才能」と言われています。
【原作】アニメ「攻殻機動隊」を全部観たら原作にも挑戦!
『攻殻機動隊』を語る上で大変に重要な位置を占める『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0』も『イノセンス』も本来は士郎正宗原作のエピソードを下敷きにしています。 原作は長編アニメシリーズなどと違い、キャラクターの色付けも薄味でアニメや映画とはかなり違った、コミカル色の強いものとなっています。 原作漫画と映画、アニメは作品の雰囲気も主人公草薙素子の性格もかなり違うので映像作品と原作漫画は別物として考えましょう。 士郎正宗著作の『攻殻機動隊』は全3冊出ているので「攻殻機動隊」の世界観をもっと触れたいという人にオススメですし、もちろん漫画から映像作品に入っても鑑賞に問題ない作品となっています。 原作は、3冊で完結しています。1巻、2巻、1.5巻です。1.5巻というのは、発売された順番で読むのが一番分かりやすいので、最後に発売された1.5巻は最後に読むと良いと思います。2巻の関しては、ファンの間でもかなり内容が複雑で理解が難しいとの声もあがるほど、読み応えは十分です。
「攻殻機動隊」の見る順番はこれで完璧!時系列も理解して世界観を満喫しよう
「攻殻機動隊」を観る準備は整ったでしょうか?長きに渡り多くの日本のみならず、世界中のSFファンたちを虜にし続けている日本を代表するアニメシリーズである本作品。 未だとどまることを知らない作品の広がりをぜひ堪能してみてくださいね。