『リメンバー・ミー』泣ける理由をネタバレありで徹底解説!もっと面白くなるトリビアも
2017年に公開された“泣ける”ピクサー映画『リメンバー・ミー』。2022年3月4日に、金曜ロードショーで放送されます。 ここからは『リメンバー・ミー』のあらすじやトリビアを紹介し、なぜ“泣ける”映画なのかを紹介します!
映画『リメンバー・ミー』ってどんな内容?
時はメキシコに古くから伝わる、年に一度死んだ先祖と再会する「死者の日」。骸骨となった死者たちが陽気に暮らす死者の国に少年ミゲルが迷い込み、音楽と家族の絆をテーマに冒険を繰り広げます。
公開時の評判は?
日本では50億円を超える興行収入をあげ、大ヒット作品となりました。ピクサー屈指の“泣ける”映画として話題となった本作。観た人は家族の大切さに改めて気づかされること間違いなしです。
※本記事では『リメンバー・ミー』のネタバレを含んでいる部分があります。ご注意ください。
美しい映像と音楽が魅力『リメンバー・ミー』のあらすじ
主人公は音楽が大好きな12歳の少年ミゲル・リヴェラ。彼の家はひいひいおじいちゃん(高祖父)が音楽を追い求めるあまりに妻を捨てたことから、一族に「音楽禁止の掟」を立て、代々靴屋を営んでいました。 1年に1度だけ亡くなってしまった人に会える「死者の日」、ミゲルは憧れの歌手であるエルネスト・デラクルスの墓を訪れます。そして彼の遺品であるギターを演奏すると、ミゲルはテーマパークのようで幻想的な死者の国に迷いこんでしまいます。 そこで自分の先祖や憧れのデラクルスと出会い喜ぶミゲルですが、後に彼は家族の重大な秘密を知ることに。そして早く死者の国から帰らなければならないことが判明します。出会ったスケルトンの詐欺師・ヘクターに導かれ、ミゲルは元の世界へ帰る方法を探しますがーー。
『リメンバー・ミー』を観るうえで押さえておきたい2つのポイント
1.死者の国にまつわる3つの掟
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死者の国にまつわる3つの掟が、本作において重要な役割を担っています。 その3つの掟とは、1つ目「死者の日に死者の物を盗んだ生者は死者の国に飛ばされる」、2つ目「生者が死者の国で日の出を迎えると帰れなくなる」、3つ目「生者の国の祭壇に写真が飾られていない者は死者の国から出られない」というもの。 さらに生者が死者の国から出るには、死者の国にいる自分の先祖からの許しを得ることが条件となっています。 まずミゲルは1つ目の掟通り、彼が尊敬してやまないミュージシャン・デラクルスの霊廟にあった彼のギターを無断で弾いたことをきっかけに死者の国に飛ばされてしまいます。 その後ミゲルは2つ目の掟を知り、なんとか死者の国にいた先祖を見つけ出して生者の国への生還を急いで試みることに。しかし、許しをもらう代わりに「一生音楽を捨てる」という条件を高祖母から突きつけられてしまうのです。 ヘクターは生前の自分を知る唯一の生者である愛娘との再会を願うものの、3つ目の掟に阻まれて死者の国から出られずにいました。そこで生者であるミゲルと出会い、自分の写真を祭壇に飾るよう協力を求めたのでした。 この死者の国の掟があることで、キャラクターたちはそれぞれ苦しむことに。しかし、これが後に本作の重要なテーマに繋がってくるのです。
2.ディズニーによる2つの「死」の意味
#PixarCoco was just nominated for a @BAFTA for Best Animated Feature! pic.twitter.com/PMHP60RMbL
— Disney•Pixar's Coco (@pixarcoco) January 9, 2018
ひいひいおばあちゃん(高祖母)であるママ・イメルダが立てた「音楽禁止の掟」を、娘のママ・ココをはじめとする一族は守ってきていました。 禁止されている音楽をこよなく愛し、ひそかにミュージシャンになることを夢見ていたミゲル。祖母をはじめとした家族からは猛反対を受け、ついには大切にしていたギターを破壊されてしまいます。 ショックと怒りで家を飛び出したミゲルが迷い込んだのは、他界した者たちが集い生活を営む死者の国。ここでは肉体を失い骨のみの身体になっているものの、死者は楽しげに死後の人生を満喫し、各々の楽しみを見つけていました。 しかし生前の姿を存命中の全ての人々から忘れられてしまった場合、魂も永久に消滅してしまうのです。 本作では死は2回訪れるものとされており、1回目は「肉体の死」、2回目は死者の国での「魂の死」であるとされています。例え肉体が生者の国で死を迎えたとしても、その存在を家族や周囲の人間たちが語り継いでくれれば死者の国で生き続けられるのですが、それが途絶えたときに魂の死が訪れるのです。 つまり肉体の死は真の死ではなく、誰かの中で記憶として語り継がれれば、その人物は永遠に生き続けることができるということを本作は提示しています。そしてそれこそがディズニーが死と向き合った末に出した結論であり、ディズニー流の死の解釈とも言えるでしょう。
なぜ『リメンバー・ミー』は泣けるのかを考察【ネタバレ】
ラストで「死者の国の掟」が活きてくる
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— Disney•Pixar's Coco (@pixarcoco) February 20, 2018
ヘクターの友人が生者の国で忘れ去られ、完全に消え去ってしまう様子をミゲルが目撃するシーンがあります。この「魂の死」は死者にとって最も寂しく、最も悲しいことです。
物語の終盤、実はヘクターこそがミゲルのひいひいおじいちゃんだったことがわかります。しかし、ヘクターを唯一知るママ・ココは認知症。ヘクターにも彼の友人と同じく「魂の死」の危機が迫ります。 「魂の死」を回避するためには、彼女がヘクターのことを思い出さなければなりません。そのピンチを救ったのが、「リメンバー・ミー」という曲なのです。
「リメンバー・ミー」という歌の本当の意味
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— Disney•Pixar's Coco (@pixarcoco) December 6, 2017
本作のタイトルにもなっている劇中歌の「リメンバー・ミー」には、「覚えておいて」と訳されるように、自分のことを忘れないでいて欲しいというメッセージが込められています。
この曲はヘクターが娘であるママ・ココに送ったもの。家族を置いて音楽の道に進むと決めたヘクターが、彼女のために作った曲でした。 ミゲルがこの歌を歌うと、ママ・ココにある変化が。「リメンバー・ミー」を聴くことで、彼女は生前のヘクターを思い出したのです。 まさにこの歌のタイトルが、本作の真髄を物語っているとも言えるでしょう。つまりこの曲はたとえ命が尽きても、誰かが記憶を繋いでくれれば生き続けることができるという、本作の最大のテーマとなる「永遠の生」と、死者と生者の再会を歌ったものなのです。 『リメンバー・ミー』は少年ミゲルの大冒険を描いた上で、家族の絆を歌に乗せて伝えているため、心に響く作品になっているのではないでしょうか。
あなたは気づいた?見逃せないピクサーならではのトリビア
ギターに持ち主のヒントが隠されていた!
『#リメンバーミー』ミゲルの冒険5⃣
— ディズニー・スタジオ (@disneystudiojp) March 9, 2018
ミゲル、街の広場へ❗️
飾られているデラクルスの美しいギターを奏でると…⁉????
~6⃣につづく~ pic.twitter.com/WC2it3aMOh
『リメンバー・ミー』では、ミゲルが自分のひいひいおじいちゃん(高祖父)を見つけようと奔走するのですが、ヒントとなる顔だけ破られた写真には、すでに正体を暗示するヒントが潜んでいたのです。 写真の人物がデラクルスと同じギターを手にしていることで、ミゲルがデラクルスを自分の先祖だと勘違いしてしまったあのギター。 ヘッドストック部分がドクロのデザインとなっていますが、歯が1か所だけ金色に塗られています。実はこのギターの持ち主、つまりミゲルの先祖も歯が1本だけ金歯の人物だと示していたのです。
本当のひいひいおじいちゃんだったヘクターですが、よく見ると確かに1本だけ金歯になっていますね。
他のディズニー・ピクサーキャラクターがカメオ出演していた!
ディズニー・ピクサー作品といえば忘れてはいけないのが、他作品のキャラクターがカメオ出演しているところ。『リメンバー・ミー』でも、たくさんのキャラクターが登場していました。 例えばミゲルの家の祭壇にこっそり『ファインディング・ニモ』のニモが潜んでいたり、ミゲルが町中を駆け巡るシーンでは、ニモやドリーに加え『ファインディング・ドリー』に登場したデスティニーらしきフィギュアなども確認できます。 また広場に近づくシーンでは「トイ・ストーリー」のウッディやバズ、「モンスターズ・インク」のマイクの人形などが飾られているシーンもチラッと映ります。 さらに町中でトウモロコシを食べている少年の靴にも注目。男の子が履いている靴が「カーズ」に登場するマックィーンをモチーフにしたデザインになっています。
ピクサーでお馴染みのイースター・エッグも!
『#リメンバーミー』ミゲルの冒険3⃣
— ディズニー・スタジオ (@disneystudiojp) March 7, 2018
ミゲル、ミュージシャンを目指したいのにおばあちゃんは【音楽禁止】を徹底⚡
\音楽はだめ!絶対にだめ!!/
~4⃣につづく~ pic.twitter.com/1gR4c5wgkO
またディズニー・ピクサ―作品には決まって登場するモチーフが多数あります。この『リメンバー・ミー』でも御多分に漏れず、しっかりイースターエッグが隠されていました。 まずは多くの作品でお馴染みとなっている、ピザ・プラネットのデリバリーカー。こちらは冒頭でミゲルが窓から外を眺めているシーンで、家の前を横切っています。 そしてピクサーのアイコンとしても見慣れた、黄地に青ラインと赤い星形の「ルクソー・ボール」。こちらは死者の世界で、フリーダ・カーロの猿のアレブリヘがダンテと初めて会って飛び跳ねるシーンの画面奥にチラリと映ります。 さらに難度の高い、恒例のイースターエッグのひとつ。ピクサーのオリジナルメンバーが学んだカリフォルニア芸術大学の教室番号に由来する、「A113」のナンバーも今作でも登場。死者の国の入国審査の部屋で、窓ガラスにこの番号が確認できます。
次回作へのバトンリレーが行われていた!
そしてお約束要素として忘れてはならないのが、次回作へのヒントです。 ディズニー・ピクサー作品では、次に公開が決まっている作品に関するアイテムが、その前の作品に登場するのが定番となっております。 本作のひとつ前の作品である『カーズ/クロスロード』内にも、『リメンバー・ミー』に関する要素が隠されていました。『リメンバー・ミー』の舞台となるサンタ・セシリアの町が映ったり、ミゲルが死者の国に行くきっかけとなるギターが背景に登場しています。 そして『リメンバー・ミー』の次の作品は、2018年公開の『インクレディブル・ファミリー』。実はデラクルス広場に飾られているポスターに、骸骨姿のインクレディブル・ファミリーが映っています。騒がしい町中のシーンでは、ぜひ壁面に注目してみて下さい。
『リメンバー・ミー』は何度でも観たくなる名作!
この記事では『リメンバー・ミー』についてあらすじやトリビアを紹介し、“泣ける”理由を考察しました。死者という今までにないテーマを使い、メッセージを歌に乗せて家族の絆を描き出していました。 「死者の日」を舞台に繰り広げられる、少年ミゲルの冒険と家族の再生の物語『リメンバー・ミー』。まだ観ていない人はもちろん、すでに観た人もトリビアを探しながら観てみてくださいね。