2019年2月6日更新

映画『ラ・ラ・ランド』がもっと面白くなる11の事実【あらすじ・キャスト一覧】

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ラ・ラ・ランド

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ミュージカル映画の傑作『ラ・ラ・ランド』がもっと面白くなる11のトリビアを紹介!

現代のロサンゼルスを舞台に、ジャズピアニストと女優の卵のラブストーリーを描いたミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』。 2014年公開の『セッション』で、その名を世界に知らしめたデイミアン・チャゼル監督の新作として注目を浴びました。男女の恋愛を描く王道のテーマと、過去のミュージカル映画へのリスペクトが散りばめられつつ、チャゼル監督らしい描き方で真正面からミュージカル映画に挑んだ作品でした。 今回は数々の賞レースにノミネート、受賞を果たしたミュージカル映画の新たな傑作『ラ・ラ・ランド』が“もっと面白くなる!”11のトリビアを紹介します!

【ネタバレ注意】なぜ『ラ・ラ・ランド』はあのようなラストになった?徹底考察

ciatrのこちらの記事では、本作のラストシーンが示したメッセージを徹底考察しています。ラストに関するネタバレがありますので、未鑑賞の方はご注意ください。

『ラ・ラ・ランド』のあらすじをおさらい

夢追い人たちの街、ロサンゼルス。女優志望のミアは、映画スタジオのカフェで働きながらオーディションに挑戦するも、何度受けても落ちてばかりいました。 ミアはある日、ルームメイトの誘いで業界関係者のパーティーに参加します。顔を売るのも上手くいかず、挙句に車がレッカー移動され、歩いて帰る羽目に。帰路の途中、あるレストランでセブが弾くピアノを耳にします。惚れ込んで声を掛けようとしますが、彼は指定通りの曲を弾かなかったことで解雇されたため、ミアを邪険に扱い去っていきました。 その後、ミアとセブは再会。やりとりを重ねるうちに互いの才能と夢に惹かれ合い、やがて恋に落ちていくのです。季節が春から夏へ変わる頃、ミアは恋人のグレッグに別れを告げてセブと同棲し、彼も生活のためにとバンドに加入しますが……。 バンドが大成功を収めたことから、2人の生活にも、心にもすれ違いが生じ始めるのでした。

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ジャズバー経営を夢見るセブ役のキャストはライアン・ゴズリング

セバスチャン・ワイルダー(セブ)/ライアン・ゴズリング

セブことセバスチャン・ワルダーは、いつかロサンゼルスで古き良きジャズを愛でるジャズバー・レストランの経営を夢見る、売れないピアニストです。時代遅れになったジャズは大衆受けしないのが現実であり、姉ローラにも身を固めるよう諭されていました。 ライアン・ゴズリングは、日本では本作で知名度が上がりましたが、実はゴールデングローブ賞の主演男優に何度もノミネートされた実力派。世界的には2004年に映画『君に読む物語』で注目を集め、『ドライヴ』では演技の幅広さが話題に! 音楽活動も行うほか、2014年には『ロスト・リバー』で監督デビューしました。

ハリウッド女優を夢見るミア役のキャストにエマ・ストーン

ミア・ドーラン/エマ・ストーン

もうひとりの主人公で、ハリウッド女優を夢見るミアこと、ミア・ドーラン。似た境遇のセバスチャンと恋に落ち、お互いの夢を支え合うパートナーになります。 エマ・ストーンの名は、映画『アメイジング・スパイダーマン』(2010年)のヒロイン、グウェン役で広く知られました。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014年)では、アカデミー賞助演女優賞、英国アカデミー賞助演女優賞など数々の賞にノミネートされました。

『ラ・ラ・ランド』に出演したその他キャスト一覧

ビル/J・K・シモンズ

J・K・シモンズ
©Sheri Determan/WENN.com/Zeta Image

セバスチャンがピアニストとして雇われるレストランのオーナー、ビルを演じるのは、デイミアン・チャゼル監督と2度目のタッグとなる名優J・K・シモンズ。 前回の『セッション』では、それまでのイメージと違う狂気に満ちた鬼教師フレッチャーを演じ、アカデミー賞助演男優賞など各国の映画賞を総なめにしました。本作の役柄は"ジャズ嫌い"で偏屈なオーナーで、あの鬼教師の姿を彷彿とさせる、主人公の道を阻む存在でした。

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グレッグ/フィン・ウィットロック

ミアの元カレ、グレッグを演じるのはアメリカ人俳優フィン・ウィットロック。アメリカでは舞台やTVを中心に活躍しており、TVドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー:怪奇劇場』シリーズではレギュラー出演を果たしました。 2015年には、映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』にも出演するなど活躍の場を広げており、同作でライアン・ゴズリングと共演しています。

ケイトリン/ソノヤ・ミズノ

ソノヤ・ミズノ
©Byron Purvis/AdMedia/Newscom/Zeta Image

日本人として気になるのが、ミアのルームメイトの一人(ダンスシーンでは黄色のドレス)、ケイトリンを演じたソノヤ・ミズノですよね。 日本人の父とイギリス人の母を持つハーフで、イギリス国籍の日系イギリスです。もとはバレリーナでしたが、20歳でモデルデビューし、女優業にも進出している様子。日本では2016年にユニクロの「UNIQLO SPORTS」CMでダンスを披露し、大きな話題を呼びました。 日本公開された出演作はまだ少ないですが、さらなる活躍を期待したいですね!

その他のキャスト

『ラ・ラ・ランド』のその他のキャストとして、ローズマリー・デウィット、ミーガン・フェイ、ジョシュ・ペンスらも名を連ねています。 全員日本で放送、公開された作品にあまり出演していないので知名度は高くありませんが、セバスチャンの姉ローラを演じたローズマリー・デウィットは、マット・デイモン主演の『プロミスト・ランド』(2014年)で小学校教師のアリスを演じました。 ミアの母親役のミーガン・フェイは、TVドラマのゲスト出演が中心。グレッグの兄を演じたジョシュ・ペンスは、映画『ソーシャル・ネットワーク』でタイラー・ウィンクルボスのボディダブル(身体だけ演じた)を務め、作品に対する貢献が評価されたそうです。

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傑作を手掛けた監督はデイミアン・チャゼル

デイミアン・チャゼル
©JIM RUYMEN/UPI/Newscom/Zeta Image

メガホンを取ったのは、『セッション』で時の人となったデイミアン・チャゼル。1985年生まれで映画監督としては若いですが、その才能は世界も認めるほど。プロドラマーを目指していたものの、夢破れて映画製作に路線変更した過去があり、作品に活かされています。 映画監督、脚本家としては、2009年にミュージカル映画『Guy and Madeline on a Park Bench(原題)』でデビューしました。 若きジャズドラマーと暴力的な指導が狂気を帯びる教師を描き、全世界で高く評価された『セッション』をはじめ、監督作のほとんどで脚本も同時に担当。本作に関しては、往年の名作『シェルブールの雨傘』、『ロシュフォールの恋人たち』の影響を受けたそうです。 2019年2月に日本公開の『ファースト・マン』(監督のみ)は、史上初めて月面を歩いた宇宙飛行士ニール・アームストロングの伝記を基に描かれ、ゴズリングが再び主演を務めます。

1.『ラ・ラ・ランド』制作までの苦労

デイミアン・チャゼルが『ラ・ラ・ランド』の着想を得たとき、彼はまだ大学生でした。音楽担当のジャスティン・ハーウィッツも、同じ大学の同級生です。 ハーバード大学在学中、チャゼルはハーウィッツと共に本作の映画化を決心し、脚本自体は2010年に完成させていました。しかし、当時の彼にとって映画界は遠い存在で、ヒット曲に頼った形でなく、ジャズを使用したミュージカル映画にどのスタジオも興味を示しません。 伝手を辿ってプロデューサーを迎え、ようやく興味を持ってくれるスタジオが現れても、主人公をロックミュージシャンに変更する、OP曲を差し替えるなどチャゼルが作品の特色として重要視した部分の変更を要求されたため、一旦プロジェクトは破棄されました。 そして2014年公開の『セッション』の興行的、批評的成功によって、『ラ・ラ・ランド』はついに日の目を見たのです。

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2.ライアン・ゴズリングは実際にピアノを弾いている?

ハーウィッツによると、セバスチャンのピアノソロシーンは、制作途中の段階ではピアニストのランディ・カーバーが演奏していました。 チャゼル監督は、『セッション』でも役者本人の演奏を要求したように、メソッド演技(役作りの上をゆく憑依型)を追求することで有名。本作でも、昔のミュージカル映画のように長回しでの撮影が決まったため、ゴズリングはピアノを猛練習しました。 ゴズリングは何と3ヶ月もの期間、一日2時間のレッスンを週6日こなし、撮影初日を迎える頃には全曲を自分で演奏できるようになっていたとのこと。その結果、手元のクローズアップですら代役を立てずに本人が演奏したというのですから、その器用さに驚くばかりですね! 腕前も相当なもので、共演者でピアニストでもあるジョン・レジェンドは、彼があまりに早くピアノを習得したのでその才能に嫉妬したそうです。

3.『セッション』と同じ曲が使われている

『ラ・ラ・ランド』の音楽は、先述したジャスティン・ハーウィッツが、『Guy and Madeline on a Park Bench 』、『セッション』に続いて担当しました。 セバスチャンとミアがジャズについて話しているシーンで流れるのは、ハーウィッツ作曲の「When I Wake」で、『セッション』でも使用された曲。実はその該当シーンも、メインの2人がデートをしている場面で、しかもジャズについて話しているという同じ設定でした! とても粋な演出ですし、監督のジャズへの愛と作品への思い入れが感じられますね。

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4.顎にリモコンキーを当てると車が反応するのは本当?

"『ラ・ラ・ランド』で学ぶ雑学"として、ミアが自分の車を探すシーンで登場する、リモコンキーに関するトリビアを紹介しましょう! セバスチャンはミアに、「車のリモコンキーを顎に当てることで、信号が届く領域が広がる」と助言するのですが、これはドアのロック/アンロックを操作する機能「キーレスエントリー」の信号(電波)が届く範囲が広がり、より遠くの車も反応するというもの。 どういう原理かというと、キーから車に信号が送られる時には、同時に電流も流れます。人間の身体はほぼ水分で出来ているため、"水は電気をよく通す"に当てはまることに。キーを顎に当てると腕が輪っかに似た状態になり、"輪の中を循環する電流がより強い電波を生む"仕組みが、自然と作られるというわけなのです。 ちなみに、「ガンになる説」はミアをからかうためのウソですのでご安心を!

5.ライアン・ゴズリングが気に入って追加したセリフ

ライアン・ゴズリング
WENN.com

ライアン・ゴズリングは、2011年から女優のエヴァ・メンデスとパートナー関係にあり、事実婚の期間を経て、2016年に挙式しました。 事実婚の間に女児2人をもうけており、子どもの誕生以来揃って公に姿を見せていませんが、本作には彼女の影響があったのだとか。それは、ジャズが時代遅れになりつつあることを「L.A.の人は全てを崇拝するが、全ての価値を認めない」と嘆く、セバスチャンのセリフ。 このセリフは、メンデスの冗談をゴズリングが気に入り、演技に追加したのだそうです。

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6.エマ・ワトソンとマイルズ・テラーがメインキャストの予定だった!?

エマ・ワトソン
©︎Dennis Van Tine/Future Image/WENN.com

企画当初、セバスチャンとミアには『セッション』のマイルズ・テラーと、「ハリー・ポッター」シリーズのエマ・ワトソンがキャスティングされていました。 しかし、ワトソンはディズニー実写映画『美女と野獣』(2017年)のヒロインに選ばれたため、そちらの出演を優先して降板。テラーも長期に亘る交渉の末に降板し、『美女と野獣』の野獣役のオファーを断ったゴズリングが、『ラ・ラ・ランド』に出演する偶然が起こりました。 エマ・ワトソンは『ラ・ラ・ランド』がアカデミー賞で偉業を成し遂げ、世界的なヒットを記録する裏で凄まじく後悔したとか、しなかったとか……。

7.グラミー賞常連のジョン・レジェンドが出演

終盤でセバスチャンが加入する、バンド「Messengers」のリーダー兼Vo担当のキースを演じたのは、有名R&Bシンガーのジョン・レジェンド! キースは元同級生のセバスチャンを、メジャーデビュー予定の自分のバンドに誘い、間接的にミアとの不和の原因を作りました。大衆受けする曲を演奏させられることに思うところはあるものの、客に聴いてもらうためと割り切っている役どころでした。 本職として、劇中歌「START A FIRE」の制作にも参加し、本人が歌唱しています。 レジェンドは有名コンサル会社に就職した後、歌手デビューしたという経歴の持ち主で、2004年のデビューアルバム「Get Lifted」は全米売上200万枚を超える大ヒットを記録。グラミー賞の常連で、『グローリー/明日への行進』(2014年)の主題歌をコモンと共に手掛け、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞を受賞しました。 俳優業への進出も考えていた中で、本職も活かせる本作のオファーを快諾したそうです。

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8.エマ&ゴズリングがベストカップルな理由

実は過去の共演経験が多い『ラ・ラ・ランド』のキャスト。特にライアン・ゴズリングとエマ・ストーンは『ラブ・アゲイン』(2011年)、『L.A. ギャング ストーリー』(2013年)に続く3度目の共演で、すべてカップルを演じています! 2015年公開の『フォーカス』でも、恋人役でキャスティングされましたが、最終的にその役はウィル・スミスとマーゴット・ロビーに変更されました。 チャゼル監督は2人について、スペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘプバーン、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースなど「往年のハリウッド・カップルのようにしっくり合っていると感じた」と、ENTERTAINMENT WEEKLYのインタビューで答えています。 共演ではありませんが、エマ・ストーンは『アメイジング・スパイダーマン』、J・K・シモンズは「スパイダーマン」3部作に出演しているなどの共通点も。気心の知れたキャスト同士で、いい雰囲気で撮影を進められたのかもしれません。

9.衣装チェンジ100回に込められた思い

『ラ・ラ・ランド』はストーリーの展開に合わせて、主人公2人の感情の変化・成長を言葉や場所だけではなく、衣装でも見事に表現しています。 心情を小物などで表現するのは、チャゼル監督が得意とする技法と言われ、エマとゴズリングは映画の中でそれぞれ50着の衣装を着こなしました。例えば、上の画像のシーンでエマが着用している青いドレス。青は「開放感」「栄光」「信頼」といった意味を持つ色で、ミアが友人との時間を楽しんでいることが伝わりやすいように考えられていますね。 衣装デザイナーのメアリー・ゾフレスとデイミアン・チャゼル監督は、Hollywood Newsに対して「シーンごとに感情を伝える手段として色に集中した」と語りました。 チャゼル監督はメアリーを絶賛し、彼女の衣装のおかげで1940年代(ミュージカル映画の最盛期)と、現在の感覚の間のバランスが取れたとのこと。メアリーとチャゼル監督の思いが込められた、100回の衣装チェンジも見どころの一つです。

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10.過酷な中で撮影されたダンスシーン

チャゼル監督の強いこだわりから、過酷になったのは衣装チェンジだけではありません。 夕闇のハリウッドヒルズでのダンスシーンを撮影するチャンスは、2日間で30分間しかなく、主演2人は1日5回のダンスシーンを撮影をしました。特にオープニングシーンは気温43度という猛暑の中行われ、一度撮影が終わるとアシスタントに抱えられスタート地点に戻り、汗を拭いて再び踊るということを繰り返したのだとか!! キャストたちは予備の衣装を2つ用意し、テイクごとに着替えなければなりませんでした。 また振り付けを担当したマンディ・ムーアは、撮影中に写り込んでしまうことを避けるため、車の下に隠れてダンサーに指示を出していたそうです。あの見事なシーンの数々は、衣装に込められた思いと、過酷な撮影を乗り越えたキャストの努力の結晶だったのですね。

11.『ラ・ラ・ランド』の輝かしい受賞歴

批評家協会賞の中で最も歴史ある賞とされるのが、「ニューヨーク映画批評家協会賞」。過去の受賞作は『羊たちの沈黙』や『シンドラーのリスト』など、今も語り継がれる数々の名作が並んでおり、『ラ・ラ・ランド』は第82回の作品賞を獲得しています。 その他にも、第22回放送批評家協会賞の12部門でノミネートされ、8部門で受賞。第74回ゴールデングローブ賞映画部門では、作品賞を筆頭に史上最多7部門で受賞しました。 ベネチア国際映画祭をはじめ、ボストン映画批評家協会賞やトロント国際映画祭観客賞、ヴェネツィア国際映画祭など数々の賞レースでノミネート、受賞した本作。その評判の高さから、日本でも公開前の時点で大きな話題を集めていました。 商業面においても、アメリカの映画館1館あたりの平均興行収入で2016年の最高記録をマークし、歴代2位の記録を達成! 当然のように、第89回アカデミー賞の大本命に名乗りを上げ、注目を浴びていました。

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第89回アカデミー賞で最多14ノミネート、6部門受賞!

2017年1月24日(現地時間)にアカデミー賞候補作が発表され、本作は『イヴの総て』(1950年)、『タイタニック』(1997年)に並ぶ史上最多14ノミネート! 2月26日に本番を迎え、ノミネートされたうち見事6部門で受賞を果たしました。惜しくも作品賞は逃しましたが、監督賞、主演女優賞など主要部門の他に作曲賞や歌曲賞(「City of Stars」)も獲得しています。 ロサンゼルスで夢を追う男女を描く、業界人に響きやすいテーマを扱った作品なので、各種賞レースの審査員の心に響きやすかったのかもしれません。

『ラ・ラ・ランド』は色んな人の思いが詰まった傑作だった!

ミュージカル映画は、「突然歌い出すのが非現実的」「おおげさすぎて入り込めない」というも意見も多くある中で、『ラ・ラ・ランド』は大成功を収めました。 その理由として、「有名な曲を使用しなかったのがむしろ良かった、全体的に非現実的な世界観なので突然歌い出しても違和感が少ない」といった指摘があります。 しかし、作品を傑作にした何よりの要因は、監督やスタッフの情熱と、それに応えたキャストの俳優・女優魂だったのではないでしょうか。