2017年4月17日更新 2,794view

レプリカントは怪物なんかじゃない!徹底解説【ブレードランナー】

SF映画の金字塔『ブレードランナー』は、人間が生み出した人造人間“レプリカント”と、人間に反逆する彼らを抹殺する捜査官"ブレードランナー"の死闘を描いた作品です。本作に登場する“レプリカント”について、様々な観点から紹介しています。

レプリカントって何ですか?

ブレードランナー

“レプリカント”とは、SF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を実写化したSF映画『ブレードランナー』に登場する言葉で、一見人間にしか見えない人造人間たちのことを指します。

彼らはそもそも人類の宇宙化計画の一環でによって生み出され、主従関係の下で強制労働を強いられていましたが、人造人間でありながらも彼らにはしばらくすると感情が芽生えることが分かりました。感情を持ったレプリカントは、それまで自分たちを抑圧してきた人々へ反抗し始めます。

そして、そんなレプリカントを駆除する役割を担う ”ブレードランナー”と呼ばれる捜査官たちが現れます。

レプリカントと人間の違い

一見人間と大差のないレプリカントですが、彼らがレプリカントであることを見抜く方法が存在します。それはフォークト・カンプフ法という、レプリカントに感情が芽生えても他者へ感情移入ができないという特徴を利用したVKテスト。

倫理・道徳観に反した言動を聞かせたとき、その反応が薄ければレプリカントである、というものです。

レプリカントの生活

ショーン・ヤング ブレードランナー

物語の舞台である2019年の地球は、環境破壊が深刻化し、地球ではない惑星へ移住することが一種のステータスとなっている世の中ですが、ただ惑星に行っても生活は送れません。そこで、人類が移住先で快適な日常を過ごすために惑星を整備する機械としてレプリカントが生み出されたのです。

過酷な環境下で労働に準じなければならないレプリカントは、外見こそ人間と同じものの、感情や自我はプログラミングされず、耐熱や耐寒に優れた身体を与えられて地球ではない惑星で労働を強制されていました。

また人類と酷似した外見に起因した混乱を招かないために、そして製造会社の業績を豊かにするために、「稼働から4年後に自動的にプログラミングが停止する」という構造的な欠陥をあらかじめ背負わされていたのでした。

地球への逃亡

ブレードランナー

レプリカントは、過酷な労働を強いられても不平不満を抱かない、感情を持たない単なる機械にすぎないはずでしたが、どういうわけかプログラミングにないはずの感情や意志を抱くレプリカントが出現します。

感情を持つ者であれば自分たちが置かれている理不尽な状況に不満を持ち反発するのが自然ですが、レプリカントもまた人類に反逆を開始するのでした。

そして映画本編は、6体のレプリカントが労働していた惑星で人間を殺害し、宇宙船を奪って地球に潜り込む、というところから始まるのです。

強すぎるリーダー、ロイ・バッティ/ルトガー・ハウアー

ルドガー・ハウアー ブレードランナー

オランダ人俳優のルトガー・ハウアー演じるロイ・バッティは、地球に潜伏している6匹のレプリカント集団のリーダー。彼は4年しか生きることができない自分たちの運命を変えるために、そして、自分たちレプリカントの存在意義について知るために地球へ逃亡してきたのでした。

プログラミングで決められた4年という期間を、すべて過酷な状況下で人間のために奴隷として奉仕させられる運命を背負いながらも、感情や意志が芽生えたことによって、「生きる」ことの意味を考え始めたロイたち。

もっと長く生きたいと願うロイの悲痛な思いと絶望は、物語終盤にブレードランナーである主人公リック・デッカードとの対決の中で告げられます。この場面は作品を代表する名シーンとなりました。

ルドガー・ハウアー ブレードランナー

ロイ・バッティを演じたルトガー・ハウアーは、1972年にテレビドラマ『パスファインダー』で俳優デビューし、翌年には『ルトガー・ハウアー/危険な愛』で映画デビューしたオランダ人俳優です。

以降は母国を中心に俳優活動を続けていましたが、1981年に出演した『ナイトホークス』で本格的にハリウッド進出を果たします。その後も、本作以外に『シン・シティ』や『バットマン ビギンズ』などをはじめとする様々な作品に出演しています。

プリス/ダリル・ハンナ

ダリル・ハンナ  ブレードランナー

ロイと共に地球へ逃亡してきた女性レプリカントのプリス。地球で潜伏生活を送ることになった彼女は、ある日アパートのゴミ捨て場で寝ようとそていると、セバスチャンという男に声をかけられ、彼の居住にかくまってもらうことになります。

このセバスチャンという男は実はレプリカントを製造しているタイレル社の技術者で、本来は逃亡が許されないことを知りながら、プリスを匿うことを決めたのでした。

そして、レプリカント集団脱走を追っていたブレードランナーのデッカードはついにセバスチャンの家を訪れることに。プリスとデッカードはその場で激しい戦闘を繰り広げますが、結局はデッカードによって射殺されてしまいます。

プリスを演じたダリル・ハンナは、1978年に『フューリー』で映画女優デビューしたアメリカ人女優です。映画出演3作目にして今作に抜擢された彼女は、その後も『スプラッシュ』や『キル・ビル』シリーズなどの激しいアクション映画に多数出演しています。

リオン/ブライオン・ジェームズ

ブレードランナー

「目を覚ませ、死ぬ時間だ」と、劇中で名セリフを放った男性レプリカント・リオン。一緒に地球へ逃亡してきた仲間のゾーラがデッカードによって殺されたことを知ったリオンは激しく怒り、猪突猛進してデッカードを倒そうとします。

元々大きな荷物を運搬することを目的に作られたのか?強靭な肉体を持つリオンの攻撃に、デッカードは成す術がなく一時は敗北間近まで追い詰められますが、レイチェル(レプリカントを開発したエルドン・タイレルの秘書で本作のヒロイン)によってリオンは射殺されます。

彼を演じたのは、1974年にテレビドラマ『女刑事クリスティー』で俳優デビューし、2年後には映画『ニューヨーク一獲千金』で映画界入りしたアメリカ人俳優のブライオン・ジェームズでした。

映画だけでなくテレビドラマやアニメーション作品にも数多く出演したブライオンでしたが、1999年に逝去しました。

ゾーラ/ジョアンナ・キャシディ

ブレードランナー ジョアンナ・キャシディ

ゾーラは、ナイトクラブ「スネーク・ピット」で、ミス・サロメという名前でスネーク・ダンサーをしていたところを、デッカードに見つかった4人のレプリカントうちでは最初の1体です。

正体がばれたため逃走を図るものの、ショッピングセンターでデッカードに撃ち殺されてしまいました。

ゾーラを演じたアメリカ人女優のジョアンナ・キャシディは、『ロジャー・ラビット』や『ザ・パッケージ/暴かれた陰謀』などに出演してきた女優。ジョアンナは実際に蛇好きだったようで、本作でゾーラが従えている蛇のレプリカントは、実際にジョアンナが飼っている蛇を使って撮影されたものだったそうです。

そしてこいつが生みの親!科学者エルドン・タイレル/ジョー・ターケル

脅威でありながらも悲惨な末路を運命づけられたレプリカントという存在を生み出したのが、レプリカント製造を行うタイレル社の社長で天才科学者でもあるエルドン・タイレルです。彼は、脱走レプリカント集団のリーダーであるロイに、4年以上生きながらえさせることを要求されるものの、その方法がないことを伝えた結果、絶望したロイに殺されます。

エルドンを演じたのは、アメリカ人ベテラン俳優のジョー・ターケルでした。第二次世界大戦から帰還後、1949年に『シティ・アクロス・ザ・リバー』で映画俳優デビューした彼は、その後も『シャイニング』や『突撃』などをはじめとする数多くの名作映画に出演しました。

「ブレードランナー」デッカードと「レプリカント」たちの死闘

ルドガー・ハウアー ブレードランナー

人類への復讐を企て、人間にとっては脅威でしかない存在のレプリカントから国民を守るために彼らを殺害・回収することが任務とするブレードランナーであるデッカード。一方、人類のエゴによって誕生し、虐げられ続けたことで人類へ憎悪を抱きデッカードを倒そうとするレプリカント。

ロイをリーダーに惑星から逃亡し地球に潜伏したロイ、プリス、リオン、そしてゾーラの4体は、いずれもデッカードと死闘を繰り広げます。

特にロイとデッカードの対決シーンは、その運命づけられた末路を拒絶し、一心に生きることを望むレプリカントと、人類として自分の義務を果たすために彼らの暴走を止めなければならない人間の、両者の思いが強く衝突することになります。

6人目のレプとは??

上記でも記述したように、今作で当初宇宙船を奪って逃亡したレプリカントは6体です。しかし、途中で1体の死亡が確認されたため地球に潜伏しているレプリカントは5体となるはずです。しかし、今作に登場したロイの仲間のレプリカントは彼を含めて4体しかいません。謎の1体のレプリカントは一体誰なのか、という疑問が生じます。

エルドン・タイレルの社長秘書で、デッカードと恋に落ちるレイチェルはレプリカントであることが映画の序盤で判明しますが、彼女はロイ一味ではないので、この「謎のレプリカント」には当てはまりません。

実はファンが推測している疑いの人物というのは、主人公デッカード。

デッカードはレプリカントなのか?

今作の制作中、監督であるリドリー・スコットはデッカードの正体がレプリカントだったら面白いということを思いつき、公開後に「デッカードはレプリカントだ。」という旨の発言を度々していました。

人間に比べて驚異的な能力を持つレプリカントと互角に死闘を繰り広げられたり、デッカードの様子を間近で見ていたレプリカントであるレイチェルが、デッカードにVKテストを受けたことあるか、と聞く場面があったりしたことから、鑑賞者の中でも彼の正体について論争が巻き起こりました。

しかし、映画のみではデッカードがレプリカントかそうでないか、ということは結論付けられていません。

『ブレードランナー 2048』

(c)getty image

結局、結論の出ていない6匹目のレプリカントですが、日本でも2017年10月27日に公開が決まっている本作の続編『ブレードランナー 2049』で、その論争に決着がつくといわれています。

「レプリカント」という造語はどうして生まれたの?

ルドガー・ハウアー ブレードランナー

そもそもレプリカントのことを原作小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』では、単に“アンドロイド”と称しています。しかし本作で描かれるレプリカントは、ロボットではありながらも感情や意志を持った、いわばロボットとは言いきれない生命体なので、ロボットや機械をイメージする“アンドロイド”という言葉を彼らの呼称にはしたくなかったのです。

そこで脚本のデヴィッド・ピープルズは、“レプリケーション”と呼ばれる細胞を複製するクローン技術の名前からヒントを得て、“アンドロイド”を”レプリカント”と呼ぶことにしたのでした。

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『ブレードランナー』特集

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