アメリカの女性刑務所について知らなければ良かったとおもう7つの事【ドラマ『ORANGE IS THE NEW BLACK』を観て】

2017年7月6日更新

映画やドラマなどで、刑務所を舞台とした作品は少なくありません。その中でも、現在注目されているのがNetflixのオリジナルドラマ『ORANGE IS THE NEW BLACK(オレンジ・イズ・ニュー・ブラック)』。こちらの原作となっている同名小説は、なんと実在する女性パイパー・カーマン自身が服役した時の事を書いたノンフィクションなのです! そんなドラマから見えてくる、アメリカの女性刑務所について知らなかった(知らなければ良かった)とおもう7つのことをご紹介します。

『ORANGE IS THE NEW BLACK』は、ほぼノンフィクションドラマ!?

Netflixオリジナルドラマの中でも人気が高く、現在第4シーズンまで公開されている『ORANGE IS THE NEW BLACK』。 主人公であるパイパー・チャップマンは、ニューヨークという都会の裕福な家庭で育ち、婚約者もいるといった順風満帆な生活を送る女性です。しかしある日突然、10年前に若気の至りで犯した罪が発覚し、懲役15カ月の有罪判決を受けてしまいます。理解もあり、愛情深い婚約者に支えられながら、お嬢様である彼女が刑務所で過ごす日々を描いているのが今作です。 そしてこのドラマはなんと、パイパー・カーマンという実在する女性が、コネチカット州FCIダンベリー刑務所での服役経験を執筆した回想本を原作として作られているのです。 パイパー・カーマン、つまり主人公パイパー・チャップマンが目の当たりにしたアメリカの女性刑務所の厳しい現実とは一体?

1.基本的に受刑者は集団行動をとる

パイパーが収容された女性刑務所は、よく映画で見られるような檻の中に部屋があるタイプではなく、大部屋の中で小さな仕切りと共に個々のベッドが置かれているタイプのものです。 食堂は勿論、夜寝るときも他の受刑者と同じ空間にいて、基本的に行動を共にします。 例えば自分が些細な刑(パイパーのように麻薬取引を手伝った等)で収容されていたとしても、強盗殺人のような重罪を犯した受刑者と一緒に寝るのです。身の危険を常に感じなければいけません。

2.生活を厳格に制限&コントロールされる

それがたとえ真夜中であっても、看守から起きろと命じられたら起きる。立ち続けろと言われたら、立ち続ける、それが刑務所の中での生活です。 ドラマ内でも、受刑者が就寝時間を過ぎた時間にベッドから抜け出していることが発覚した際、彼女がどこにいるのか確認がとれるまで連帯責任として全員立たされるシーンが登場します。 また、食事の時間も厳格に定めています。受刑者の一人であるシスターというキャラクターは高齢であり、規定の時間に食事をすることが難しい素振りを見せるシーンがあります。しかし、そんな時でも食事の時間を過ぎれば、どんなにまだご飯が残っていても看守によって捨てられてしまうのです。

3.看守は決して正義の味方というわけではない

どんな映画やドラマにも良い看守とサディスティックな看守は登場してきますよね。自分のエゴや暇潰しのためだけに囚人をいじめる、まさに極悪非道といえる行為を行うなんて職務乱用も良いところ。 今作でも、メンデスという男性看守がそのような邪悪な存在として登場します。しかし、なんとドラマ版は彼以外の看守をフレンドリーに描きすぎているらしく、原作(実際)では他の看守達も非常に厳しかったと著者であるパイパー・カーマンはインタビューにて語っています。

4.看守も標的になり得る

しかし看守もまた、囚人の標的となり得ることも事実。投獄された受刑者の日々刑務所で感じるフラストレーションをぶつける対象になってしまいます。 囚人が檻の中にいれば安心ですが、運動場や食堂など公共の場に出て来ている時、看守は身一つでその状況下にいることになります。受刑者同士が喧嘩をすれば、それを止めに行くのも看守の仕事。その際に自身が代わりに暴行を受けることもあります。最悪の場合、命を狙われることも……。

5.レイプをされる危険性

これは男性のみの刑務所でも懸念される点ですよね。しかし、囚人が女性だけになってもこの心配はなくなりません。ドラマでは、囚人同士が「レイプをする」というような内容の脅しをしています。 そして何より恐ろしいのが、看守からレイプされる場合です。ドラマでも、2人のキャラクターが悪質な男性看守によってレイプされるという、悲惨なシーンがあります。 看守にされてしまっては、受刑者がその事実を主張したところで信じてもらいにくいでしょう。被害者が複数の場合は全員で刑務所長に訴えるべきですが、そもそもレイプをされた者はそれを人に告白することが難しいといわれています。 それ故に、そういった事実が明るみに出ることなく、最悪の場合繰り返し行われるケースもあるのです。

6.些細な事でも暴動に繋がる

刑務所の中では、些細な事でも喧嘩や暴動に繋がります。ドラマ内でも、テレビのチャンネルの取り合いによって殴り合いになるシーンがあります。また、この作品では人種を取り上げる事が多く、刑務所内で起こる人種差別的行為が暴動や派閥争いを生み出す過程が描かれています。

7.シャワールームは最も危険な場所!?

さて、そんな緊迫とした場所で過ごす日々。勿論ストレスや疲労も尋常ではないでしょう。シャワーという行為はそれらを洗い流すだけでなく、看守の監視からも逃れる事ができる癒しの一時であるはずです。しかしながら、このドラマ内では最も命の危険がある場所として描かれているのです。 看守の監視が手薄な場ということで、恨みをもった人間がグループになって個人をリンチすることもあります。命を狙われた受刑者はシャワーの際、裸になりながらその緊迫感に耐えきれず泣いてしまう、というシーンも登場します。

エミー賞多数ノミネートの優秀なドラマ作品

性差別や人種差別という問題を提起しながら緊迫した空気感とともに、個性的な受刑者とその日々を描いたドラマ『ORANGE IS THE NEW BLACK』。 刑務所の中にいるからといって、自分の身の安全が確保されているわけではありません。そんな状況下でもめげずに、罪を償って自分の人生を取り戻そうと奮闘する受刑者らの生き生きとした姿に心を打たれます。 ただのシリアスな“監獄系ドラマ”ではない。ユニークでウィットに富んだ作品であるので、まさに笑って泣けるでしょう。優秀なドラマに贈られるエミー賞やゴールデン・グローブ賞の多くにノミネートされるほどの作品ですので、まだご覧になっていない方は是非この機会に鑑賞してみては?