あなたはついていける?設定や展開が難しいけど面白い難解映画12選
難しいけど癖になる!おすすめ難解映画を紹介
たくさんの人に愛される名作の中に、設定や展開が複雑だけど癖になるという難解映画は多く存在します。王道ストーリーではちょっぴり物足りないという人に、伏線が張り巡らされた難解映画はおすすめのジャンルです。 本記事では、そんな面白い難解映画を洋画から8本、邦画から4本選出して紹介します。
1.『マルコヴィッチの穴』(2000年)
本作は、スパイク・ジョーンズの初監督作品で奇想天外な設定が話題を呼びました。 ある日、人形師のクレイグは謎の穴を見つけます。その穴は何と俳優ジョン・マルコヴィッチの脳内へと続いていました。クレイグは妻と片思いの相手にその事実を伝え、3人はこの穴の魅力に取りつかれていきます。 彼は人形師での経験を活かし、脳内に入るのみでなくその身体までも操るようになり、行動は過激化していきました。そしてついにマルコヴィッチ本人に気づかれてしまいます。 他人の脳内につながる穴が存在したり、大量にマルコヴィッチがいるというシュールな設定のため理解が難しい本作。しかし、『マルコヴィッチの穴』には、そういった設定により隠れてしまっている哲学的な魅力があります。 登場人物たちは、他人になることで本当の自分に気づいたり、他人に操られているのに気づかず日常を過ごしていきます。映画内の出来事ですが、これが現実世界でも起こっているとしたら恐ろしいことですよね。 時々自分の意思に反したり、身に覚えがないことをしてしまうことはありませんか?「私たちも操られているかもしれない」、そういった疑問が湧いてくる作品でもあります。
2.『ファイト・クラブ』(1999年)
映画界に大きなインパクトを与えた『ファイト・クラブ』ですが、その人気は今も健在です。 心に問題を抱える青年である「僕」は、タイラーと名乗る男と出会い、ふとしたことをきっかけに殴り合いに発展します。のちにタイラーはファイト・クラブという地下闘技集会のリーダーになることに。 スリルを求め多くの男がクラブにやってきますが、徐々にクラブはテロ組織に姿を変えていきます。 本作の魅力は何と言っても伏線!エンディングをより面白くする伏線ですが、それらに気づかなかった人からすると少し難解な映画に思えるかもしれません。 しかし、男らしさや理想に縛られた男が迎えるエンディングは、映画史に残るどんでん返しになっています。衝撃のラストを迎える本作ですが、2度3度観ても新たな発見があり、繰り返し観たくなる作品です。
3.『ドニー・ダーコ』(2001年)
本作は、リチャード・ケリー監督によるサイコロジカルミステリー作品です。 精神的に不安定な高校生・ドニー。彼は、ある日銀色の仮面をかぶったウサギに世界の終わりを宣告されます。その日からドニーの世界には奇妙なことばかりが起き、学校では変な教師がいたり部屋にジェット機のエンジンが飛んできたりするようになります。 そして、再びウサギが現れ、彼の導きに従ってドニーは次第に破壊的衝動のままに行動するようになります。 本作はアメリカでは、「リバースムービー」と呼ばれており何度も観返さければならない映画と言われています。タイムトラベルを扱っており、主人公は最悪の未来を防ぐために奮闘します。 作中の時空の歪みは観客を混乱させる要因の1つですが、これこそが本作の魅力でもあります。登場する映画や本、言葉などのアイテムが時空の歪みを仄めかしているので、ぜひチェックしてください。
4.『インセプション』(2010年)
渡辺謙が出演したことでも有名なSFアクション作品『インセプション』。本作は、第83回アカデミー賞では8部門にノミネートされました。 眠っている間に滞在意識に潜り込み、脳内のアイデアを盗むという犯罪を仕事とするコブ。彼は国際指名手配犯となってしまいますが、人生をやり直すために『インセプション』という任務が与えられます。しかし、その任務の内容はアイデアを盗むのでなく、植え付けることでした。 滞在意識に入り、脳内で任務を行うという特殊な犯罪がテーマであるため、作中に説明部分が多く登場します。しかし、アクションやSF要素、ヒューマンドラマなどエンタメ要素が盛り込まれており観客を飽きさせない工夫が多く盛り込まれているのです。 複雑な設定ですが、十分な説明が用意されており難解映画が苦手な人でもストーリーを追っていける作品になっています。
5.『マルホランド・ドライブ』(2002年)
「わたしのあたまはどうかしている」というキャッチコピーが印象的な本作は、デヴィッド・リンチ監督による独特な世界観が魅力な作品です。 車の衝突事故で記憶を失った女性は、女優の卵ベティの家に迷い込みます。2人は同居をはじめ、失った記憶を取り戻そうとしますが、手掛かりは彼女が持っていた大金と謎の青い鍵しかありませんでした。 物語が進むにつれ記憶喪失の女の正体、そしてペディに関する衝撃の事実が判明し急展開します。 本作も「難解映画」と名高い作品で、1度では理解することが困難です。散りばめられた謎、夢と現実の2つのストーリーの交差は観客を混乱させると同時に魅了します。
6.『シックス・センス』(1999年)
冒頭に登場する「この映画にはある秘密があります。まだ映画を観ていない人には、決して話さないで下さい」という注意書きが話題になった本作は、公開から何年もたった今でも高い評価と人気を誇っています。 小児精神科医のマルコムは、霊が見えてしまうという「第六感」に苦しむコールという少年と出会います。彼らは、コールの前になぜ霊は現れるのかを探っていくことに!そして、コールは幽霊は満たされぬ思いを癒してもらうために登場することを知り、彼は「第六感」を受け入れ克服していきます。 一方妻との仲に悩むマルコムは、コールのアドバイスを実践しますが、衝撃的な事実を知ることとなります。 本作は単なるホラー作品でなく、心に傷を持つ2人の精神科医と少年の交流と救いを丁寧に描いたヒューマンドラマでもあります。私たちに違和感を抱かせるような伏線が多く貼ってあり、難解に思う人も多いかもしれませんが、最終的にはすべて回収されます。 ホラーでありながら、人と人、人と幽霊の温かい交流を描いた本作は、何回も観たくなること間違いなし!
7.『裏切りのサーカス』(2012年)
本作は、東西冷戦時代を舞台に繰り広げられるスパイ映画です。 英国諜報部を引退したスパイのスマイリー。彼に、英国諜報部に探りこんでいる二重スパイを見つけ出すという指令が下ります。記録や証言を頼りに二重スパイに迫る彼ですが、探し出した裏切り者の正体に衝撃をうけることに! 本作の魅力は、何と言っても他のスパイ映画とは異なったリアルさです。原作者はイギリスの秘密情報部に実際に所属していたため、描写がリアルでわざとらしいアクションシーンなどは一切ありません。 注意書きない回想シーンが多く、アクションなしの心理戦、情報戦が続く本作は、何回観ても難しいという人が多く存在します。しかし、シーンの切り替えを示すヒントに目を凝らしついていければ面白い映画です。 高度なスパイ同士の探り合いとスパイにも存在する人間らしい感情の動きに注目して、自分もスパイのつもりで観進めてみてください。本作独特の緊張感が快感になること間違いなしです。
8.『メメント』(2001年)
本作は、「10分で記憶が消えてしまう」という変わった設定を持つ男が愛する者のために復讐に燃えるサスペンス映画です。数ある映画の中でも特に「難解映画」と名高い作品になっています。 ある夜、主人公・レナードの家で妻が男に強姦され殺害されるという事件が起こります。レナードは犯人を射殺しますが、その際に頭を強打し記憶障害を患うことに。 事件後の記憶が10分間しか保てなくなった彼は、写真やメモなどで情報を残しながら、もう1人いるはずの犯人へ復讐するために奮闘します。 本作が難解と言われる要因の1つに「過去から未来へと進行するカット」と「現在から過去へ逆行していくカット」が混在しており、時系列がわからないというものがあります。 1度だけではなかなか難しい映画ですが、解説記事を読んだり考察した後に再び観ることをお勧めします。きっと1回目に気づかなかった伏線が浮かんできて、「はっ」とする感動体験を経験してもらえるはずです。
9.『愛のむきだし』(2009年)
『愛のむきだし』は、園子温監督の23本目の作品で、実話ベースの純愛物語です。 神父の父・テツと2人暮らししているユウ。ある日を境にテツがユウに毎日懺悔を求めるようになり、ユウは罪作りするために盗撮に勤しむようになります。 盗撮仲間とのゲームに負け罰ゲームで女装したユウは、理想の女性・ヨーコに出会います。彼はヨーコを愛し、彼女は女装したユウであるサソリを愛すようになり奇妙な三角関係が始まることに! 237分という長尺の本作品。数々の暴力や新興宗教、同性愛、犯罪などテーマを扱っており、展開や設定が複雑になっています。しかし、園子温監督独特のテンポやキャスト陣の怪演は、爽快感を抱かせ3時間以上の上演時間を一瞬にしてくれること間違いなしです!
10.『三度目の殺人』(2017年)
是枝監督と福山雅治が2度目のタッグを組んだ完全オリジナル作品である本作。答えの用意された単純なミステリーでは満足できない方におすすめです! ある日、弁護士である重盛朋章は殺人犯の弁護をすることになります。罪を認めている彼ですが、会うたびに供述を変え重盛を惑わします。被害者の妻や娘などが捜査線上に登場し、真犯人探しが始まります。 本作には、監督によるヒントが散りばめられていて観客は重盛の立場に立って映画に参加していきます。そして、真相は私たちに委ねられており、真犯人は誰だったのか、監督のメッセージは何だったのか考えさせられる作品です。
11.『キサラギ』(2007年)
本作は、ほぼすべてのストーリーが1つの部屋で展開される密室推理劇です。笑って、泣いて、スリルを味わえる本作品は、ただ暗く難しい映画が好きではない人におすすめです。 自殺したアイドル・如月ミキの一周忌に集まった互いに面識のない男5人。そのうち2人は、マネージャーに遺言を残し、焼身自殺した彼女の死因は他殺ではないかと疑っていました。 5人は互いに不信感を抱きながらも、断片的な情報をつなぎ合わせて彼女の本当の死因に迫っていきます。 物語が進むにつれ明かされていく5人の正体とアイドルの本性。コミカルな会話が魅力でコメディ要素もありますが、ミステリーとしても十分楽しむことができます。
12.『CURE』(1997年)
本作は、日本インターネット映画大賞日本映画作品賞を受賞したミステリー作品です。 殺害後、首をXに切り裂くという連続殺人事件が起こり、刑事・高部賢一は捜査をすることになりました。しかし、その事件は同一の殺害方法でありながら、犯人は同一人物ではありませんでした。彼は事件の実行犯を操る催眠術師がいるのではと疑います。そして、知り合いの精神科医の佐久間と共に真犯人を追求することに! 『CURE』はサイコサスペンス映画であるため、恐怖を感じる人もいるかもしれません。しかし、催眠や暗示を使い殺人教唆をする真犯人と彼に興味を持ち自らも罠にはまっていく刑事という関係性。そして、緊迫した2人の探り合いのシーンなどが観客の興味を引き映画にのめり込ませていきます。 サイコ要素が苦手な人でも、サスペンス映画として面白く作られている『CURE』ならば楽しめるのではないでしょうか。
タイムトラベルから謎の穴、催眠術まで!難解な設定が映画を面白くする
本記事では、難しいからこそ何度も観たくなる難解映画を紹介しました。 幽霊が見える「第六感」を持つ少年に、10分で記憶がリセットされる男。未来を予言するウサギと興味深い設定や巧妙に張り巡らされた伏線が最後に回収される高度な展開などが魅力な難解映画12本は、きっと刺激的で癖になるはずです。 ぜひ1度観るだけでなく、解説記事などを参考に再度観てみてください。新しい発見が待っているかもしれません。