映画『メッセージ』ネタバレ解説!3000年後に起きることは?中国語の意味や宇宙人の目的を考察
映画『メッセージ』作品概要・あらすじ【ネタバレなし】
| 原題 | 『Arrival』 |
|---|---|
| 公開年 | 2016年 |
| キャスト | エイミー・アダムス , ジェレミー・レナー , フォレスト・ウィテカー |
| 監督 | ドゥニ・ヴィルヌーヴ |
| 原作 | テッド・チャン『あなたの人生の物語』 |
物語は、突如地上に現れた巨大な球体型宇宙船から始まります。主人公の言語学者ルイーズは、米軍から依頼を受けて謎の知的生命体「ヘプタポッド」の言語を解読することになりました。彼らの言語は人間のものとは違い、動きのある絵画のような異質な言語です。 彼らは一体何を伝えようとしているのでしょうか。ルイーズは物理学者のイアンとともに、その謎を解き明かしていきます。彼らの「メッセージ」が明らかになると、そこには衝撃の事実と美しくも儚いドラマが見えてくるのです。
【ネタバレ】『メッセージ』ラスト結末は?ヘプタポッドの目的を解説

宇宙人との交流
世界各国の12カ所に突如として現れた未確認浮遊物体。人々は宇宙人の侵略ととらえ、世界中で大パニックに陥ります。アメリカでもモンタナに出現しており、言語学者のルイーズは突然米軍のウェバー大佐から協力要請を受けました。 物体は「シェル(殻)」、宇宙人との交流は「セッション」と呼ばれ、ルイーズは物理学者のイアンとともにセッションに参加することに。彼らの仕事は宇宙人が地球に来た目的を探るため、その言語を解明することでした。 ルイーズとイアンは宇宙人と友好的な関係を結んでいき、彼らを「ヘプタポッド」、2体の個体をそれぞれ「アボット」と「コステロ」と名付けます。ルイーズはヘプタポッドの文字を解読したことで、彼らの言語には現在形しかなく、過去も未来も同時に存在していることに気付きました。
中国の攻撃とアボットの死
ヘプタポッドとコミュニケーションを取るうちに、ルイーズの頭の中に「まだ存在しない娘」との記憶が度々現れるようになります。文字を使って「筆談」できるようになったルイーズとヘプタポッド。しかしそのセッションで、彼らが「武器を提供」と伝えてきたことが大きな波紋を呼びます。 中国がまず回線を切断してシャン将軍が攻撃を宣言し、他の各国もそれに追従する形に。メディアは民衆の不安を煽り、軍人は戦争の準備を始めます。その余波から、米軍の兵士が独断でシェルに時限爆弾を仕かけたため、アボットが犠牲になってしまいました。
宇宙人の目的とは?
各国が戦争の準備を始める中、米軍も撤退の準備を始めていました。その中で、ルイーズは導かれるようにシェルに近づき、下りてきた円柱の物体に乗って再びコステロと面会します。 コステロはアボットが死に瀕していることを伝える一方、彼らの目的が「3000年後に人類の助けが必要なため、現在の人類を生存させるために助けに来た」と明かします。そして、彼らが言う「武器」とは過去・現在・未来を包括する「言葉」であり、ルイーズにその力を授けました。 ルイーズは彼らの言葉を完全に理解できたことで、未来を感知できるようになります。彼らが12カ所にシェルを出現させた理由は、世界各国を協力させて1つにすることでした。
ルイーズの選択と未来
中国の攻撃が迫り、米軍が撤退していく中、ルイーズは衛星電話を使ってシャン将軍に直接説得を試みます。というのも、彼女にはシャン将軍と未来で対面する様が見えており、その際にシャン将軍に攻撃を踏み止まらせる「妻の最期の言葉」を知ることが“わかっていた”からです。 その言葉を聞いたシャン将軍が攻撃を止め、各国も再び追従して回線を復活。12カ所に届いていたメッセージを1つにした時、シェルはすべて蒸発するように消えていきました。 ルイーズはイアンとの結婚と離婚、娘ハンナの死という未来の出来事を知った上で、イアンのプロポーズを受けるのでした。
【解説①】ヘプタポッドの時間概念とは?娘・ハンナの死は避けられるのか
過去・現在・未来は同時に存在する
ヘプタポッドの言語には現在形しかなく、それは彼らに「時間が流れる」概念がないことを意味し、過去・現在・未来が同時に存在していることを示しています。つまり彼らはどの時点でも自由にアクセスできるということ。原作小説ではこの概念に到達する突破口として、「フェルマーの原理」が用いられていました。 フェルマーの原理とは「最小時間の原理」ともいわれ、光がある2点間を移動する際に「通過するのに要する時間が最も短くなる経路を通る」というもの。光は常に最短距離を目指し、未来を知るヘプタポッドは目的地への最短距離を動く前から知っているということになります。 また、言語の違いが世界の見え方の違いを生んでいることを、ルイーズは身をもって知ることになります。これは「ソシュールの言語理論」が軸となっているようです。この理論は言語が「差異」によって区別・認識されることを基本概念としています。
娘・ハンナの死は不可避の未来
この物語は時制に大きな謎を抱えています。ルイーズと娘のハンナとの思い出が語られる冒頭は、実は原作では未来形で書かれています。 つまり、まだ起こっていないことを語っていることになります。 そして原作ではハンナはロッククライミングの事故で、映画では不治の病で若くして亡くなることが早い段階でわかっています。 しかし、これが本当は「過去の思い出」ではないとしたら!?ここで先述のフェルマーの原理の登場です。「光は必ず最短・最小の経路をたどる」ということは、光は進む方向を選ぶ前に最終目的地を知っていなければ、その最短距離を算出することはできないということ。 ハンナの死はルイーズの人生の中で避けられなかった過去ではなく、避けて通れない未来の出来事・目的地なのです。
【解説②】3000年後に何が起きる?
3000年後にヘプタポッドに何らかの危機が起こり、その際に人類の助けが必要になることが、ヘプタポッドが地球にやって来た理由でした。彼らの目的はそれまで人類が生存するために、現在の人類に時間の概念を超えることができる「言語」を教えること。 ヘプタポッドは彼らの言語を理解し始めたルイーズに「言語」を教え、ルイーズはその後この言語について「ユニバーサル言語」として著書を記すことになります。3000年後にヘプタポッドを救えるよう、人類が進化する未来のために。 しかし劇中では、3000年後にヘプタポッドに何が起こるのかは明かされてはいませんでした。
【解説③】妻の最後の言葉(中国語)の意味は?
ルイーズがシャン将軍に言った彼の妻の最期の言葉は中国語で「戦争に勝利はなく、残るのは孤児と寡婦だけ」といった意味だったようです。ただし原作小説にはシャン将軍自体が登場せず、映画でもそのセリフに字幕はありませんでした。 おそらく妻が戦争に先走るシャン将軍を窘める意図で伝えた最期の言葉だったのでしょう。ルイーズからこの言葉を聞き、シャン将軍は戦争を止める勇気を振り起したようです。
【考察】なぜルイーズはイアンと結婚したのか

最後に残る疑問は、娘ハンナの死とイアンとの離婚を予め知っていたルイーズが、なぜイアンと結婚したのか。結婚はまだともかく、愛娘の死がわかっていてどうして子どもを作る選択をしたのかが気になります。 ルイーズはハンナの死が不可避であろうとも、すべての運命が決まっていても「現在」を生きることを選びました。それは、現在を大切に丁寧に生きていくことの大切さこそが本作のメッセージだからではないでしょうか。
【原作】小説『あなたの人生の物語』との違いは?
映画『メッセージ』の原作は、中国系アメリカ人の作家テッド・チャンの『あなたの人生の物語(Story of Your Life)』という短編小説。映画は原作の大筋を元に作られていますが、原作とまったく同じストーリーではなく、いくつかの相違点があります。 例えば、映画ではヘプタポッドが使用する言語を元に謎を解き明かしていくという言語学的なアプローチがメインでした。一方原作では、フェルマーの原理などの数学的・物理学的なアプローチが登場し、科学的な表現が多く見受けられます。 また映画で各国が関わってくる戦争危機は原作小説にはなく、世界中がパニックに陥っている描写もありません。
【トリビア】『メッセージ』に関する裏話5選!ヘプタポットの由来とは
デザインに苦心したエイリアンの文字
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督と脚本家のエリック・ハイセラーは、美しくも驚異を感じさせるエイリアン言語をこの作品に登場させました。 エイリアンの書き言葉である「表義文字(セマグラム)」をヴィジュアルで表現するために、製作スタッフたちは辞書まで作り、100字以上の異なる文字を参照できるようにしたそうです。劇中にはその中の71字が実際に使用されています。 このセマグラムを創り出したのは、モントリオールのアーティストであるマーティーン・バートランド。この作品の製作デザイナーのパトリス・バーメットの妻であるバートランドは、夫が数ヵ月もの間エイリアン文字に向き合って成果が得られない様子を見て、15字のデザインを描いて見せたそうです。 それが、にじんだインクやコーヒーのシミのような不思議な円形の文字でした。
ヘプタポッドの通称の由来
劇中でエイリアンとコミュニケーションを始めたルイーズとイアンは、関係者内では「ヘプタポッド(七本脚)」と呼ばれている2体のエイリアンたちを、「アボットとコステロ」と名付けます。 アボットとコステロというのは、1940年代から50年代に活躍したアメリカのお笑いコンビです。 バッド・アボットとルウ・コステロのコンビで35本ものシリーズ映画を製作し、1960年代には2人を主人公にしたテレビアニメも放映されました。 なぜイアンはこの名前を付けたのか特に劇中で言及はありませんが、アボットとコステロのやり取りの中で言葉の勘違いネタを使ったシーンがあるためではないかという解釈もあります。 しかし原作では2体のヘプタポッドはルイーズによって「フラッパーとラズベリー」と名付けられます。アボットとコステロは映画ならではの脚色のようですね。
宇宙船のモデルと着陸しない理由
ヘプタポッドの宇宙船のデザインは小惑星エウノミアから考えられたものだそうです。ヴィルヌーヴ監督は調査の間にエウノミアの「奇妙な卵のような不思議な形」にすっかり魅了され、その楕円形はきっと宇宙船に脅威とミステリアスな感覚をもたらしてくれるだろうと考えたそうです。 宇宙船は原作では「ルッキンググラス(姿見)」と呼ばれる双方向通信装置で、アメリカに9個、そして世界中に112個ものルッキンググラスが出現。映画では全世界で12個に数が減らされ、大きさも変更されてより深遠な意味を持たせる効果を生んでいます。 実は宇宙船は1度も着陸はしないのですが、その理由についてパトリス・バーメットが意味深な発言をしています。 12個の宇宙船が宇宙を旅し、終着地の28フィート(約8.5メートル)上空でデリケートな平衡状態のままとどまっているのは、手が届きそうで届かない距離で、地球の人々がどれほどの努力をしてどのようにコンタクトを取ってくるのかを試しているように見せる演出のようです。
名前が回文になっている?!
ルイーズの娘ハンナの英語表記は「Hannah」で、回文になっています。劇中でもルイーズがハンナにそのことを教えていました。回文とは前から読んでも後ろから読んでも同じになる単語・文のこと。 このことは前項で書いたハンナとルイーズの思い出が未来の出来事であることと、かなり密接につながっています。原作の時制がハンナとのシーンを未来形、ヘプタポッドとのコミュニケーションを過去形、冒頭とラストのハンナを授かる節は現在形で書かれているのです。 つまり、この物語はなんと始まりが終わりであり、終わりこそが始まりであるという回文構造になっているのです!ついでにもう1つトリビアを。ハンナの父親になるイアンを演じているジェレミー・レナーの名の英語表記は「Jeremy Renner」であり、姓のレナーが回文になっています。これは偶然か必然か?
映画『メッセージ』を理解するには数学がカギ?
映画『メッセージ』でルイーズが付けているイヤリングがオウムガイの殻によく似ています。オウムガイは触手を持つ古代の生きた化石で、よく数学の「黄金比」を連想させるものですが、劇中ではその黄金比計算に出現するフィボナッチ数列や、永遠に続く超越数「円周率=π(パイ)」について言及されます。 これらは「宇宙」を理解するために必要なカギだと考えられています。 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督と脚本チームは、この作品の科学的観念が正確かどうか確かにするために、できるだけの努力をしたようです。科学者・技術改革者として著名なスティーブン・ウルフラムと彼の息子クリストファーが作中のすべての専門用語や画像、描写などを監修し、信頼できるものであるとを保証しています。 またエイリアンの言語が変換されるシーンで、プログラミング言語のコードの行がアニメーションで表されます。スティーブン・ウルフラムは自身のブログで、このコードは「ウルフラム言語」で書かれていると語っており、実際劇中で変換する様子が描かれています。
【制作陣】『メッセージ』キャスト・スタッフを紹介
言語学者ルイーズ・バンクス役/エイミー・アダムス

エイミー・アダムスはその自信と気転で問題を解決しチームを引っ張っていく頼れるキャラクター、ルイーズを等身大の演技で見事に演じています。 ルイーズは問題解決のため他国との情報共有に積極的な姿勢を見せますが、共同戦線を維持するためにこの機を利用しようとする権力者たちと意見が衝突していまいます。 エイミーは本作の他に2013年公開の映画『マン・オブ・スティール』、2016年にはアメリカ公開『美しきスリラー』に出演。また、2年連続でゴールデングローブ賞を受賞した実力派女優です。
物理学者イアン・ドネリー役/ジェレミー・レナー

ルイーズと一緒に宇宙船の現場モンタナへ連れて行かれるイアン・ドネリーを演じるのはジェレミー・レナーです。エイリアンとのコンタクトを助ける物理学者を熱演します。 演じるジェレミーは、2012年公開の『アベンジャーズ』、2015年『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』などマーベル映画でおなじみの俳優です。
エイミー・アダムスとジェレミー・レナーの関係性
主演の2人、バンクス博士を演じたエイミー・アダムスと数学者イアン・ドネリーを演じたジェレミー・レナーはこの作品で、2013年の『アメリカン・ハッスル』以来の共演を果たしています。トロント国際映画祭での会見ではお互いに「信頼、愛、尊敬の念」を抱いていると、相性の良さを見せていました。 また2人とも偶然にも、エイリアンの到来を扱ったアメコミ映画に出演しています。エイミー・アダムスは2013年の『マン・オブ・スティール』で新聞記者ロイス・レイン、ジェレミー・レナーは2012年の『アベンジャーズ』でホークアイを演じています。
監督/ドゥニ・ヴィルヌーヴ

本作でメガホンを取るのは、1967年10月3日生まれカナダケベック州の監督ドゥニ・ヴィルヌーヴです。ヴィルニーヴが注目されるようになったのは、2010年公開、アカデミー外国語映画賞にノミネートされた『灼熱の魂』でした。 その後は、ヒュー・ジャックマン主演のサスペンス映画『プリズーナーズ』、メキシコ麻薬カルテルを緊迫感いっぱいに描いた『ボーダーライン』を発表。エンターテイント性が高いだけではなく、どこか一癖ある映画作家です。 近年では「デューン」シリーズの監督を務めるなど、一層目が離せなくなること間違いなしの人物。そんな彼を本作で主演を務めたエイミー・アダムスが絶賛していて、映画『メッセージ』の魅力はヴィルニーヴだと語るほどです。
劇伴/ヨハン・ヨハンソン
劇中音楽を担当したヨハン・ヨハンソンは、映画の撮影が始まる前にスコアのレコーディングを始めたといいます。 どうやらドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は音楽を元にしながら映画制作がしたいようですが、なかなかに不思議な制作順序です。 また、ヨハン・ヨハンソンはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品『プリズナーズ』『ボーダーライン』と本作、そして次回作の『ブレードランナー 2049』の音楽も担当しています。ヴィルヌーヴ監督にとってかなり信頼のあるコンポーザーといってよさそうですね。 サウンドトラックには収録されていませんが、物語を締めくくる場面には現代音楽家のマックス・リヒターによる「オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト」が印象的に使われています。この楽曲は2012年の『ディス/コネクト』や2010年の『シャッター アイランド』でも使用されていました。
映画『メッセージ』をネタバレ解説!
『メッセージ』は言語学者のルイーズが、突如登場した知的生命体「ヘプタポッド」の謎を解き明かしていく物語です。ヘプタポッドは人類とは違う時間感覚を持っており、彼らのメッセージからは衝撃の事実と美しくも儚いドラマが見えてきます。 本作は考察すればするほど面白くなる作品です。ぜひ1度見返してみてください。







