【入門〜上級編】一体ヴェノムとは何なのか?スパイダーマンとの関係やコミック原作と能力について徹底解説!
ヴェノムとは何者?能力や原作コミックの設定まで幅広く解説
大人気ヴィランであるヴェノムの正体は、シンビオートと呼ばれる地球外の寄生生命体です。「ヴェノム」は固有名詞で、人間にシンビオートが寄生したことによってそう呼ばれるようになりました。 シンビオートのアイディア自体は、1984年から1985年のクロスオーバー作品『シークレット・ウォーズ』で、スパイダーマンのブラック・コスチュームとして登場しました。その後、人間との共生体ヴェノムとして初登場したのは1988年5月に刊行された『アメイジング・スパイダーマン #300』です。 シンビオート自身にも意志があり、宿主と会話をすることも可能。寄生された人間は超人的な腕力や俊敏性、回復力を得ることができ、感情や衝動をシンビオートと共有することで、さらに強い力を発揮するようになります。 本記事では入門編〜上級編と銘打ち、最後まで読むとヴェノムのことが丸ごとわかるようになっています。
【入門編】ヴェノムが持つ3種の能力
①コピー能力
ヴェノムの能力の1つに、共生した相手の能力をコピーするというものがあります。コミック版では、初めスパイダーマンに寄生し、次にスパイダーマンを憎む記者エディ・ブロックに寄生しましたが、その際ヴェノムはスパイダーマンの能力をコピーしていました。 そのため、スパイダーマンのように、シンビオートの細胞を糸状にしてスパイダーウェブのようなものを出すことができます。これによって、ウェブシューターのような攻撃やスイング移動することも可能です。 さらに、スパイダーマンが持つ予知能力「スパイダーセンス」を無効化することもでき、それ故にヴェノムはスパイダーマン最大の敵となっているのです。
②形態変化
シンビオートは擬態の能力もあり、スパイダーマンに寄生したヴェノムは初めコスチュームとして擬態していました。衣服などにも擬態することができ、普段はエディの服に擬態して、戦闘時にはシンビオートがエディに覆いかぶさるようにしてヴェノムになります。 トム・ハーディがエディ/ヴェノムを演じた映画『ヴェノム』では、この形態変化が様々な形で表現されています。そもそもシンビオートは流動体のため変幻自在ですが、戦闘時には手はもちろん、体のあちこちから鋭い武器や盾を作り出して攻撃・防御していました。 ただし、シンビオートには「一定の周波音」と「高熱」という弱点があり、劇中ではMRIの音で拒絶反応を起こしています。
③治癒能力
超人的な腕力や俊敏性も持つヴェノムですが、彼が無敵なのは、その治癒能力にこそ秘密があります。宿主の体がひどく損傷しても、一瞬ともいえる速さで治してしまうのです。 映画『ヴェノム』の中では、サンフランシスコの街中でライフ財団の追っ手と激しいカーチェイスが繰り広げられ、最終的にエディは地面に叩きつけられて足など骨折してしまいます。それも一瞬で治癒し、エディ本人が「足が折れてたよな…?」と思うほど。 その一方で、シンビオートは寄生した宿主の体を弱らせてしまいます。エディも心臓が弱っていると告げられ、一時は元恋人のアンによってMRI音を聞かされてヴェノムと無理やり引きはがされました。
【中級編①】ヴェノムとスパイダーマンの関係を解説
ヴェノムといえば、サム・ライミ監督の『スパイダーマン3』(2007年)で知った人も多いのではないでしょうか。 映画版でシンビオートは隕石とともに地球に飛来し、ベンおじさん殺害の真犯人への恨みにかられたピーターに寄生。その結果、ブラック・スパイダーマンが誕生しました。 その後、寄生体の存在やその危険性に気づいたピーターは、なんとかシンビオートを自分の体から引き剥がすことに成功します。 シンビオートが次に寄生したのは、デイリー・ビューグル紙のカメラマンとして活躍するピーターを妬むエディ・ブロックでした。 エディはシンビオートと共生してヴェノムとなり、もともと持っていたスパイダーマンに対する執着から戦いを挑むことになります。
スパイダーマンへの憎しみで強くなる!
シンビオートは共生する人間の能力を最大限に増大させ、そのバランスも操ることができます。意志や記憶もあるので、前の寄主の能力や性格を受け継ぐことも。 ヴェノム・シンビオート自体が、スパイダーマンから無理やり分離させられたことで彼に憎しみを持っています。 そして、同じようにスパイダーマンを恨んでいたエディを寄主としたことで、その力が途方もなく強大化。そのうえにシンビオートがもともと持つ破壊衝動が加わり、凶悪な存在となってしまいます。 ほかの寄生体がエディの時ほど凶暴でないのは、その憎しみの度合いによるものです。
【中級編②】スピンオフ映画『ヴェノム』のヴェノムはどんなやつ?
スピンオフ映画『ヴェノム』ではジャーナリストであるエディ・ブロックがある財団の研究室に忍び込みシンビオートに規制されることでヴェノムが誕生します。 今作のヴェノムは宿主・エディの善人の特性が強く現れることによって、「スパイダーマン」シリーズに登場するようなヴィランではなくダークヒーローとなって活躍します。 映画『ヴェノム』に登場するヴェノムのビジュアルで最も特徴的な点は、原作では胸にあるはずの白い蜘蛛のマークが無くなっていることです。 これは、本作のテーマとなるヴェノムの起源にはスパイダーマンは関与していないためとされています。しかし『ヴェノム』はすでにシリーズ化することが決定しており、2作目以降でMCUと関連を持つことやスパイダーマンが登場する可能性もまだゼロではないようです。
ダークヒーロー・ヴェノムを演じるのは?
映画『ヴェノム』で主人公ヴェノムことエディ・ブロックを演じるのは、トム・ハーディです。 1977年イギリス生まれのハーディは、リドリー・スコット監督の戦争映画『ブラックホーク・ダウン』で2001年に映画デビュー。クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』(2010年)や、DCコミック作品『ダークナイト ライジング』(2012年)でバットマンの因縁の敵ベイン役に抜擢。 2015年には『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で主人公マックスを演じるなど、話題作で続々と高い評価を得たことから、人気俳優としての地位を確固たるものとしました。
映画『ヴェノム』のヴィランはライオット
映画『ヴェノム』では、ヴィランとしてライオットが登場しています。 コミック版のライオットは、ライフ財団がヴェノムから摘出した「人工シンビオート」5体のうちの1体で、他の4体と共にヴェノムとスパイダーマンを襲います。 シンビオート同様に人間の身体に寄生して活動するライオットですが、宿主はライフ財団のリーダー、カールトン・ドレイク。『ナイトクローラー』(2015年)や『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年)への出演で知られる俳優リズ・アーメッドが演じました。
【上級編】原作コミック『ヴェノム』の宿主4人を解説
初代ヴェノム:エディ・ブロック
ヴェノムと言われて多くの日本人が連想するのが、映画『スパイダーマン3』に登場した彼ではないでしょうか? 本作に登場したヴェノム/エディ・ブロックこそ、ヴェノムの初代にあたります。映画版では、サム・ライミ監督の意向も反映されてスパイダーマンに嫉妬する極端な小悪党として描かれていました。 しかし原作版では、ライバルであるスパイダーマンに対抗心を燃やす以外では、事件に巻き込まれた一般市民を助けたりするなど、紳士的な面も見せるなど悪行らしい悪行も描かれません。
二代目ヴェノム:アンジェロ・フォートナート
さて、「ザ・ライバルキャラ」とも言えるエディに続いてヴェノムとなったのが、2代目アンジェロ・フォートナートです。 「ニューヨーク・マフィアのドンの息子」と言う設定からしてきな臭い匂いがプンプンする彼ですが、案の定小悪党。宿敵であるスパイダーマンを前に一目散に逃げ出すと言う醜態を晒します。 こうした素行が呆れられた結果、シンビオートにも見限られ、ビルから転落死すると言う末路を遂げました。必ずしも格好良いわけでも無いのもヴェノムの良いところです。
三代目ヴェノム:マック・ガーガン
3代目ヴェノムとなったのは、「スコーピオン」という電撃を操るヴィランのマック・ガーガン。ある科学者の陰謀で生み出されたサイボーグという設定の彼は、なんと事件の犠牲者を捕食するという凶悪さを発揮します。 彼がヴェノムになったのは短期間でしたが、歴代ヴェノムの中でも最も悪役らしい悪役と言えるのではないでしょうか?
四代目ヴェノム(エージェント):ユージン・トンプソン
そして、上記画像が4代目ヴェノム、フラッシュ・トンプソン。通称「エージェント・ヴェノム」です。 見た目からも、かなりヒロイックな姿になったことがわかるのでは無いでしょうか?それもそのはず、フラッシュはスパイダーマンことピーターの同級生であり、なんとスパイダーマンの大ファンという設定なのです。 かつてはピーターをいじめていた彼ですが、根は善良なお人好し。高校卒業後に軍人となった彼は、戦地で仲間と両足を失った末に、政府が管理していたシンビオートの適合者に選ばれエージェント・ヴェノムとなります。 様々な問題を乗り越えた彼は、よりヒーロー然とした活躍を見せ、キャプテン・アメリカにもヒーローとして認められほどに成長。さらに、ピーターとの友情を育むまでに至るのです。
【トリビア】ヴェノムファンなら知っておきたい裏話9選
1.『スパイダーマン3』には登場しない予定だった?
映画『スパイダーマン3』のサム・ライミ監督は、もともと本作のヴィランはヴェノムではなかったと語っています。最初に予定されていたのは、ハゲワシのような羽根のついた装置で空を飛ぶ老人のヴィラン、ヴァルチャーでした。 しかし、制作会社であるソニー・ピクチャーズ側に押し切られ、ファンの人気が高いヴェノムに変更されたということです。
『スパイダーマン3』を
2.『アメイジング・スパイダーマン3』に登場予定だった!
アンドリュー・ガーフィールド主演で製作された『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)と『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)。 残念ながら興業不振のため製作が打ち切られてしまったこのシリーズですが、ヴェノムを3作目のヴィランとして登場させる予定だったと、マーク・ウェブ監督は明かしています。 エディはデイリー・ビューグル紙の記者で、口コミでのマーケティングを確立した人物として登場し、シンビオートはオズコープの元で管理されるというアイディアだったそうです。 『アメイジング・スパイダーマン』のヴェノムも見てみたかったですね。
『アメイジング・スパイダーマン』を
3.初代ヴェノムはスーパーヒーローになった!?
そのほかのシンビオート共生体に「トキシン」というキャラクターがいます。 正義感の強い警察官パトリック・マリガンは、シンビオートに寄生されトキシンとなります。しかし、この時、その残虐性を抑えることに成功したパトリックは力を正義のために使うと決意しました。 コスチュームは黒ではなく、上半身は赤から茶色系、下半身は青や濃いグレーになっています。また、ヴェノムやカーネイジなどよりも戦闘力が高いのも特徴です。 トキシンはマリガンから分離したあと、初代ヴェノムだったエディ・ブロックに強制的に寄生させられてしまいます。 そのときシンビオートをコントロールする力を得たエディは、アンチ・ヒーローとして活動し、スーパーヒーローたちの能力を奪っていく存在になりました。
4.もともとは女性ヴィランになる予定だった!
初期のアイディアでは、初代ヴェノムは女性になる予定でした。スパイダーマンに気を取られたタクシー運転手に夫が轢かれてしまったある妊婦は、自身も怪我をし、夫を失い、子供を失い、正気も失い、スパイダーマンに責任があると考えるようになります。 エディと違い、彼女の女性性がスパイダーマンへの憎悪と分裂し、象徴的にシンビオートを産む案まであったとか。残念ながら、マーベルの編集者であるジム・サリクラップはこのキャラクターはスパイダーマンの脅威にはならないと考えたため、男性であるエディに変更されました。 このとき考案されたコスチュームは、2代目スパイダーウーマンが着用しています。
5.ヴェノムのアイディアはファンから買い取ったもの!?
ヴェノムのアイディアの原型は、イリノイ州のコミックファンであるランディー・シェラーからマーベルが220ドル(当時のレートで約80万円)で買い取ったと言われています。 もともとのアイディアでは、それは不安定な分子でできたスパイダーマンの黒いコスチュームで、彼の能力を強化するというものでした。 この設定に興味を持った当時のチーフエディター、ジム・シューターは、このアイディアを売って欲しいとシェラーに手紙を書きます。 そこから多くのクリエイターの手を経て、現在の人気キャラクターへ成長を遂げました。
6.本来の姿は崇高な戦士?
ヴェノム・シンビオートが3番目に寄生したのは、高校時代にピーターをいじめていたフラッシュ・トンプソンです。のちにピーターと和解して親友になった彼はベトナム戦争で従軍し、イラク戦争にも出兵。仲間を救うために両足を失ってしまいます。 その功績が認められ、政府のスペシャルエージェントとしてシンビオートと結合することになったトンプソンはエージェント・ヴェノムとなります。 シンビオートがトンプソンの両足を補い、ここからヴェノムのヒーローとしての活躍が始まります。その後、シンビオートの本来の姿はクリンターという魂の闘士だとわかります。だたし、崇高な戦士となるためには、寄主も高潔な肉体と精神の持ち主でなければいけません。 兵士として徳を積んだトンプソンは、シンビオートと共生している時間を調整しながらエージェントととして活動。寄主が元軍人のため、銃器を操ることができるのも特徴です。
7.ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーだった!?
このキャラクターがヴィランだったことを知らない若い読者のために作られた新しいシリーズでは、エージェント・ヴェノムは2012年からホークアイ率いる第2期シークレット・アベンジャーズに参加しています。 2013年からはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーとして、スターロードやロケットたちと共に戦うことに。 このときはシンビオートの母星にたどり着き、さきほどご紹介した真実の姿を知ってパワーアップしました。 その後、2015年からは宇宙を守るスペースナイトとして単独で活動しています。
8.スピンオフ映画の脚本はアメコミ作家のトッド・マクファーレン!
2018年11月公開の映画『ヴェノム』ですが、ファンが期待を寄せている理由は、そのスタッフにあります。 というのも、脚本を担当するのはアメコミのクリエイターとして多くの作品を手がけてきたトッド・マクファーレンだからです。マクファーレンは主にダークヒーロー、『スポーン』の原作者として知られ、映画版でも脚本を執筆しました。 また、『アメイジング・スパイダーマン』、『アルティメット・スパイダーマン』シリーズにも参加し、ヴェノムのエピソードも多数書いています。 アメコミ、とくにスパイダーマンに精通したマクファーレンの脚本には、ファンならずとも注目ですね。
9.トム・ハーディがヴェノム役の参考にした人物とは?
映画では、エディ役だけでなく変身後のヴェノムの声とモーションキャプチャーも担当しているトム・ハーディ。彼は役づくりのために3人の有名人を参考にしたと語っています。 1人目はウディ・アレン。痛めつけられノイローゼ気味になっているにもかかわらず、そこからユーモアをわき起こす演技を参考にしたようです。 総合格闘家のコナー・マクレガーの並外れた暴力性、そして映画『ビー・バッド・ボーイズ』(2001)への出演でも知られるラッパーのレッドマンの、頭の中に何者かが住み着いたかのようにコントロール不能な様子を参考にしたとのことです。 また、ヴェノムの声を演じる際には、ファンクの帝王と呼ばれる歌手のジェームス・ブラウンを参考にしたそうです。
ヴェノムは奥が深いマーベルコミックキャラ
本記事ではヴェノムの原作からスパイダーマンとの因縁までたっぷりと紹介しました。ここまで読んだあなたはきっともうヴェノムマニアかも。 不気味な見た目ながらもチャーミングな性格と、寄主であるエディとの絆が微笑ましいヴェノム。そんな彼らが再び活躍する続編『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が2021年に公開されます。 続編にそなえて、ヴェノムの歴史からスピンオフと「スパイダーマン」シリーズの違いなど復習しておきましょう!