2017年7月6日更新

​『ヱヴァンゲリオンQ』を考察!あらすじからネタバレまで【新劇場版】

2012年に公開された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』はファン待望の作品でしたが、そのあまりに旧シリーズから逸脱した内容に困惑した人も少なからずいたようです。本記事ではそのあらすじを解説しながら、『エヴァQ』について考察していきます。

『ヱヴァンゲリヲンQ』、人気アニメの新劇場版第3弾を徹底解説・考察

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』は、テレビシリーズの『新世紀エヴァンゲリオン』のリブート版として、『序』(2007)、『破』(2009)に続いて、2012年に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』が公開されました。 『序』と『破』はある程度、テレビシリーズをベースとした物語なのに対し、『Q』はそれをかなり逸脱したものであったことから、ファンの間で物議を醸しました。また、予告編とは全く違う内容になっていた点も議論の的でした。 本記事では『エヴァQ』に関する考察やあらすじをご紹介していきます。ネタバレを多々含んでおりますので、本編をご覧になってから読まれることをオススメします!

冒頭部分、アスカとマリが成層圏で繰り広げるUS作戦とは

物語はいきなり成層圏での戦闘シーンから始まります。式波・アスカ・ラングレーと真希波・マリ・イラストリアスが何かを攻撃しているのですが、何の説明もないので、何をしようとしているのかよく分かりません。そしてアスカはなぜか眼帯をしています。 どうやら十字架型のケースに収納された何かを回収しようとしているらしいのですが、アスカが「馬鹿シンジ!」と呼びかけていることから、初号機ではないかと推測されます。アンチATフィールドを展開する「エヴァンゲリオン・マーク4」に妨害されながらも、何とか作戦を達成します。 この戦闘は「US作戦=Ultimate Soldier Operation」と呼称され、ネルフが封印していた初号機を、ヴィレが奪還するミッションなのです。 アスカの眼帯については以下の記事で詳しく解説しています。

碇シンジとDSSチョーカー

最初の戦闘の後、回収され目をさます碇シンジ。彼の足の裏には「BM-03 S.IKARI??」と書かれており、全身を拘束され、首には輪っかが装着されています。 ファンの間で「シンジは初号機からサルベージされたのか?」という論争があるようですが、BMには排泄物(bowel movement)の意味があるので、排泄のような形で自然に出てきたのではないかという説が有力なようです。 首の輪っかは「DSSチョーカー」と呼ばれ、DSSとはDeification Shutdown System、つまり「神格化遮断システム」のことだと思われます。エヴァが覚醒して「フォースインパクト」を起こそうとしたとき、これが作動して、パイロットの首を吹き飛ばしてしまうのです。 後に渚カヲルがシンジから取り上げて自分の首に巻く際に「元々は僕を恐れたリリンが作ったもの」だと言うシーンがあります。実際、カヲルはDSSチョーカーによって絶命してしまいます。

反ネルフ組織ヴィレとAAAヴンダーとは?

反ネルフ組織、「ヴィレ」は、葛城ミサト、赤木リツコ、アスカ、マリ、日向マコト、青葉シゲル、伊吹マヤら元ネルフの職員と民間人から成る組織です。また、鈴原トウジの妹である鈴原サクラも所属しており、さらには加持リョウジと親しいらしい発言をする高雄コウジという人物もいます。 「ヴィレ」(Wille)とはドイツ語で「意志」を意味します。ヱヴァンゲリヲンに登場する組織名はなぜか全てドイツ語なのです。「ゼーレ」は「魂」、テレビシリーズでネルフの前身機関とされた「ゲヒルン」は「脳髄」、「ネルフ」とは「神経」をそれぞれ表しています。 このヴィレのメンバーが乗っているのは「AAAヴンダー」という巨大飛行戦艦です。ミサトは「艦長」と呼ばれ、リツコは「副長」と呼ばれます。そして誰もがシンジに対して冷たい視線を向けるのですが、この理由は後に判明します。 「ヴンダー」はまたもやドイツ語で「奇跡」の意味です。この戦艦は回収された初号機を主機として使用しており、戦闘時にはLCLガスが艦橋に注入されます。また、ATフィールドを発生させたり、重力を制御することもでき、周りの船隊ごと空中に浮かべてしまいます。

ヴィレは何と戦っているのか?

冒頭のUS作戦でアスカとマリを妨害するコード4A、4Bと呼ばれるもの、AAAヴンダーが倒したものは使徒だったのでしょうか? よく見るとネルフのロゴマークが入っているようです。Blu-rayのブックレットによると、この3体はエヴァンゲリオン・マーク4に分類され、AAAヴンダーと交戦したのはネーメジス・シリーズとも呼ばれる、コード4C。 どれもパターン青と認識されることから、ネルフが開発した人工使徒に近いもののようです。前作から14年経って、人工的に使徒が製造できるようになったというということでしょう。

渚カヲルが語る14年前の真実

ネルフ本部でピアノの連弾をしてシンジと親しくなった後、カヲルは14年前の真実についてシンジに語ります。ヴィレのメンバーがシンジに対して冷ややかに接していた理由がこれで判明するのです。 前作『破』のラストで使徒に捕食された綾波レイを救い出そうと、シンジは初号機を覚醒させてしまいます。これにより初号機は「光の巨人」、神に近い存在となってしまい、サードインパクトが始まってしまいます。 ところが、月から渚カヲルが操縦するエヴァンゲリオン・マーク6が飛来して、カシウスの槍を初号機のコアに打ち込んで、サードインパクトを食い止めるのです。この事件は「ニアサードインパクト」と呼称されます。

綾波レイをめぐる謎

冬月コウゾウはカヲルの話で少なからずショックを受けているシンジに対して、さらに追い打ちをかけるような告白をします。シンジの母親、ユイが初号機の制御システムになってしまったということです。 さらに、綾波レイはユイから作られたクローンであることも明かし、綾波レイは初号機に取りこまれたままだと言います。シンジは救ったと思ったレイを救えていなかったことに責任を感じるのです。 綾波レイが初号機に吸収されているということは、ミサトやリツコも言っていたのですが、では、終盤でゲンドウがいる発令所にある巨大なレイの首は一体なんなのでしょう?

渚カヲルが語らなかったこと

どうやら、カヲルがシンジに話していない細部がさらにあるようです。ニアサードインパクトの影響で、カヲルの言うところの「インフィニティのなり損ない」が大量に発生します。ネルフはそれを戦力にするのです。 さらに初号機を凍結して成層圏に打ち上げます。ミサトらは国連軍を土台としてヴィレを結成。ネルフを殲滅せんと攻撃するのです。ネルフは量産型綾波レイで応戦しますが、苦戦します。 ゲンドウは自律型マーク6によって、サードインパクトを起こしてしまうのです。これによって人類の大部分が死亡。 リリスの結界ができ、「インフィニティのなり損ない」は死滅します。巨大なレイの首は、『まごころを、君に』でレイがリリスと合体したように、量産型綾波とリリスが合体したもののなれの果てのようです。

フォースインパクトの顛末

原因はカヲルの制止を聞かず、シンジが槍を抜いてしまったことにあります。リリスの体は崩れ、マーク6の体の中にいた第12使徒が復活するのです。レイのマーク9はマーク6の首を切り落とし、第12使徒を外に出します。13号機は第12使徒を取り込んで覚醒してしまうのです。 地上の全ては13号機の頭上に吸い寄せられて、崩壊していきます。ヴンダーが13号機に突っ込み、フォースインパクトを止めようとしますが、レイのマーク9に攻撃されてしまいます。アスカの改2号機がビースト・モードでマーク9に応戦しますが、時間がないと判断したアスカは改2号機を自爆させて、マーク9を排除し、アスカとレイは脱出に成功しました。 一方、あまりの惨事に嘆き悲しむシンジを、カヲルは優しく慰めながら、「また会えるよ」という言葉を残して、DSSチョーカーを作動させて自らの命を犠牲にします。 ところがガフの扉は閉じず、マリはシンジの存在が原因と気づきます。そしてマリは必死にエントリープラグを取り出すのです。これで辛うじてフォースインパクトが収束します。

ネルフのロゴとアスカの眼帯

ネルフのロゴは14年前のものとは異なっています。使徒封印呪詛文様のような4つの四角形が入っているのです。 すでに『破』で「使徒封印呪詛柱」が登場して、第3使徒や第9使徒を封印するために使用されていますから、このロゴも使徒を封じ込めるために使用されていると考えられます。それは第1使徒であるカヲルなのでしょうか? また、アスカの眼帯は戦闘時に青く光ります。実は、前作『破』で第9使徒に左目を浸食されているのではないか、という解釈もあるのです。よく見ると、ここにも使徒封印呪詛文様があります。

謎めいた存在、真希波・マリ・イラストリアス

マリは新劇場版のオリジナル・キャラクターです。本作の冒頭で、天知真理の『ひとりじゃないの』を歌いながら、戦闘するシーンがあり、見た目はアスカたちと変わりませんが、実は相当の年齢ではないかと言われています。 事実、ゲンドウを「ゲンドウ君」と呼んだり、シンジの両親、ゲンドウとユイの学生時代の写真にマリに似た人物が写っているのです。アスカのことを「姫」と呼び、アスカからは「コネ眼鏡」と呼ばれます。

シンジは使徒になっている?

ラストシーンで、アスカは「ここじゃ、L結界密度が強すぎて助けに来れないわ。リリンが近づける場所まで移動するわよ」と言います。リリンとは人間のことです。 すると、その場にいるアスカ、シンジ、レイは人間ではないということになります。アスカが使徒に侵食されている可能性あることは先に述べましたが、このシーンの時すでに3人とも使徒になっていた可能性があります。

ゲンドウの目的は何なのか?

一体、ゲンドウは何を目指しているのでしょうか? 世界を滅ぼしてでも妻であるユイを復活させるということかもしれません。また、ゼーレのキール議長のような、ゴーグル型のバイザーを着けているのは何か意味があるのでしょうか? ゲンドウがユイに執着する姿勢は、シンジが『破』のラストでレイを救い出そうとしたそれと似ているのかもしれません。それ故に、ゲンドウに反旗を飜したヴィレのメンバーから、シンジは冷ややかな目で見られるのでしょう。

「アダムスの器」とは?

本作の終盤でマリたちが言う「アダムスの器」とは何なのでしょうか? アヤナミレイ(仮称)が操縦するエヴァンゲリオン・マーク9を指しているようですが.......。 アダムスとは「セカンドインパクト」を起こした4体の光の巨人のことというのが、有力な見解です。マーク6は月で発掘された巨人をボディとして建造されています。その巨人がアダムスのうちの1体なのかもしれません。 故にマーク9も巨人をベースにしているのでしょうか?残された数々の謎については次回作『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』で明らかになることを祈りましょう。