『エヴァンゲリオン』マリは何者?年齢、クローン説、張り巡らされた伏線を考察
真希波・マリ・イラストリアスの正体は?【ネタバレ注意】
「エヴァンゲリオン」シリーズでは、テレビアニメ版にも旧劇場版にも出てこなかった真希波・マリ・イラストリアス。エヴァ弐号機をまともな搭乗経験もないはずなのに見事に乗りこなすパイロットの腕前を『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』で披露しました。 初登場は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』ですが、メガネをかけ、時代遅れの歌謡曲を口ずさむナイスボディな彼女はたちまち人気になりました。 今回は彼女の活躍を振り返りつつ、正体に迫っていきます! ※この記事では「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ及び「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に関するネタバレが含まれますので、読み進める際はご注意ください。
マリは自由奔放で好戦的!?奇行にはしる性格
普段は陽気で自由人のマリ。周囲がピリピリしている作戦中でも呑気に歌っているなど、随分とマイペースな場面が多々見られます。 しかし、本気を出した際には積極的になり、痛みより戦闘の面白さに焦点を置いていることなどから、シンジやアスカよりやや好戦的な一面も垣間見えます。とはいえ、これくらいの気概が無ければエヴァパイロットは務まらないのかもしれませんし、余計に緊張しないメンタルは強みになるとも言えます。 一方で状況を冷静に判断できる観察眼もあり、武器の切り替えをスムーズに行なうなど、パイロットとしての資質は確かなようです。
マリが歌っているのは懐メロ
作中のマリは第3使徒戦にて「三百六十五歩のマーチ」を歌いながら登場するなど、少し変わった一面があるようです。 これ以外にも、新劇場版「Q」のUS作戦では「ひとりじゃないの」、Mark.09襲撃時には「グランプリの鷹」、さらに『シン・エヴァ』の冒頭では「真実一路のマーチ」を口ずさんでいました。 いずれも1970年ごろの楽曲であり、外見上の若さに反して珍しい趣向を持っているため、中年層のファンも多いようです。
マリにメガネを送ったのはユイ
貞本義行が描いた長編コミカライズ『新世紀エヴァンゲリオン』の最終巻に収録されたエクストラエピソード『夏色のエデン』。この話の主人公は若干16歳で京都大学に飛び級進学した天才少女です。 彼女はその才能によって同僚とは抜きん出た実力を見せましたがただ1人越えられない女性がいました。その女性が碇シンジの母親、碇ユイです。 はじめは彼女に嫉妬していた天才少女でしたがその感情はいつしか好意に変わり、ある事件を切っ掛けに思いを告白すると、碇ユイは少女にメガネをプレゼントします。その少女の名が真希波マリ。 エヴァ弐号機の秘密コードを知っていたのは開発に関わっていたから、碇ゲンドウを君呼びしていたのはその通り親しい、または学友といった近い関係にいたからという推測が立ちます。このエピソードが「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」にも適用されると「破」ではマリの年齢は33歳、「Q」では47歳となります。予想以上の高年齢ですね。
「新劇場版:破」:仮設5号機と共に初登場!使徒を単独撃破
新劇場版「破」の冒頭にて、ヘルメット型ゴーグルを装着しながら仮設5号機に乗り登場したマリ。北極圏にあるNERV支部「ベタニアベース」で封印されていたはずの第3使徒が目覚めたため、これを撃破すべく出撃します。 地下という狭い閉鎖空間、かつ義手パーツを含む急造品の機体といった悪条件のため操縦に苦労していましたが、地表に出た後はどうにか使徒のコアを手で潰すとともに、5号機は自爆します。エントリープラグごと脱出した彼女は海上から使徒と5号機の爆発跡を眺めていましたが、そこでゴーグルを外した際にはその美しい素顔が露わになりました。 前作の新劇場版「序」から一転、オリジナル要素のみで構成されたこの戦闘シーン。旧テレビ版にも存在しなかった使徒やキャラクターが登場したことで、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」独自のストーリーが本格的に始まった瞬間でもありました。
「新劇場版:破」:第10の使徒との戦闘では裏コードを使用!?
新劇場版「破」の最後に襲来した第10使徒。動けなかったアスカに代わり、マリは2号機に乗り込んで出撃しました。 しかし、強力なA.T.フィールドを持つ相手に対して銃撃は効かず、裏コード「ザ・ビースト」を使い、2号機のリミッターを外していきます。「獣化第2形態」と呼ばれる2号機はまさに猛獣のような姿に変貌し、綾波レイの乗る零号機と共に肉迫しました。 この時、なぜ裏コードなるものを知っていたのかについては様々な憶測が飛んでいますが、真相は定かではありません。しかし、その力を以ってしても「最強の拒絶タイプ」と評された敵はあまりにも強く、零号機もろとも敗れてしまいました。
「新劇場版:Q」:ヴィレに所属、アスカを「姫」と呼び行動を共にする
新劇場版「Q」からはミサト達が率いる新組織、ヴィレ (WILLE)のエヴァパイロットとして活動しています。搭乗機はピンク色の塗装が施されたエヴァ8号機。頭部にはナンバリングと同じ8つの眼があることが特徴であり、マリの専用機として活躍を見せてくれました。 新劇場版「破」ではアスカと全く接点の無かったマリでしたが、新劇場版「Q」では共同作戦をこなすほどに。エヴァ3号機 (第9使徒)による負傷から回復後には長い時間を共に過ごしていたと見られます。 アスカのことは「姫」や「お姫様」と呼び、逆に彼女からは「コネメガネ」という渾名が付けられていました。 戦闘時にはアスカが接近戦を仕掛け、マリが遠距離からの狙撃により援護するというように役割を分担しています。また、「サードインパクト」発動時にはシンジのエントリープラグを13号機から無理矢理排出させて事態を収めるなど、重要な役目も果たしました。
「シン・エヴァ」:まさかのマリエンド!?正体を考察
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」では、アスカとともにヴィレのヴンダーに乗り込み、「フォースインパクト」を阻止するべく、ヴィレカスタムの8号機や改8号機で奮闘。対ネルフ戦線で大活躍を見せました。 とはいえ、「シン・エヴァ」まさかのマリエンド!に驚きを隠せないファンも多かったかもしれません。
マリの正体はクローン?
マリの外見はシンジやレイと同じくらいに思えますが、彼女は少年少女には似つかわしくない飄々とした振る舞いをしており、底知れない雰囲気を漂わせています。 マリは開発者しか知らないようなエヴァ弐号機の裏コード「CODE BEAST (コード・ビースト)」を作動したり、碇ゲンドウを「ゲンドウ君」と呼んだりしています。年齢に関しては新劇場版「Q」で、パイロットの年齢が14歳で固定されるという「エヴァの呪縛」で解決されますが、正体に関しては謎のままでした。 エヴァ弐号機を軽々と操作し、碇ゲンドウを君付けすることからゼーレか使徒のクローンの可能性が囁かれていましたが、新劇場版「Q」では冬月がシンジに見せた写真には、メガネで髪の色がマリと同じ女性が映っており、謎はさらに深まっていったのです。 そして「シン・エヴァ」では、マリの正体についていくつかのヒントが提示されました。ゲンドウの回想シーンにマリと思われる人物が現れ、前述の写真も再登場。漫画版の番外編「夏色のエデン」に登場した真希波マリと、どうやら同一人物であるようです。 つまりマリの正体は、ゲンドウとユイの学友で、冬月の研究室の生徒だったといえるでしょう。また、「シン・エヴァ」で式波アスカが「シキナミタイプ」のクローンであることが判明したため、真希波マリも「マキナミタイプ」のクローンである可能性も。マリもユイと学友だった真希波マリがオリジナルとも考えられます。
生き残ったのはシンジとマリだけ?シンジに必要なのはママ
では、「シン・エヴァ」最大のサプライズ、マリエンドについて考察していきましょう。最終的に「ファイナルインパクト」から生還したのがシンジとマリだけであったことは、ラスト近くの海岸のシーンでわかります。 シンジは失語症になっていた時、アスカから「こいつに必要なのは恋人じゃなくて母親よ」と言われていました。このセリフが、マリエンドの伏線だったのかもしれません。 それはつまり、幼い頃に母親を喪失していたシンジが深層心理で求めていたのが「母親」だったということ。マリは前述の通り、クローンだとしてもオリジナルは母のユイと同年代の女性。「胸の大きないい女」という前振りも、母性を表しているように思えます。 外見はともかく、少なくとも精神年齢的には母親ほど年の離れた女性と結ばれるというオチは、「エディプス・コンプレックス」を彷彿とさせますが、シンジが大人になるために必要だったもの。しかも最後の最後には、シンジから「行こう!」と自分から力強くマリの手を取って走り出したことを考えれば、彼の成長を感じることができるのではないでしょうか。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズでマリを演じる声優は坂本真綾
1988年から活動する坂本は、『天空のエスカフローネ』で主人公の神崎ひとみを演じて以来、非常に多くの作品で主演を務めてきました。 代表作を挙げればキリがありませんが、『<物語>シリーズ』の忍野忍や、『キューティーハニー』の主人公如月ハニーなどを演じ、今や大御所声優の1人と言っても過言ではないでしょう。そのほかにも、吹き替えや歌手としても多数の実績を持っています。 幼女役から若い女性役、少年役まで役柄も実に多様であり、エンドロールを見て初めて坂本が演じていたと気づくことも少なくないでしょう。大御所と呼ばれる声優は複数いますが、声色をここまで使い分けられる坂本は役者として相当な実力を有しています。
真希波マリは新劇場版の「イスカリオテのマリア」?
「シン・エヴァ」の中で冬月がマリを「イスカリオテのマリア」と呼んでいましたが、これこそがマリの新劇場版での役割を端的に表していました。イスカリオテとはキリスト教の「イスカリオテのユダ」から、裏切者を示す言葉。 マリはこれまでの「エヴァンゲリオン」シリーズを“裏切る”流れを生み出すキャラクターとして、新劇場版から登場。そして最後には、世界の救世主となったシンジにとっての「マグダラのマリア」となり、「新世紀」に2人が生き残りました。 「シン・エヴァ」で最大の魅力を見せつけたマリ。今後もさらなるファンを増やしていきそうですね!