タランティーノがやっぱり魅力的な9つの理由!【嫌いな人にこそ読んでほしい】

2017年7月6日更新

『パルプ・フィクション』や『イングロリアス・バスターズ』など、オタク気質溢れる作風が特徴のクエンティン・タランティーノ監督。しかしそんな作風が強烈すぎるが故に好まない人がいるのも事実。ここではそんなタランティーノ作品の魅力を特集。

観る人によっては好き嫌いが分かれるタランティーノ作品だが……。

過去の映画にオマージュを捧げた作品づくりが多いクエンティン・タランティーノ。しかし、そのオマージュがあまりにも濃かったりマニアックすぎるすることやバイオレンスシーンの多用が目立つことから、観る人によっては好き嫌いが分かれるようです。 ここでは、そんなタランティーノのフィルモグラフィーやパーソナルな面を掘り下げることで、彼の作品が魅力的であるかを検証していきます。

1,単なる“B級映画マニア出身監督”にあらず!

タランティーノは20代前半に、ビデオ店「マンハッタン・ビーチ・ビデオ・アーカイブ」に店員として働きつつ、この店で扱っていたありとあらゆる映画を観たことで、フィルムメーカーとしての素養を培いました。 彼が好きな映画のジャンルはアクションやホラーといったジャンルものや、誰も観ていないようなB級映画ばかりと思われがちかもしれません。しかし、実はフランスのヌーヴェルヴァーグ作品やアルフレッド・ヒッチコック監督作といった、いわゆる映画のクラシック中のクラシックなども幅広く観ており、単なる映画マニア出身監督というわけではないのです。

2,長セリフの会話劇と凄まじいアクション&バイオレンスシーンの緩急

タランティーノ作品で多く見受けられるのが、「長セリフによる意味のない会話劇」でしょう。例えば商業用映画デビュー作『レザボア・ドッグス』での冒頭の、強盗犯6人が冒頭で繰り広げる会話が本編とはまるで関係なかったり、『デス・プルーフ in グラインドハウス』では、本編の半分近くが無駄話に終始するといった按配です。 しかし、その会話劇が「溜め」となっているかのように、その後繰り広げられるアクションやバイオレンスシーンは凄まじいものがあり、特に『デス・プルーフ』での後半でのカーアクションは迫力満点です。もっとも、2009年の『イングロリアス・バスターズ』以降は長い会話劇も意味ある内容になっている傾向があります。

3,B級~Z級映画ファンをうならせるオマージュ

自身が好きな映画やドラマにオマージュを捧げた引用を行うタランティーノですが、その引用方法もマニアックなものが大半です。たとえば『パルプ・フィクション』で殺し屋のジュールスが人を殺す前に旧約聖書の一節を暗唱しますが、実はこれは聖書そのものからの引用ではなく、千葉真一主演の時代劇『影の軍団』で、千葉扮する服部半蔵のセリフをオマージュしたものです。 そして『キル・ビル Vol.1』での、殺し屋女子高生のGOGO夕張の使う武器は、香港のカルトクンフー映画『片腕カンフー対空とぶギロチン』に登場する空とぶギロチンへのオマージュだったりと、元ネタがZ級なのも特徴です。

4,使用する音楽の選曲センスが抜群!

マニアックな映像オマージュを捧げるタランティーノですが、それは音楽面においても同様です。『パルプ・フィクション』では、タランティーノが好むサーフィン・ミュージックをベースにした選曲をしたり、『ジャンゴ 繋がれざる者』では、タイトル・ロールの元となった1966年のマカロニ・ウェスタン『続・荒野の用心棒』(原題『ジャンゴ(Django)』)の主題曲「ジャンゴ」をそのままオープニングに使用しています。 自身が愛聴していた曲をどんどん使用する。その選曲センスが優れているのは、それらをまとめたサントラアルバムが軒並み話題になることからもお分かりでしょう。

5,自身がファンだった俳優に敬愛を込めてキャスティング

タランティーノ作品が魅力的なのはキャスティングにもあります。素人時代にテレビや映画で観てファンだった俳優に出演オファーしてきています。有名なところだと、彼の青年時のミューズだったパム・グリアを『ジャッキー・ブラウン』の主役に据えたり、時代劇『影の軍団』や映画『殺人拳』シリーズの千葉真一に『キル・ビル Vol.1』へ出演してもらったりなどがあります。 こうしたキャスティングは、時には出演俳優のステータスにつながります。『パルプ・フィクション』に出演したジョン・トラボルタは、製作時こそキャリアが低迷していましたが、本作出演を経て見事にカムバックを果たしています。

6,史実の悪しき行いを「ポエティック・ジャスティス」で制裁!

ハチャメチャな作風というイメージの強いタランティーノ作品ですが、その実彼は明確な悪に対する怒りを作品内に込めています。『イングロリアス・バスターズ』は、ナチス占領下のパリを舞台に、ナチス軍人を虐殺していく連合軍のユダヤ系特殊部隊を、『ジャンゴ 繋がれざる者』では、南北戦争直前のアメリカ南部を舞台に、元黒人奴隷のジャンゴがガンマンとして白人たちに報復する姿を描きました。 映画内だけででも迫害されてきた人たちに復讐させてあげたい、と考えているタランティーノは、「ポエティック・ジャスティス(詩的正義)」を見事に映像化できる第一人者なのです。

7,日本映画、日本俳優好き

数々の映画を観てきたタランティーノですが、その中にはもちろん日本映画も含まれていることは多くの人が知るところ。彼が好きな作品として、『座頭市』シリーズや『子連れ狼』シリーズといったチャンバラ時代劇、千葉真一の空手アクションものや『仁義なき戦い』シリーズ、果ては三池崇史の『殺し屋1』などなど、挙げるとキリがないほどです。 日本が舞台のリベンジアクション『キル・ビル Vol.1』では、栗山千明や國村隼、田中要次、麿赤児などといった、タランティーノが観てきた日本映画のお気に入りキャストを大挙出演させています。

8,タランティーノ自身もクセのある俳優として活躍

タランティーノは監督のみならず俳優としても活躍しています。自身の監督作の何本かでも俳優として出演しており、『パルプ・フィクション』では得意の早口を活かし、死体処理のトラブルに巻き込まれた怒りをぶつけまくる男をほとんど地で演じています。 ほかにも、盟友のロバート・ロドリゲス監督によるホラーアクション『フロム・ダスク・ティル・ドーン』では、足フェチの変態チックな強盗犯を演じていますが、これもタランティーノ本人が足フェチであることを活かした配役です。個性的な役どころが多いのも彼ならではと言えましょう。

9,“いち映画ファン”としての視野を常に持ち続ける

現役フィルムメーカーとして活躍する一方で、タランティーノは一人の映画ファンとしての視野も持ち続けています。その年にアメリカで公開された映画の中から自身が気に入った作品を、ランキング形式だったり順不同形式だったりとさまざまな形で公表しています。 過去にベストに挙げた作品としては、『トイ・ストーリー3』や『ブルージャスミン』、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などがあり、ジャンルを問わない視野はさすがタランティーノといったところ。しかしここ数年はそうした自身のランキングへの注目度が高くなりすぎたきらいから、表立った公表を避けている節があります。

タランティーノ作品をたどっていけばより映画好きになれる

過去作へのオマージュを込めた作風から「ツギハギだらけで中身なし」などの揶揄もされるタランティーノ。ですが彼がオマージュを捧げた元ネタに間接的に触れることで、その元ネタの面白さを発見できたりします。いうなればタランティーノ作品に触れることで、これまで知らなかった作品に出会えて、より映画の視野が広がるというわけです。 本人のキャラクターも相まって、新作発表の度に強烈なインパクトを残すフィルムメーカーの第一人者となっているクエンティン・タランティーノ。彼の今後の動向から、ますます目が離せないことでしょう。