「スパイダーマン」グリーンゴブリン徹底解説!原作・映画版の違いから噂のMCU参戦について迫る
スパイダーマンの宿敵グリーンゴブリンに迫る!
スパイダーマンというヒーローを語る上で欠かせないヴィランともいえるグリーンゴブリンは、スパイダーマンシリーズ初期から何度も登場し、スパイダーマンを苦しめてきました。 映画版では、サム・ライミ監督の「スパイダーマン」マーク・ウェブ監督の『アメイジング・スパイダーマン2』に登場しています。 この記事ではグリーンゴブリンの概要、実写映画での活躍、コミック版の基本情報、さらにトリビアまでたっぷりと解説していきます。
【基本情報】グリーンゴブリンとは?
アメリカンコミックの世界では、同じキャラクターでもシリーズごとに設定が変わったり、死んだはずのキャラクターが生き返ったりします。 ここでは、1964年から開始されたコミック『アメイジング・スパイダーマン』シリーズに登場した、最初のグリーンゴブリンのプロフィールを紹介しましょう。 グリーンゴブリンの正体は、ピーター・パーカーの親友ハリー・オズボーンの父で、オズコープの社長兼発明家のノーマン・オズボーンです。 オズコープで身体能力を向上させる血清を開発していたノーマンは、実験中に事故を起こし、爆発した薬品を全身に浴びてしまいます。その結果ノーマンは超人的な能力を手にいれましたが、副作用として徐々に正気を失い、グリーンゴブリンになってしまいました。 狡猾な性格で、さまざまな策をめぐらせて相手を追い詰めることが得意です。これは、もともとノーマンがビジネスマンとして持っていた能力が強化されたものといえるでしょう。
【サム・ライミ監督版】グリーンゴブリンを解説
『スパイダーマン』(2002年)
ウィレム・デフォーが演じる
サム・ライミ監督の『スパイダーマン』では、メインのヴィランとして登場したグリーンゴブリン/ノーマン・オズボーンをウィレム・デフォーが演じています。 ノーマン・オズボーンは、軍事企業オズコープの社長兼発明家としてアメリカ軍向けの肉体増強剤を開発していました。 しかしその開発が遅れていたため政府からの助成金を打ち切られそうになり、彼は焦ります。部下の制止も聞かず、まだ安全が保障されていない増強剤で自ら人体実験を行ったノーマン。その結果、肉体が強化された代わりに精神が蝕まれていきます。
グリーンゴブリンとなったノーマンは武器や装備を作り、私利私欲のためにニューヨークの街で暴れるようになります。 当然スパイダーマンと対立することになりますが、ノーマンは早い段階でスパイダーマンの正体が息子の親友ピーターだと見抜きました。 彼は、ノーマンとして息子の親友ピーターを傷つけたくないという思いと、グリーンゴブリンとしてスパイダーマンを殺したい思いとの間で葛藤しますが、結局は狂気に負けてしまいます。 自ら放火したビルの中でスパイダーマンと最後の戦いを繰り広げたグリーンゴブリンは、一瞬ノーマンとして許しを乞います。 しかし実際はグライダーでスパイダーマンを背後から狙っており、スパイダーマンがそれを避けたため自分に刺さって絶命しました。
『スパイダーマン2』(2004年)
ジェームズ・フランコが演じる
『スパイダーマン2』(2004年)の最後で、ジェイムズ・フランコ演じるハリー・オズボーンは、父ノーマンを殺したスパイダーマンの正体が親友のピーターであることを知りました。 恨みを募らせたハリーは鏡の中に現れた父の幻影に肉体増強剤とグリーンゴブリンの装備の隠し場所を教えられ、2代目グリーンゴブリンとしてスパイダーマンに復讐することを誓います。 ハリーは早速スパイダーマンに戦いを挑みますが、その際に頭を強打。父ノーマンが亡くなる少し前から最近までの記憶を失くしてしまいました。 怪我が治り退院したハリーは、再び父ノーマンの幻覚を見て記憶を取り戻します。ピーターの心を破壊し自分の雪辱を果たせという父の言葉に従ってMJをピーターから引き離し、ピーターを精神的に追いつめたハリー。 ブラックスパイダーマンとなりすっかり性格が変わってしまったピーターは、ハリーにノーマンは彼が息子であることを恥じていたと吐き捨て、再び戦いになります。その際ハリーは、自分が投げた爆弾を跳ね返され顔に火傷を負ってしまいました。 ブラックスパイダーマンとなった原因である宇宙生命体を追い払うことに成功したピーターは、ヴェノムらに連れ去られたMJを助けるため、ハリーにこれまでのことを謝り協力を求めますが、ハリーはそれを拒否。
それを見ていたオズボーン家の執事は、ノーマンはスパイダーマンに殺されたのではないと伝えます。また、ノーマンがハリーを愛していたとも告げました。 そして、ヴェノムとサンドマンを相手に苦戦を強いられるスパイダーマンのもとへグライダーに乗ったハリーが現れ共闘します。スパイダーマンがヴェノムに殺されそうになったとき、ハリーは自分の命と引き換えにピーターを助けました。 2代目グリーンゴブリンになってしまったハリーでしたが、彼の最期の行動からピーターは、運命は自分で選べるということを学んだのです。
【マーク・ウェブ監督版】グリーンゴブリンを解説
『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)
デイン・デハーンが演じる
マーク・ウェブ監督の『アメイジング・スパイダーマン2』では、デイン・デハーン扮するハリー・オズボーンが最初のグリーンゴブリンとなりました。 謎の病に侵され、自分の死期を悟ったオズコープの社長ノーマン・オズボーンは、ヨーロッパの寄宿学校にいた息子のハリーを呼び寄せます。ノーマンは自分の病気が遺伝性であること、未完成ではあるものの治療薬を開発していることをハリーに伝え、オズコープの経営権を譲りました。 突然オズコープを継ぐことになり苛立つハリーは、幼なじみのピーターと再会し束の間の楽しい時間を過ごしますが、すぐに父と同じ病気を発症したことに気づきます。 開発中の薬は人体実験ができる段階ではありませんでしたが、ハリーはスパイダーマンの能力はこの薬の効果では、と考えます。 ピーターにスパイダーマンと連絡をとり、彼の血液を提供してくれるよう頼んでほしいと言うハリー。ピーターはスパイダーマンとしてハリーのもとを訪れ、自分の血液を使った治療は危険なので協力することはできないと伝えました。 死の恐怖に焦るハリーはそれを聞いて激怒。さらに彼は、エレクトロを生み出した事故を隠蔽したと濡れ衣を着せられ、オズコープから追い出されてしまいます。追い詰められたハリーはエレクトロと協力し、厳重に保管されていた治療薬を手にいれることに成功しました。
しかし、未完成の薬を投与したハリーの身体はみるみるうちに変化し、超人的な能力を持つグリーンゴブリンになってしまいました。 病気は治ったようですが、醜い姿になってしまったハリー。 スパイダーマンが治療に協力してくれていればこのような結果にはならなかったと逆恨みしたハリーは、グライダーに乗ってスパイダーマンのもとへ。 そこでグウェンを見つけ、スパイダーマンの正体が親友と思っていたピーターであることに気づいたハリーは、裏切られたとさらに怒りを爆発させます。 不治の病に怯えるハリーは、生き延びるためにどんな手段でも使おうとしました。その苛立ちと焦りをデハーンは見事に表現しました。
2つの実写映画での描かれ方の違いは?
サム・ライミ版
映画の登場するグリーンゴブリンのなかでコミックにもっとも近いのは、サム・ライミ版1作目の『スパイダーマン』でウィレム・デフォーが演じたグリーンゴブリンです。 グリーンゴブリンになってしまった経緯から、本来の人格であるノーマンの葛藤、最期の状況も忠実に再現されています。 『スパイダーマン3』でジェイムズ・フランコが演じた2代目も、ほぼコミックどおりの設定とそこに至るまでの経緯が描かれています。 しかし、父からそのまま受け継いだはずのコスチュームやグライダーは、なぜか現代風にアップデートされたスタイリッシュなものになっていました。
マーク・ウェブ版
デイン・デハーンがハリーを演じた『アメイジング・スパイダーマン2』では、父ノーマンがグリーゴブリンとして活躍した描写がないため、ハリーが初代と思われる点がコミックと大きく違います。 彼がスパイダーマンを狙う理由は自らの恨みを晴らすためであり、コミックのように単純な私利私欲のためというわけではありません。
【MCU版】「スパイダーマン」にグリーンゴブリンが登場?
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)
2021年12月公開予定のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)26作目『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』には、過去のスパイダーマン作品に登場したヴィランが複数登場することが発表されています。 登場が確定しているのは、『スパイダーマン2』でアルフレッド・モリーナが演じたドクター・オクトパスと、『アメイジング・スパイダーマン』でジェイミー・フォックスが演じたエレクトロ。 そして今のところ確定情報ではありませんが、2002年の『スパイダーマン』でウィレム・デフォーが演じたグリーンゴブリンも登場するのでは、と噂されています。 その根拠となっているのは、8月に解禁された予告編の2分20秒あたりにグリーンゴブリンの武器パンプキン・ボムらしきものが映っていること。もし実現すれば、ドクター・オクトパスやエレクトロとともに、スパイダーマンに立ちふさがることになるでしょう。
【コミック版】グリーンゴブリンを解説
さまざまな能力を持っているから手強い!
薬品を浴びた結果、ノーマン・オズボーンは超人的な腕力と耐久性を手にいれました。その後も自分の肉体を強化するため、何度も血清を改良し投与しつづけています。 また、肉体面と同様にノーマンの知性も飛躍的に向上し、もともとあった生物学やロボット工学、エンジニアリング、そして化学の才能もそれまで以上に。 グリーンゴブリンとして狂気に支配され始めたノーマンですが、化学薬品を染み込ませたパッチを皮膚に貼ることで、正気を保つことができるようになりました。 そのため、それまで通りビジネスマンとして、また科学者として普通の生活も送ることができています。
グリーンゴブリン/ノーマン・オズボーンが自ら開発した装備や武器の数々
もともと科学的分野に精通しているノーマン・オズボーンは、グリーンゴブリンとして打倒スパイダーマンのためにさまざまな装備や武器を開発しています。 グリーンゴブリンの装備として有名なのは、小型ターボファンで動く飛行装置「ゴブリン・グライダー」でしょう。このグライダーは耐荷重約180kgで、最高時速約450kmで飛行することが可能です。 また主な武器は、ショック性の煙やガスを排出しながら燃える爆弾「パンプキン・ボム」です。 他にも最高10,000ボルトの電流を放出する手袋や、コウモリ型の飛ぶ小型カミソリ「バット・レザー」、スパイダーマンの予知能力スパイダーセンスを無効にする特殊なガスなどを使用します。
グリーンゴブリンはピーターの最愛の人グウェン・ステイシーを殺した
スパイダーマン/ピーター・パーカーの恋人で、彼が初めて本気で愛した女性だったグウェン・ステイシー。 2004年のコミック『Amazing Spider-Man: Sins Past(原題)』では、グリーンゴブリンがグウェンを殺した経緯を次のように描いています。 実はグウェンはノーマン・オズボーンと短い間関係を持っており、グウェンはノーマンの子供を妊娠していました。自分の子供がハリーのように父親と同じ運命をたどることを恐れたグウェンは、フランスで男女の双子を出産し、ノーマンに親権を与えることを拒否。 全てを打ち明けたグウェンを受け入れたピーターは、結婚して共に双子を育てることにします。 しかしグリーンゴブリンは、グウェンを誘拐してブルックリン橋のてっぺんへ。スパイダーマンと激しい戦闘を繰り広げながら、グウェンをそこから投げ落とします。スパイダーマンは急いでグウェンを助けに向かいましたが、落下する途中で彼女は息絶えてしまっていました。
グリーンゴブリンは5人いる
ノーマン・オズボーンが最初のグリーンゴブリンとして死んだあと、息子のハリーが2代目としてその名前を受け継いだことは、サム・ライミ版の3部作でも描かれました。 しかしコミックでは、グリーンゴブリンを名乗る人物は合計で5人登場しています。 オズボーン親子につづく3人目は、ハリーの治療を担当していた精神科医のバートン・ハミルトンです。彼はハリーに催眠致治療をしていたときにハリーがグリーンゴブリンであることを知ります。グリーンゴブリンになるための血清や装置の在り処を聞き出したハミルトンは、自身もグリーンゴブリンとしてスパイダーマンを狙うようになりました。 4人目にグリーンゴブリンになったのは、フィル・アーリック。彼は1995年の『Web of Spider-Man(原題)』という新シリーズにデイリー・ビューグル紙のインターンとして登場しました。同年のスピンオフ作品『Green Goblin(原題)』でフィルはグリーンゴブリンとなり、デアデビルと協力して凄腕の暗殺者パージと戦っています。 5人目は、ノーマン・オズボーンの孫でハリー・オズボーンの息子、ノーミー・オズボーンです。スパイダーマンことピーター・パーカーは、彼の名付け親でもあります。ノーミーは父ハリーを傷つけたスパイダーマンを嫌っていましたが、ハリーがスパイダーマンを親友だと言うのを聞いて考えが変わったようでした。ハリーの死後はピーターを叔父のように慕うようになります。 しかしノーミーは、ハリーが生前結託していたヴィラン3人組に誘拐され、グリーンゴブリンにされてしまいました。
コミック版コスチュームはどんな感じ?
映画に登場したグリーンゴブリンが共通してコミックと違っているのは、そのコスチュームです。 初期のコミックでノーマン・オズボーンが製作したコスチュームは、着ぐるみのような布製のものでした。 コミックでも映画と同様にアーマータイプのコスチュームを身につけるようになりますが、その特徴である紫色の胴体と尖った帽子は映画版では再現されていません。 すでにご紹介したとおり、このキャラクターはさまざまな武器を持っており、それを持ち運ぶためのカバンを肩から下げていますが、それも映画では省略されています。 装備にも違いがあり、初期のグリーンゴブリンはグライダーではなくホウキで空を飛んでいました。 また、コミック『アルティメット・スパイダーマン』シリーズ(2000〜2009)では、コスチュームを身につけておらず、皮膚そのものが緑色になっています。
【トリビア】実写グリーンゴブリンを演じた俳優たちの役者魂!
ウィレム・デフォーの本気度がすごい
『スパイダーマン』公開当時47歳だったウィレム・デフォーは、グリーンゴブリンのアクションシーンの90%を自ら演じています。 もともとグリーンゴブリンの衣装は分厚い甲冑風のものでしたが、デフォーは自らスタントをこなすにあたって、衣装の無駄をなくし、動きやすいものにしてほしいと提案しました。最終的に衣装は580の部品に分かれたものになり、毎回身につけるのに30分かかっていたそうです。 また、彼はこの映画のためにピーター役のトビー・マグワイアとともに、ヨガをベースにしたダイエットに取り組んだとか。
ジェイムズ・フランコは心理的なアプローチを重視?
三部作の1作目『スパイダーマン』で、ジェイムズ・フランコは父親役のデフォーに合わせて髪を茶色に染めました。 実はフランコがこの決断をした時にはすでに撮影が始まっていたので、入院しているメイおばさんを見舞うシーンではフランコの自然な髪色である黒なのがわかります。 また、フランコは撮影の合間に『ハムレット』などで知られるシェイクスピアや、『失楽園』で知られるミルトンの作品を読んでいたそうです。 復讐劇や正義とされるものに刃向かう物語を読むことで、ハリーの心理の参考にしていたのかもしれません。
デイン・デハーンのグリーンゴブリンメイクには長時間かかった
『アメイジング・スパイダーマン2』でデイン・デハーンが演じたグリーンゴブリンは、いくつかのコミックシリーズに登場するゴブリンの特徴を組み合わせたものです。 コミックの『アメイジング・スパイダーマン』シリーズと同様にアーマーを着てグライダーに乗っていますが、『アルティメット・スパイダーマン』シリーズのグリーンゴブリンと同様に、外見にも変わってしまいました。 このコスチュームとメイクアップは、すべて完成するまでに3時間半かかったそうです。
グリーンゴブリンはスパイダーマンの好敵手
1964年にコミックで初登場してから、「スパイダーマン」シリーズのヴィランとして活躍しつづけるグリーンゴブリン。映画版に何度も登場していることからもわかるとおり、シリーズで1、2を争う人気ヴィランとなっています。 精神的にも肉体的にも、スパイダーマン/ピーター・パーカーを苦しめてきたグリーンゴブリンは、まさにスパイダーマンの好敵手と言えるでしょう。 2021年12月公開予定の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』での復活に期待したいですね!