「スパイダーマン」シリーズは主演俳優が3回変更?各シリーズの主演解説から変更の理由まで考察!
マーベルヒーローのなかでも、特に高い人気と知名度を誇るスパイダーマン。これまで彼を主人公とした映画は3シリーズ、8作が製作され、シリーズごとに演じる俳優も交代してきました。 ほかのスーパーヒーローは同じ俳優が10年以上演じつづけるケースも少なくないなか、なぜスパイダーマンだけは15年で3人もの俳優が交代で演じてきたのでしょうか。 今回はその理由を探るとともに、それぞれのスパイダーマンの特徴を紹介していきます。
「スパイダーマン初期3部作」シリーズはトビー・マグワイア
サム・ライミ監督による「スパイダーマン」3部作は、間違いなくアメコミヒーロー映画人気の火付け役となった作品です。 2002年に第1作目『スパイダーマン』が、2004年に『スパイダーマン2』、2007年に『スパイダーマン3』が公開されたこのシリーズでは、トビー・マグワイアがピーター・パーカー/スパイダーマン役を務めました。彼は本シリーズで世界的に知名度を上げ、人気を獲得。 その後、『マイ・ブラザー』(2009年)でゴールデングラブ賞主演男優賞にノミネートされたりと高い評価をうけ、現在では映画製作も手掛けるなど、幅広く活躍しています。
トビー・マグワイア演じる初代ピーターの特徴
トビー・マグワイアが演じたピーターは、幼いころに両親を亡くし、おじ夫婦に育てられました。科学オタクでいじめられっ子の彼は、ある日コロンビア大学の研究室に見学に行った際、新種のクモに噛まれてスーパーパワーを手に入れます。 最初はちょっとした願望を叶えるためにその能力を使っていましたが、あるとき自分の判断ミスから大切なおじを目の前で亡くしてしまいます。そして彼は正義のヒーローとして活動することを決意しました。 この設定や展開は、コミックでの基本的なスパイダーマンの設定と同じです。幼なじみのMJとのじれったい恋愛模様なども広く知られているスパイダーマンの物語を踏襲しています。 一方でピーターの特徴の1つである「科学オタク」という側面はあまり活かされず、手首から直接クモの糸が飛び出すなど、ミュータントっぽさがありました。
「アメイジング・スパイダーマン」シリーズはアンドリュー・ガーフィールド
マーク・ウェブ監督による「アメイジング・スパイダーマン」シリーズは、前述の3部作のリブートとして製作されました。主演はアンドリュー・ガーフィールドが務め、当時、アメコミヒーローをイギリス人が演じるということも話題に。 彼は2012年の本シリーズ第1作目公開以前から、『ソーシャルネットワーク』や『わたしを離さないで』(ともに2010年)などで多くの賞を受賞し、すでに実力派として認められていました。 その後も『ハクソー・リッジ』(2016年)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートしたり、『サイレンス-沈黙-』(同年)などの大作・話題作に多く出演しています。 「アメイジング・スパイダーマン」シリーズも当初3部作として製作が予定されていましたが、2014年に公開された2作目の興行成績がかんばしくなかったため、打ち切りになってしまいました。
アンドリュー・ガーフィールド演じる2代目ピーターの特徴
アンドリュー・ガーフィールドが演じたピーターは、トビー・マグワイア版と比べてあまりオタク感がないのが特徴です。いじめられているわけでもありませんが友達は少なく、ひとりでいることの多い青年として描かれています。 彼がスーパーパワーを手に入れ正義のヒーローとなるまでの経緯は、コミックおよびサム・ライミ版とだいたい同じです。また両親を亡くし、おじ夫婦に育てられているという設定は共通していますが、両親の死の原因について掘り下げられたのは本シリーズだけの特徴。 しかし3作目が製作中止となったため、その真相はわからないままです。一方で戦闘中も陽気にしゃべりつづけるという、コミックでのスパイダーマンの大きな特徴は反映されています。
「MCUスパイダーマン」シリーズはトム・ホランド
マーベルとソニーの間でパートナーシップ契約が結ばれ、ようやくMCUに参戦したスパイダーマン。単独1作目『スパイダーマン:ホームカミング』(2016年)に先立って、前年の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で初登場しました。 単独シリーズの監督はジョン・ワッツ。主演はトム・ホランドが務めています。2作目『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が2019年に公開され、欧米では2021年12月17日、日本では2022年1月7日に3作目『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の公開が予定されています。 ピーターを演じるトム・ホランドは、2011年の『借りぐらしのアリエッティ』イギリス版での翔の吹き替えや、『白鯨との闘い』(2015年)などに出演しています。
トム・ホランド演じる3代目ピーターの特徴
トム・ホランド演じるピーターの最大の特徴は、それまでの映画シリーズでは必ず描かれてきた“彼がスパイダーマン“になるまでの経緯が省略されたことです。 1作目冒頭の時点で、ピーターはすでに育ての親の1人であるベンおじさんを亡くし、メイおばさんと2人暮らし。ご近所のヒーローとして活動していました。 高校生の彼はやはり科学オタクで、イヤミな同級生のフラッシュにからかわれる生活を送っています。しかしこれまでのピーターたちのなかで、もっとも「科学の天才」としての側面が強調されているのも大きな特徴の1つ。 これによってトニー・スターク/アイアンマンとの師弟関係も描かれ、MCUになじんでいきました。また戦闘中の軽快なおしゃべりも再現され、これまでの映画作品のなかでもっとも「スパイダーマンらしいスパイダーマン」といえるかもしれません。
ピーター役の変更が多い理由は?
ピーターの年齢
映画シリーズによってピーターを演じる俳優が変わるのは、ピーター・パーカー/スパイダーマンが「10代のスーパーヒーロー」であるというのがもっとも大きな理由です。スパイダーマンの魅力は、若さゆえの悩みや未熟さにもあります。 アメコミにはほかにも10代のヒーローが登場しますが、そのほとんどは大人のヒーローの助手的な立ち位置で、メインになることは多くありません。そのなかで、スパイダーマンは異色のヒーローとも言えます。 当然ですが現実の人間は歳をとっていくので、1人の俳優がいつまでも高校生役を演じることはできません。トビー・マグワイアは「スパイダーマン」1作目でピーターを演じた時は27歳、「アメスパ」のアンドリュー・ガーフィールドは1作目の時点で29歳。 そしてトム・ホランドは20歳のときにスパイダーマンを演じはじめました。ピーターを演じるためには高校生に見えることが大事なので、シリーズごとに俳優が交代していくのは当然といえるでしょう。
時代の変遷に伴うティーン像の変化
また、時代に合わせてティーン像も変化していきます。「スパイダーマン」シリーズでトビー・マグワイアが演じたピーターは典型的ないじめられっ子で、幼なじみのMJに思いを寄せながらも、なかなか1歩を踏み出せない内気な少年という印象が強くありました。 アンドリュー・ガーフィールドのピーターは、いじめられてはいないものの厭世的な雰囲気。しかしヒロインのグウェンとは当初はぶつかり合いながらも対等な関係を築き、愛を深めていきます。 トム・ホランドが演じるピーターは同級生にからかわれたりはするものの、オタクの親友がいたり、クイズ部で活躍したりと、それなりに楽しい学校生活を送っている様子。また同級生にはさまざまな人種やバックグラウンドの生徒がおり、ガールフレンドもアフリカ系の女の子です。 またMCUでは、それまでの2つのシリーズと違い、スパイダーマン以外にも大人のヒーローがおり、彼は早く一人前になりたいと奮闘します。 ティーンのスーパーヒーローだからこそ、その時代の若者が共感できるようにキャラクターも少しずつ変化しています。
「スパイダーマン」シリーズは今後も主演俳優が変更されるかも!最新作を追おう
これまでさまざまな俳優が演じてきたスパイダーマンは、時代に合わせて変化してきたキャラクターでもあります。それが彼の魅力でもあり、それぞれのシリーズがその時代ごとに若者の共感を得てきたのではないでしょうか。 トム・ホランドがスパイダーマンを演じる3作目『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は2021年12月17日に全米公開。日本での公開日は2022年1月7日です。