2021年8月19日更新

「ジュラシック・パーク」ティラノサウルスはなぜ人間を助けた?首元の傷や鳴き声の変化を考察

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ジュラシックパーク
Film TM & ©︎1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved

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「ジュラシック・パーク」シリーズの看板恐竜ティラノサウルスに迫る【ネタバレ注意】

1993年に公開された『ジュラシック・パーク』以降、シリーズ続編が4作品公開されています。それらに必ず登場する恐竜、ティラノサウルス。映画のロゴマークにも、その骨格が描かれているなど、ティラノサウルスは「ジュラシック・パーク」シリーズに欠かせない存在となっています。 この記事では、そんなティラノサウルスについて、どんな恐竜なのか、また映画シリーズにおいてどんな立ち位置であるのかを考察していきます。 ※この記事には『ジュラシック・パーク』および「ジュラシック・ワールド」シリーズ各作品のネタバレが含まれます。本編を未鑑賞の方はご注意ください。

ティラノサウルス(レクシィ)ってどんな恐竜?

ティラノサウルスは、約6,800万年〜約6,600万年前の中生代白亜紀末期に、北米大陸に生息した肉食恐竜です。最大全長は約13メートル、最大体重は約9トンと、現在までに報告されている二足歩行の恐竜では最大級の大きさ。 「ジュラシック・パーク」シリーズだけでなく、多くの作品に登場しますが、その生態は未解明な部分も多い謎めいた恐竜です。 ここからは「ジュラシック・パーク」シリーズの作品ごとに、ティラノサウルスの活躍を振り返ります。

シリーズ1作目『ジュラシック・パーク』(1993年)

ジュラシック・パーク
© Universal Pictures

南米コスタリカ沖の孤島に作られた「ジュラシック・パーク」。そこでは太古の琥珀からDNAを採取し、恐竜たちを蘇らせていました。夢のテーマパーク開園を前に、古生物学者グラント博士たちが安全調査に訪れます。 しかしその夜、安全措置が解除され、恐竜たちが次々と人間を襲撃。なかでもティラノサウルスは、多くの犠牲者を出しながら主人公たちを執拗に追いかけます。逃げる彼らの車のバックミラーに、ティラノサウルスが迫るシーンなどは有名です。

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ラストシーンにティラノサウルスを登場させない予定だった?

『ジュラシック・パーク』のクライマックスで、グラント博士一行に襲いかかるラプトルを一網打尽にしたティラノサウルス。このシーンはまさに映画史に残る圧巻の名シーンとなっていますね。 しかし、なんと元の脚本にこのシーンは存在せず、グラント博士らが自力でラプトルを倒して島から脱出するはずでした。 スティーブン・スピルバーグはこれを読んだ際、観客がもう1度ティラノサウルスを観ないと納得がいかなさそうだと感じ、ラストシーンにティラノサウルスを再度登場させるように変更したのです。

シリーズ2作目『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997年)

ロストワールド/ジュラシックパーク ゼータ
©UNIVERSAL

前作の事件から4年。パーク以外にも「サイトB」と呼ばれる恐竜のクローンを作るための孤島があり、そこでは放置された恐竜たちが繁殖していました。「サイトB」を運営するインジェン社は破産寸前で、恐竜たちを商業利用するため生け捕りにしようとします。 前作にも登場したマルコム博士が娘たちとともに「サイトB」を訪れますが、その一行のなかの1人が怪我をした子どものティラノサウルスを治療しようと、彼らのバンに連れ帰ってしまいます。それに怒った母親のティラノサウルスが彼らを襲うのでした。 その後、恐竜の捕獲に成功したインジェン社の面々は、サンディエゴでそのお披露目をしようとしていました。しかしそこで恐竜たちが暴れ出し、街を大混乱に陥れます。

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シリーズ3作目『ジュラシック・パークⅢ』(2001年)

『ジュラシック・パークⅢ』(2001年)
© UNIVERSAL/All Star Picture Library/Zeta Image

「ジュラシック・パーク」の事件から8年後、「サイトB」と呼ばれているイスラ・ソルナ島は立入禁止になっていました。しかしその島に、パラセーリングの事故で1人の少年が緊急着陸します。彼の両親はグラント博士に頼み込み、一緒に息子を探すことに。 飛行機で着陸直後、スピノサウルスに襲われた彼らはすぐに再度離陸しようとしますが、攻撃を受けて失敗。逃げたグラント博士たちは、恐竜の死骸を食べているティラノサウルスを発見します。 何人かが焦って逃げ出したためティラノサウルスに追われますが、そこにスピノサウルスが現れ、ティラノサウルスの首に噛み付いて倒してしまいました。

ティラノサウルスは最強ではない?

シリーズを通して恐竜の王者として描かれているティラノサウルスですが、3作目『ジュラシック・パークⅢ』では新登場した恐竜スピノサウルスにいとも容易く負けてしまいます。そのため、ティラノサウルスの出番は冒頭の数分だけとなってしまいました。 ティラノサウルスが体長12メートル程なのに対して、スピノサウルスは17メートルであったため、体格の違いからスピノサウルスがティラノサウルスに勝つというシナリオが生まれたのでしょう。 しかし、スピノサウルスは白亜紀前期〜後期の恐竜、ティラノサウルスは白亜紀末期の恐竜であり、生きていた時代が被っていないので実際はこのような“闘い”が行われていなかったかもしれません

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シリーズ4作目『ジュラシック・ワールド』(2001年)

『ジュラシック・ワールド』
© UNIVERSAL PICTURES/zetaimage

『ジュラシック・ワールド』では、遺伝子操作された新種の恐竜、インドミナス・レックスが登場します。高度な知能を持つインドミナス・レックスは隙を見て檻から抜け出し、パークの職員やほかの恐竜たちを次々と襲い、大混乱に。 いよいよ逃げ場がなくなった主人公のオーウェンたちは覚悟を決めますが、クレアの甥、グレイが「もっと強い恐竜がいる」と言います。 そこでクレアは檻の中にいたティラノサウルスをパークに放つことに。1作目でグラント博士がやったように発煙筒でティラノサウルスを誘導し、パークの真ん中で最強の恐竜同士の戦いがくり広げられるのでした。 一時は劣勢を強いられたティラノサウルスでしたが、オーウェンが調教したラプトルたちと協力し、インドミナス・レックスを倒すことに成功します。

スピノサウルスにリベンジをしていた!

3作目でスピノサウルスに負けてしまったティラノサウルスですが、本作で秘かにリベンジをしていた事にお気づきですか? インドミナス・レックスを撃退するべく、パークに解き放たれたティラノサウルスは、クレアを追いかけながら広場に向かいます。 その後インドミナス・レックスの前に登場するシーンで、ティラノサウルスは広場にあったスピノサウルスの骨格標本像を派手に壊しているのです。ファンにとってはまさにたまらない展開!

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首元の傷から同じティラノサウルスが登場していたことが判明!

1作目と4作目に登場したティラノサウルスが同一の個体であることをご存知でしょうか? 4作目に登場したティラノサウルスは、「ジュラシック・パーク」があったイスラ・ヌブラル島でその後捕獲され、「ジュラシック・ワールド」内の「ティラノサウルス・レックス・キングダム」という目玉アトラクションにて飼育されていたのです。 同一である証拠に、1作目のラストにラプトルから受けた傷が首元に残っています。

ラプトルとの因縁

ジュラシックパーク ラプトル
Film TM & ©︎1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved

先述の『ジュラシック・パーク』におけるクライマックスシーンからお分かりいただけるように、ティラノサウルスとラプトルは一種の因縁を持っていました。 しかし、『ジュラシック・ワールド』ではコミュニケーションを交わし、互いの敵がインドミナス・レックスである事を共有します。そして、共にインドミナス・レックスを倒すというチームプレーを成功させたのです。 無事インドミナス・レックスを撃退した後、ティラノサウルスとラプトルは少し見つめ合います。このティラノサウルスは前述の通り1作目のものと同一です。 もし1作目のような因縁関係が今も尚続いていれば、ティラノサウルスはその強大さからもラプトルを恐れる事なく打ちのめす事ができました。しかし、そうはせずに静かにパークの奥地に戻っていくのです。見つめ合った時、両者の間で和解のようなものが成立したように思えますね。

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シリーズ5作目『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018年)

ジュラシックワールド2 炎の王国
©︎Universal Pictures

前作の大惨事のあと、恐竜たちだけが住むようになったイスラ・ヌブラル島。ティラノサウルスはその生態系の頂点に君臨していました。 しかし島の火山に噴火の兆候が発見されます。人間たちはこのまま恐竜たちを見殺しにするのか助け出すのか、難しい決断を迫られることに。前作での反省から恐竜保護団体を立ち上げていたクレアは、オーウェンらとともに、恐竜の救出に向かいます。しかしその裏には恐ろしい陰謀が隠されていました。 島の恐竜たちを救いに来ていたオーウェンたちがカルノタウルスに襲われていたときには、ティラノサウルスは一撃でそれを倒し、結果的に彼らを救うことになります。 捕獲され、島の外に連れ出された一部の恐竜のなかには、オーウェンが育てたヴェロキラプトルのブルーやティラノサウルスがいました。しかしブルーは捕獲されたときに大怪我をしており、輸血が必要。ほかの恐竜の血でも可能だということで、ティラノサウルスの血が採取され、ブルーは輸血を受けます。 その後、恐竜好きの少女メイシーの手で外の世界に放たれ、今回の事件の黒幕であるイーライ・ミルズを捕食。恐竜だらけになった人間の世界でティラノサウルスはどこかの動物園にたどり着き、ライオンに向かって吠えるのでした。

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ティラノサウルスの鳴き声が1作目と同じ声に戻った理由とは?

先述の通り、1作目に登場するティラノサウルスは4作目と同じ個体です。しかし4作目では1作目に比べて、どこか張りのない声になっていました。そして本作では1作目と同じ、恐竜らしい、迫力のある鳴き声に戻っています。 これは、4作目に登場したティラノサウルスが長年檻のなかで管理されていたからではないでしょうか。 5作目に登場したとき、ティラノサウルスは「恐竜の島」でその頂点に君臨し、野生の環境を取り戻していたため、前のような迫力のある鳴き声に戻っていたのかもしれません

ティラノサウルスはなぜ人間を助けたのか?その意味を考察

『ジュラシック・パーク』(1993年)
© UNIVERSAL/All Star Picture Library/Zeta Image

これまで説明してきた通り、ティラノサウルスは『ジュラシック・パーク』ではグラント博士らをラプトルから、『ジュラシック・パークⅢ』ではスピノサウルスから、『ジュラシック・ワールド』ではオーウェン達をインドミナス・レックスから守るような役割を担っていました。 もちろん、『ロスト・ワールド/ジュラシック・ワールド』ではサンディエゴ市内を大暴れするなど、人間に対して多大な被害を与えました。しかし、これは人間がティラノサウルスを見下して「見世物」のように捕獲しなければ起きなかったことなのではないでしょうか。 人間は自身の生活に有用な動物に対して、動物崇拝を行う事があります。それと一緒でグラント博士やオーウェンらは、恐竜ハンター達のようにティラノサウルスを利用しようなどとは一切考えずに、自分の身を脅かす恐竜をリスペクトし、1歩引いたところから見守っていたのですそのような関係性が築けていたからこそ、ティラノサウルスは彼らを襲わなかったのではないでしょうか。

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原作と映画での違い

偉大なSF作家、マイケル・クライトンによる原作『ジュラシック・パーク』で描かれていたティラノサウルスは、映画のものとは少し違いがあります。 まずは体型、小説版では全長15メートルに体高6メートル、一方映画版ではややサイズダウンした12.2メートル、体高5メートルでした。 なお、パーク内の恐竜を監視しているロバート・マルドゥーンによって「レクシィ」というあだ名がつけられていました。ロバートは映画版でも登場し、ラプトルに襲われてその最期を迎えます。 さらに、原作と映画の大きな違いは、原作版にはレクシィの檻にもう1匹幼い雄のティラノサウルスがいたことです。映画版では「雌しか存在しないので自然繁殖は不可能」という点を、パークの安全性としてジョン・ハモンドが強く主張していました。 また原作では最後「ジュラシック・パーク」があったイスラ・ヌブラル島をコスタリカの軍が空爆した事によって、施設もろとも恐竜は“焼却処分”されてしまい、レクシィも例外なくこれに巻き込まれたと考えられます。 しかし、映画では島を空爆するどころか、続編でも明かされるように世間が恐竜の存在を否定していたため、施設や恐竜はそのまま島に残っていました。それが後の『ジュラシック・ワールド』の舞台となったため、旧施設の跡地などが登場したのです。

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全シリーズでティラノサウルスの餌食となった人間の数は?

1作目『ジュラシック・パーク』では1名

ちょっと気になる、ティラノサウルスが全シリーズを通して食べた人間の数。 1作目の『ジュラシック・パーク』ではなんと、たった1名!子供たちを見捨て、トイレに逃げ込んだ弁護士のドナルド・ジェナーロです。しかし、彼がその人間性と同じように不味かったのか、ティラノサウルスは彼を吐き出していたのです。 ティラノサウルスの餌食となった彼のことは、後に現場に戻ったエリー・サトラーとロバート・マルドゥーンが発見しました(エリーが下半身を、ロバートが上半身を発見)。

2作目『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』では大暴れ!

2作目の『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』では、マルコム側の調査隊員エディ・カーと、敵側の考古学者ロバート・バーク、敵側の調査隊員カーター(踏みつぶされた)、「S.S.ベンチャー号」の乗組員全員、市内を逃げていた哀れなメガネの男性が餌食に。 そして人間ではありませんが、サンディエゴでは飼い犬がティラノサウルスに食べられてしまっています。 エディは、幼体であるティラノサウルス・ジュニアをかくまうマルコム一行を助けるために犠牲となって、2頭の親ティラノサウルスに胴体を引きちぎられました。考古学者のロバートは、洞窟に隠れていた際に毒蛇が服に入った事で気が動転し、洞窟を飛び出したところを補食。 さて、ここで紹介していない人物が1人います。それはジョン・ハモンドの甥であり、今回の騒動における主犯ピーター・ルドローです。彼はラストシーンで親ティラノサウルスに追われ、貨物船に逃げ込んだところをティラノサウルス・ジュニアに襲われてしまいます。彼もまた、餌食となったのではないでしょうか。 映画ではその生死が判別できないのですが、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』の9年後を描いたコミック『ジュラシック・パーク:リデンプション』によって、その後彼が生きていた事が明かされています。 2作目では、シリーズ他作品とは比べ物にならないほど多くの生命がティラノサウルスの犠牲となったのです。

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続く3~5作目でのティラノサウルスの活躍は?

信じ難いものですが、なんと3作目の『ジュラシック・ワールド3』および4作目の『ジュラシック・ワールド』では、誰もティラノサウルスの餌食となっていないのです。 5作目『ジュラシック・ワールド/炎の王国』では、火山の噴火によって生き物の住めない島になろうとしているイスラ・ヌブラル島から、恐竜を保護することになります。しかしその出資者であるロックウッド財団のイーライ・ミルズは、助け出した恐竜たちを兵器として売り払うことを目論んでいました。 しかし彼の野望は破れ、研究所に集められていた恐竜たちが脱走したとき、ミルズはティラノサウルスに食い殺されます。5作目での被害者は彼1人でした。 上記の事からお分かりいただけるように、2作目でティラノサウルスは大活躍、5作目では悪人退治をしていたというわけですね

「ジュラシック・パーク」ティラノサウルスの活躍に今後も期待!

本記事では、「ジュラシック・パーク」シリーズでのティラノサウルスの活躍を紹介しました。 シリーズ6作目となる『ジュラシック・ワールド/ドミニオン(原題)』は、2022年夏に公開が予定されています。 5作目のラストシーンで王者としての風格を見せつけたティラノサウルスは、最新作ではどのような活躍を見せてくれるのでしょうか。今から期待が高まりますね!