2018年3月4日更新

『深夜食堂』が小さな大ヒットを記録した理由【人気を受けて韓国・中国でリメイク】

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『深夜食堂』小林薫

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2015年には映画化も果たした人気ドラマ『深夜食堂』

『深夜食堂』は安倍夜朗が著した同名の漫画を原作とした連続テレビドラマで、TBS系列で2009年10月から放送が始まりました。路地裏の小さな飯屋で繰り広げられるマスターと客たちの交流を描いており、深夜食堂の持つ独特な雰囲気と暖かな人間ドラマに多くの視聴者が魅了されました。 ドラマの人気を受けて映画化も行われ、2015年1月に劇場版『深夜食堂』が公開。小規模公開ながらも興行収入2億5000万円ものヒットを記録し、2016年に第25回日本映画プロフェッショナル大賞を受賞しました。2017年には続編の『続・深夜食堂』も公開されています。

『深夜食堂』の舞台は路地裏にある小さな飯屋

物語の舞台となる飯屋は新宿の花園界隈の路地裏に佇んでおり、深夜0時から朝7時まで営業しています。のれんには「めしや」としか書かれていませんが、常連客から「深夜食堂」との呼び名で親しまれています。 メニューは豚汁定食とビール、酒と焼酎だけとかなりシンプルですが、マスターに頼めば可能な範囲でどんな料理でも作ってもらうことができます。飯屋を訪れた人はマスターに、それぞれこだわりや思い入れのある品を注文し、料理を中心として様々なエピソードが展開されていきます。

主演の小林薫らが原作のキャラクターの魅力を忠実に再現

主人公のマスターは左目に大きな傷跡がある男性で、名前や経歴などは一切公表されていません。寡黙ですが懐の深さを感じさせる人柄で、店を訪れる人に素朴でおいしい料理を振る舞ってくれます。ドラマ・映画では小林薫が演じており、渋みのある大人の男性を演出しています。 ドラマには原作の個性豊かな常連客も多数登場しており、地回りのヤクザである剣崎竜を松重豊が、ゲイバーを運営するオカマの小寿々を綾田俊樹が、ストリップ劇場でダンサーをするマリリン松島を安藤玉恵が演じています。 ドラマ版にはオリジナルキャラクターの片桐も登場します。マスターと過去に因縁がある男性で、登場人物の中でもかなり独特の雰囲気を放っています。片桐を演じたオダギリジョーは、第3部から登場する警察官小暮も演じています。

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見ているだけでお腹が空きそう!劇中に出てくるおいしそうな料理の数々

『深夜食堂』には、高級レストランに出てくるようなおしゃれな料理はほとんど出てきません。マスターが作るのは、剣崎がいつも注文する「赤いウインナー」や、小寿々の定番である「甘い卵焼き」など、普段の生活で馴染みのある家庭料理がほとんどです。出てくる料理はどれも本当においしそうで、思わず生唾を飲んでしまいそうになります。 本作に登場する料理を作ったのは、『かもめ食堂』や『南極料理人』のフードスタイリングを担当した飯島直美です。見た人の食欲に訴えかけるようなおいしそうな料理を作ることに定評があり、彼女の作る料理を見たくて作品を見に行くファンもいるほどです。

『深夜食堂』の気になるロケ地は?

『深夜食堂』は新宿の飲み屋街が舞台になっていますが、マスターの「めしや」がある路地裏は実際には存在していません。撮影は埼玉県入間市にある倉庫の中で作られたセットで行われており、シリーズの度にセットを拡充しています。セットとは思えないほどリアルな雰囲気の街並みからは、美術スタッフの並々ならぬこだわりを感じます。 セットを作る際に新宿ゴールデン街を参考にしたり、実際にスタッフが街を散策して設定のヒントにしたそうです。『深夜食堂』の雰囲気を味わいたい人は、新宿ゴールデン街へ足を運んでみるといいかもしれません。

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ドラマの人気を受けて、中国や韓国でリメイクが制作される

本作は中国や韓国などアジア各国でもヒットを記録し、韓国ではソウルドラマアワード2015で年間最高人気外国ドラマ賞を受賞しました。ドラマの人気を受けて中国と韓国では『深夜食堂』のリメイクが制作され、2015年に韓国版が、2017年には中国版が放送されています。 リメイク版はオリジナルと同じく小料理屋が舞台になっていますが、韓国版では出てくる料理がそばチヂミやヨルムなど、韓国で親しまれている料理が主に出てきます。日本とは異なる食の文化が垣間見れるので、気になる人はぜひチェックしてみてください。

『深夜食堂』は日本の情緒や大衆の人間ドラマを描いている

本作では、深夜の時間帯に飯屋に集う人々の「ありふれた日常」が描かれています。登場人物たちの織りなす人間ドラマの暖かさや切なさ、マスターの提供する素朴な家庭料理の温もりに、共感を覚える視聴者が多かったことが、ドラマのヒットに繋がったと考えられます。 今や国内のみならず世界に多くのファンを持つ『深夜食堂』、ドラマをまだ観ていない人はぜひ本作を視聴して、マスターや常連客の人柄に触れてみてはいかがでしょうか。