2022年6月10日更新

『万引き家族』登場人物・キャストを相関図ありで紹介!是枝監督に応えた実力派俳優子役まで解説

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『万引き家族』の相関図・あらすじ

『万引き家族』相関図 ネタバレなし

犯罪で生計を立て、犯罪で繋がる家族の物語

柴田治(リリー・フランキー)は妻の信代(安藤サクラ)と息子の祥太(城桧吏)、信代の妹・亜紀(松岡茉優)、治の母・初枝(樹木希林)と東京の下町で暮らしています。一家は貧乏で、初枝の年金と万引きに頼って生計を立てていましたが、それでも笑顔が絶えない毎日を送っていました。 そんなある日団地の廊下で凍えている少女を見かけ、家に連れて帰ることに。体中傷だらけの少女の境遇を察した一家は、彼女を新しい家族として迎え入れます。しかしある事件をきっかけに、家族の隠された秘密が明らかになっていくのでした……。

キャスト一覧

柴田家6人 柴田治役 /リリーフランキー 柴田信代役 /安藤サクラ 柴田亜紀役 /松岡茉優 柴田初枝役 /樹木希林 柴田祥太役 /城桧吏 りん役 /佐々木みゆ
亜紀に
関わる人
4番さん役 /池松壮亮 柴田譲役 /緒形直人 柴田葉子役 /森口瑤子 柴田さやか役 /蒔田彩珠
りんに
関わる人
北条保役/山田裕貴 北条希役/片山萌美
祥太に
関わる人
山戸頼次役 /柄本明
治に
関わる人
日雇い労働仲間役 /毎熊克也
警察官 前園巧役 /高良健吾 宮部希衣役 /池脇千鶴

柴田家の家族6人

柴田治

『万引き家族』
(C) 2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

柴田治は工事現場などで働いている日雇い労働者です。仕事の収入だけでは生活できないため、息子の祥太と協力して万引きをしています。家族、特に祥太のことを大切にしていて、ことあるごとに父親らしく振る舞おうとします。彼から「父ちゃん」と呼んでもらえないことを残念がっているようです。

リリー・フランキー

そんな治を演じたのはリリー・フランキー。是枝監督作品には、『そして父になる』、『海街diary』、『海よりもまだ深く』に続いて4度目の出演となります。 そんなリリーですが、『万引き家族』の出演に是枝監督から「台本いりますか?」と聞かれたとのこと。結局台本を受け取ったそうですが、子役たちは台本を受け取っていないので、「子役のような気分でみずみずしくやりたい」とコメントしました。

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柴田信代

『万引き家族』
(C) 2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

信代は治の妻で、クリーニング店のパートとして働いています。客の服のポケットに入ったアクセサリーを盗むなど、治と同じく手癖が悪いです。はじめはりん(じゅり)を家に帰そうとしますが、彼女の境遇を知り家に連れて帰ってきました。

安藤サクラ

信代役を演じたのは、映画『百円の恋』、ドラマ『ゆとりですがなにか』などに出演している安藤サクラです。是枝監督作品には初参加の安藤ですが、本作については「いまこのタイミングでこの作品に出演できることをとても嬉しく思っています」とコメントしています。 実は信代役には当初リリー・フランキーとバランスをとって40歳ほどの相手が考えられていたそう。当時32歳の安藤サクラは引き受けるか悩んだようです。 しかしカンヌ国際映画祭で審査委員長からも大絶賛された安藤サクラの演技は、年齢を超越していました。是枝監督も尋問を受けて涙を流すシーンも「女優はああやって泣かない」と絶賛しています。

柴田亜紀

亜紀は信代の妹で、JK見学クラブで働いています。初枝のことが大好きで、今でも夜は一緒に寝ているほどです。りんのことも可愛がり、実の姉のように接します。店の常連客・4番さんのことが少し気になっているよう。

松岡茉優

そんな亜紀を演じたのは、2017年12月に公開された映画『勝手にふるえてろ』で主演を務め、その演技が好評を博した松岡茉優。安藤と同じく、彼女も是枝監督作品には初出演です。 なお松岡は本作の出演について、「生きてきたすべてのことが正しかったんだと肯定されたような気持ちでした」と喜びのコメントを発表しています。

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柴田初枝

『万引き家族』
​(C)2018『万引き家族』 製作委員会

初枝は治の母親で、一家が暮らす一軒家の持ち主でもあります。子どもたちをとても可愛がっている、やさしいおばあちゃんです。しかしパチンコ屋でネコババをするなど、反社会的な一面もあります。

樹木希林

初枝役を演じたのは、リリー・フランキーと同じく数々の是枝監督作品に出演してきた樹木希林です。なお、彼女は本作の出演に際して、「是枝作品の中に居るのは これで おしまい」とコメント。 理由は自身の「台本を読み違える」「口を出す」「悪口を言う」「都合が悪くなるとボケたフリをする」からだとか。コメントはどこかコミカルに綴られているのでジョークと捉えることも出来ますが、今となっては真意はわかりません。2018年に映画界から惜しまれながら他界しました

柴田祥太

『万引き家族』
​(C)2018『万引き家族』 製作委員会

祥太は治の息子で、小学生くらいの年頃ですが学校には通っていません。治とともに万引きを日常的におこなっています。『スイミー』がお気に入りの本です。

城桧吏

そんな祥太役を演じたのは、子役の城桧吏。オーディションで選ばれて本作に出演することになりました。本作ののちには、『約束のネバーランド』(2020年)などで活躍を続けています。 本作の撮影で一番苦労したのは万引きのシーンだとか。はじめは物がなかなかリュックに入らなかったそうです。しかし最後には百発百中になったと語っています。

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りん(じゅり)

じゅりは両親から虐待を受けていた少女。寒空の下、外に閉め出されているところを治に「保護」されました。のちに柴田家の一員となり、「りん」という新たな名前をもらいます。

佐々木みゆ

そんなりんを演じたのは、子役の佐々木みゆ。彼女も城桧吏と同じくオーディションで選ばれました。本作が映画初出演作とのことです。 本作出演後も、ドラマ『MIU404』(2020年)や『着飾る恋には理由があって』(2021年)などに出演し活躍しています。

亜紀に関わる人々

4番さん役/池松壮亮

「4番さん」は亜紀が働くJK見学店の常連客です。発話障害を持っているためうまく話すことができません。 4番さんを演じた池松壮亮は、2017年の主演映画『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』で、各映画祭で賞を複数受賞しています。2016年に公開された是枝監督作品『海よりもまだ深く』で是枝監督作品に携わった池松。 監督について「何度でも作品作りに関わりたいと思わせてくれる作家性と力と人柄とユーモアがある」と語っています。

柴田譲役/緒形直人

柴田譲は亜紀の父親で、初枝の元夫と再婚相手の息子でもあります。たびたび訪ねてくる初枝に慰謝料として3万円を渡しています。 譲を演じたのは、『わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語』で第20回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞した緒方直人です。

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柴田葉子役/森口瑤子

葉子は譲の妻で亜紀の母親です。作中で明言はされていないものの、亜紀とは血がつながっていないことが匂わせられています。 葉子を演じたのは森口瑤子。『八日目の蝉』や『鍵泥棒のメソッド』などへの出演で知られます。

柴田さやか役/蒔田彩珠

さやかは譲・葉子夫妻の娘で、亜紀の妹です。亜紀は彼女のことをあまり好いておらず、店での源氏名をあえて「さやか」にしたことからも複雑な感情がうかがえます。 さやかを演じたのは、『海よりもまだ深く』やドラマ『妻、小学生になる』(2022年)にも出演した蒔田彩珠です。

初枝に関わる人

米山役/井上肇

井上肇が演じた米山は民生委員で、初枝の家をたびたび訪れます。初枝を独居老人だと思っていて、博多にいるという彼女の息子についての話題を出すことも。

じゅり(りん)に関わる人々

北条保役/山田裕貴

北条保はじゅりの父親で、妻や娘に暴力をふるっています。すぐにカッとなる性格のようです。 保を演じた山田裕貴は、本作が初の是枝作品出演とのこと。出演にあたっては、「人のご縁でオーディションに呼んで頂き参加させて頂くことになり、嬉しくて飛び上がりました」と喜びを語りました。

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北条希役/片山萌美

北条希はじゅりの母親で、夫の暴力に耐える生活を送っています。しかし自身も娘に暴力を振るったり、外に放り出したりしています。 希を演じたのはグラビアモデル出身の片山萌美です。本作では出演シーンは短いものの重要な役割を果たしていて、監督も「母親役の片山萌美さんがすごく良くて」と振り返っています。

祥太に関わる人

山戸頼次役/柄本明

山戸頼次は祥太がいつも万引きをしている駄菓子屋の店主です。実は万引きに気づいていますが、あえて何も言わずにいました。しかしりんに万引きをさせようとしたときだけ、「妹にはさせるなよ」と声をかけます。 そんな頼次を演じたのは、名バイプレーヤーの柄本明です。

治に関わる人

日雇い派遣の管理者役/毎熊克哉

毎熊克哉が演じたのは、治が登録している派遣会社の正社員です。治がケガをしたとき自宅まで送ってきてくれました。

信代に関わる人々

根岸三都江役/松岡依都美

松岡依都美が演じたのは、信代の同僚でベテランパートの根岸三都江です。経営不振のため信代とどちらが退職することに。しかし信代がじゅりといるところを見たと話し、その件を秘密にするという条件で退職を免れます。

クリーニング店の店主役/清水一彰

清水一彰が演じたのは、信代の勤め先であるクリーニング店の店主です。経営不振に悩まされています。

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警察官

前園巧役/高良健吾

前園巧は警察官で、治たちの取り調べを担当します。保護した祥太と話し、学校でしか学べないこともあると教えました。 そんな巧を演じたのは、2017年には主演映画『月と雷』が公開された高良健吾。俳優となった当初から、是枝監督作品への出演を望んでいたそうです。本作に出演する子役との共演にも刺激を受けたとコメントしました。

宮部希衣役/池脇千鶴

宮部希衣は警察官で、信代の取り調べを担当します。信代が子どもを産めない体質であることを引き合いに出し、「(母親が)うらやましかった?」と問いかけました。 希衣を演じたのは、是枝組初参加の池脇千鶴です。是枝監督は彼女を起用した経緯について、『そこのみにて光輝く』の演技に魅了されたとコメントしました。

ニュースキャスター

笠井信輔

笠井信輔はニュースキャスター役として出演しています。じゅりの誘拐についての報道をしていました。

三上真奈

三上真奈もニュースキャスター役で出演しています。笠井と同じシーンで登場しました。

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撮影裏話

子役にはセリフを口頭共有?

是枝監督は撮影の際、いつも子役には台本を渡さずに口頭でセリフを共有しています。そうすることで彼らのより自然な演技を引き出しているのです。 実際、祥太役を演じた城桧吏も撮影後、「初めてのやり方でしたが、やりやすかったです。その方が自然にできるので」と振り返りました。

取調室の名シーンも台本なし!カンペで撮影

取調を受けた信代が涙を流すシーンは、作中でも特に印象的なシーンです。なんとこの場面を撮影するとき監督は、信代役の安藤サクラや警察官役の池脇千鶴にも台本を渡さなかったといいます。 監督は尋問する側の池脇にだけ、ホワイトボードを使ってその都度セリフを見せていたとのこと。この手法によって安藤は次に何を聞かれるかわからず、リアルな不安を感じることになります。それがあの、視聴者の心を揺さぶる泣き方につながったのですね。

海のシーンは劣化版『海街diary』?

『万引き家族』
(C) 2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

最初にクランクインした家族6人の海での撮影シーンについて振り返ると、リリーが「劣化版『海街diary』みたい」とぼやき会場には笑いが。安藤も共感し「ポスタービジュアルも劣化版の『海街diary』みたい」と被せてきました。 さらにリリーが「あのポスターと、家族の笑顔と、“万引き家族”の文字が揃うとソフトバンクの新しい家族割りみたい」と続け、会場は大爆笑に包まれました。 2か月の撮影期間中、リリーフランキーは「このまま終わりたくない」と強く感じたようで「家に帰っても現場であのあの家族といる方が心地よかった」と、共演によって生まれた絆の深さを語りました。

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スタッフ

監督:是枝裕和

是枝裕和
©︎ciatr

是枝裕和はドキュメンタリー出身の映画監督です。社会的弱者を主人公にした作品を撮ることが多く、彼らに対する真剣なまなざしが高く評価されています。 『万引き家族』では第71回カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールを受賞し、それまで以上に世界的に名を知られるようになりました。以後は海外進出も果たし、全編フランスで撮影した『真実』や韓国映画『ベイビー・ブローカー』といった作品を生み出しています。

是枝裕和が『万引き家族』を着想したきっかけや意気込みは?

是枝監督が本作の着想を得たのは、死亡通知を出さずに親の年金を不正に貰い続けていた家族が逮捕された事件に触れたことだと言います。 監督は逮捕時に「死んだと思いたくなかった」と語ったその家族の背景を想像すると共に、社会や血の繋がり、正しさといったことを約10年にわたって考えてきたとのこと。そして本作には、それらに対する思いを込めたとコメントしています。

音楽:細野晴臣

細野晴臣『万引き家族』

映画『万引き家族』の音楽を担当したのは、ミュージシャンとして活躍する細野晴臣。 細野は1985年公開の映画『銀河鉄道の夜』をはじめとし、最近では犬童一心監督作品の『メゾン・ド・ヒミコ』や、松田龍平主演の『モヒカン故郷に帰る』などの音楽・主題歌を担当してきました。 そんな細野晴臣が是枝裕和とタッグを組むのは今回が初めて。映画公開日である6月8日には、本作のサウンド・トラックもリリースされました。

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カンヌ映画祭でパルムドールを受賞!海外メディアも高評価

カンヌでは約9分間ものスタンディングオベーション!

カンヌ『万引き家族』
​(C)2018『万引き家族』 製作委員会

第71回カンヌ国際映画祭で、是枝監督をはじめ、リリー・フランキーらメインキャストらが現地に赴きました。 上映後は、約9分間にわたるスタンディングオベーションを受けた映画『万引き家族』。数々のメディアが「全てがよかった」、「『そして父になる』より傑作」など絶賛のコメントを寄せ、監督らは観客との一体感を実感したようでした。 是枝監督曰く、カンヌという場所は「映画」という仕事を背筋を伸ばして見つめ直す場所だと言い、9分間に及ぶ拍手は胸に来るものがあった様子。「これまでで一番温かい拍手が続き、映画をつくってきた20年間が報われた気持ちになった」と、心の内を語りました。 本作の主題でもある「血縁を超えて繋がる家族はあるのか」というテーマは、多くの観客に届いたようで海外メディアのScreenは「国際的には、『そして父になる』より成功する作品になるのでは。」と期待のコメントを寄せています。 結果として、本作はカンヌ映画祭の最高賞であるパルム・ドールを受賞。名実ともに素晴らしい作品として認められました。

ケイト・ブランシェットが安藤サクラを絶賛

パルムドールのトロフィーを持ち日本に凱旋した是枝裕和。カンヌ受賞の実感が「ようやく出てきた」という是枝監督は、受賞後のエピソードを語り、ケイト・ブランシェットが安藤サクラを絶賛していたことを明かしました。 特に安藤が涙を流すシーンに心を打たれた女優審査員たちは多かったようで、「今後私たちが“あの演技”をしたら、安藤サクラの真似をしたと思って」という会話を交わしたんだとか。是枝監督もキャストたちの見事な演技が成功の要因だとアピールしました。

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『万引き家族』キャストは真の実力派揃い!是枝組が作り上げた奇跡の名作映画

カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した『万引き家族』。テーマといい出演者の演技といい、どれをとっても素晴らしい作品です。キャストとスタッフのうち誰が欠けたとしても、きっとこのような素晴らしい作品にはならなかったことでしょう。 これまで本作を観たことがなかったという人は、これを機会にぜひ1度チェックしてみてくださいね!