2018年4月17日更新

【ベスト絶叫は誰?】時代を超える麗しのスクリーム・クイーン、ホラー映画を彩った彼女たちの変革

ホラー映画において恐怖に怯え、泣き叫ぶ彼女たちにクイーンの称号を与えた「スクリーム・クイーン」。その存在は時代とともにどう変化していったのでしょうか。今回はそんな麗しの絶叫クイーンたちをご紹介します。

スクリーム・クイーンって一体なに?

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みなさんは「スクリーム・クイーン」をご存知ですか? 「絶叫クイーン」とも呼ばれるこの方々は、ホラー映画やスリラー映画において、その名の通り絶叫や悲鳴を得意とする女優たちのことを指します。1993年に公開された珠玉の名作、『キング・コング』でヒロインを務めたフェイ・レイがその元祖とされています。 今回はそんな数々の傑作の中で、画面いっぱいのスクリームフェイスと耳に残る素晴らしい絶叫を上げてきた、歴史的功労者であるスクリームクイーンたちをご紹介していきたいと思います。

時代を彩ったスクリーム・クイーンを紹介!

フェイ・レイ キングコング
出典 : amzn.asia

言わずと知れた映画史に残る名作『キング・コング』(1933)のメインヒロイン・アンとして、公開当時多くの紳士方を魅了したフェイ・レイ。女性が肌をさらずことが恥とされていた時代で、コングによって剥かれた白い肌に強い拒否反応を示した観客もいたそうです。 物語の舞台である髑髏島(Skull Island)で、原住民によって島の神・「キング・コング」の供物として祀られてしまうシーンにおいて初めて見たコングに上げた悲鳴。これが「スクリーム・クイーン」という存在が産声を上げた瞬間となりました。 か細く守ってあげたくなるようなその悲鳴は、コングの衝撃とともに全世界に響き渡るのでした。

ジャネット・リー from 『サイコ』(1960)

今もなお狂信的なファンを持つサスペンスの巨匠アルフレッド・ヒッチコックの圧倒的代表作『サイコ』(1960)で、主人公のマリオンを演じ一躍スターダムにのし上がったジャネット・リー。作品の前半と後半でテイストが大きく変わる「ジャンルスイッチムービー」の元祖とも言われる作品としてあまりにも有名です。 会社のお金を恋人のために横領し、逃走劇を繰り広げるマリオンがつかの間の休息を得るべく立ち寄ったモーテルでシャワーを浴びています。そんな時、突如として見知らぬ男が部屋に侵入。彼を目撃したマリオンは大きな悲鳴をあげて襲われてしまうのでした。 このシーンは「シャワースクリーム」として数々の映画やドラマでオマージュされるほど、後世に大きな影響を与えました。またスクリーム・クイーンがサスペンスホラーの世界で誕生した初めての作品でもあります。

ジェイミー・リー・カーティス from 『ハロウィン』(1978)

『遊星からの物体X』(1982)で知られるカルトホラーの巨匠・ジョン・カーペンターの出世作である『ハロウィン』(1978)で、主演を務めたのがこのジェイミー・リー・カーティスです。 なんと、先ほど紹介したジャネット・リーの実の娘でもあります。スクリーム・クイーンとして歴史に名を残す、麗しの絶叫美人親子です。この『ハロウィン』という作品自体も『サイコ』から強く影響を受けており、随所にそのオマージュが見られるのもこの作品の魅力のひとつです。 その母親像を乗り越えて、この映画で「スマートかつセクシー」という、この後に続くホラー映画ヒロインのイメージを樹立するのでした。

エイドリアン・バーボー from 『ザ・フォッグ』(1979)

ザ・フォッグ
出典 : amzn.asia

『ハロウィン』と同じくジョン・カーペンターがメガホンを取った名作『ザ・フォッグ』(1979)の主演を務めたのは、彼の妻であるエイドリアン・バーボーです。 監督と主演女優が婚姻関係にあることが影響してるのかはわかりませんが、この映画における彼女の演技は、「スマート」ではあるものの性的なアプローチに欠ける印象でした。 余談ですがこの作品には前述のジャネット・リー、ジェイミー・リー・カーティスの親子共演作でもあり、脈々と受け継がれるスクリーム・クイーンの歴史を感じさせるパニックホラーとしても重要な位置付けとなっております。

ネーブ・キャンベル from 『スクリーム』(1996)

「絶叫」の2文字を語る上で、絶対に外すことができないこの映画『スクリーム』(1996)。『エルム街の悪魔』(1984)で知られるウェス・クレイブン監督が、低迷するスプラッターホラー映画界に一石を投じるべく作りあげた「ホラーあるある」映画となっており、後にシリーズ化し大人気となりました。 ここで紹介するネーブ・キャンベルは、ジェイミー・リー・カーティスが作り上げたホラーヒロイン像を忠実に受け継いでおり、「正当後継者」とも言えるほど素晴らしい悲鳴を上げてくれています。 この『スクリーム』シリーズで絶大な人気を獲得したネーブ・キャンベルは、この後数え切れないほどの作品で悲鳴を上げ続け、90年代を代表するスクリーム・クイーンとなりました。

ジェニファー・ラブ・ヒューイット from 『ラストサマー』(1997)

『スクリーム』と同じケヴィン・ウィリアムソンが脚本を担当した傑作ホラー『ラストサマー』(1997)。その主演を務めたのは、この作品がきっかけで人気女優の仲間入りを果たすことになるジェニファー・ラブ・ヒューイットです。 いわゆる素行の良くない若者が成敗されるタイプの映画ではありますが、その巧妙な仕掛けでホラーファンを唸らせました。ここで表現されているヒロイン像としては、これまでのスマートかつセクシーというのは継承しつつも、罪悪感と死の恐怖でせめぎ合う「悩み」の部分が付与された表現となっております。 動機を持って襲われることで増大する恐怖を、その叫びで絶妙に表現した功労者です。

サラ・ミシェル・ゲラー from 『THE JUON/呪怨』(2004)

清水崇の傑作ホラー映画『呪怨』(03)を、監督はそのままにハリウッドでセルフリメイクされた本作。主演に抜擢されたのは、『クルーエル・インテンションズ』(1999)で知られるサラ・ミシェル・ゲラー。 実は彼女は『スクリーム2』や『ラストサマー』にも出演しており、ある意味では"叫び慣れ"している女優のひとりです。そんな彼女が掴んだホラー主演作が本作となっており、その修行の成果が遺憾なく発揮されております。 ただ大声で叫んで恐怖を煽るだけでなく、息を殺して漏れ出す彼女の悲鳴にジャパニーズホラーのテイストが加味されたことで、より絶望的な恐怖を演出することに成功しています。

メルセデス・マクナブ from 『HATCHET/ハチェット』 (2007年)

ハチェット
出典 : amzn.asia

『チレラマ CHILLERAMA』(2011)で盛大にバカな事をやっているアダム・グリーンの出世作『HATCHET/ハチェット』(2007)。主演でこそないものの、その振り切った叫びで一際の輝きを放っているのがメルセデス・マクナブ(写真左から3番目)です。 ブロンド・若者・胸元の空いた服と三拍子揃ったホラーヒロインであり、目を見開いて口を大きく開けるスタンダードな絶叫とともにつん裂くような悲鳴を聞かせてくれる彼女。70年代から受け継がれるB級ホラーにおける襲われガールの様相に、現代的な下品さを伴った近代スクリーム・クイーンです。 『13日の金曜日』シリーズのジェイソン役ケイン・ホッダーや『エルム街の悪夢』フレディ役のロバート・イングランドも出演している、豪華オールスター共演作でもあります。

クリステン・コノリー from 『キャビンCABIN』(2012)

『スクリーム』とはまた違った視点と手法で表現される「ホラーあるある映画」として、公開当時大きな話題を呼んだ『キャビン/CABIN』(2012)。その主演を掴んだのは、長らく日の目を見ることはなかったもののこの作品で大きな注目を集めることになるクリステン・コノリー。 80年代、90年代に乱立されたスプラッタホラーの数々で見られるエロいだけで能のない「殺され人形」たちに警鐘を鳴らす、強くて美しい"立ち向かうホラーヒロイン"としてその功績を残しました。 在りし日のシガニー・ウィーバーを思わせる戦う美人は、『ワンダー・ウーマン』(2017)などに代表される映画界の女性立権の流れの走りとも言えるでしょう。

シェリー・ヘニッヒ from 『アンフレンデッド』(2014)

アンフレンデッド
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全編パソコンの画面上で繰り広げらるという挑戦的な作風で、ホラー映画界に旋風を巻き起こした『アンフレンデッド』(2015)。その主人公を演じたのは、テレビドラマを中心に活躍してきたシェリー・ヘニッヒです。 現代におけるネットいじめをテーマとした作品となっており、SNSを使うことの罪と恐怖を描いています。他の映画とは違いカメラが固定であることで、常にクローズアップの顔が映し出されており、必然的に表情による恐怖表現が最も重要なポイントとなってきます。 写真をご覧頂ければわかる通り、圧倒的な絶望感に苛まれるその絶叫は素晴らしく、制約の中で最大限に魅力を発揮した現代のスクリーム・クイーンと呼ぶにふさわしい演技を見せてくれました。

スクリーム・クイーンは時代とともに変化した?

ジャネット・リー サイコ
出典 : amzn.asia

数々の名作の中で、輝かしくも儚げな絶叫とともに脚光を帯びてきたスクリーム・クイーンたち。フェイ・レイに始まるその歴史は、どう変化してきたのでしょう。 『キング・コング』というなす術のない怪物に、争うこともできず叫ぶしかなかった初代スクリーム・クイーン。ジャネット・リーが『サイコ』で築いたサスペンスホラーでの立ち位置を、その娘ジェイミー・リー・カーティスの手によって確立させました。 スマートかつセクシーというイメージを誤解釈した、セックスにひた走る単なる道具としてのホラーヒロインたちが乱立した80〜90年代を経て、クリステン・コノリーのような男たちよりも勇敢に戦うヒロインが登場します。 スクリーム・クイーンは、そうした時代の流れとともに守られるだけの女性ではなく、怯えながらもその恐怖に真っ向から立ち向かう強い女性へ変容していったのです。

時代を彩る麗しのスクリーム・クイーンたち!

ジェイミー・リー・カーティス
出典 : amzn.asia

時代とともにその様相を変えてきたスクリーム・クイーンたちですが、その根底には変わらぬ美しさがあります。 恐怖に震えるその表情や、奥に隠し持つ確かな勇気。時に涙し、時に叫びながら時代を彩ってきた彼女たちは、映画史に終える歴史的遺産です。『シャイニング』のシェリー・デュヴァルや『サマーキャンプ・インフェルノ』のフェリッサ・ローズなど、まだまだ紹介しきれていない素晴らしいスクリーム・クイーンたちがたくさんいます。 彼女たちはホラー・サスペンス映画の数だけ存在しますので、ぜひあなたのお気に入りのスクリーム・クイーンを見つけてみてはいかがでしょう。