嘔吐シーンが印象的な映画は名作ぞろい!
単なる体調不良や食べ過ぎ、飲みすぎなど、人が嘔吐してしまう理由はさまざま。排泄という日常的な行為でありながら、どこか非現実的でグロテスクな空気も漂います。誰もが知っているような、映画史に残るような名作には、この「嘔吐」シーンが効果的に使われていたのです!
1.劇中劇ならではの豪快ゲロ!パイ喰い大会での大惨事
『スタンド・バイ・ミー』(1987年)
12歳の少年たちのひと夏の冒険を描いた『スタンド・バイ・ミー』ですが、原作はホラー小説の大家スティーブン・キングです。原作となった短編集の『恐怖の四季』はホラーではありませんが、死体を探しに行くことを目的に出かける少年たちの冒険には、どこか不穏な空気が漂います。 そんな『スタンド・バイ・ミー』の中のゲロシーンは、ゴードンの作り話。後に作家として活躍する彼だけに、ぶっ飛んだ設定と描写、表現力が光ります。 太った男がパイ喰い競争にチャレンジ。彼は日ごろの恨みを晴らすためにその大会に参加していました。油を飲み、気持ち悪いことばかり考え、ものすごいスピードでパイを平らげ、豪快に嘔吐します。それを観ていた観客たちも次々に嘔吐し始め、会場は地獄絵図と化したのでした。
2.悪魔に取り憑かれた少女の口から……
『エクソシスト』(1974年)
悪魔に取り憑かれた幼い少女リーガン(リンダ・ブレア)。リーガンの中の悪魔と、メリン(マックス・フォン・シドー)とカラス(ジェイソン・ミラー)両神父の壮絶な戦いを描くホラー映画の歴史的名作『エクソシスト』は、1974年公開です。 映画撮影のために娘のリーガンと滞在していた女優のクリス(エレン・バースティン)でしたが、最愛の娘は日に日に変わり果てた姿になっていきます。リーガンには恐ろしい悪魔が取り付いていたのです。 恐ろしい形相で奇行に走るリーガン。そんな彼女が口から緑色の物体を吐き出しました。霊的なものや霊魂が、物資として目に見える状態になったものをエクトプラズムと言うのですが、劇中の演出ではこの緑色のゲロのようなものとして描かれていました。 明るく元気な美少女であったはずのリーガンを恐ろしい存在へと変えてしまった悪魔。その実態がこのシーンで確認することができるのです。
3.老婆の逆恨みが恐ろしい!遺体からウジ虫と共に
『スペル』(2009年)
銀行で融資担当として働く才色兼備のブラウン(アリソン・ローマン)。ある日彼女のもとに一人の老婆(ローナ・レイヴァー)がローン支払いの延長を希望してやってきます。老婆はこれまでに2回も延長を行っていたので、あえなく断られる事態となりました。 銀行側の対応に激怒した老婆はブラウンを逆恨み。執拗に彼女を付け狙い、復讐しようとします。 終業後、帰宅しようとした彼女を付け狙ったり、車に乗り込み暴行を働く老婆。挙句の果てに恐ろしい呪いの呪文をかけ去ってしまいました。 何とか呪いを解こうと焦るブラウン。老婆の自宅を突き止め訪れたブラウンでしたが、彼女を待っていたのはすでに亡骸と化した老婆でした。 ブラウンが途方に暮れていると、老婆は口からゲロのような物体(ウジ虫入り)を吐き出し、それがブラウンに容赦なく掛かります。 これは、老婆が生前最後に食べた食事の腐敗したものなのか、エクトプラズムなのか。どちらにせよ、死体となってからもなお残るすさまじい怨念が感じられる嘔吐シーンです。
4.「おとなのけんか」は全部吐き出してから?
『おとなのけんか』(2011年)
無邪気にじゃれあいながら遊ぶ幼い少年たち。いつしかその遊びが高じて一人の少年はもう一人の少年に危害を加えてしまうことに。公園で仲良く遊んでいたはずなのに、一人が前歯を2本もおる一大事になってしまったのです。 少年たちの両親は話し合いをすることに。それまで双方、どちらも様子を伺いつつ遠慮がちな佇まいでしたが、緊迫した雰囲気に耐えかねて加害者側の少年の母親・ナンシー(ケイト・ウィンストレット)が豪快に嘔吐してしまいます。 被害者側の少年の母親・ペネロペ(ジュディ・フォスター)のお気に入りの画集に吐しゃ物が掛かってしまい、思わず嫌悪の表情をあらわに。 ここから自体は一変、始まる「おとなのけんか」。両母親が本音をぶつけ合うのももちろん、両父親が普段家庭や妻に持っていた不満まで露呈して……。 ゲロが本音を吐き出すスイッチになるなんて。「おとなのけんか」はやっかいですね。
5.アカペラバトルの全国大会で盛大なゲロ?
『ピッチ・パーフェクト』(2012年)
バーデン大学のアカペラ・グループ「バーデン・ベラーズ」に加入することを決めた主人公のベッカ(アネ・ケンドリック)。バーデン・ベラーズはこれまでも全国大会にした経験がある有名グループでしたが、前回の大会でリーダーが本番中に緊張のあまり嘔吐してしまったのでした。 会場が騒然となり、大惨事となるぐらいの勢いある大量のゲロ。そのせいで大会で負けてしまっただけでなく、バーデン・ベラーズは失笑の的になってしまいました。 大事なシーンでゲロを吐いたリーダーのオーブリー(アンナ・キャンプ)には、緊張したり気持ちが高ぶると嘔吐してしまうクセがあるらしく、この大会シーン以外でも何度かゲロを吐いています。盛大かつ大量のゲロは、コメディタッチのこの作品の魅力をさらに盛り上げています。
6.デッドプールの凶行にコロッサスが思わず……!
『デッドプール』(2016年)
「X-MEN」シリーズの異色のヒーロー、デッドプールが活躍するアクション・コメディ『デッド・プール』。2016年に公開され、2018年には続編の『デッド・プール2』が公開されます。 人工的にミュータントを作る薬品を投与され、デッドプールとなった主人公ウェイド(ライアン・レイノルズ)。薬品の副作用で全身焼けただれたようになってしまった彼は、自分をそんな身体にしたフランシス(エド・スクライン)に復讐しようとします。 復讐心に狂ったデッドプールを立ち直らせたいと考えているミュータントのコロッサス(声ステファン・カピチッチ)は、ネガソニック(ブリアナ・ヒルデブランド)と共にやってきました。 フランシスをどうしても許せないデッドプールはコロッサスが止めるのも聞かず、フランシスを惨殺。見た目とは裏腹にデリケートなコロッサスは、あまりの衝撃に思わずゲロを吐いてしまうのでした。
爆笑コメディから戦慄のホラーまで。衝撃的なゲロシーンによってその作品のコミカルさや恐怖がさらに強調されています。演者の迫真の演技に、思わずつられてしまわないよう注意!