『キングダム』成蟜(せいきょう)の死亡シーンが感動的?瑠衣との関係や成長の足跡を解説
原泰久による『キングダム』は、中国の春秋戦国時代を舞台です。天下の大将軍を目指す信と、中華統一を志す政を中心に、多くの魅力的なキャラクターが登場します。 成蟜(せいきょう)は政の異母弟で、王の弟という立ち位置です。とても性格が悪く、自分が一番偉くないと気が済まないようなキャラです。そのため、政から王の座を奪おうとして、物語序盤で敵役として登場します。 そんな成蟜ですが、物語中盤では成長を遂げ、信たちの味方として再登場を果たす重要な人物でもあります。また特に、瑠衣というキャラとの関係は必見です。 今回は、成蟜の本編での活躍と成長、瑠衣との関係に着目しつつ、史実上ではどんな人物だったのかを追っていきます。 ※この記事には、漫画『キングダム』35巻までの内容を含んでいます。未読の方はご注意ください。 ※ciatr以外の外部サイトでこの記事を開くと、画像や表などが表示されないことがあります。
『キングダム』成蟜(せいきょう)のプロフィールを紹介
所属国 | 秦国 |
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地位 | 王弟 |
初登場 | 1巻 , アニメ1期 |
声優 | 宮田幸季 |
実写キャスト | 本郷奏多 |
成蟜は、政の腹違いの弟で、劣悪な環境で育った政とは反対に、王室でお坊ちゃんとして育てられました。そのため、非常に歪んだ性格の持ち主で、基本的に王族以外の人間を見下しています。母親の身分が低い政が王座についていることに不満を抱き、自らが王になるためにクーデターを起こしてしまうほどです。 また、性格が悪いだけでなく、残虐な一面も持ち合わせています。努力をして出世してきた貧しい生まれの自軍の兵士を突然あやめたり、暇つぶしと称して昌文君(しょうぶんくん)の配下たちに次々と手にかけてしまったりなど、かなり無慈悲です。 そんな自分勝手なことばかりしていたため、周りからの評判はとても低いものでした。信と政たちに追い詰められてしまった際に、誰一人も成蟜のことを身を呈して守ろうとしなかった事がそれをよく示しています。結局のところ権力しかない孤独な人物だったのです。 登場回数はあまり多くは無い成蟜ですが、脳裏に強く焼き付くシーンの多いキャラクターです。
成蟜はどれくらい強い?
成蟜は、王室で甘やかされて育てられたため、特に武術や剣術ができるという訳ではありません。政と対峙した際には、一方的に殴られ続けてしまいました。 しかし、彼は野心家でズル賢い人物です。政に対しては、ずっと前から敵意を抱いていました。クーデターを起こす際には、朝廷内の私利私欲に燃える大臣達の権力争いに目をつけ、その中でも二番手勢力の竭(けつ)氏を言葉巧みにそそのかして味方にしています。 さらに、成蟜には人間離れをした巨体と怪力を持つランカイという化物のような家来がいます。
【#キングダムな漢たち】
— 映画『キングダム 運命の炎』公式アカウント (@kingdomthemovie) April 1, 2019
ランカイ
/#阿見201
私がこいつを紹介してやろう。
人ならざる姿をした巨漢。
ランカイだ!#キングダム#成蟜の反乱 pic.twitter.com/Z0myPqtpDv
ランカイは、幼い頃に化け猿として売られていた所を成蟜に買われ、調教をされてきました。そのため、成蟜の言うことには絶対服従で、命令をしなくても彼の思うように動きます。その化物さ加減は度を超えており、人を紙のように引きちぎってしまいます。 実写映画版では途中で倒されてしまいますが、原作では最後の最後まで信たちを追い詰め、圧倒的な強さを見せつけました。 大臣達の争いに目を付けうまく利用する狡猾さ、化物を手なづけてしまう器用さを持ち合わせているのが成蟜の強みです。
瑠衣との関係と死亡シーンを解説
成長を遂げて再登場を果たすも……
成蟜は、原作の25〜34巻で政の味方として再登場します。 幽閉されている期間に反省をし、少しずつ心を開きつつあった成蟜。政も彼を認め、自身が不在の朝廷を呂不韋(りょふい)に乗っ取られないように任せるほどでした。 また、秦の要所である屯留(とんりゅう)に、趙軍が攻めて来ていることが発覚した際には、成蟜は名乗りを上げて屯留へと軍勢を率いて出向きます。最初は、朝廷で踏ん反り返る事しかしていなかった事を考えると、非常に大きな成長です。しかし、数日後、屯留にて王弟謀反が起こったとの知らせが王宮に飛び込んできます。またもや成蟜が裏切ったのかと、王宮内は動揺します。 実は、これは呂不韋の策略でした。成蟜は屯留で捕まってしまい、出陣先で謀反を起こしたということにされてしまっていたのです。呂不韋の計画に気づいた政は、飛信隊を屯留に派遣します。一度は逃げることに成功した成蟜ですが、敵からの奇襲を受け、命を落としてしまいます。
瑠衣との関係
ただの卑屈な奴じゃなかった成蟜。そんな彼にも第一夫人がいました。それが瑠衣(るい)という美しい女性です。 瑠衣は元々、王の夫人になるべく咸陽へと赴き、成蟜の妻となりました。しかし、成蟜は王座にはつけず、瑠衣も王の夫人にはなれませんでした。それにも関わらず、彼女は彼を愛し、いつも気に留めていました。 そんな瑠衣の愛が伝わっていたのか、彼もそれに応えるように彼女のことを信頼し、愛していました。瑠衣が故郷である屯留に帰省する時には、彼女の大ばばに祝いの品を贈ったりもしていて、しっかりと行動にも表れていました。
成蟜の感動的な最期
また屯留で命を落とすシーンでは、瑠衣に「俺はお前と初めてあった時……、あの時からずっとお前に惚れている」と告げ、瑠衣もそれに「知っています」と答えます。そして「それならいい」と言い最期を迎えます。ふたりの愛はとても深いものでした。 この場面は、物語序盤から成蟜を見てきた読者たちには、涙無しでは読むことのできない感動的なシーンとして話題となりました。
成蟜に実在のモデルは存在するの?
成蟜は『史記』『春申君列伝』や『始皇帝本紀』に登場する人物で、実際に秦の始皇帝の弟であったとされています。弟とは言え、生まれと母親は政とは違い異母弟ということになります。そこは『キングダム』と同じです。 また、漫画と同じく、史実上でも成蟜が王となることはありませんでした。彼の父である荘襄(そうじょう)王は、即位してすぐ、趙(ちょう)から帰還した趙姫を正妃とします。そして政を太子とし、次の王に政を据えました。 屯留(とんりゅう)での王弟謀反も史実にあります。秦王政の命令で、成蟜は軍を率いて屯留に出陣し、陥落させます。しかしその後、成蟜は屯留の人々をまとめあげて秦へ反乱を起こすのです。漫画では、成蟜による謀反は嘘だったことになっていますが、史実では成蟜は謀反を起こしたとして認識されています。 しかし、史実にない話が一つあります。それは『キングダム』物語序盤の成蟜の反乱です。これは完全なオリジナルストーリーとなっています。成蟜の最も象徴的な話なので、史実になかったのは驚きです。 嫌味なキャラクターとなる由縁のエピソードが実際になかったということは、史実の彼はそんなに性格が悪いわけではなかったのかもしれません。
アニメ版の声優は宮田幸季
アニメ版・成蟜の声優を担当しているのは宮田幸季です。『Free!』の似鳥愛一郎役や、『BLEACH』の山田花太郎役、また『とっとこハム太郎』ではトラハムくん役で知られています。これらの気の弱いキャラとは打って変わって真逆の成蟜ですが、圧巻の演じっぷりです、 アニメ版での成蟜の声は、いかにも嫌味なお坊ちゃんという雰囲気で、憎たらしさが伝わってくる素晴らしい仕上がりになっています。成蟜のイメージにぴったりです。
実写映画版のキャストは本郷奏多
実写映画版で成蟜を演じたのは、俳優の本郷奏多です。実写映画『テニスの王子様』の越前リョーマ役、実写映画『GANTZ』の西丈一郎役、実写映画『進撃の巨人』のアルミン役など、近年では漫画の実写映画化への出演が目立っています。そのため、中性的なルックスとも相まって、本郷奏多は「2.5次元俳優」と呼ばれています。 今回演じた成蟜は、まさにハマり役で、鋭い目つきや華奢な雰囲気がそっくりです。また、演技も素晴らしく成蟜の小生意気なイメージをしっかり再現できています。 本郷奏多自身も、「原作のイメージを一番大切にして、お客さんがなるべくムカつくように演じたいと思った。小生意気に、憎たらしく、小物感を出すようにしました」と『キングダム』公式ツイッターで語っています。
成蟜は『キングダム』で最も成長の振り幅が大きかった!
物語序盤では、敵役として嫌味で非道なキャラとしての登場だった成蟜を紹介しました。彼は再登場を機に、人間として成長し、瑠衣というキャラを通して新たな一面を見せてくれました。