『キングダム』楊端和(ようたんわ)の実在のモデルは男? 長澤まさみ演じる美しき山の民の王に迫る
漫画『キングダム』は戦国時代を描く作品ということで武将の活躍が目立ちますが、そのなかでも異彩を放つのが山の民の王・楊端和(ようたんわ)です。 美しく気高く、それでいて圧倒的な強さを誇る彼女の魅力は一体どこにあるのでしょうか。原作での活躍はもちろん、史実や実写版の情報も交えて紹介します。 ※この記事は「キングダム」の重要なネタバレを含みます。 ※ciatr以外の外部サイトでこの記事を開くと、画像や表などが表示されないことがあります。
『キングダム』楊端和(ようたんわ)の基本プロフィール
出身 | 山界の民族 |
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初登場 | 漫画3巻20話 , アニメ1期8話 |
声優 | 園崎未恵 |
実写キャスト | 長澤まさみ |
楊端和は山の民を統べる最大勢力の女王。他の山の民族たちからは「山界の死王」として恐れられている人物です。コミックス3巻で初めて登場しますが、最初はおどろおどろしいお面に加え身体が大きく見えるような毛皮を身にまとっていました。 大男のような風貌かと思いきや、お面の下の素顔は絶世の美女でした。幼い頃から世界を広げていくことに熱意を燃やしており、自らの実力でいくつもの部族を統合してきました。その実力は山民族一といわれるほど。 秦とはかつての因縁があったものの、中華統一を目指す政の信念が彼女の大志とも重なり同盟を結びます。以降は、政や秦国に対して度々力を貸すようになります。
楊端和の実在のモデルは男だった?
実在した歴史上の人物を中心に物語が進んでいく『キングダム』。楊端和も史実にその名前を確認することができます。 しかし、史実に記されている情報は非常に少なく、活動した期間として確認できるのはわずか9年のみです。この9年で魏や趙を攻めて武功を残しているので、かなりの実力者だったことがうかがえます。 漫画と史実との大きな違いは性別。実在した楊端和は男性で、秦の将軍だったと記されています。山の民でもなかったのです。秦の将軍としてのちの始皇帝の秦王政に仕えていましたが、紀元前229年を最後に史実からは名前が消えています。
史実上の楊端和の活躍は?

前述したように、楊端和は史実にあまり情報が残っていません。彼の参戦がわかっている主な戦いは3つ。 まずは紀元前238年に魏の衍氏(えんし)を攻め、続いて紀元前236年に王翦(おうせん)及び桓騎(かんき)と共に趙の都・鄴(ぎょう)に侵攻します。そして、紀元前229年に趙の首都・邯鄲(かんたん)を包囲。この翌年に、王翦と羌瘣(きょうかい)が趙を平定しました。 楊端和は趙の攻略に関わる重要な戦に出陣していたため、秦における主力のひとりだったと推測できます。
史実において楊端和の最期は不明!
結論から言うと、楊端和の最期は不明です。 楊端和が『史記』に登場する場面は少なく、明確な死亡シーンがありません。彼は何の前触れもなく史実に現れなくなってしまったのです。どこかの戦いで死亡したのか、あるいは引退して隠居生活をしていたのか、はたまた別の国に仕えて戦っていたのか。あらゆる可能性が残されています。 そのため、『キングダム』の楊端和がどんな結末を迎えるのかも予測不可能です。このまま生き残り活躍し続ける展開も、どこかで戦死してしまう展開もあり得るでしょう。想像の余地が大きく残されており、ファンのあいだで様々な説が飛び交っています。
実写キャストは本格アクション初挑戦の長澤まさみ

楊端和を実写映画版で演じるのは長澤まさみです。数々の作品で活躍している長澤ですが、意外にも本格的なアクションは本作が初めてでした。 彼女は楊端和の動きをすり込むため、ベッドに剣を振り下ろす素振りを毎日100回繰り返したんだとか。しかも、ベッドに当たらないよう寸止めをする、より負荷がかかるやり方を選択。「見たことのないところに筋肉がつきました」と語るなど、ストイックな役作りをしていたと明かしています。 その甲斐もあってか、彼女は映画の製作報告会見で「アクションに不安はあったものの全力を出し切った」と笑顔を見せていました。また共演者で成蟜(せいきょう)を演じる本郷奏多も長澤の存在感を絶賛。楊端和に扮した長澤のビジュアルから溢れるカリスマ性にハッとしたとコメントしています。
楊端和の活躍エピソードその1【序盤編】
原作での楊端和の最初の見せ場は政との同盟です。王都を追われた政は、信や河了貂(かりょうてん)ら数少ない味方とともに王都奪還を目指していました。そこで政が協力を持ちかけたのが山の民を率いる楊端和の勢力でした。 山の民はかつて結んだ秦との同盟を反故にされ、迫害を受けたという歴史を持っていました。当然政を許せないという感情を抱いていた山の民ですが、楊端和は政の"国境をなくす"という宣言に自身の野望との共通点を見出したのです。 百年単位の恨みに終止符を打ち、未来を見据えた決断をくだした楊端和のカリスマ性がうかがえるエピソードです。
楊端和の活躍エピソードその2【合従軍侵攻編】
原作中盤での大きな戦いが合従軍侵攻です。秦を落とすために6国が連携し、秦は1国でこの軍を相手にすることになりました。戦いの終盤、李牧により、戦いは蕞(さい)での最終決戦に持ち越しとなります。政も最前線に立って軍を率いますが、大きな怪我を負いついに城壁も突破されてしまいます。 この絶体絶命のピンチに駆けつけたのが山の民を率いた楊端和でした。颯爽と現れる彼女のかっこよさは名だたる武将も顔負けではないでしょうか。楊端和による援軍で状況は一気に好転します。彼女の軍の強さが証明された戦いでもありました。 また、この戦における功績が高く評価され、楊端和は大将軍の地位を与えられます。
楊端和の活躍エピソードその3【鄴(ぎょう)攻略編】
コミックス46巻からは鄴(ぎょう)攻略編が描かれています。趙の第二都市・鄴を攻略するため、王翦(おうせん)・桓騎(かんき)・楊端和の三軍連合軍が結成されました。楊端和は飛信隊とともに列尾城を陥落させる活躍を見せます。 楊端和はその後、橑陽(りょうよう)城の犬戎(けんじゅう)族の王ロゾ軍と対峙します。いっときは敵の戦略にはまりピンチに陥りますが、自らを囮にする作戦で橑陽を陥落させました。 恐怖で支配する圧政に苦しんでいた犬戎族を解放し、彼らを傘下に加え勢力を拡大した楊端和。今後の活躍がますます楽しみですね。
楊端和が引き連れる屈強な戦士たち・山の民
楊端和のもとで戦う「山の民」。彼らはもともと秦の西方に位置する山岳地帯で暮らしていた戦闘民族でした。多数の部族により構成されており、それぞれ違った仮面をかぶって独自の戦闘スタイルで戦います。 楊端和はそんな荒くれ者たちをまとめあげた英雄的存在。山の民にとっては憧れであると同時に畏怖の対象、自分たちを統率してくれる唯一無二の指導者なのです。 ちなみに、山の民たちは独自の言語を話していますが、楊端和やバジオウのように秦の言葉を理解できる者もいます。
楊端和の頼れる側近・バジオウ
山の民たちを束ねる戦士バジオウ。青い面をかぶった筋骨隆々の男性で、楊端和の側近として活躍しています。 彼は戦に巻き込まれて滅びたバジ族の生き残りで、幼少期は人間狩りをしながら生活。そのさなか、バジオウは楊端和に敗北を喫し、彼女の下へつくことに。そこで次第に人間性を取り戻し、山の民のなかでも最強の戦士へ成長していきます。 ちなみに、アニメ版でバジオウの声を担当しているのは新垣樽助、実写版でバジオウを演じているのは阿部進之介です。
楊端和の名言を紹介

楊端和率いる山の民のエピソードは50巻を超える『キングダム』においてはそう多くはありません。しかし、政にとってピンチのときに颯爽と駆けつけるヒーローのようなかっこよさがあります。 なかでも合従軍の援軍に駆けつけた際の「全軍血祭りだ」は男勝りでカリスマ性が感じられるひと言ではないでしょうか。 また、政との同盟を結ぶ際に放った「戦でも和でも何でもいい我はただ……世界を広げたいんだ」という言葉は、楊端和の信念を表している名言です。彼女の行動理念でもあり、この志があったからこそ、その後の秦とのエピソードが生まれるきっかけにもなりました。 その他にも、「感謝の言葉は勝利の後に言うものだ」という印象的なセリフが存在。こちらは王都奪還戦で放たれた一言です。ここには「生きて感謝を伝えるために何としてでも勝て」という意味が込められており、この戦に挑む自分と政を鼓舞するような力強い名言となっています。
楊端和(ようたんわ)の今後の活躍から目が離せない

まだまだ熱い戦いが続いている『キングダム』。2026年の夏には実写版の最新作公開が予定されています。楊端和の今後の活躍にも期待しながら、信の大将軍への道のり、そして政の中華統一の結末を見守っていきましょう!