『キングダム』李牧(りぼく)の死亡シーンを史実から考察!屈指の策略家の最期とは?
2006年から連載がスタートし、今や映画・アニメでも人気を博している漫画『キングダム』。 本作には魅力あふれるキャラクターが数多く登場しますが、この記事ではその中でも特に重要なキャラ・李牧について徹底解説!基本的なプロフィールや強さなどを紹介するほか、史実をベースにしながらその最期についても考察していきます。 ※この記事は『キングダム』の重要なネタバレを含みます。 ※ciatr以外の外部サイトでこの記事を開くと、画像や表などが表示されないことがあります。
『キングダム』李牧(りぼく)のプロフィール
李牧は秦と敵対する趙(ちょう)国の軍師。また趙国最強の武将と謳われる「三大天」の一角です。 たくましい武人であり、幅広い知略を持った戦略家でもある李牧。基本的には戦で無用な死者が出ることを望まない温和な人物ですが、時に奇策に打って出る大胆さを併せ持っています。 原作漫画では「馬陽攻防編」で初登場。すぐにその天才ぶりを発揮します。 連載前の読み切りでは李牧が主人公となっており、その好評が今の『キングダム』に繋がりました。この読み切りは2010年に発売された『キングダム総集編Ⅰ』に収録されていますが、現在は入手が困難となっています。
李牧の温和な性格は悲しい過去が原因?
李牧は敵味方関わらず、血が流れることを好みません。なぜ元々武人であるにも関わらず、温和な人物になったのか。その答えは先述した読み切りにあります。李牧は“ある男の話”として以下のように語りました。 ある男は若い頃に親兄弟を戦争で失ったことで怒り狂い、部隊を率いて敵に突撃する無謀な作戦を決行しました。結果、敵に勝利するも仲間たちは全滅。家族の仇を取った達成感や嬉しさはなく、なにもかもを失った失意のみが残ったのでした。 この悲しい過去が、李牧にできる限り死人を出さないという考えを持たせたのではないでしょうか。
【強さ】李牧はキングダム界最強の知将!他の将軍と比較
vs王騎
馬陽の戦いで趙軍総大将・龐煖(ほうけん)が王騎(おうき)を討ち取りますが、その功労者は李牧です。李牧は秦国将軍・蒙武(もうぶ)の窮地を作り出す策を練り、実際に王騎はその目論見通りに蒙武のもとへ駆けつけました。 こうして龐煖と王騎の一騎打ちが始まると、李牧は4万の兵を率いて戦場に現れます。李牧の策を読みきれなかったことが敗因となり王騎は龐煖の矛に倒れました。王騎よりも李牧が1枚上手だったと言えます。
vs麃公
秦国の大将軍・麃公(ひょうこう)もまた、李牧の策によって龐煖との一騎打ちの末、死亡しています。 李牧は秦に対して合従軍を進軍させる裏で、別働隊を率いて秦の咸陽(かんよう)に迫るルートを進みました。これを止めにきた麃公軍と信たちを、李牧は「流動」という超高度な計略で翻弄します。 李牧は地上にいながら、緻密な兵の配置で麃公を思うままに誘導。麃公と龐煖への一騎打ちへと持ち込み、見事に撃破してみせました。
vs王翦
秦が極秘裏に動いていた鄴(ぎょう)攻めの策に気づいた李牧は、総大将・王翦(おうせん)を趙国の朱海平原(しゅかいへいげん)で挟撃を仕掛けます。 2人は苛烈な知略戦を繰り広げますが、秦国側には成長という未知数の力を持つ信・王賁(おうほん)・蒙恬(もうてん)といった力ある武将が多く、李牧軍は撤退へ追い込まれることに。 知将という意味ではおそらく李牧が一歩前にいるのでしょうが、仲間や王に恵まれた王翦のほうが武功を上げやすい環境に身を置いていると言えます。
vs桓騎
肥下の戦いでは李牧と桓騎(かんき)の戦いに決着がつき、桓騎はあと1歩のところまで李牧に迫るも討ち取られます。桓騎も1度は李牧を罠にはめて、頭に傷を負わせることに成功しましたが、駆けつけた援軍によってあっという間に劣勢に。 李牧は以前からこの戦いの天才・桓騎の弱点を見抜いていました。その弱点とは奇策以外の手段を知らないことです。李牧はこの弱点を突く形で最後は李牧が史実通りに桓騎に勝利しており、李牧の方が強いと言えるでしょう。
【原作】『キングダム』作中での李牧の活躍
王騎を討った天才軍師
『キングダム』の作中で1、2を争う人気を誇っているのが秦の武将である王騎(おうき)。「秦の怪鳥」という異名を持ち、かつて伝説の秦の六将軍として中華に名を轟かせた経歴を持ちます。 李牧は登場してすぐに馬陽の戦いに参加。この戦いは、秦が韓(かん)を攻め込む隙を突かれたため、馬陽で趙軍を迎え撃ったもの。この迎撃軍の指揮を任されたのが王騎です。
趙軍の大将は、李牧と同じ「三大天」の龐煖(ほうけん)。 戦況が進み、大将による一騎打ちで決着がつくと思われた最中、王騎軍の背後に李牧率いる趙軍が現れます。李牧は味方にすら作戦を知らせない徹底した情報統制によって、秦軍の裏をかくことに成功したのです。奇策による一瞬の隙に、龐煖の刃が王騎の身体を貫きます。 王騎はこの傷によって落命。作中屈指の人気と強さを誇る王騎を討ったことが李牧の武将としての優秀さを物語っています。 そして馬陽の戦いでの武功を評価され、李牧は君主を補佐する最高位・宰相(さいしょう)となります。
信と政にとって最大の強敵になる
馬陽の戦いがあった一年後、政と対立する権力者・呂不韋(りょふい)の企みで、李牧が秦の首都咸陽(かんよう)に招かれます。会談の中、呂不韋は李牧の首を取ろうとするのですが、李牧はその代わりとして秦と趙の同盟を提言。お互いの思惑を孕んだ交渉の末、秦趙同盟が結ばれました。 王騎を討たれた仇として李牧を敵対視していた信は同盟に納得できません。しかしその場は抑え、信はいずれ自分が李牧を倒すと宣言します。 政は会談の間発言することなく、影を薄めていました。それは自分の内面を少しでも晒さないという目論見のため。李牧が後々強敵となることを予感してのことでした。
合従軍結成を導く
信は部隊を率いて山陽を攻略します。李牧はその戦いから秦が中華統一へ向けて動き出したことをいち早く察知。 秦に対抗するため李牧が取った策は、隣国六国による合従軍(がっしょうぐん)の結成でした。この戦略の威力は絶大で、秦は滅亡寸前にまで追い込まれます。 咸陽を落とすために向かった李牧の部隊を秦は蕞(さい)と呼ばれる最後の砦で防衛。政自身も蕞に赴き、死力を尽くして戦います。あと一歩のところで援軍が駆け付け、趙軍を追い返すことに成功しました。 秦をあと一歩のところまで追い込んだ合従軍。その発起人である李牧の知略の恐ろしさを感じさせます。
鄴攻略を迎え撃つ
中華統一を目指す秦軍がまず攻略すべきは趙。李牧を出し抜くために趙の王都「邯鄲(かんたん)」の要である鄴(ぎょう)を落とす策に出ました。 ここから秦軍総大将・王翦(おうせん)と李牧の知略戦が繰り広げられることに。お互いに敵の食糧補給を断つ作戦を取り、兵糧攻め合戦となります。 この戦いの中で信と李牧は再び出会うのですが、李牧は信の刃が届くことはないと言い放ちました。対して信は、自分が王騎の仇として李牧を討つことを改めて宣言。 その後も鄴攻略は続き、秦と趙の総力戦なだけあり、両国とも将軍が命を落とすなど激しいものになっていきます。
秦軍に完全勝利し退ける
鄴敗戦の責任をとって李牧は処刑を待つ身となりますが、王死亡により解放されます。その後、李牧が長城を築いたことで、王翦軍・桓騎軍は長城を迂回する形で宜安攻略のために進軍を開始。 桓騎軍が肥下を目指したことを察した李牧は急いで兵を向かわせますが、その隙をついて桓騎に本陣を急襲されます。李牧もピンチに陥りますが、援軍が駆けつけたことで形勢逆転となり、最後は桓騎軍に完全勝利を収めました。
【史実】李牧はどんな人物だった?その最後とは
漫画と史実の李牧の違い
『キングダム』のキャラクターは歴史上の人物をモデルにしていることが多く、李牧もまた実在しています。では史実での李牧はどんな人物なのでしょうか。 漫画では合従軍後に飛ばされることになるのですが、史実では初めから騎馬民族である匈奴(きょうど)との国境地帯・雁門(がいもん)で守備隊の長官をしていました。なるべく戦わず、被害を最小限に抑える戦術を取っていた李牧。ある時大軍で攻めてきた匈奴を、策略により一網打尽にします。 後に趙の中央部へ招集された李牧は秦に対し多くの戦果を上げます。中でも秦の桓騎(かんき)が攻めてきた際には、趙が劣勢に。趙王は対抗するため李牧を大将軍に任命し、李牧は見事桓騎を敗走へ追い込みます。 史実での李牧の活躍は以上が主であり、漫画で描かれている事柄は多くが創作です。馬陽の戦いに李牧は参加しておらず、咸陽に招かれてもいません。また蕞の戦いに参加した記録もありません。しかし漫画では活躍が史実以上に描かれており、李牧が作者にとって思い入れのあるキャラクターなのだと伺えます。
史実で李牧の最期はどのようなものか
史実でも優秀な李牧ですが、天才軍師の死はどのように訪れるのでしょうか。 李牧は桓騎を敗走させた後も、攻めてきた秦軍を返り討ちにし、さらに領地も取り返していました。そこで秦軍の王翦は李牧を討ち取ることを命じられますが、なかなか倒すことができません。 王翦は趙の重臣を金で買い、李牧が謀反を企てているという嘘の情報を流します。趙の王はその情報を信じ大将軍の任から降りるよう命じますが、李牧はこれを拒否。命令に背いたため捕らえられ、李牧はそのまま暗殺されてしまうのです。 そして、王翦はこれを好機として趙に攻め込み、王を捕えて趙を滅ぼすことに成功。秦に幾度も勝利し武功を上げた李牧でしたが、史実ではこのように無残な死を遂げています。
【死亡】漫画での李牧の死亡シーンを考察
前述したように、李牧は史実だと命令拒否により身内の手で殺されるという、何とも虚しい死に方をしています。では漫画のなかでは、どのような死亡シーンが描かれるのでしょうか。 最も可能性が高いのは、史実をベースにした「処刑パターン」だと思われます。歴史に残っている通り、李牧は謀反を疑われ将軍の解任命令を受けるも、自分が指揮をとらなければ負けると判断しこれを拒否。趙のために戦いながら処刑されるという、人間の業を感じるラストは本作にもぴったりです。 また身内に裏切られたことによる「自害パターン」の可能性も0ではありません。彼に将軍解任を迫る幽繆王(ゆうぼくおう)は、愚かな王として知られる人物です。趙のために戦い抜いてきた李牧が国の未来に絶望し、処刑や暗殺を待たずに死亡してしまうラストも考えられます。 最後に示しておきたいのが「信に殺されるパターン」です。本作の主人公である信と、その最大のライバルとも言える李牧。少年漫画の展開として考えれば、信との戦いで李牧が死ぬというのが最も王道に見えます。李牧はいったいどんな最期を迎えるのか。今後の展開に要注目です!
【関係】李牧とカイネは結婚する?
カイネは李牧軍の三千人将にして李牧の側近です。李牧にとって彼女はどんなときも支えてくれるよき部下であり理解者といった存在。カイネからの忠誠も厚く、李牧が囚われた際は命を顧みずにその救出に尽力しました。 カイネは李牧に恋愛的な好意を抱いていますが、李牧の本心はまだわかりません。ただ、カイネが疲弊した李牧を励まそうと背中に抱きついた際には、そのまま李牧もカイネを受け入れており、戦いが落ち着いた際に結婚するという未来も十分あり得ます。
【実写キャスト】映画『キングダム』で李牧を演じるのは小栗旬
2023年7月28日公開の映画『キングダム3 運命の炎』にはついに李牧が登場。彼を演じたのは、俳優の小栗旬です。 李牧は戦闘に大きく絡むことはありませんでしたが、映画終盤で馮忌がやられた直後にカイネとともに初登場を果たすことに。戦局を高台から見定める河了貂たちのもとに現れ、ひょうひょうと「戦を見学したい」と言う姿からは強者の余裕が感じ取れました。 本編で軍師として活躍した趙荘も彼に全幅の信頼を寄せており、李牧は続編『キングダム 大将軍の帰還』における重要なキーパーソンとなりそうです。
【声優】森川智之がアニメ版『キングダム』で李牧役を担当
テレビアニメで李牧を演じたのは声優の森川智之。森川と言えば、「ミッション:インポッシブル」シリーズでトム・クルーズ演じるイーサン・ハントの吹き替えなどでお馴染みです。 その他にも『NARUTO』の温和で優しい英雄である波風ミナトや『戦国BASARA』の片倉小十郎ような武人然とした厳めしいキャラクターなど、様々な役をこなします。そんなベテランである森川の李牧は、優し気な声色でありつつもその奥に力強さを感じさせる絶妙な演技でした。
『キングダム』李牧は大胆な奇策を打ち出す戦略家、待ち受けるのは史実通りの無残な死か?
本記事で紹介してきたように、『キングダム』の李牧は史実よりもさらなる大物として描かれていました。しかし、漫画と史実どちらも優れた軍師であることに変わりはありませんでした。 漫画で李牧の最期が史実通りに無残なものとなるか、はたまた一層の活躍を示すのか、行く末から目が離せません。