漫画『キングダム』を全巻あらすじネタバレ解説!最新巻までの戦いをまるっとまとめてみた
1人の少年が天下の大将軍になるまでの道筋を描く、中国史漫画『キングダム』。アニメ、実写映画共に大ヒットを記録した本作は、2024年7月15日に実写映画第4作『キングダム 大将軍の帰還』が公開される人気漫画です。 そこで本記事では、原作漫画を全編まるっとネタバレ解説していきます!本編を復習しておきましょう! ※本記事には、漫画『キングダム』のネタバレが含まれますので読み進める際はご注意ください。
タップできる目次
- 『キングダム』簡単なあらすじ・編毎のネタバレ一覧
- ①王都奪還編ネタバレ(1〜5巻)
- ②蛇甘平原編ネタバレ(5〜7巻)
- ③馬陽防衛編ネタバレ(11〜16巻)
- ④山陽攻略編ネタバレ(17〜23巻)
- ⑤合従軍編ネタバレ(24〜33巻)
- ⑥屯留編ネタバレ(34〜35巻)
- ⑦著雍攻略編ネタバレ(35~37巻)
- ⑧毐国反乱編ネタバレ(37~40巻)
- ⑨六国征覇編ネタバレ(41〜46巻)
- ⑩秦連合軍VS趙防衛軍編:前編ネタバレ(46〜61巻)
- ⑪秦連合軍VS趙防衛軍:後編ネタバレ(62~69巻)
- ⑫対韓攻略準備編ネタバレ(69〜72巻)
- あの戦いの決着は?主な対戦を一覧でおさらい!
- アニメ版・実写映画版『キングダム』ではどこまで描かれる?
- 『キングダム』レビュー・感想
- 今からでも遅くない!『キングダム』を読んで信の中華統一を見届けよ
『キングダム』簡単なあらすじ・編毎のネタバレ一覧
『キングダム』どんな話?
時は紀元前3世紀、春秋戦国時代末期。下僕として働く漂と信は、天下の大将軍を目指し日々鍛錬を積んでいました。そんな中漂に目をつけた大臣は、彼だけに士官を打診します。 野望を叶えるため1人で王都に向かったはずの漂ですが、1ヶ月経った信の前には瀕死の漂の姿が。実は漂は瓜二つである王の、影武者として召集されていたのです。 漂は夢のすべてを託し、命を落とします。そして秦王である政と信は出会い、破竹の勢いで進む彼の大将軍への道が幕を開けるのでした。
戦いごとにサクッとおさらい
王都奪還編 | 王の座を狙う王弟・成蟜の反乱により政は王都を追われてしまう。漂は首を狙われた政の影武者として王都奪還編で殺される。戦力では完全に負けていた政だが、信や山の民を仲間にすることで王都奪還に成功した。 |
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蛇甘平原編 | 魏の滎陽に秦軍が侵攻した。秦軍は総大将として麃公を置き、信が初めて戦に参加する。秦軍は常に後手後手に回ってしまうものの、信たちと王騎の活躍で戦況を五分に戻す。そして最後は魏軍総大将である呉慶を麃公が討ち取り、秦軍が勝利した。 |
馬陽防衛編 | 秦が韓で快進撃を続けている隙を突かれ、趙の三大天の1人、龐煖が率いる趙軍に馬陽を侵攻されてしまう。百人将となった信は敵将の馮忌を討ち取る。しかし一騎打ちの最中に狙撃され、王騎が龐煖に敗れた。 |
山陽攻略編 | 魏の山陽を攻略すべく秦軍は蒙驁を総大将に侵攻を始めた。秦軍は城を落としていくものの、元趙三大天にして魏軍総大将を務める廉頗の部下、輪虎に多くの千人将が暗殺されてしまう。しかし輪虎を信が討ち取り、最後は桓騎が敵本陣を制圧した。 |
合従軍編 | 六国連合である合従軍が秦に侵攻してくる。函谷関で合従軍と秦軍は激突し、謀略渦巻く中防衛に成功する。しかし李牧が奇襲を掛け、政が前線に駆り出されるほどのピンチに。最後は山の民の助けにより、合従軍を退けた。 |
趙攻略編 | 戦略を練った秦軍は総大将に王翦を、楊端和と桓騎の各軍も合わせた連合軍を趙の列尾に進軍させる。李牧に本来の狙いが鄴だと気づかれるも、奮闘の末秦は趙王都南部を手に入れた。 |
①王都奪還編ネタバレ(1〜5巻)
天下の大将軍を目指す2人の少年が辿る悲運な運命
まだ中華統一が成される前の古代中国。大国・秦には戦争孤児である信(しん)と漂(ひょう)という2人の少年がいました。天下の大将軍を目指す2人の前に昌文君が現れ、漂のみが見出されます。信を置いて1人で士官してしまう漂。しかしその晩信のもとを訪ねてきたのは、血に塗れ衰弱しきった漂でした。 信が漂の死を悲しみながら言う通りにある場所へ向かうと、そこには漂に瓜二つの少年がいます。政(せい)と名乗るその少年は、実は秦国の王。秦は現在王弟によるクーデターの真っ最中であり、漂は政の影武者として召集されていたのです。 信は漂の意志を汲み政、道中で出会った河了貂(かりょうてん)と共に3人で王都の奪還を目指すのでした。
山の民を味方に付け王都を奪還せよ
昌文君一派とも再会を果たした信達は、かつて秦国と交流のあった「山の民」と同盟を結ぶため動き出します。 かつて同盟関係にあったと言っても、すでに400年も昔のこと。話し合いは難航を極めます。しかし政が口にした「中華を統一する」という言葉に山界の王・楊端和(ようたんわ)は心を打たれ、信達は強力な味方の獲得に成功しました。 王都である咸陽を守るは、8万の軍勢。真っ向勝負では数で圧倒される政軍は、山の民と共に王都に奇襲をかけます。 数々の兵士が深手を追いながらも、クーデターの鎮圧に成功した政軍。政は玉座を取り戻し、功績が認められた信は家を与えられ遂に下僕の身分を脱出するのでした。
②蛇甘平原編ネタバレ(5〜7巻)
信の初陣、大将軍への一歩を踏み出す
河了貂と同居する信は、「魏」との戦に歩兵として参加します。5人1組の「伍」のメンバーに羌瘣(きょうかい)という無口な子供がいることに、不安を感じる信。王都奪還編で行動を共にした千人将・壁(へき)と再会を果たした信は、遂に戦に身を投じて行きます。 圧倒的な力で次々と敵兵を討つ信ですが、その前に魏自慢の戦車隊が立ちはだかりました。苦戦を強いられるも、羌瘣の「死体を盾にする」策でなんとか状況を打開する信達。 信の活躍を見ていた千人将は、信を連れて魏の副官のもとに忍び寄ります。そして千人将は信の力を借りながら、自身の命と引き換えに副官を討つのでした。
激闘の末決着、初陣は見事な勝利
山の上から戦況を見る信のもとに現れる、戦に参戦していないはずの王騎(おうき)将軍。王騎は本能で戦をする秦軍総大将・麃公(ひょうこう)と、知略で戦をする魏軍総大将・呉慶(ごけい)のどちらが勝つかを信に話します。信はこの会話によって、王騎から戦とは何かの片鱗を教わりました。 その後両軍の将による一騎討ちが行われ、激戦の末麃公が勝利します。こうして信の初陣となった対魏攻防戦は、秦の勝利で幕を下ろすのでした。
③馬陽防衛編ネタバレ(11〜16巻)
次なる敵は趙の三大天、飛信隊は武功を残せるか
秦に対して恨みを抱えている「趙」との戦。秦の総大将は長年沈黙を守ってきた王騎将軍が務めます。前回の武功が認められ百人将となった信は、王騎に自身の隊を「飛信隊」と名付けられ、敵将の首を取る任務を授かりました。 そして期待に応えるように、見事敵将・馮忌(ふうき)を討ち取った信。一見順調かに見えた秦軍でしたが、王騎は得体の知れない違和感を感じ取っています。 戦が続く飛信隊の野営地で、総大将であり趙が誇る三大天の1人、龐煖(ほうけん)が突如現れ攻めてくるという大事件が起こります。全く歯が立たない信に代わり、奮闘する羌瘣。援軍が来たこともあり龐煖に一太刀浴びせる信ですが、体の損傷が酷く、気を失ってしまいました。
策士・李牧の策略、王騎戦場に死す
王騎と龐煖が一騎討ちを始め、戦は終局へと向かいます。しかしその裏で策を弄する男がいました。趙三大天の1人、李牧(りぼく)です。李牧の策略により、4万もの援軍を迎え入れる趙軍。 秦軍の絶体絶命のピンチ。しかしこの状況でも王騎は諦めず、むしろ活路を見出すためより闘志を漲らせます。遂に王騎の刃が龐煖に届くかと思われたとき、王騎の胸に1本の矢が刺さりました。この一騎打ちを台無しにする矢によって、王騎は龐煖に腹を貫かれます。 戦の決着が付き秦軍は撤退しますが、王騎は辛うじて生きていました。信を自身の馬に乗せ、信が目指す大将軍の景色を見せる王騎。 そして王騎は信に愛用していた矛を託し、この世を去るのでした。
④山陽攻略編ネタバレ(17〜23巻)
山陽攻略戦始動、2人のライバルと凌ぎを削る!
王騎の死から1年が経った頃、信は三百人将になるまで成長し、飛信隊の名を轟かせるまでになっていました。そんな中、突如として秦に現れ同盟を結びたいと話す李牧。こうして秦趙同盟を結んだ秦は、さっそく魏の領土である山陽に攻め入ります。 経験豊富な将軍である蒙驁(もうごう)を総大将としたこの戦には、「玉鳳隊」を率いる三百人将・王賁(おうほん)や、「楽華隊」を率いる三百人将・蒙恬(もうてん)といった信と同年代の三百人将も参加していました。3人は競うように武功を上げていきます。
廉頗が狙う、桓騎と王翦の実力とは?
戦が進展していく中、秦内部で怪しい動きを見せる呂不韋(りょふい)。呂不韋は国内の第3権力者である太后と密会を重ねていたのです。政が国内の勢力争いに苦戦する中、山陽攻略はいよいよ大詰めを迎えます。信達は敵将・輪虎(りんこ)と幾度となく対峙するも、歯が立たないでいました。 秦軍を迎え討つ魏には、元趙三大天の廉頗(れんぱ)がいました。しかし魏に亡命し、戦に首を突っ込まなかった廉頗がなぜ今回は戦場に出てきたのか。 その理由は蒙驁の副将・桓騎(かんき)と王翦(おうせん)にあります。この桁違いの実力を有する2人を束ねる蒙驁。廉頗は王騎から「退屈したら蒙驁と戦え」と言われていたのです。一瞬で敵将を倒した王翦でしたが、そこに廉頗が現れます。 交戦すると思いきや、負け戦はしないと撤退する王翦。そして王翦に撤退された廉頗は、直に蒙驁の首を取りに行きます。こうして戦は最終局面を迎えるのでした。
信は輪虎に勝てるのか?山陽攻略戦まさかの結末
廉頗と輪虎から同時に攻められ、それぞれ迎え撃つ蒙驁と信。何度も負けそうになる信でしたが、わずかな気迫の差で輪虎を討ち取ります。しかし蒙驁は廉頗に敵いません。一騎打ちに持ち込まれ、片腕を落としてしまう蒙驁。 絶体絶命かに思えた秦軍でしたが、次の瞬間魏軍の本陣から落とされた合図の狼煙が上がったのです。桓騎が総大将を討ち取っていたのでした。こうして秦は山陽を手中に治めます。
⑤合従軍編ネタバレ(24〜33巻)
秦に最大のピンチ、合従軍現る
山陽攻略戦を終えた飛信隊は、連戦連敗を喫していました。理由は飛信隊の頭脳である羌瘣が、当初の目的を果たすため離脱してしまったためです。 しかし飛信隊に秦随一の軍師のもと修行を積んだ、新たな軍師・河了貂が派遣されます。信達が本来の強さを取り戻した頃、秦内部では未だに醜い勢力争いが続いていました。 勢力をのばし続ける呂不韋を食い止めるため、1度は謀反を起こした弟を頼る政。そんな内部すらまとまっていない状況で、驚くべき事実が発覚します。李牧の手によって集められた「趙」「魏」「楚」「燕」「韓」「斉」の6カ国が「合従軍」を形成し、秦に攻め入ろうとしていたのです。
函谷関を守れ、偉大なる将軍の最期
秦で1番の軍師・昌平君を中心に軍師達は策を考えますが、1番良い策でも成功確率は2割程度。その策とは他の防衛戦を全て捨て、国門である函谷関を全兵力で防衛するというものでした。何度かの窮地を迎えるも、各将軍の働きで何とか持ち堪える秦軍。しかし李牧は次なる手を用意していました。 李牧は函谷関ではなく山中の南道から、少数の兵を用いて咸陽に向かっていたのです。ほとんどが出し抜かれた李牧の策を唯一看破していた麃公は、飛信隊を引き連れ李牧を追います。しかしそこに現れた龐煖に討たれてしまう麃公。 麃公の死を聞いた政は、最後の手段に手を出すのでした。
李牧の秘策を迎え討て、まさかの援軍登場
政の最後の手段とは、李牧の進む先にある都市・蕞(さい)の住民と共に戦うことです。信と合流した政は、蕞の住民に語りかけます。そして政の言葉に心打たれ、迎え撃つ覚悟を決める住人達。李牧は一般人を巻き込みながらの防衛をやってみせる政に驚愕しました。 しかし永遠に防衛をし続けるのはやはり困難で、7日目にして遂に門を破られてしまいます。しかしそこには山の民の姿が。政が蕞の住民と防衛を続けた結果、山の民の援軍が間に合った秦は合従軍の撃退に成功したのです。 そんな中龐煖と対峙する信。信は龐煖とは自分が戦わなくてはと感じていました。そして王騎と麃公の気持ちを背負った信の刃は、遂に龐煖へと届くのでした。
⑥屯留編ネタバレ(34〜35巻)
成蟜の乱
かつて政と対立していた成蟜ですが、その心境は大きく変化し、国のために己の責務をまっとうし始めていました。そんななか、彼の第一夫人である瑠衣の帰郷先、屯留に趙軍が侵攻します。成蟜は妻を救うために出陣し、見事に敵を撃退するのです……が。 なんと、呂不韋の援助を受けた城主代行の蒲鶮(ほかく)が成蟜を投獄し、彼の名を利用した反乱を起こしたのです。この事態を知った政はすぐさま「成蟜が嵌められた」と推理し、壁軍や飛信隊に鎮圧を命じます。彼らは屯留軍のみならず趙軍とも激突し、熱戦を繰り広げることに。 その一方、成蟜は脱獄に成功し、地下牢に捕まっていた瑠衣を救出。彼は必死に戦い抜きますが、最後には息を引き取り帰らぬ人となってしまいます。成蟜の死と壁たちの勝利により、戦は何とか終結を迎えるのでした。
⑦著雍攻略編ネタバレ(35~37巻)
合従軍との戦いにより、魏国に奪われた著雍(ちょよう)。ここを奪還するため戦っていた騰の要請を受け、飛信隊と玉鳳隊が加勢に入ります。彼らは3つの部隊による同時攻撃で敵の援軍を食い止めつつ、3日後の同じタイミングに本陣を急襲する作戦を決行。 しかし、敵として立ちはだかるのは、圧倒的な武力を誇る魏火龍七師です。信たちは彼らを前に、大きな苦戦を強いられることになります。各隊はそれぞれ強敵と対峙しながら、3日目には何とか敵本陣へと攻め入ることに。 敵軍を率いる呉鳳明には逃亡を許したものの、秦軍は見事に勝利を収めるのでした。
⑧毐国反乱編ネタバレ(37~40巻)
秦国最北端に位置する都市・太原(たいげん)において、嫪毐(ろうあい)が毐国(あいこく)の建国を宣言。毐国は他国との密約も交わすなど日に日に勢力を増していくも、楚国のスパイである虎歴の策略により、秦国に対する反乱を起こすことになってしまいます。 このとき、秦では加冠の儀が雍(よう)という都市で行われており、首都・咸陽の守りは手薄になっていました。毐国はこの隙をついて咸陽へと侵攻しますが、飛信隊をはじめとする防衛軍が迎撃。敵は政の娘である麗の命を狙っており、信たちはそれを阻止しようと必死の抵抗を見せます。 最終的には昌平君らの協力もあり、咸陽防衛戦は秦国側が勝利。嫪毐をはじめとする反乱軍の中枢は処刑され、ようやく戦いが終結するのでした。
⑨六国征覇編ネタバレ(41〜46巻)
黒羊丘の戦い
趙国への侵攻における、最初の戦となった黒羊丘(こくようきゅう)の戦い。飛信隊は元盗賊の危険な武将・桓騎が率いる軍とともに、この戦いへ参加します。両部隊は李牧と並ぶ実力者と恐れられる、慶舎(けいしゃ)と激突。 桓騎は戦が始まってもまったくと言っていいほど動きを見せませんでしたが、4日目に慶舎への奇襲を仕掛け、戦況を一変させます。予想外の攻撃により趙軍は大きく混乱し、それに乗じて信が慶舎を討ち取ることに成功。さらに羌瘣が敵の主力である劉冬を撃破し、秦軍の勝利が大きく近づきます。 そんななか、なんと桓騎軍は戦地の周囲にある集落で虐殺を開始。これに激怒した信は桓騎たちと対立することになってしまいます。しかし、この残虐な行為すらも桓騎の策略のひとつ。彼は住民たちの遺体で奇妙なオブジェを作り、残った趙軍を脅迫したのです。 これにより敵の残存戦力は撤退を決意し、黒羊丘の戦いは秦軍の勝利で終幕を迎えるのでした。
斉趙来朝
秦の宰相として活躍した蔡沢(さいたく)の手引きにより、政は斉王の王建、さらに趙国の李牧と会談をすることになります。王建は「法により国を治める」と語る政に感銘を受け、事実上の降伏ともとれる態度を示しました。 また李牧は政に対し、「戦を根絶するために、敵対する七国で同盟を結んではどうか」と提案し、政に六国の王への招集をかけるよう呼びかけます。一見すると平和的な提案に見えますが、政は「自身や李牧がいなくなった時代に盟約が守られる保証がない」と、その案を拒否しました。 さらに「秦は武力を以て六国全てを攻め滅ぼし中華統一を成し遂げる」という旨の、宣戦布告とも取れる発言をしたのです。それを受け、李牧は趙へと帰還。ここから両国の戦いは、さらに激しさを増していくのでした。
⑩秦連合軍VS趙防衛軍編:前編ネタバレ(46〜61巻)
中華統一に向け打ち出された奇策とは?
政の目標である中華統一が15年では不可能だと考えた昌平君は、李牧を出し抜くため趙国の王都である邯鄲のすぐそばに位置する「鄴」を狙うという奇策を提案します。そして秦は総大将・王翦を含めた3人の将軍を選抜した3軍連合軍で、鄴へと進軍しました。 趙の国門である列尾に到着した連合軍は、1日で列尾を落とします。しかしこの弱すぎる国門を李牧の策略だと気付いていた王翦は、鄴とは無関係の吾多に攻め入りました。その後も次々と鄴の周囲の城を落としていく王翦の行動を理解できない李牧と連合軍のメンバー。 しかしすでに複数の城を落とした後、李牧は気付きました。李牧が秦軍に兵糧攻めを仕掛けていると気付いた王翦は、周りの城を落とし住人を鄴に集めることで、自身も李牧に兵糧攻めを仕掛けていたのです。
秦軍に潜む李牧の影
散り散りに様々な戦いが繰り広げられる中、遂に李牧が行動を起こします。李牧は自ら左翼に潜り込むと、指揮をとっていた麻鉱(まこう)をいとも簡単に討ってしまったのです。それにより窮地に陥ってしまう左翼ですが、蒙恬の力で何とか持ち直しに成功します。 趙軍の左翼へ援軍として登場した藺家十傑筆頭・尭雲(ぎょううん)と一騎打ちをする信は、尭雲のさすがの実力に苦戦を強いられます。一方その間信不在の飛信隊では、羌瘣が凄まじい強さを見せていました。 そしてときは経ち、迎えた秦趙大戦9日目。信は相手武将の岳嬰(がくえい)の討ち取りを命じられていました。鬼気迫る勢いで信に詰め寄る岳嬰。しかし信は動揺を全く見せず、岳嬰を一刀両断したのです。
命運を握る飛信隊の活躍
信の次なる目的は、趙峩龍(ちょうがりゅう)の首です。趙峩龍と一騎打ちに持ち込みたい信でしたが、信の行く手を副隊長である徐肖と徐林が阻みます。その中でも古くからの仲間の死や、限界を越えた羌瘣の助けを受け、遂に趙峩龍の前に立つ信。 しかし軍略を巡らせていた趙峩龍でも、やはり将軍。手負いの信は苦戦を強いられます。次の瞬間王騎の矛を振るう信に、王騎の影を見る趙峩龍。そして趙峩龍は負けを覚悟し、信に一刀両断されました。 龐煖と対峙する羌瘣は、かつてないほど深く潜ります。スピードだけで言えば龐煖を圧倒する羌瘣。激戦の末、体を捕らえられた羌瘣はスピードを活かすことができず、ボロボロにされてしまうのでした。
信VS龐煖!宿命の戦いの末に
龐煖に投げられた羌瘣を、駆けつけた信が受け止めます。龐煖に仲間や尊敬する大将軍を殺され、羌瘣もボロボロにされた信。彼が怒りを露わにすると、龐煖も信が持つ王騎の矛を見て怒り強烈な一撃を浴びせました。 龐煖は確かに武を極めています。しかし彼は紛れもなく1人。信の人の気持ちを背負う力には勝てません。王騎や漂など死んでいった仲間の気持ちを背負い、遂に信は龐煖の身体を斬り裂きました。 勝利に湧く飛信隊ですが、信は絶命してしまいます。勝利の喜びから一転した隊の前に、羌瘣が現れ「禁術」について語り始めました。信の心と繋がり、漂と共に信の蘇生を目指す羌瘣。そして彼女は自分の寿命半分と引き換えに、信を生き返らせるのでした。
羌瘣VS羌礼!蚩尤どうしの戦い
飛信隊の面々は、戦場で趙軍を葬る蚩尤族の人物を見つけます。その羌瘣の妹分に当たる蚩尤の羌礼(きょうれい)は、自身を飛信隊に入隊させるよう話しました。 一旦羌瘣の部隊で預かり入隊が決まった羌礼ですが、その目に余る素行は飛信隊に波紋を呼びます。遂に痺れを切らした隊員が彼女を追い出そうとすると、羌礼は真の目的が「羌瘣を殺すこと」だと語ったのです。 「祭」にて友であった羌識が戦いに手を抜いたため、裏切られたと感じていた羌礼。それにより彼女は死を貪る闇の神に変貌してしまっていました。羌瘣は戦いの中で、羌礼に羌識が最期に語った言葉を思い出させます。 そして羌識の「強く生きて」という言葉を思い出し、羌礼は涙を流し改心するのでした。
⑪秦連合軍VS趙防衛軍:後編ネタバレ(62~69巻)
六将制度復活!各武将が戦場を駆け巡る
年も明けた始皇13年、政は六将制度の復活を大々的に発表します。選ばれた将軍は「蒙武」「騰」「王翦」「楊端和」「桓騎」の5人です。政は6席目を「空席」とした上で、黄金の六翼を持つ天の使いの像を掲げました。 六将の1人として最前線に立つ桓騎は、「影丘」という攻めに向かない最悪の土地を強引に割っていきます。敵も多く葬っているものの、味方の命をそれ以上に散らせていく桓騎。結婚し子供ができたばかりの王賁も呼び出され、その戦いに巻き込まれていきました。 王翦軍ではなく桓騎軍の手駒となった飛信隊も、伝令によって影丘へ駆り出されます。しかし、向かった先に広がっていたのは王賁率いる玉鳳隊のほぼ壊滅した姿。 また、羌瘣は六大将軍が復活した際のデメリットとして大将軍の暴走を危惧していたのでした……。
玉鳳隊の意志を継ぎ飛信隊が動く!
桓騎軍は趙軍に苦戦を強いられ、玉鳳軍も召集されます。しかし戦況は大きく変わらず、玉鳳軍も壊滅状態になってしまいました。そこに現れた飛信隊は玉鳳軍を救出し、王賁の助言を受け断崖の攻略に臨みます。 信たち騎馬隊が暴れる中、歩兵は相当な傾斜の崖を登ります。趙軍の投石を受けても、彼らは一心不乱に登り続けました。飛信隊の歩兵は百姓であり、普段から重労働をおこなっています。そのうえ厳しい試験を突破し鍛錬を積んでいるため、他の隊の歩兵よりも屈強なのです。 ついに崖を登りきった歩兵たちの想像以上の強さに、驚きを隠せない趙軍。そして信たち騎馬隊も合流し、戦いに勝利したのでした。
強すぎる将軍・桓騎の戦いと暴走
雷土は敵将の息子を惨殺し将軍を誘き寄せます。しかし逆に生け捕りにされてしまい、扈輒のもとに連れて行かれてしまいました。そして桓騎軍は撤退を余儀なくされ、敗走を続けています。 しかし実際は桓騎と本体は撤退する兵に身を隠しており、敵本陣に奇襲を掛けました。そして孤立した扈輒の首を取り、戦に勝利します。 桓騎の作戦を知っていたものの口を割らなかった雷土は、拷問を受けバラバラにされてしまっていました。それを受け桓騎は報復に、捕虜となった敵兵数万人を虐殺してしまったのです。 それを知った政は激怒し、自ら前線に赴きます。悪びれる様子がない桓騎に処刑を言い渡す彼。理想に生きる政と悲しいほど現実をみる桓騎は、口論を繰り広げました。そして政は状況をみて桓騎を許すと決めます。
そして開幕……!宜安での攻防戦
ピンチに陥った趙は、2年ぶりに李牧を呼び寄せます。そして彼は策を練り、北にある宜安へと向かいました。 信と再会を果たした政は、桓騎が虐殺したため趙の恨みが前線にいる信たちに向かうのが怖いと話します。そしてその心配は現実のものとなりました。 王翦軍が前線で戦っていると、捨身で戦う兵士たちが現れます。彼らは桓騎が殺した捕虜たちの親族で、秦軍への恨みを晴らす機会を待ち望んでいたのです。 しかし桓騎の首を取ろうと猛進してくる龍白公を、信が倒し閼与を制圧します。そのまま王翦軍を置いて、桓騎軍や飛信隊は先に進みます。しかし赤麗城には兵がおらず、怪しい雰囲気のまま夜を明かしました。そしてついに宜安での戦いが幕を開けるのです。
李牧に追い詰められるも奮闘する秦軍
李牧の緻密な計画によって、あっという間に包囲されてしまった秦軍。桓騎はなぜか落ち着き払って動こうとしませんが、そんな中で信は仲間を鼓舞し、左翼の楽華隊と協力して囲みから抜け出すことに成功します。 その後取り残されたままの桓騎は、何やら十字型の奇妙な陣形を展開し始めました。続けて敵の弱みを見極めつつ、ゼノウ一家を先頭に突き進み、ついに囲みを突破します! 一方、飛信隊は紆余曲折のすえ宜安城を制圧することに成功。また戦いが進む中で、桓騎の衝撃の過去も明らかになり、彼の原動力となっているのが「激しい怒り」だと語られていきます。
両軍の戦いの決着は……!?
宜安城を落とした秦軍は、一致団結して戦いを続けようとします。そんな中、桓騎は李牧を罠にはめることに成功。趙軍と秦軍の激しい戦いが繰り広げられ、ついに桓騎と李牧の一騎打ちが始まるのでした。 しかし趙軍のほうが圧倒的に優勢で、桓騎の軍はどんどん削られていきます。勝敗がつく直前に李牧が投降を勧めるも、桓騎はそれに応じないどころか笑い飛ばしてみせました。そして最後の最後まで自分らしく戦い抜きましたが、結局激しい戦いのすえに命を落としてしまいます。 一方、飛信隊の面々は趙軍の追手をかいくぐりながら、どうにか国に帰ることに成功しました。
⑫対韓攻略準備編ネタバレ(69〜72巻)
下見のために韓へと向かう信たち
趙北部の侵攻の失敗を受け、昌平君は帳尻合わせの意味もあって韓を次なる標的に定めました。 こうして信は下見のため、騰たちとともに韓へ向かうことになります。やがて王都・新鄭に到着した一同は、その豪華絢爛ぶりや巨大さにひたすら圧倒されてしまいます。 その後彼らが出会ったのが、「人の本質はなんだ?」と哲学的な問いをぶつけてくる法の大家・韓非子。果たして信はこの問いに対しどのような答えを繰り広げるのか……。外交という名の化かし合いが今幕を上げます。
天才たちの総力戦「番吾の戦い」
秦の主力として活躍する王翦と、趙の中心人物である李牧が激突した番吾(ばんご)の戦い。互いに25万~30万ほどの大軍を用意した戦は、予想以上のスピードで展開していきます。 李牧が策略を張り巡らせ信などの主力を足止めする一方で、司馬尚(しばしょう)を総大将に据えた青歌軍が王翦の中央軍に猛進。中央軍にも主力級の武将が数多くいましたが、司馬尚の圧倒的な武力を前に苦戦を強いられてしまいます。 戦闘は開始直後からヒートアップし、勝利がどちらに転んでもおかしくない状況に。秦が勝利をもぎ取れるかどうかは、足止めされている飛信隊の面々にかかっていると思われます。これからの展開に要注目です!
あの戦いの決着は?主な対戦を一覧でおさらい!
王都奪還編 | 信(勝利)vs 朱凶 信(勝利)vs左慈 信&バジオウ(勝利)vsランカイ |
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蛇甘平原編 | 信(勝利)vs黄離弦 信(勝利)vs麻鬼 麃公(勝利)vs朱鬼 麃公(勝利)vs呉慶 |
馬陽防衛編 | 蒙武(勝利)vs剛乱 信(勝利)vs馮忌 信vs龐煖(勝負付かず) 王騎(勝利)vs渉孟 王騎vs龐煖(勝利) 信(勝利)vs魏加 騰(勝利)vs趙荘 |
山陽攻略編 | 信(勝利)vs輪虎 信vs玄峰(勝利) 桓騎(勝利)vs介子坊&玄峰 栄備vs輪虎(勝利) 信(勝利)vs輪虎 桓騎(勝利)vs白亀西 |
合従軍編 | 騰(勝利)vs臨武君 信(勝利)vs万極 張唐(勝利)vs成恢 麃公vs龐煖(勝利) 信(勝利)vs傅抵 |
秦連合軍VS趙防衛軍編 | 麻鉱vs李牧(勝利) 信(勝利)vs岳嬰 壁(勝利)vsロゾ 信(勝利)vs趙峩龍 蒙恬(勝利)vs馬南慈 信(勝利)vs龐煖 羌瘣(勝利)vs羌礼 蒙武vs満羽(勝負付かず) 桓騎(勝利)vs扈輒 信(勝利)vs龍白公 |
アニメ版・実写映画版『キングダム』ではどこまで描かれる?
アニメ版『キングダム』の原作対応表
アニメ1期 (全38話) | 1巻〜16巻 王都奪還編 , 蛇甘平原編 , 馬陽防衛編 |
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アニメ2期 (全39話) | 17巻〜24巻 山陽攻略編 |
アニメ3期 (全26話) | 25巻〜34巻 合従軍編 |
アニメ4期 (全26話) | 34巻〜40巻 王弟謀反 , 著雍攻略戦 , 嬴政加冠~嫪毐の乱 |
アニメ5期 (全13話) | 41巻〜45巻 黒羊攻防戦 |
実写映画「キングダム」の原作対応表
キングダム (2019年公開) | 1巻〜5巻 |
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キングダム2 遙かなる大地へ (2022年公開) | 5巻〜7巻 |
キングダム 運命の炎 (2023年公開) | 8巻 , 11巻〜16巻 |
キングダム 大将軍の帰還 (2024年公開) | 16巻〜 |
『キングダム』レビュー・感想
『キングダム』はもともと下僕であった信が、猛スピードで出世していくのが爽快でカッコいいです。主人公が強く次々とジャイアントキリングを起こしていく王道のバトル漫画が好きな人には、確実におすすめできます。また実際の歴史に沿って進んでいくので、照らし合わせながら読むのも面白いです!
歴史系の話、長編漫画はあまり得意ではないのですが、『キングダム』は気づいたら一気読みしていました!アツいバトルと目まぐるしく変わる戦況から目が離せません。何より、出てくるキャラがカッコ良すぎる……。強くて信念があって前進し続ける兵士たち、ハラハラしながら、応援しながら読み進めてしまいます。
今からでも遅くない!『キングダム』を読んで信の中華統一を見届けよ
下僕の少年が強敵を討ち戦乱の世を駆け上がる姿を描いた作品『キングダム』。今回はそんな『キングダム』の全編あらすじを、ネタバレありで紹介してきました。 原作もさることながら、本作はアニメや映画の迫力あるアクションも必見の作品です。