おすすめシリアルキラー映画11選 実話・架空で分けて紹介【2023最新】
タップできる目次
- シリアルキラーとは?実在の人物がモデル&架空のキャラクターを主人公にした作品を紹介
- 『テッド・バンディ』(2019年)
- 『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』(2020年)
- 『永遠に僕のもの』(2019年)
- 『モンスター』(2004年)
- 『チェイサー』(2009年)
- 『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017年)
- 『凶悪』(2013年)
- 『冷たい熱帯魚』(2011年)
- ciatr厳選!架空のキャラが主人公のシリアルキラー映画を紹介
- 『ハウス・ジャック・ビルト』(2019年)
- 『ノーカントリー』(2008年)
- 『羊たちの沈黙』(2001年)
- もしも隣にシリアルキラーがいたら?日常に潜む恐怖
シリアルキラーとは?実在の人物がモデル&架空のキャラクターを主人公にした作品を紹介
恐怖のシリアルキラーといえば、一番初めに思いつくのはハンニバル・レクター?それとも『IT』のペニーワイズ?実は前者は架空のキャラクター、後者は実在の人物をモデルにしたシリアルキラーです。 「シリアルキラー」という言葉が最初にFBIによって使用されたのは、1989年に死刑執行された女性連続殺人犯テッド・バンディからとされています。思いの外、古くから使われていた言葉ではありません。 FBIの定義によれば、シリアルキラーとは“一定期間を置きながら複数の殺人を繰り返す”連続殺人犯ということ。特に異常な心理的欲求が原動力であり、精神障害を患っていたり、サイコパスであることが多いようです。 記事前半では、実在のシリアルキラーをモデルにした良作をciatr独自調べでピックアップ。実際の事件や犯人についても触れていきたいと思います。 記事後半では架空のキャラを主人公にしたシリアルキラー映画をciatr編集部で厳選してみました。
『テッド・バンディ』(2019年)
シリアルキラーという言葉を生んだ連続女性殺人犯!ザック・エフロンがテッド・バンディを熱演
2019年公開の『テッド・バンディ』では、『ハイスクール・ミュージカル』や『グレイテスト・ショーマン』で華麗なダンスと歌を披露したザック・エフロンが、実在の連続女性殺人犯テッド・バンディを演じました。監督を務めたのは、テッド・バンディのドキュメンタリー『殺人鬼との対談:テッド・バンディの場合』を手がけたジョー・バリンジャーです。 テッド・バンディの罪状は、30人以上もの女性たちの誘拐・強姦・殺人。1974年から1978年の5年間に7つの州に渡って犯行を行い、2度逮捕され、3回の死刑宣告を受け、1989年に電気椅子によって死刑が執行されました。 何より仰天するのは、そんな男が妻と娘の3人で幸せな家庭を築いていたことと、多くの女性たちの目には彼が魅力的に映っていたこと!本作ではイケメンのザック・エフロンがその容姿を利用して女性たちを手にかける様子を熱演。裁判でもカリスマ性すら感じさせる魅力を発揮し、テレビで見ていた女性たちを虜にする姿も描かれています。 このギャップこそ、バンディの犯罪を可能にさせ、世紀のシリアルキラーとして名を刻んでいる所以。まさに、女性に力を誇示しコントロールする欲求から犯行を繰り返すシリアルキラーの典型といえます。
『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』(2020年)
ドイツで起きた連続娼婦バラバラ殺人事件!イケメンが醜い殺人鬼を怪演
『ソウル・キッチン』で著名なドイツ人監督ファティ・アキンが、ドイツに実在した娼婦連続殺人犯フリッツ・ホンカの日常を描いたサスペンス・ホラー。ホンカを演じたのは、『僕たちは希望という名の電車に乗った』で注目を浴びたヨナス・ダスラーです。 ドイツ・ハンブルグで1970年から1974年の間に4人の娼婦を殺害したフリッツ・ホンカ。アパートに連れ込んで性行為の後殺害し、遺体をバラバラにして屋根裏部屋に隠していました。1975年にアパートが火事になったため、事件は発覚。終身刑を受けたホンカは刑務所の精神病棟で15年過ごし、1993年に仮釈放されて別名で老人ホームに住み、その5年後に亡くなっています。 ホンカの犯罪の背景にあるのは、その醜い容姿と恵まれない幼少期。敗戦後間もないドイツの孤児院で育ち、斜視のような目と鼻が曲がった顔のためいじめを受けていたといいます。本作ではバーで娼婦に声をかけ、部屋へ連れ込むフリッツの一連の行為が映し出され、その淡々とした様子に恐怖を感じます。
『永遠に僕のもの』(2019年)
アルゼンチンに実在した美少年シリアルキラー!新星ロレンソ・フェロのデビュー作
アルゼンチンの連続殺人犯カルロス・ロブレド・プッチをモデルとしたクライム・ドラマで、主人公カルリートスを本作が映画デビュー作となるロレンソ・フェロが演じました。製作をペドロ・アルモドバル、監督をルイス・オルテガが務めています。 プッチはアルゼンチンでは知らない者がいないほど有名な犯罪者。1971年だけで11人もの殺人と強盗を犯し、翌年逮捕され、19歳という若さとその美貌で世間を騒がせました。「死の天使」と呼ばれたプッチは終身刑を受け、68歳になった2020年現在もアルゼンチンの刑務所で生きています。 映画ではプッチはカルリートス、その相棒ホルヘ・イバニェスはラモンと名を変えられ、2人の関係性に主題を置いて描かれています。ラモンに魅了されたカルリートスが、彼とともに犯罪を犯す日々にのめり込んでいく様子はさながら青春映画のよう。窃盗を天職と感じ、殺人も躊躇しないカルリートスは、典型的なソシオパスの殺人者だったのでしょうか。
『モンスター』(2004年)
アメリカ史上初の女性シリアルキラー!アイリーン・ウォーノスをシャーリーズ・セロンが演じる
アメリカでも珍しい女性の連続殺人犯アイリーン・ウォーノスの実話を映画化したクライム・ドラマ。シャーリーズ・セロンが体重を増やして特殊メイクで挑み、アカデミー賞主演女優賞を受賞しました。 1989年から1990年の約1年間に、フロリダ州で7人の男性を殺害したアイリーン・ウォーノス。恋人であり相棒だったティリア・ムーアとともに、生活のため犯行を重ねていました。1991年に逮捕され、初めはレイプによる正当防衛を主張。しかし検察側の証人となったティリアの裏切りによって容疑を認め、2002年に薬物注射で死刑が執行されました。 貧しい家庭に生まれ、虐待されて育ったウォーノスは娼婦となり、男性一般を憎んでいたのかもしれません。映画ではティリアをモデルとした少女セルビーと出会って同性愛の関係になります。『永遠に僕のもの』のカルリートスとラモンの関係性にも似て、共依存の関係だったといえるでしょう。
『チェイサー』(2009年)
ソウル20人連続殺人事件がモデル!ハ・ジョンウが演じた恐るべきサイコキラー
『神と共に』のハ・ジョンウが連続風俗嬢殺人犯ヨンミンを怪演した、『哭声 コクソン』のナ・ホンジン監督によるクライム・スリラー。ヨンミンを追う元刑事ジュンホをキム・ユンソクが演じ、緊迫の追跡劇を繰り広げました。 モデルとなった実際の事件は、2003年から2004年の2年間に起こった「ソウル20人連続殺人事件」。犯人のユ・ヨンチョルは、富裕層の高齢者や風俗嬢など20人を殺害し、遺体を解体して内臓を食べたといいます。2004年12月には死刑宣告を受けていますが、同年1月に一度窃盗罪で逮捕されたものの釈放されていました。映画でも証拠不十分で釈放され、新たな犠牲者が出てしまう件が描かれています。 ヨンチョルをモデルとしたヨンミンを演じたハ・ジョンウの“どこにでもいそうな普通の青年”といった風貌と行動が、逆に底知れない恐怖を生んでいる本作。警察の後手後手に回る捜査に苛つき、自分のせいで失踪した風俗嬢を命をかけて追跡するジュンホの後悔と憤怒にやり切れなさを感じます。
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017年)
ペニーワイズには実在のモデルが!殺人ピエロと呼ばれたジョン・ゲイシー
スティーブン・キングのホラー小説「IT」の2度目の映像化作品で、小説の前半が2017年、後半が『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』として2019年に公開されました。殺人ピエロ「ペニーワイズ」に襲われる子どもたちの戦いを描いています。 ペニーワイズというキャラクターから連想されるのは、実在の連続少年殺人犯で「殺人ピエロ」の異名を持つジョン・ゲイシー。ピエロに扮して子どもたちを楽しませる一方、少年たちに性的暴行を加えていました。自身の少年愛嗜好を隠すため、殺害して遺体を地下や川に遺棄。犯行は1972年から始まり犠牲者は33名にのぼりました。 逮捕されたのは1978年。幼少時から父親に虐待を受けていたゲイシーは、裁判では多重人格障害を主張しましたが、1980年に12回の死刑判決と21回の終身刑を受け、1994年に薬殺による死刑が執行されました。 次々に子どもたちを神隠しのように誘拐しては殺していくという都市伝説的な“それ”は、人々の恐怖を糧に日々大きく醜く成長していきます。ゲイシー=ペニーワイズではありませんが、得体の知れない恐怖をもたらす殺人鬼の造形に大きな影響を与えたことは間違いありません。
『凶悪』(2013年)
死刑囚の告発!雑誌記者が追い詰めた未解決事件の連続殺人犯
「新潮45」編集部によるノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」を、白石和彌監督が映画化。死刑囚の告発をもとに未解決の連続殺人事件を取材した記者の視点から、“凶悪な”犯罪を暴き出しています。記者を山田孝之、死刑囚をピエール瀧が演じました。 基になったのは1999年から2000年にかけて茨城県で起きた「上申書殺人事件」。別の殺人事件で死刑判決を受け上訴中だった元暴力団組長が、自らの余罪を明らかにしてまで共犯者を告発しようとした事件です。3件の殺人事件で組長と共謀したのは、不動産ブローカーで「先生」と呼ばれた男。記事が世に出て先生は逮捕され、保険金殺人の1件で無期懲役となりました。 ピエール瀧演じる元組長の残忍さ、リリー・フランキー演じる先生の柔和な笑顔の中に潜む狂気にも背筋が凍ります。しかし事件を追いかけるうちにその凶悪さに取り込まれていく記者の姿にも、使命感を超えた狂気を感じるかもしれません。
『冷たい熱帯魚』(2011年)
“ボディを透明にする”遺体なき殺人!埼玉愛犬家連続殺人事件をベースにした狂気のサイコ・サスペンス
『愛のむきだし』の園子温監督が、1993年に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件を基に恐るべきシリアルキラーを描いた作品。猟奇的・性的な描写でR18+の指定を受けた衝撃作ですが、日本国内の映画賞で作品・監督・助演男優賞を受賞するなど高い評価を受けました。 埼玉愛犬家連続殺人事件の主犯は、ペットショップ「アフリカケンネル」を経営する元夫婦の関根元と風間博子。詐欺的な商売で顧客とのトラブルが絶えず、1993年から次々と彼らの周辺人物が失踪し、1995年に3件の殺人・死体損壊遺棄容疑で逮捕されました。2009年には主犯二人の死刑が確定しましたが、遺体なき殺人のため未解決になった失踪事件も残されています。 映画ではドッグブリーダーを熱帯魚屋に変更し、関根をモデルとした村田をでんでんが怪演。快活で人当たり良く社交的な村田が、一転して裏の顔を見せる場面はゾッとします。事件に巻き込まれる同業者の社本を吹越満が演じ、実際の事件とは違う結末を担う様は村田の狂気を超えます。
ciatr厳選!架空のキャラが主人公のシリアルキラー映画を紹介
特定の人物をモデルにしていないシリアルキラー映画をciatr編集部が厳選。事実に囚われず、イマジネーションを膨らませたからこそ生まれた魅力的なシリアルキラーたちを是非堪能してみてください。
『ハウス・ジャック・ビルト』(2019年)
鬼才ラース・フォン・トリアー監督がシリアルキラーの葛藤と欲望を描いたサイコ・ホラー
『ニンフォマニアック』など「鬱三部作」で知られるデンマークの鬼才ラース・フォン・トリアー監督によるサイコ・ホラー。マット・ディロンが強迫性障害を持つ自称「建築家」のシリアルキラーであるジャックを演じ、あまりにも過激な描写が賛否両論を巻き起こしました。 1970年代のアメリカ・ワシントン州。建築家になる夢を持つジャックは、ある事をきっかけに殺人を「アート」として捉えるようになります。ジャックはそれから12年かけて彼の理想の家を建てるため、狂気の犯行を繰り返していきます。 カンヌ映画祭では途中退場者が続出したという超が付く問題作。日本ではなんと無修正の完全ノーカット版がR18+指定で上映されました。 ジャックが美を追求した5つの殺人エピソードが彼が思い出す順に映し出され、その驚愕の殺害方法には吐き気を催すかも。それでもなお映画としての完成度は高く、マット・ディロンの怪演も相まって魅力的に映るから恐ろしい!
『ノーカントリー』(2008年)
家畜銃を持って殺し屋アントン・シガーがやって来る!コーエン兄弟によるクライム・スリラー
コーマック・マッカーシーの小説「血と暴力の国」を原作とし、コーエン兄弟が監督・脚本を務めたクライム・スリラー。ハビエル・バルデムが家畜銃を武器にするサイコパスな殺し屋アントン・シガーを演じ、アカデミー賞では作品・監督・脚色・助演男優賞の4冠を獲得しました。 1980年のテキサス、麻薬密売人の銃撃戦があった現場に遭遇したベトナム帰還兵のルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)。その場から大金が入ったケースを持ち去り、金の回収で雇われた殺し屋アントン・シガーに追われる羽目に。さらにこの2人を、保安官エド・トム・ベル(トミー・リー・ジョーンズ)が追います。 モスを執拗に追って来るシガーが使う武器は、家畜を一発で仕留める空気銃。ガスボンベをぶら下げてゆっくりと迫る様は恐怖そのもの!追う間にも表情1つ変えず淡々と殺人を犯すシガーはサイコキラーの典型のようですが、どこか可笑しみすら醸し出す不思議なキャラクターです。
『羊たちの沈黙』(2001年)
IQの高いシリアルキラーというイメージを創り出したハンニバル・レクター
トマス・ハリスによる同名小説の映画化作品で、猟奇殺人犯ハンニバル・レクターというキャラクターを世に知らしめたサイコ・スリラーの傑作。レクターはアンソニー・ホプキンスの当たり役となり、レクターと交流するFBI訓練生クラリスを演じたジョディ・フォスターの代表作にもなりました。 若い女性が殺害され、皮膚を剥がされるという猟奇的な連続殺人事件が発生し、「バッファロー・ビル」と呼ばれる犯人が逃走。FBI訓練生のクラリスは、元精神科医の猟奇殺人犯で、ボルティモア州立精神病院に収監中の囚人ハンニバル・レクターに助言を求める任務を課されます。 本筋はバッファロー・ビルが起こす連続猟奇殺人事件を追うサスペンス・スリラーですが、キーマンとして登場したレクターのインパクトは大きく、IQの高いシリアルキラーというステレオタイプを創り出したキャラクターといえます。プロファイリングという言葉を定着させた作品でもあります。
もしも隣にシリアルキラーがいたら?日常に潜む恐怖
ここまで様々な型のシリアルキラーが登場する映画を紹介してきましたが、ここに挙げた作品はごく一部。まだまだこの世界には多くのシリアルキラーが実在し、それを取り上げた映画が他にも制作されています。 どうやらシリアルキラーに共通しているのは、その異常性を隠しながら奇妙にも日常に溶け込むことができる能力。もしも隣にシリアルキラーが住んでいたら?と思わずにはいられなくなります。 レクターのようなステレオタイプを生むこともありますが、実在のシリアルキラーを描いた映画を観て、少しでもその特徴を知るのはあながち間違いではないかも。その心理に共感はできなくても、理解はできるかもしれません。