2022年9月12日更新

『竜とそばかすの姫』けいくん(恵)はその後どうなった?弟やすずへの言動から強さを考察

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竜とそばかすの姫 場面写真4
(C)2021 スタジオ地図

2021年に公開され、大ヒットを記録したアニメ映画『竜とそばかすの姫』。細田守監督率いるスタジオ地図が制作し、劇中の音楽や斬新な映像美を中心に大きな話題となりました。 本作に登場するキーマンは、東京に住む「けいくん」こと恵という少年。この記事では、けいくんのプロフィールやその正体について徹底的に考察していきます。

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恵(けい)のプロフィール

竜とそばかすの姫 場面写真10
(C)2021 スタジオ地図
名前 恵(けい)
年齢 14歳
家族構成 父親 , 弟の知(とも)
声優 佐藤健

けいくん(恵)は東京多摩市に住む14歳の少年で、名前は「けい」と読みます。母親を亡くした父子家庭で育ち、自分の正義を押し付ける父親から日常的に暴力を受けていました。 父親のDVから弟の知(とも)を守るため、日々必死に身を挺しています。2人とも家の1室に監禁された状態で、外では仲の良い家族をアピールする父親を心底憎んでいるようです。

けいくんの弟の名前は?

名前は知(とも)です。アバターはクリオネの天使。父親と兄である恵(けい)と3人で暮らしています。

けいくんのその後は小説で明かされる?

小説版『竜とそばかすの姫』でも、けいくんのその後は明かされていません。

けいくんのその後を考察 本当に救われたのか?

『竜とそばかすの姫』
©2021 スタジオ地図

本編のクライマックスで、すずの行動によって勇気づけられたけいくん。ラストには「君の立ち向かう姿を見てハッとした、僕も立ち向かわなきゃいけないって思ったら。だから闘うよ」と話しており、物語のその後も前向き思えるようなセリフで登場シーンを締めくくっていました。 しかしまだ14歳の子供であるけいくんにできることは限られています。そして虐待の問題はそんなに簡単に解決できるほど甘くありません。視聴者の中には、ハッピーエンドのような終わらせ方になんとなくモヤモヤしてしまった人もいるのではないでしょうか。 果たしてけいくんとともくんはその後、暴力を振るう父親から助かったのでしょうか? けいくんのその後を、過去から遡って解説・考察していきます。

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結論:けいくんとともくんは救われた

けいくんとともくんが実際に父親から救われたかどうかは、映画でも小説でも明らかになっていません。 しかしけいくんの心は、映画のラストシーン、すずによってたしかに救われました。これからもけいくんは前向きに生きているはずですし、暴力をふるう父親とちゃんと向き合って闘うでしょう。 その理由はけいくんの心の傷を読み解くことによってわかります。

そもそもけいくんの心の傷は虐待だけではない

けいくんは父親の虐待によって傷ついていましたが、彼の傷はそれだけではありませんでした。 「助ける助ける助ける!うんざりなんだよ!」「今まで何度も聞いた。でも結局何も変わらなかった」というセリフからわかる通り、けいくんはこれまでほかの大人にSOSを出して何度も見捨てられてきたのです。他人に対する不信感が、けいくんをより深い絶望に突き落としているとわかります。 また、けいくんは弟のともくんを本当に大事に思っていますが、彼を守る力が自分にはありません。弟を守りたいけれどこんな自分ではせいぜい代わりに傷つくことしかできない、そんな自分の非力さを悔しく思う気持ちと諦めが、けいくんの心の闇を深めていたのではないでしょうか。 虐待という現実の問題は解決できなくとも、この2つの心の傷を癒したのが、ベルでありすずだったのです。

①「他人への不信感」の払拭

『竜とそばかすの姫』
『THE MAN WHO LEAPT THROUGH FILM 細田守の芸術世界』より

すずはけいくんたちの虐待の現場を目撃してすぐ、自らの危険を顧みずにけいくんのもとへ駆けつけました。その行動は「無謀」だと批判されることもありますが、これまでたくさんの大人から見捨てられてきたけいくんにとっては、「本当に来た」という事態がすでに何よりうれしい出来事だったはず。 捨て身でも一緒に危険と闘ってくれる人が現実世界にいたことが、けいくんの「他人への不信感」を少し払拭し、再び人に助けを求める動きにつながっていくのではないでしょうか。

②「弟を守れないと諦め」から希望を持てるように

けいくんは弟を守れないことを悔しがりながらも、自分には何もできないと諦めて仮想世界に現実逃避、ストレス発散で暴れて回っていました。 諦めの根底には自己肯定感の低さがあり、それは父親から日常的に「自分に従わないならお前らには何の価値もない」と言われてきたからかもしれません。 しかし仮の姿(竜)でもベルに愛してもらえたことで自己肯定感が高まり、さらにインターネットで実際に助けを呼べたことで、自分にできる可能性の大きさに気づけたのではないでしょうか。 今後はインターネットなどを活用して、仮の姿の自分でただ暴れるのではなく、真実を世間に発信して真っ直ぐ助けを求められるようになるかもしれませんね。

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その気になれば実はけいくんはかなり強い?

すずとの出会いによって心の傷を癒やされ前向きになったけいくんは、残る虐待の問題と闘うことになっていきます。しかしやる気になったところで、暴力を振るう父親と闘って勝つのは、普通の14歳には難しすぎますよね……。 ですがけいくんは普通の14歳ではありません。実はとても強い14歳な可能性があります。その理由を「竜」というアバターから読み解いていきましょう。

恵の強さを体現した<Us>が「竜」

竜とそばかすの姫 場面写真17
(C)2021 スタジオ地図

〈U〉の世界では、アバターとなる〈As〉は「ボディシェアリング」という機能で潜在的な能力を引き出されます。その機能ですずも、潜在的な歌唱の能力が引き出された「歌姫ベル」となりました。 このことから、けいくんのアバターである「竜」は、けいくんの本当の強さを体現したものであるといえます。竜のポテンシャルを分析すれば、けいくんがどんなに強い少年なのかがわかるでしょう。 現実では自分の強さに気付いていませんが、ともくんを守るため暴力に耐えていることからも、彼の精神的な強さがうかがい知れます。

強さを渇望している

竜の姿のけいくんは、<U>の中でいつも暴れ回っていろんなアバターと戦い続けています。これはけいくんが、強さを渇望しているからではないでしょうか。 「強さ」と言っても暴力的な父親に育てられたけいくんは、腕っ節の強さしかわかりません。本当は弟をまもれる強さがほしいのに、強くなりたいという想いが、他者に対して暴力でねじ伏せる格闘スタイルとして表層化しているのではないでしょうか。

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弟・ともくんと一緒ならもっと最強

竜とそばかすの姫 場面写真6
(C)2021 スタジオ地図

弟のためならどこまでも強くなれる

けいくんは竜として闘って勝つことで弟・ともくんを元気付けようとしていました。ともくんもそんな兄を慕い憧れています。 しかし竜の背中にはたくさんの痣が。闘い中でなくても竜の傷が増えていく描写から考えるに、これはバトルでの負傷ではなく、けいくん自身が現実世界で受けている心の傷でしょう。 これだけの傷を受けても弟を励ますために闘い続けられる精神力が現実世界でも発揮されれば、父親からもきっと逃げ出せるはず。

ともくんも実は相当強い!?

ずっとけいくんに守られてきたともくんですが、彼のアバターは「クリオネ」であり、普段は可愛らしくても捕食時には恐ろしい姿になることで有名な生き物。<As>を読み解けば、実はともくんも潜在的にかなりの強さを持ち合わせているようです。 すずをライブ配信で呼び寄せたように、いざという時にはけいくんを助ける大きな力になれるのではないでしょうか。兄弟が力を合わせれば、父親から助かる日はそう遠くないと考えて良さそうです。

すずはなぜ竜の正体がけいくんであると気づいたのか?

竜とそばかすの姫 場面写真12
(C)2021 スタジオ地図

すずはいつどのようにして、竜の正体がけいくんであると知ったのでしょうか? ジャスティンたちが竜の城を襲撃した時、オンラインだった知がベルと竜しか知らない歌を口ずさんでいました。そこに暴言を吐く父親とけいくんの姿も映り、彼らのどちらかが竜であると気付いたすずが画面越しに声をかけたのです。 しかしけいくんはこれまで信じた大人たちに散々裏切られてきたため、「助けたい」と言ったすずの言葉が容易には信じられませんでした。けいくんは一方的に回線を切ってしまいます。 信じてもらうにはまず、自分が本当にベルであることを知らせなければなりません。そこですずは一大決心し、〈U〉の中で自分のオリジンを晒す「アンベイル」を行ったのです。

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声優:佐藤健

佐藤健

けいくんのアバターである「竜」とけいくん本人の声優を務めたのは、俳優の佐藤健です。このキャスティングはシークレットで、公開当初の情報解禁までは少し時間が空いていたため、佐藤健自身は自分の声だとバレないかヒヤヒヤしていたと語っていました。 それにしても竜の声だけならわかりますが、まさか14歳の少年であるけいくんの声まで担当していたとは!

『竜とそばかすの姫』けいくん(恵)は真の強さを持った兄

その音楽性や映像美に注目が集まった細田守監督のアニメ映画『竜とそばかすの姫』。内容については賛否両論あるようですが、けいくんという登場人物が置かれた過酷な状況は、「親によるDV」という現実にある問題に目を向ける一助となったのではないでしょうか。 そんな視点から観返してみるのも、この作品の多様な観方の1つかも。けいくんと知の未来に幸あれ!と願わずにはいられません。