2021年8月2日更新

『竜とそばかすの姫』すずはなぜ歌姫“ベル”になったのか?声優・中村佳穂はオーディションで抜擢

竜とそばかすの姫
(C)2021 スタジオ地図

田舎町で暮らす女子高生にして、美声と美貌を持つ絶世の歌姫ベルでもある“すず”。注目を集めた彼女の声優には、ミュージシャンの中村佳穂が抜擢されました。今回は2021年7月16日公開の『竜とそばかすの姫』から、主人公のすず/ベルを紹介します。

目次

『竜とそばかすの姫』すずは2つの“現実”を生きる主人公【ネタバレ注意】

細田守監督が『未来のミライ』以来、約3年ぶりに贈るアニメ映画『竜とそばかすの姫』。最新作の舞台は、もうひとつの現実とされる仮想世界<U(ユー)>です。 “すず”こと17歳の女子高生・内藤鈴と、<U>の世界で恐れられる竜の姿をした謎の存在が出会う時、リアル×ファンタジーの世界が動き出します。 この記事では、2つの現実を生きる主人公・すずの基本情報についてまとめました! <U>の世界ですずがどのようにして人々を魅了する「歌姫ベル」となっていったのか、その理由を考察。幼馴染みですずの想い人である「しのぶくん」や父親との関係はどうなるのか、ネタバレも含めて解説していきます。 ベルの注目すべき歌唱シーンにもネタバレありで触れていますので、未鑑賞の方はご注意ください。

すずの<As>である絶世の歌姫ベル

竜とそばかすの姫 メイン
(C)2021 スタジオ地図

すずは母親と一緒に歌う時間が大好きでしたが、幼い頃に彼女を事故で喪ったショックから、それきり歌えなくなってしまいました。 現在は曲を作ることを生きる糧に、高知県の田舎町で父親と2人暮らし。そんなある日、親友の“ヒロちゃん”に誘われ、インターネット上にある<U>に飛び込みます。そこは全世界50億人以上がアカウント登録し、別人として生きる仮想世界でした。 すずは「ベル」と名付けたアバター<As(アズ)>の姿なら、自然と歌うことができます。 誰もが“自分のために歌ってくれている”と魅了され、瞬く間に人気を得る絶世の歌姫ベル。しかし「竜」と呼ばれる存在が現れ、彼女のライブを無茶苦茶にするのです。

ディズニープリンセスを彷彿とさせるデザインの理由

エルサ『アナと雪の女王』
©DISNEY/zetaimage

この物語が『美女と野獣』をモチーフにしていることの他にも、ベルの容姿がディズニープリンセスを彷彿とさせることも気になります。それもそのはず、ベルのキャラクターデザインを手がけたのは、ディズニー作品で活躍するジン・キム! 『アナと雪の女王』や『塔の上のラプンツェル』、『ベイマックス』のキャラクターデザインを務めた著名なデザイナーであり、現代のディズニーキャラクターのイメージを形作った人物なのです。

すずはなぜ絶世の歌姫“ベル”になったのか?

竜とそばかすの姫 場面写真2
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<U>のボディシェアリングのシステムは、その人の潜在的な才能などを表出させることができる、いわば本当の「もう1人の自分」を表現できる画期的なもの。 従来のいわゆる「アバター」が自分が“なりたい”キャラクターを表現する手段とすれば、<U>での<As>とは自分も知らない自分を発見できるアバターなのかもしれません。 そう考えると、歌の才能を持ちながらも現実世界では歌えなくなってしまったすずが、<U>でその才能を開花させることができたのは、それまで母の死で自身で抑圧してしまっていた本当の自分を解放できたからなのでしょう。 そんなすずの才能を一気に世界中に拡散できたのも、<U>というインターネット世界あってこそなのです。

全ては親友・ヒロちゃんのおかげ?

竜とそばかすの姫 場面写真7
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そもそも、すずが<U>に入ったのは、親友のヒロちゃんがすずを<U>に招待したから。そこで歌い始めたすずをプロデュースし、世界中の人々に「歌姫ベル」として造り上げたキャラクターを届けたのが、ヒロちゃんでした。 現実世界でも常にすずを後押しし、心無い誹謗中傷からも守ってくれる頼もしい味方が、いつも近くにいたのです。

忍くんへの本当の気持ちは?ルカちゃんは恋敵なのか

竜とそばかすの姫 場面写真9
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すずは幼馴染みの「しのぶくん」こと久武忍に、幼い頃プロポーズされたと思っていました。しかし高校生となった今は、学校のアイドル的存在のしのぶくんは遠い存在に。それでもしのぶくんの方は、以前と変わらずにすずに接していました。 しのぶくんはすずが抱える悩みを知っていて、すずの母の死からもずっと近くでそっと寄り添って気にかけてきた人物。物語のラストで成長したすずを見て、「これからは見守るんじゃなくて、付き合える気がする」と彼自身の想いを始めて語っていました。 ルカちゃんは恋敵かと思われましたが、実は彼女が好きだったのは幼馴染みでも「カミシン」こと千頭慎次郎の方。成長して自信を持ったすずはきっと、しのぶくんへの想いを伝えらるのではないでしょうか。

お父さんとの関係を変えたすずの成長

すずは母を亡くしてから、ずっと父親とは距離を取って過ごしてきたよう。劇中でも父親に「晩ご飯は?」と聞かれても「いらない」と言葉少なに対応するだけでした。 思春期でもあり、母親の死のトラウマからなかなか抜け出せない娘に対して、この父親は一定の距離を保ちながら接しています。それが「晩ご飯は?」という一言に集約されていました。 そんな父親とのぎこちない関係は、物語の終盤で少し変化します。それは、すずがシングルファーザーから虐待を受けていた兄弟を助けに行ったことで、彼女自身も変わることができたから。 インターネット世界を抜け出して、現実世界ので家族の関わり合い方や人間関係にも注視している点が本作の魅力です。

すず/ベルの歌声に感涙必至!注目すべき歌唱シーン3選【ネタバレ注意】

<U>でなら歌える!

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幼い頃は、歌が好きだった母と一緒に曲を作ったり歌ったりして楽しんでいたすず。しかし母の死から、歌おうとすると吐いてしまうほど体が拒否してしまします。 それでも本当の自分を解放した<U>の世界では、心のままに歌うことができました。初めてベルの姿で歌声を披露したシーンでは「歌よ」という曲を歌い、これが拡散して世界中に注目されることになります。

ベルの歌声が竜の心を溶かす

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ライブ会場でジャスティンたち自警団に追われていた竜と接し、本当は心に傷を持つ孤独な<As>ではないかと気になり始めたベルは、竜の城を密かに訪問します。 『美女と野獣』を彷彿とさせる城のシーンでは、ベルが竜の心に届けようと作った「心のそばに」という曲を歌います。初めは頑なだった竜の心も、彼女の歌声が少しずつ溶かしていくのです。

オリジンの姿で披露した衝撃の歌声

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竜の正体が父親から虐待を受けている恵という少年であることを知ったすずは、ネット越しでも信用してもらうために正体を明かす「アンベイル」を自ら起こします。<U>の群衆たちの前でオリジンの姿をさらしたすずは、意を決して歌い始めるのでした。 ここで恵への気持ちを歌ったのが「はなればなれの君へ」という曲。群衆たちはいつしか懸命に歌うベルの姿に心打たれ、一体となって灯を掲げて彼女を応援していました。

『竜とそばかすの姫』ですず/ベルを演じる声優は中村佳穂

すず/ベルの声優を務めるのは、京都府出身の若きミュージシャン、中村佳穂。20歳で本格的に音楽活動をスタートし、形態にとらわれない音楽を届けています。 細田監督が中村の楽曲「そのいのち」に心打たれ、彼女のライブ会場を訪れるなど、以前から2人の間に親交があったそうです。今回はその縁ではなく、監督自ら「すずを見つけ出す」と意気込んで開催したオーディションの結果、演技未経験の中村が抜擢! 唯一無二の圧倒的存在感と歌声を披露し、「彼女こそがすず!」と大絶賛されました。アフレコでは1人2役を演じるにあたり、服装(靴)で気持ちを切り替えたとのこと。 中村は物語の軸となる劇中歌も歌唱し、一部楽曲は本人が作詞を担当しています。

『竜とそばかすの姫』すずは歌姫ベルとして2つの世界を救うのか?

竜とそばかすの姫 場面写真8
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『竜とそばかすの姫』は「女子高生ヒロイン」のすず、「インターネット世界」の<U>など過去作品の要素も合わさった、細田守の集大成と言える作品です。 オーディションで選ばれた中村佳穂が、その期待に応えて素晴らしい歌声を披露した本作。まさにすずがベルとして世に出たのと同じように、今や彼女自身も大きな注目を浴びています。 すず/ベルの美しい歌声と<U>の世界観を、劇場の大スクリーンで体験してほしい作品です。もちろん、彼女の成長にもぜひ注目してご覧ください!