2022年9月23日更新

『竜とそばかすの姫』すず/ベルが絶世の歌姫になれた理由は?声優・中村佳穂も紹介

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竜とそばかすの姫
(C)2021 スタジオ地図

細田守監督が2021年に公開したアニメ映画『竜とそばかすの姫』。ヒロインのすずは高知県の田舎町に生まれた内気な女子高生ですが、インターネット上の仮想世界<U(ユー)>では世界に羽ばたく歌姫になれました。 この記事では、本作の主人公すずとベルについてまとめています。美しいベルが出来上がるまでの舞台裏や、すずの成長について考察・解説していきましょう! ベルの歌唱シーンにもネタバレありで触れていますので、未鑑賞の場合は注意してください。

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すず/ベルの基本情報

竜とそばかすの姫 メイン
(C)2021 スタジオ地図
本名 内藤鈴
As ベル Bell (鈴)→Belle (美人)
年齢 17歳
家族 父、犬のフーガ(保護犬) ※母とは死別
声優 中村佳穂

すずは高知県に住む内気な女子高校生。母親と一緒に歌う時間が大好きでしたが、幼い頃に母を事故で失ってから歌えなくなっていました。母は川で溺れかけている子どもを助けて、そのまま亡くなったのです。 ある日親友の“ヒロちゃん”に誘われ、インターネット上にある<U>に飛び込みます。そこは全世界50億人以上がアカウント登録し、別人として生きる仮想世界でした。 すずは「ベル(Bell)」と名付けたアバター<As>の姿でなら、自然と歌うことができたのです。ベルは瞬く間にスターとなって、その美しさから「Belle (フランス語で美女)」と呼ばれるようになっていきました。

すずがベルとしてコンサートを開催したある日、乱暴な竜が会場に乱入してきました。人々は怒り狂って竜の正体(オリジン)を暴こうとしますが、すずはなぜか竜のことが気になってしまいます。背中に派手な痣を背負っている姿が頭から離れず、こっそり彼を探し始めました。 とうとう彼の城に辿り着き、はじめは拒絶されながらも、歌で竜の心をほぐしていくすず。やがてすずは、竜が抱える心の傷に触れ、彼を助けたいと願うようになっていくのでした。 ある日、ひょんなことから彼の正体(オリジン)を探りあて、ライブ配信越しに助けたいと申し出るすず。しかしこれまでたくさんの大人に裏切られ、見捨てられてきた竜の正体・恵はすずを警戒し拒絶しました。 すずはまず自分がベルであることをわかってもらうため、<U>の世界で自分の正体(オリジン)をさらして歌います。すると恵は少し警戒心を解いてくれましたが、そこで彼の暴力的な父親がパソコンを閉じてしまいました。 恵に危険が迫っていると感じたすずはたまらず街を飛び出し、1人で東京まで向かいます。危険を顧みず父親の前に立ちはだかって、すずは恵たち兄弟を救い、自分の街に帰って行くのでした。

すずとしのぶくんはその後付き合った?

物語のラストで成長したすずを見て、しのぶくんは「これからは見守るんじゃなくて、普通に付き合える気がする」と話していました。「付き合う」の意味が気になるところですが、きっと成長したすずなら、これまで以上にしのぶくんと対等に親しく付き合っていくことができることでしょう。

ベルがディズニープリンセスに似てるのはなぜ?

ディズニー映画でも活躍するジン・キムがキャラクターデザインを担当しているからです。彼は『アナと雪の女王』や『塔の上のラプンツェル』など数々の名作でキャラクターデザインを務めています。

【制作の過程】ベルが絶世の歌姫になるまで

①キャラクターデザイン:ジン・キム

エルサ『アナと雪の女王』
©DISNEY/zetaimage

ベルというキャラクターを考えるにあたり、細田監督が打診したのはディズニー作品でも活躍するキャラクターデザイナーのジン・キム! 『アナと雪の女王』や『塔の上のラプンツェル』、『ベイマックス』のキャラクターデザインを務めた著名なデザイナーであり、現代のディズニーキャラクターのイメージを形作った人物です。 彼がキャラクターデザインを務めたため、ベルは目力が強く印象的なキャラクターになったのでしょう。ベル美しい容姿と活き活きした表情はディズニープリンセスを彷彿とさせますね。

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②衣装デザイン

続いてはキャラクターを飾り付ける衣装のデザイン。スタイリスト伊賀大介が招集したのは、ファッションデザイナーの森永邦彦とフラワークリエーターの篠崎恵美です。 圧倒的な歌唱力を持つ歌姫ベルにふさわしい華やかで大胆なデザインになっています。

③声優・歌:中村佳穂

中村佳穂
中村佳穂

すず/ベルの声優を務めるのは、京都府出身の若きミュージシャン、中村佳穂。劇中歌も歌唱し、一部楽曲は本人が作詞も担当しています。 中村は20歳で本格的に音楽活動をスタートし、形態にとらわれない音楽が話題を呼んでいる歌手です。 以前から中村の楽曲に惹かれていた細田監督がライブ会場を訪れた際、強く心を打たれてオーディションに呼ぼうと声をかけたのだとか。しかし贔屓目なしでオーディションを勝ち抜き、演技未経験の中村が抜擢されたのです。 唯一無二の圧倒的存在感と歌声を披露し、「彼女こそがすず!」と細田監督から大絶賛されました。アフレコでは1人2役を演じるにあたり、服装(靴)で気持ちを切り替えたとのこと。

④振り付け:康本雅子

歌まで出来上がったら、次は振り付け。ベルの動きは、コンテンポラリーダンス界の巨匠・康本雅子が担当しています。細田守監督と話し合いながら、モーションキャプチャーを使って振り付けを取り込んでいったそうです。

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⑤世界に広がるベルの歌声

2022年1月14日、全米でも公開され、それに合わせて英語版のサウンドトラックも世界に向けて配信され始めました。また6月9日からはドイツ、6月17日からはノルウェーと国は広がり続け、多言語でのカバーが話題を呼んでいます。 とうとう世界デビューを果たしたベル。英語版の歌唱を担当したのは、英語吹き替え版の『Belle』ですず/Belleを演じたカイリー・マクニールです。

【番外編】実写化!?Vhumanになったベル

本作の公開に合わせ、InstagramにBelle(@uworld_belle)の名前で、ベルそっくりのキャラクターのアカウントが開設。これはバーチャルヒューマンカンパニー「Aww」が作り出したバーチャルヒューマンのベルで、そのリアルさに実写化?!と話題を呼びました。

【物語の考察】すずが成長できた訳

映画の中ですずは、周囲の目を気にしておどおどしていた性格から、遠くの兄弟を助けに行けるまで勇気ある女の子に成長しました。なぜすずはこんなにも変われたのでしょうか。

①<U>でベルになったから

竜とそばかすの姫 場面写真2
(C)2021 スタジオ地図

<U>のボディシェアリングのシステムは、その人の潜在的な才能などを表出させることができる、いわば本当の「もう1人の自分」を表現できる画期的なもの。 従来のいわゆる「アバター」が自分が“なりたい”キャラクターを表現する手段とすれば、<U>での<As>とは自分も知らない自分を発見できるアバターなのかもしれません。 そう考えると、歌の才能を持ちながらも現実世界では歌えなくなってしまったすずが、<U>でその才能を開花させることができたのは、それまで母の死や周りの批判で自身で抑圧してしまっていた本当の自分を解放できたからなのでしょう。 さらにその才能を世界中に拡散できたのも、インターネットあってこそなのです。

盟友・ヒロちゃんの存在

竜とそばかすの姫 場面写真7
(C)2021 スタジオ地図

そもそもすずが<U>に入ったのは、親友のヒロちゃんがすずを<U>に招待したから。ヒロちゃんは毒舌なキャラクターですが、歌を取り戻したすずを支え世界中の人々に「歌姫ベル」を送り届けてくれました。 現実世界でも常にすずを後押しし、心無い誹謗中傷からも守ってくれた頼もしい味方。内気なすずを誰よりも理解し助けてくれた強く優しいヒロちゃんのおかげで、すずは成長できたのです。

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②しのぶくんが見守ってくれたから

竜とそばかすの姫 場面写真9
(C)2021 スタジオ地図

すずの成長を支えた立役者がもう1人います。それは幼馴染のしのぶくんです。幼い頃は「一生守る」と言ってもらえるほど親しい仲でしたが、高校生になったすずはしのぶくんに引け目を感じていました。しかししのぶくんは、変わらずすずを見守っていたのです。 幼い頃から母をなくしたすずに寄り添い、高校生になってからもすずの歌声に気づいたのか、ベルであることを見抜いて声をかけてくれました。しのぶくんに正体を見破られていたことは、すずが<U>で姿を晒すための勇気につながっていたかもしれません。 またしのぶくんだけでなくルカちゃんもカミシンもヒロちゃんも、作中で登場する友人たちは、みんな周りの批判を恐れず自分らしく生きていました。そんな友人たちの姿や言葉に、すずは気づかぬうちに励まされていたことでしょう。

③お父さんの最後のひと推し

すずは母を亡くしてから、ずっと父親と距離を取って過ごしてきました。「晩ご飯は?」と聞かれても「いらない」と言葉少なに対応するようなそっけない関係性が続いています。 思春期でもあり、母親の死のトラウマからなかなか抜け出せない娘に対して、父親もどう接すべきか迷っていたのでしょう。しかしすずが本気で人を助けたいと思った時には、背中を押してくれる温かいメールをくれました。 「君は母さんが突然いなくなって 寂しくてずっとそれを我慢してきた とてもつらかったと思うけど、 でもこうして親切な子に育った。 人の気持ちがわかる子に育った。 すず君は母さんに育てられて こんなに優しい子になったんだよ。 その人に優しくしてあげなさい。」 妻が優しさから死んでしまって、その優しさを娘に見出しても、娘を尊重し背中を押してあげる父親。なかなかできることではありません。すずはこの両親に育てられなければ、こんなに強く優しく成長することはできなかったでしょう。

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すず/ベルの注目すべき歌唱シーン3選

①<U>でなら歌える!

竜とそばかすの姫 場面写真12
(C)2021 スタジオ地図

幼い頃は、歌が好きだった母と一緒に曲を作ったり歌ったりして楽しんでいたすず。しかし母の死から、歌おうとすると吐いてしまうほど体が拒否してしまします。 それでも<U>の世界では、心のままに歌うことができました。初めてベルの姿で歌声を披露したシーンでは「歌よ」という曲を歌い、これが拡散して世界中に注目されることになります。

②歌声で竜の心を溶かす

ライブ会場でジャスティンたち自警団に追われていた竜と接し、本当は心に傷を持つ孤独な<As>ではないかと気になり始めたベルは、竜の城を密かに訪問します。 『美女と野獣』を彷彿とさせる城のシーンでは、ベルが竜の心に届けようと作った「心のそばに」という曲を歌います。初めは頑なだった竜の心も、彼女の歌声が少しずつ溶かしていくのです。

③オリジンの姿で披露した心の叫び

竜とそばかすの姫 場面写真3
(C)2021 スタジオ地図

竜の正体が父親から虐待を受けている恵という少年であることを知ったすずは、ネット越しでも信用してもらうために正体を明かす「アンベイル」を自ら起こします。<U>の群衆たちの前でオリジンの姿をさらしたすずは、意を決して歌い始めるのでした。 ここで恵への気持ちを歌ったのが「はなればなれの君へ」という曲。群衆たちはいつしか懸命に歌うベルの姿に心打たれ、一体となって灯を掲げて彼女を応援していました。

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『竜とそばかすの姫』すずはベルとして2つの世界を救う

竜とそばかすの姫 場面写真8
(C)2021 スタジオ地図

『竜とそばかすの姫』は「女子高生ヒロイン」のすず、「インターネット世界」の<U>など過去作品の要素も合わさった、細田守の集大成と言える作品です。 オーディションで選ばれた中村佳穂が、その期待に応えて素晴らしい歌声を披露した本作。まさにすずがベルとして世に出たのと同じように、今や彼女自身も大きな注目を浴びています。 すず/ベルの美しい歌声と<U>の世界観を、劇場の大スクリーンで体験してほしい作品です。もちろん、彼女の成長にもぜひ注目してご覧ください!